世界の終わり、君との最後の夏

長月紅葉

Prologue(脚本)

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長月紅葉

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〇教室
  変わり映えのない日常は、
  生きるだけなら楽だ。
  しかし人間は贅沢生き物で、
  変わり映えのない日常を退屈と感じる。
  楽なだけの日常には嫌気がさしてしまう。

〇女の子の一人部屋
  朝眠気に堪えながら起きて、

〇学校脇の道
  歩き慣れた通学路を通って、

〇学校の廊下
  クラスメートにいつも通りの挨拶をして、

〇教室
  瞼を閉じてしまうような授業を受けて、

〇学校脇の道
  寄り道をすることなく帰宅して、

〇女の子の一人部屋
  次の日を迎えるために夢を見る。
  変わり映えのない日常。
  いつの通りの日常。
  つまらない。
  そう思いながらも、
  自分から日常を変えようとはしない。
  理由は簡単な話だ。
  日常が変わらないことはつまらないが、
  日常が変わることは怖いからだ。
  私自身がアクションを起こすことなく、
  日常が変わってほしかった。
  それなら受け入れるしかなくて、
  怖さなんて気にする必要がないからだ。
  これは他力本願だ。
  突然、超能力が使えるようになっていた。
  イケメンの転校生がやって来た。
  いきなりゾンビが現れて世界が混乱した。
  謎の組織から命を追われてしまう。
  きっとそれなら恐怖心を持つことなく、
  日常が変わることを仕方ないと
  受け入れることができる。
  結局のところ、
  これらは言い訳に過ぎない。
  変わり映えのない日常を
  つまらないと感じているが、
  実際には恐怖心から変化を拒絶している。
  心で感じていることが、
  頭で感じてることと一致していない。
  私の中にある唯一の矛盾と
  表すことができる。
  だから今日もいつも通りの日常になる。
  変わり映えのない日常を過ごす。
  楽な日常になる。
  そう考えていた。

〇沖合
  しかし、そんな日常は終わりを告げた。

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