世界の終わり、君との最後の夏

長月紅葉

1日目 全てのはじまり(脚本)

世界の終わり、君との最後の夏

長月紅葉

今すぐ読む

世界の終わり、君との最後の夏
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇アーケード商店街
雪桜(今日も疲れたな・・・)
  今日は7月7日。
  世間一般的には七夕になる。
  この七草商店街も、
  七夕に合わせた飾り付けがされている。
  ただあまり七夕の実感はない。
  クリスマスやバレンタインに比べると、
  印象は薄い。
  実際のところメディアでも、
  七夕を取り上げるのが減少している。
  高校が早めに終わったため、
  いつもは会うわない小学生が多い。
小学生「今年こそ彦星と織姫は会えるかなー」
雪桜(残念ながら、夜は雨の予報ですよ)
  今日は私たちの学年だけ一斉下校。
  だから同級生が多い。
  楽しそうな話し声が耳に入ってくる。
  私はそんな人たちを尻目に歩いている。
  去年まではクラスメートと帰っていた。
  しかし、2年生になってから、
  急にクラスメートとの距離ができた。
  物理的でもあり、心理的でもある距離だ。
  原因は分からなかった。
雪桜(そういえば、雑貨品買わないと。 ティッシュなくなりそうだったんだっけ)
  スマホのメモ帳アプリを見ようとした瞬間
  ピー!ピー!ピー!ピー!ピー!
  緊急地震速報のような、
  心臓に直接響く通知音がした。
  商店街にいる全員のスマホが鳴っている。
  反響して余計にうるさく感じる。
雪桜「びっくりした・・・音大きすぎでしょ」
  音を止めるためにスマホをよく見る。
  そこには目を疑うことが表示されていた。
  緊急速報
  07/07 15:16
  「小惑星が地球に向かっている模様です。まもなく行われる総理大臣の会見を見てください」
雪桜「なにこれ・・・」
  嘘のようだった。
  これだとまるで漫画や小説の導入部分だ。
  壮大な物語を紡ぐための下地。
  現実では絶対に起こらないことだ。
  私は信じることができなかった。
  たちの悪い冗談だと思って受け流した。
通行人A「びっくりしたね。何かの訓練かな」
通行人B「どうせ誤報とかでしょ」
  周囲の人たちも同じようだった。
  信じている人は誰ひとりいなかった。
  嘘だと信じたいが、
  どこか信じきれない自分がいた。
雪桜「テレビ・・・あそこなら見れる」
  記者会見をしていたら事実かもしれない。
雪桜(急いで向かおう)

成分キーワード

ページTOPへ