咲子ちゃんを祝いたい!(脚本)
〇教室の教壇
先生「──であるからして、近年の物語は クライマックスがユニークである」
キーンコーンカーンコーン──
奈々美(あ〜今日バイト休みになったんか。 放課後めっちゃ暇やなぁ)
奈々美(トンボ100匹捕まえて養殖でも始めるか)
麻衣子「あ、あの、奈々美さん!」
奈々美「あれ、まいまい、どした?」
奈々美「もしかしてトンボの養殖に興味ある系?」
麻衣子「なにその系統、初めて聞きました・・・」
麻衣子「実はお願いがありまして・・・・・・」
奈々美「あれ、まいまいがお願いは珍しいなぁ」
奈々美「なんでも言うてみ! おっさんが協力したんでー」
麻衣子「おっさんじゃなくて女子高生ですよ・・・」
麻衣子「実は明日、咲子ちゃんの誕生日でして」
麻衣子「どうしても今日、咲子ちゃんの お祝いの準備をしたいんです!」
奈々美「おー!ええやん!楽しそう! うち今日バイト休みやし丁度ええわ」
奈々美(えー、咲子・・・って誰やっけ? クラスちゃう子かな?全然知らんなぁ)
奈々美(まぁ知ったかぶりしてやり過ごすかぁ)
麻衣子「じゃあ、また後で時間と場所送ります!」
奈々美「オーライ!」
〇一戸建て
奈々美(いやいやいやいや)
奈々美(夜の23時50分に集合て)
奈々美(歌舞伎町ちゃうねんから)
奈々美(歌舞伎町行ったことないけど)
麻衣子「奈々美さん、遅くなってすみません!」
奈々美「いや、そもそもの予定時間が遅すぎるねん」
奈々美「誕生日のお祝いの準備って言うから プレゼント買いに行ったりするんかと」
麻衣子「違いますよ! 夜中からが勝負です!」
奈々美「普通に放課後暇やったから トンボ100匹集めてもうたわ」
奈々美「で、夜中になにすんねん」
奈々美「とりあえず送られた住所に来たけど」
麻衣子「あれ? 分からないんですか?」
麻衣子「24時丁度に咲子ちゃんに突撃して おめでとうって言うんです!」
奈々美「なるほどな! それで日を跨ぐ直前に」
麻衣子「もう後2分しかありません! とりあえず柵を超えましょう!」
奈々美「え? いや、おい、ちょい待って、 インターフォン鳴らすんちゃうの?」
麻衣子「何言ってるんですかー! 突撃ですよ!」
奈々美「ちょい、やから動きやすい服装で 来いって言うたんか」
麻衣子「さーて、もう時間がありません! 残り10秒!9、8、」
奈々美「え、いや、ドアこっちやで なんでそっち行くねん」
麻衣子「3、2、」
奈々美「え? 嘘やろ! まいまいぃぃぃいい!」
バリーーーン!!!
〇大きな箪笥のある和室
奈々美(アホやこいつ・・・)
奈々美(共犯者なってもうた・・・)
奈々美(とりあえず咲子ちゃんを見つけて 早く謝らなあかんな・・・)
「だ・・・れ・・・だ・・・」
奈々美(やばい! おばあちゃんや! 通報されてまう!)
ズーン
麻衣子「咲子ちゃん! お誕生日おめでとう!」
奈々美「え!? ど、どういうことや!」
奈々美「この人、学校の用務員のおばちゃんやん!」
咲子「ヴオォォォォォォオオ」
麻衣子「駄目です奈々美さん! 彼女は用務員と呼ばれるのが嫌になって」
麻衣子「生き霊になってしまったんです!」
奈々美「めんどくさ! 用務員は用務員や!」
咲子「ヴオォォォォォォオオオオオオ」
奈々美「わ、分かったって。 ほんでどないしたらええねん」
咲子「サキコチャンッテ、ヨンデ〜」
奈々美「お前が答えるんかい」
咲子「ヴオオォォォォォォォォォォオオオオオオ」
奈々美「ごめんごめん、はいはい咲子ちゃん」
麻衣子「咲子ちゃん、咲子ちゃん」
「誕生日、おめでとう!」
咲子「タンジョウビ・・・」
咲子「明日ヤァァアアアアアアアアアアア」
麻衣子「ど、どうしよう 誕生日の前日だったみたい」
奈々美(こいつ後で絶対シバく)
奈々美「よし、こうなったら倒すしかない! うちが気を引くから、その隙に!」
その瞬間、奈々美のパーカーの内側から無数のトンボが姿を現した。
トンボたちは咲子の顔目掛けて
一直線に飛びかかる
咲子「ナ、ナニィィイイイイイ」
奈々美「まいまい、行けえええええ!!!」
麻衣子「うぉおおおおお!!!!」
麻衣子のハンマーは奈々美のトンボを
数匹クシャリクシャリと潰しながら
確かに咲子の頭蓋骨に到達した──
〇教室の教壇
一週間後──
キーンコーンカーンコーン
奈々美「よし、今日も終わりと」
麻衣子「奈々美さん!」
奈々美「お、まいまい! 今日も早速やるかー!」
「トンボの養殖!!」
先生「いやクライマックスがユニークすぎる」
面白いです。ハイテンションのまま最後まで突っ走る物語を楽しませてもらいました。終始裏切られる予測不能の展開にすっかり脱帽です。
奈々美さんの一人ツッコミがすごく面白かったです!
テンポ良くて、最後まで笑わせてもらいました笑
トンボの養殖あたりがすごくツボだったです。
全く予想できない展開でした!楽しかったです、言葉の選び方も好きで、状況がイメージしやすく一気にい読ませて頂きました。もう少し続きが気になる、そんなお話しでした。