第5話 怪獣を迎え撃て!(脚本)
〇ブリーフィングルーム
東京に未曽有の怪獣災害が迫る!
そんな状況で怪獣から人々を守るべき地球防衛軍の司令長官が何者かによって殺害された――はずなのだが。
山田ヒサオ「・・・・・・」
高野アラシ「ちょ、長官!?」
大野タツノスケ「生きておられたのですか!?」
殺害されたと思われていたヒサオが、むくりと起き上がり会議室に姿を現わしたのだ!
はたして、ヒサオはその口からどのような真実を語るのか!?
山田ヒサオ「むぅ・・・」
ヒサオは沈黙したまま、のそりのそりと自分が座る長官の席へ着く。
じろり、と周囲を見回す。
高野アラシ「長官! よかった、無事だったんですね」
的山ミイコ「長官、大丈夫ですか? ですがその傷・・・一体だれに?」
山田ヒサオ「ミイコ!」
的山ミイコ「はい」
山田ヒサオ「あー・・・二日酔いで頭がずきずき痛む・・・」
的山ミイコ「は?」
山田ヒサオ「わりいけどよ。 シジミの味噌汁・・・作ってくれや・・・」
山田ヒサオ「それに、たしか、会議、だったか? 雁首揃ってるってことは」
高野アラシ「え、いや、その・・・かいじゅ・・・」
山田ヒサオ「悪いけどよ、俺はここにいることはいるから勝手にやってくれや。 終わったら起こして・・・ぐう・・・」
なんと、ヒサオはそのまま眠ってしまった。
会議室には大きないびきが響き渡っている。
一同は唖然とした表情のままヒサオを見つめていた。
藤山コウゾウ「いやはや・・・生きていてよかった! 殺してしまったかと思ってひやひやしたぞ!」
「はぁ!?」
藤山コウゾウ「いや、実は当直の見張りをしていてな。 朝、モニタールームを観たら異星人の反応を検知したんだよ!」
大野タツノスケ「え、いや、それって・・・」
藤山コウゾウ「今思えばタツノスケだな!」
藤山コウゾウ「だが、そのときは『このまま異星人の侵入を許すわけにはいかん!』と考えて指令室に隠れて待ち構えていたわけだ!」
藤山コウゾウ「ロッカーに隠れて!」
〇コンピュータールーム
【コウゾウの回想 早朝の指令室】
――ガチャ
大野タツノスケ「まったく、しっかりしてくれよ、ヒサオ」
山田ヒサオ「むにゃ、もう一軒行くぞぉー! 帰ったらコウゾウに怒られる、むにゃ・・・」
藤山コウゾウ「・・・・・・」
よく聞こえなかったが、二人組のようだったから、一人になるのを待ったんだ
大野タツノスケ「っと、しっぽが・・・んじゃ、俺は戻るんで。また!」
山田ヒサオ「おぉう、気をつけろよ!」
で、しばらくたったら気配はひとつになったんだが
山田ヒサオ「あー・・・迎え酒が必要だな。ひっく」
藤山コウゾウ「!」
そいつが俺のいるロッカーの方へ近づいてくるのが分かった!
そこで、たまたまあった一升瓶を手にして・・・
〇ブリーフィングルーム
高野アラシ「ガツン! とやっちゃったわけですか」
藤山コウゾウ「うむ! ガツン! と。 しかも、直後に怪獣が攻めてきたから焦ってしまってな! はっはっは!」
的山ミイコ「はっはっは、じゃないわよ! 私たちに罪をなすりつけようとしたわけ!」
藤山コウゾウ「すまん! つい! 怖くって!」
開き直りもここまで来るといっそ笑うしかない。
一同からは思わず乾いた笑いがこぼれた。
大野タツノスケ「まったく、人騒がせな」
高野アラシ「でも、これで事件は解決したわけですね。 めでたしめでた・・・」
ビーーーーーーッ!
ビーーーーーーッ!
シリクサ「怪獣が東京湾に侵入!」
「わすれてたーーーーーーーーっ!」
彼らはすっかり忘れていた。
今、怪獣が迫ってきている緊急事態だという事を。
シリクサ「しかもトカゲ型だけでなく、巨大イカ型怪獣も増えています」
的山ミイコ「なによ、イカ型って!?」
シリクサ「どうやらトカゲ型怪獣が移動中に相模湾で出会って一目惚れをしたのち、その場で駿河湾産のカニを送って告白」
シリクサ「イカ型もまんざらではなく、お友達から始めることで同意したようです」
藤山コウゾウ「ほう、怪獣も恋をするのか!」
的山ミイコ「そんな情報いらないわよ! どうするの!」
山田ヒサオ「zzz・・・」
的山ミイコ「このオッサン、酔っぱらってケガして寝てるわよ!」
大野タツノスケ「・・・残念ながら、機能しないな。 長官としては」
藤山コウゾウ「私もそう思う! この際だから新しい司令官は任命すべきだ!」
高野アラシ「・・・だけど、誰がやるんですか?」
「・・・・・・」
高野アラシ「いや、黙らないでくださいよ、みなさん!」
的山ミイコ「私は嫌。夜はバイトがあるし」
高野アラシ「副業を優先するって言いやがった! 開き直らないでくださいよ!」
藤山コウゾウ「私は殺人未遂の罪があるからな」
高野アラシ「事が済んだら警察行ってくださいね!?」
大野タツノスケ「俺は無理だ」
高野アラシ「わかってますよ、異星人のスパイですもんね!」
頭を抱えるアラシ。もう東京は終わりかもしれない・・・そんな考えが彼の脳裏をよぎる。そのとき──
的山ミイコ「てかさ、アラシがやってよ」
高野アラシ「・・・へ?」
的山ミイコ「だってさっきの会議でも仕切ってたのはあなただし。 リーダーシップはありそうだもん」
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トカゲ型さん、ウチでも絶賛宇宙怪獣として活躍してるんでちょっと親近感湧いちゃいました