所要時間5~10分「バトルあり!心霊現象あり!介護施設のお仕事は大変です!」

あうろーら

バトルあり!心霊現象あり!介護施設のお仕事は大変です!(脚本)

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〇綺麗な一戸建て
  介護施設で職員が暴行
  「逮捕」傷害の疑い
  介護施設のパート従業員
  Z 容疑者(28)

〇テーブル席
介護職員(このニュース、他人事じゃないな・・・)
  私はこの介護施設で働いている介護職員
  重労働なので
  同僚はもう何人も身体を痛めて辞めている。
  私もいつそうなるかわからない。
  と、ここでみんな大好きお金の話・・・
  だけど残念なことに
  私たち介護福祉士だけじゃなく
  看護師や
  リハビリ科の理学療法士も
  みんな日本の平均年収より低い。
  施設によって異なるが
  3連休以上の休暇は
  年末年始の4日間程度だけだ。
  お盆休みもない。
  それに今のニュースのように
  いつ犯人扱いされるかも分からない。
  というのは後ほどお話ししよう。
  そんな仕事、辞めたらいいのでは?
  と思うかもしれない。
  でも・・・
  私の能力では、
  今から他の仕事でやっていける自信もない
介護職員「Aさん、おはようごさいます。 血圧と体温測らせて頂きますね」
Aさん「おう、おはよう」
介護職員(Aさんの右手の甲、内出血してる・・・)
  高齢になり、血管が弱くなると
  少し引っかいたり、触ったりするだけで
  いつの間にか内出血していることがある。
介護職員「あ!?」
介護職員(お尻触られた!)
介護職員「そこ触ったら逮捕されますよ」
Aさん「ははは。 ええ尻してるわ」
  実際、我々職員には、施設利用者様方に
  対して注意することぐらいしか出来ない。
  逮捕なんて、ほぼあり得ないと言える。
  それをいいことに痴漢し放題なのである。
  まさに無法地帯・・・
  施設責任者がしっかりしていれば、
  痴漢やセクハラ行為をする人を
  利用中止にすることはできるだろう。
  でも、
  利用中止になり、利用者が減ると
  施設の利益が減るので
  施設責任者は動こうとしないのだ。
介護職員(あ、B子さんが立ち上がった。 一人で歩くとふらついて転倒しかねない)
介護職員「B子さんどちらへ行かれますか?」
B子さん「トイレ行こうかしら」
リハビリ職員「僕が付き添います」
介護職員「すみません、お願いします」

〇清潔なトイレ
B子さん「お兄ちゃんハンサムやな」
B子さん「エッチしよか。 そこらで隠れてやったら 誰にもわからないから」
リハビリ職員「そういうことは出来ませんよ」
  痴漢やセクハラ発言をされるのは女性職員だけではない。
  男性職員も痴漢やセクハラ発言を受けることがあるのだ。
B子さん「私のあそこは気持ちいいらしいよ」
  B子さんの発言は、誇張表現したものではない。
  実際にはもっと過激な発言を浴びせかけてくるが、ここでは公序良俗に反しそうなので省略している。
リハビリ職員「トイレ着きましたよ。 終わったら呼び出しボタン押して下さい」

〇テーブル席
介護職員(あ、ちょっと落ち込んで帰ってきた)
介護職員(また、セクハラ発言されたのかな・・・ ピュアな独身男性には堪えるか)
  一人あたり約20分の個別リハビリ中
  ずっとセクハラ発言を受けている時も
  あるそうだ
  B子さんのご家族に
  セクハラ発言の件を伝えると
  ショックを受けそうなので、
  伝えていない。
介護職員(あ!? B子さんが呼び出しボタン 押さずに出てきた)
  急いでかけつける
介護職員「あれ?呼び出しボタン押して頂けなかったんですか?」
B子さん「あぁ、忘れてた、ごめんね」
  そうこうしている間に
  入浴介助の時間・・・
介護職員「Cさん、お風呂どうぞ」
Cさん「行かん!」
介護職員(Cさんのご家族から、 家でお風呂入らないからこっちで入れて下さいって言われてるのになぁ・・・)
介護職員「今なら一番風呂ですよ」
Cさん「行かん!」
介護職員「痛っっ!」
介護職員(顔面、叩かれた・・・)
介護職員「また後でお誘いしますね」
  こういった暴力を受けることもしばしば。
  杖で叩かれることもあれば、人によっては噛みついてくることもある。
  痴漢やセクハラ同様に、
  暴力も黙認されている。
  もちろん反撃したら私たちは即逮捕だろう。
  そう、今朝のニュースのように。
  お風呂ぐらい入らなくてもと思うかもしれないが、
  清潔にしておかないと尿路感染症などにかかり、入院することになるだろう。
  不清潔は、決して侮れない。
B子さん「トイレ行こうかしら」
介護職員(3分前に行きましたけど!)
介護職員「一緒に行きますね」
  B子さんは認知症があり、
  ついさっきのことを忘れてしまう。
  でも昔のことはよく覚えているようだ
  かと思えば、物事によっては
  時々覚えているので、そのあたりも見抜きながら対応していく。
  ひとくくりに「認知症」といっても
  いろいろあるのだ

〇清潔なトイレ
介護職員(B子さんのセクハラ発言は あのリハビリの先生限定みたい)
介護職員(女性職員にも 他の男性職員にも言っていないみたい)
介護職員「あっ!」
  自動洗浄のトイレだが
  なぜか作動せず
  前に使った人の排泄物が残っていた
B子さん「たくさん出たね。 席に戻りましょ」
介護職員(あなたの排泄物じゃないですよ!)
介護職員(トイレしなくていいの? いいのかな? 本人がそれでいいなら、いっか)
介護職員「お席戻りましょうか」

〇テーブル席
B子さん「ただいまぁ」
  B子さんを座席まで誘導し終えると・・・
介護職員(あっちのトイレの呼び出しボタンが鳴ってる。誰か入ってたかなぁ?)

〇清潔なトイレ
介護職員「あれ?誰か鳴らしました?え? 誰もいない・・・」
  人を感知して照明がつくトイレだが
  照明が消えている。
  でも、トイレの中の呼び出しボタンが作動している。
  照明をつけずにボタンを押すのは
  普通は不可能である。
介護職員(幽霊!!)
  高齢者施設なので、
  この施設を利用されている方が
  体調を崩して入院、
  亡くなられることは日常茶飯事だ。
  それゆえ、
  こういったことが起こると
  ついつい幽霊ではないかと思ってしまう。
介護職員(機械の誤作動だと思いたいところだけど・・・)
  夜、みんなが帰った後に、一人で事務作業などしているときは特に多い。
  人を感知する照明が勝手についたり、
  今のように、誰もいないのに呼び出しボタンが鳴ったり
  トイレが
  突然勝手に流れたり・・・
  清潔を保つために勝手に自動で流れるトイレもあるが
  もちろん、
  ここのトイレにそんな機能はない。
介護職員(とりあえず、 深く考えず、戻ろう)

〇テーブル席
介護職員(D子さんが何か持ってきた。 封筒?)
D子さん「いつもありがとうね。 これ受け取って」
介護職員「法人の決まりで 受け取れないことになってて・・・」
D子さん「黙ってポケットに入れておきなさい!」
介護職員「すみません、できないんです」
介護職員「そんなことしたら 私の首が飛んでしまいますから・・・」
D子さん「何よ、もう!」
介護職員(怒らせてしまった・・・ 他の言い方の方がよかったかな・・・)
  こっそり受け取ればいいじゃないかと
  思う方々もいるかもしれません。
  しかし、認知症には
  「物とられ妄想」というのもあるのです。
  あ、丁度いい例が・・・
Cさん「リハビリのあいつに 財布盗まれたぞ!」
Cさん「警察呼んでくれ!」
リハビリ職員「何も盗んでないですよ」
  この施設では売店や自販機などの
  お金を使う場所がなく
  利用料は月一回の銀行振り込みだ。
  財布などの貴重品は
  持ってこないように
  本人やご家族にお願いしている。
介護職員「財布はご自宅に置いてきたので ここには持ってきてないはずですよ」
Cさん「そんなはずない!盗まれた!」
  さっきの「物とられ妄想」がこれだ。
  持っていると思ったものが手元になかったり、
  どこにしまったかわからなくなった時、
  誰かに盗られたと思い込んでしまう。
  それが「物とられ妄想」。
  割と身近な人を犯人にする傾向があるそうだ。
  今回は、
  担当のリハビリ科の先生が
  犯人扱いされている。
  「物とられ妄想」から、実際に通報し、
  警察沙汰になるケースもある。
  いつ犯人にされるか、恐ろしいことである。
  だから、さっきのD子さんのように
  お金等を渡そうとする人は時々いるが、
  後になって、なくなった、あの人に盗まれたなんて言われたら、
  ・・・恐ろしいことである。
介護職員「あっ!」
介護職員(Aさんが私の胸を触ろうとしてる!!)
介護職員「ダメですって!」
  私の胸に迫ってきていたAさんの右手を
  そっと払いのけると・・・
Aさん「痛っ!暴力振るわれた!」
Aさん「うわっ!内出血してる!」
  今朝、血圧を測るときに見つけた内出血。
  それを、今私が怪我をさせたかのように
  アピールしている。
介護職員「その内出血は今朝からありましたよ」
Aさん「そんなはずあるかい!」
介護職員(そういえば、今朝の内出血、 他の職員に報告忘れてた!!)
介護職員(まさか、今朝のニュースみたいに 逮捕される?)
  介護施設、それは・・・
  いろんな人がいて、セクハラ、暴力なども含め、いろんなトラブルが起こる
  無法地帯・・・。
  今朝のニュースの容疑者だって
  おとなしい温厚な高齢者に
  何の意味もなく
  暴力を振るったとは限らない。
  こういった利用者様への対応で
  いろんなストレスが重なって
  暴力を振るってしまったのかもしれない。
  そう・・・
  介護施設は
  常に危険と隣り合わせなのであった・・・

コメント

  • 現場ならではのリアルなエピソードの数々、他人事ではなく近い将来の自分事として興味深く拝読しました。生きている人間のお世話の大変さに比べたら、心霊現象を怖がっている暇も余裕もないんでしょうね。職員の苦労が報われる瞬間のエピソードも読んでみたいなあ。

  • とってもリアルで生々しいお話にウンウンと首を縦に振りながら読んでいました。在宅介護でもよく耳にする高齢者のアレな特性ですが、施設は様々なタイプの高齢者が集まりますから、そりゃ大変ですよね。こういった状況を多くの人に理解してもらいたいと切に願います。

  • 超高齢化社会が進んでいる現在、介護の方達の需要は高まっていると思います。そんな中、現場のリアルな実態をわかりやすくテンポよく描写されていて、漠然としたイメージしかなかった介護の様子が伝わってきました。同時に、介護に携わる方達に尊敬の思いが湧きました。

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