BLUE BLOOD LINE

ゆでたま男

エピソード1(脚本)

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〇滝つぼ
  12月。崖から滝に飛び込む女。

〇けもの道
  満月の夜。二人は、一頭の馬に乗って森の中を逃げている。後ろからは得体の知れないものが追ってくる。
  馬の体勢が崩れ、後ろに乗っていたウズメの体が滑り落ちていく。
  イズナは手を伸ばすが、ウズメに届かず地面に叩きつけられた。
イズナ「お願い、止まって!」
  イズナは手綱を引くが、馬は止まらず走り続けた。

〇古風な和室(小物無し)
鬼月弥生「また、同じ夢」
  目を開けると、布団の上だった。
  ここ数ヶ月、弥生は、この夢に悩まされていた。
  突然、ドアが開いた。
婆や「こら、何時だと思っとるんじゃ」
  入ってきたのは、祖母だった。
鬼月弥生「ちょっと、ばあや。いきなり入ってこないでよ」
婆や「こんな時間まで寝てる方が悪いのじゃ」
  時計は、12時を指している。
鬼月弥生「いいじゃない。休みなんだし」
婆や「そんな、こと言っとったら、いつまでたっても、結婚出来んぞ」
鬼月弥生「あのねぇ、私まだ高校生なんだから」
婆や「ふん。そう言っとる間に、行き遅れて干からびた、ばばあになるんじゃ」
  弥生は、ばあやの顔をまじまじと見た。
鬼月弥生「そうね」
婆や「どういう意味じゃ」
  ばあやは、眉をひそめた。
鬼月弥生「いや、なんでも」
婆や「それより、儀準備も忘れておらんじゃろうな?」
鬼月弥生「分かってるわよ」
婆や「なら、よろし」
  ばあやは、出ていった。
鬼月弥生「まったく」
  弥生はカレンダーを見た。
  準備というのは、鬼月家に代々伝わる儀式のことだ。
  それは、たまさみの儀といい、鬼月家の当主を襲名するという意味をもつ。
  弥生は一人娘で、両親は事故で他界した。
  その時、弥生はまだ小学生だったため、適正な年齢になるまで、当主は不在になっていたのだ。
  儀式は、来週の日曜日に始まる。
  またも、突然ドアが開き、再び婆やが戻ってきた。
婆や「ちょっとお前に見せたい物がある。着替えて下りてこい」
鬼月弥生「見せたいも?」
  弥生は、首を傾げた。

〇屋敷の大広間
  広間で、ばあやは木箱を取り出した。蓋を開けると、5つのペンダントのようなものが入っていた。
鬼月弥生「何これ?」
婆や「鬼月家には、古来より続く神器がある。それがこれじゃ」
婆や「この神器には、不思議な力が宿っていると信じられておる」
婆や「その昔、災いがあったとき、これが守ってくれたと言い伝えられておるじゃ」
鬼月弥生「へー、御守りみたいなものね」
婆や「まあ、そんなものじゃな。儀式は、これをつけてもらう」
鬼月弥生「はぁ」
  弥生は、触ろうと手を伸ばすと、
婆や「いかんっ」
  と、ばあやが、その手を叩いた。
鬼月弥生「痛っーい。何よ」
婆や「お触り厳禁じゃ。儀式のときまでな」
鬼月弥生「ちょっとくらい、いいじゃない」
  弥生は、手を擦った。

〇川沿いの道
明美「弥生」
鬼月弥生「明美おはよう」
明美「あーあ、また一週間始まっちゃったね」
鬼月弥生「すぐまた金曜日になるって」
明美「弥生はいいよね。なんか充実していて」
鬼月弥生「なによ、その言い方は」
明美「空手部主将で全国大会二連覇中。勉強も毎回学年一位。弥生を狙ってる男の子は数知れず。まさに絵にかいたような学園生活よね」
鬼月弥生「明美だって充実してるじゃない。彼氏がいて」」
明美「あんなの別れたわよ」
鬼月弥生「え!また別れたの?これで何人目よ」
明美「だって、デートの待ち合わせで二時間遅れただけ帰っちゃうのよ。信じられないわ」
鬼月弥生「そりゃ普通帰るでしょ」
明美「だって私のことが好きなら待つでしょ」
  なんと自己中心的な人間なのだと弥生は思ったが、その言葉は飲み込んだ。
明美「あ、葛原だ」
  明美は、指差した。
鬼月弥生「ちょっとやめなさいよ」
  葛原は、二人のクラスだった。
  いつも挙動不審で、ほとんど誰ともしゃべらない。浮いた存在だ。
明美「あいつ、前から変だったけど、最近は、より変だよね」」
鬼月弥生「そういうこと言わないの」
  チャイムが聞こえてきた。
鬼月弥生「あ、やばい」
  二人は走り出した。

〇教室
古文教諭「巻第七 くさぐさの挽歌 「鏡なす吾が見し君を阿婆の野の 花橘の玉に拾いつ」」
古文教諭「これは「いつも鏡を見るように見ていたあなたを、阿婆の野の花橘の飾りする花のように拾った」という意味だ」
古文教諭「これはつまり、すなわち火葬した骨を拾うたということだな」
  登壇では古文の教諭が万葉集について説明している。
  だが、弥生が気になっていたのは、明美が言っていたことだ。ふと、葛原に目を向けると、こっちを見ていた。
  目が合うと、葛原は教科書に目をそらす。明らかにあやしい。
  そういえば、朝もこっちを見ていた気がする。謎深まるばかりだ。
  一日の授業が終わると弥生は部室で着替えて道場に向かった。

〇柔道場
石田「おはようございます」
  先に来ていた柔道部のめんめんが、みな直立であいさつをする。
  ふと、視線を感じ振り返ると、誰かがこちらを見ていた。
  それは、紛れもなくあいつだった。
鬼月弥生「あ、葛原くん」
  弥生の声に、葛原は、走り去っていった。
鬼月弥生「なんなんだ」
石田「どうされましたか?」
鬼月弥生「ううん、何でもない。練習を続けて」」
石田「おす」
  何か胸騒ぎがした。なにも起きなければいいが。弥生は、おびの両端を強く引っ張った。

〇男の子の一人部屋
  深夜。深い眠りに落ちていた葛原にどこからか、声が語りかけてきた。
「時がきた。今こそ復習するのだ。 封印を解き、宝物を奪え」

〇後宮前の広場
  葛原は、貴族である大伴を支持し、咲子と結婚させ、自らの出世を目論んでいた。
大伴「しかし、どうしたものか。どうにか咲子を手にいれて、私の地位を磐石にしたいものだが。咲子は、あの僧侶のことが好きだと言う」
葛原「では、あの僧侶を左遷いたしたらどうでしょうか」
葛原「咲子様もあやつを忘れられることでしょう。まず、天帝に永秀が咲子を惑わしていると、伝えるのです」
大伴「なるほど、いい考えだ」
  大伴の話を聞いた天帝は、それは何事かと激怒した。
  永秀は、間もなく遠くの寺にいくことになった。しかし、思惑とは違い咲子は、病気になり、寝こんてしまった。
大伴「困ったことになった、どうしたものか」
葛原「使いを送り、永秀を殺しましょう。そうすれば、さすがに諦めるでしょう」
大伴「確かにそうだな」
  すぐに使いを送り、永秀は、殺された。
  だが、またも思惑は外れる。咲子は、永秀が死んだことを知ると、滝に飛び込み自ら命を絶った
天帝「何ということだ。こんなことなら、咲子の自由にさせてやればよかった」
大伴「天帝様、これも全て葛原のせいでございます」
葛原「お、お待ちください。これは、大伴様も、同意の上のこと」
大伴「私は、聞いておらんぞ。葛原がかってにやっただけのこと」
  葛原は、島流しになった。

〇村に続くトンネル
葛原「おのれ大伴め。天帝ともども絶対許さん。都を地獄に変えてくれよう」

〇男の子の一人部屋
  目を覚ました
葛原「今のは何だったんだ」
葛原「はっ!」
  鼓動が速くなり、自分の中になにか言い知れぬものが込み上げてきた。

〇屋敷の大広間
  一週間後。その日は、朝から曇りだった。いつ雨が降りだしてもおかしくないほど分厚い雲が空を覆っている。
婆や「よいか。この神器を身につけるということは、我が鬼月家の当主になるということ」
鬼月弥生「はい」
  弥生は、ひとつを手にとり首から下げた。
  その時、外で大きな音がした。
  ちょうど、裏の方だ。
  弥生は、外に飛び出していった。
婆や「こら待て弥生!」
  ばあやも後をおった。

〇洞窟の入口
  そこには縄で周りを囲い、祠がたててあったが、その祠が壊されていた。
婆や「なんということじゃ」
  ばあやは、目を丸くした。
  だが、それより弥生が驚いたのは、そこに葛原がいたことだった。
鬼月弥生「葛原君、どういうこと?」
  葛原は手に大きなつるはしを持っていた。鬼のような形相で、それは明らかに昼間の葛原ではない。そして素早く弥生に近いて来た。
鬼月弥生「ちょっと、やめて」
  肩を掴まれ、弥生は思わず反射的に、みぞおちを殴った。
鬼月弥生「あ、ごめんなさい」
  葛原は数メートル吹っ飛んだが、全く効いてない様子で、向かってくる。
婆や「弥生、無駄じゃ。そいつは、憑依されとる」
鬼月弥生「憑依?そんなことほんとにあるわけ」
婆や「それが、あるんじゃ」
鬼月弥生「冷静に言ってる場合じゃなぁーい」
  なおも攻めてくる葛原を、弥生はかわし続ける。
鬼月弥生「ばあや、どうにかしてよ」
  ばあやは、目を閉じて考え出した。
婆や「うーん。何か大切なことを忘れているような」
鬼月弥生「これじゃ、らちがあかない」
  弥生は、走り出した。葛原も後を追う。二人は、長い石段を下りていった。
婆や「そうじゃ、思い出した。その首飾不思議な・・・あれ、弥生どこじゃ?」

〇街中の道路
鬼月弥生「アイツ本当にしつこいな」
  後ろを見ると、まだ追ってくる。
鬼月弥生「いったい何が目的なんだ」
  目の前に、小学生の列が見えた。
  このままだと危険だ。

〇高い屋上
  手前のビルに入る階段をかけ上がる。屋上に出た。逃げ場がもうない。
鬼月弥生「あんた、なんなのよ」
  問いかけに返答はない。
  葛原が唸り声をあげて、向かってきた。
鬼月弥生「助けてー」
  その瞬間、神器が光りを放ち、弥生は気を失って倒れた。

〇バスケットボール場
信子「これだけしか持ってないのかよ、お前本当に使えねーな」
  信子は財布を投げ捨てた。
  二人は、彩音の同級生だった。
  信子は、彩音の髪の毛をつかんで、金網のフェンスに顔を押し付けた。
雪野彩音「ごめんなさい」
信子「面白くねーな」
由香里「信子、もう行こうよ。あたしお腹すいたし」
信子「そうだな、じゃ~な。クズ」
  二人は行ってしまった。
  彩音は、財布を拾って、とぼとぼと歩きだした。何で私だけがこんな不幸な人生を送らなければいけないの。

〇街中の道路
  あの家には帰りたくない。父親は酒を飲んでは暴力を振るった。
  母親は父がいないときに知らない男を家に連れ込んでいる。
  もうこの世界のどこにも私の居場所はない。

〇低層ビルの屋上
  独りになれる、いつものビルの屋上につくと、今日こそここから飛び降りようと下をのぞいた。その時だった。
「あんた、なんなのよ」
  声のほうを見ると、隣のビルの屋上で、二人が向かい合って立っていた。
  一人は女の人で、もう一人は、普通の人間とは思えない顔をしている。どうやら、女の人は襲われているようだった。
鬼月弥生「助けてー」
  次の瞬間、女の首もとから光が放たれ辺りが明るくなった。女は、その場に倒れ込み、光の中から人影があらわれた。
  暗くてよく見えないが、端正な顔立ちに見える。
  その男は、向かって来る男をあっという間に倒すと、光と共に消えてしまった。
雪野彩音「なにあれ」
  彩音は、隣のビルに向かった。

〇高い屋上
  男と女が倒れている。傍らに、鎖が切れた、小さなペンダントが落ちていた。
雪野彩音「さっき光っていたのはこれかな」
  彩音は、そのペンダントを拾ってビルを下りた。

〇高い屋上
  数分後、弥生は目を覚ました。
鬼月弥生「あれ?葛原君?」
  葛原も神器もなくなっていた

〇屋敷の大広間
婆や「なんじゃとー、宝玉をなくしたじゃと!」
鬼月弥生「ごめんなさい。気がついたら、ひとりで倒れてて」
婆や「なんてことだ」
鬼月弥生「まあ、でも他に四つもあるし」
婆や「バカもん、そういう問題じゃない。あれには、大変な秘密があるのじゃ」
鬼月弥生「秘密?」
婆や「あのペンダントには、守護神が封印されているのじゃ。その昔、鬼月家が大変な危機にさらされた時があった」

〇後宮前の広場
婆や「今から千年前、西の方に大きな都があった。そこでは、平民と塀にか囲まれた貴族達が暮らしていたのじゃ」
婆や「そこでは、天帝が世襲で都を納めていた。その天帝にひとり娘の咲子がおった」
婆や「だが、困ったことに咲子は、宮中に出入りしていた僧侶と、恋仲になってしまったのじゃ」
婆や「だが、貴族の娘が僧侶と契りを交わすなど許されるわけもない。そこに貴族のひとりが咲子を自分のものにしようと画策した」
婆や「天帝に二人の関係を告げると、当然反対され、二人は、引き裂かれてしまったのじゃ」
婆や「結局、僧侶は殺されてしまう。 いきさつは、分からんが、生きていられては厄介だったのじゃろう」
婆や「そのことを知った咲子は、誰とも会わなくなり、やがて、自ら滝に飛び込んで自害した」
婆や「実は、その一連のことを、裏で糸を引いていたのが葛原という術師だと伝えられておる」
鬼月弥生「葛原って、まさか」
婆や「もしかすると、弥生を襲った子に関係しているやもしれんな」
婆や「葛原はその後、流刑にされた。察するに、全ての罪をかぶせられたのだろう」
婆や「それからしばらくして、都に怨霊が現れるようになったのじゃ」

〇屋敷の大広間
婆や「その後の葛原の消息は不明じゃ。 そして、怨霊をあの祠に封じ込めたのが、わしらの先祖である鬼月正道じゃ」
鬼月弥生「裏の祠ね」
婆や「そうじゃ。正道の才覚は凄まじいものだったがそれでも封じ込めるのがやっとだったと。 それを今まで代々守り続けてきたのじゃ」
鬼月弥生「え?ちょっと待って。ってことは、封じ込めた怨霊が・・・」
婆や「そう、今の世に放たれたということじゃ」
鬼月弥生「え!!!」
婆や「その時のために、正道が神器を作ったのじゃ。それには、五鬼神がそれぞれ封じ込められている」
婆や「紅煉(くれん)、月影(つきかげ)、碧雷(へきらい)、幻夢(げんむ)、槐(えんじゅ)」
婆や「自然の中に存在する神を化身にしたものじゃ」
婆や「おそらく、神器を持っているのは、お前を襲った子じゃろう。五鬼神がいたら邪魔だからな」
鬼月弥生「それじゃ、たいへん。利用されたら」
婆や「その点は心配ない。鬼月家の人間でないと、五鬼神は力は解放できないからの」
鬼月弥生「まず、あの首飾りを取り返さないと」
婆や「いつ怨霊が現れるかわからん。 急がねば」
  ドンッ!外ですごい音がした。
鬼月弥生「なによ!」
  外に出ると、街の方で大きな煙が上がっていた。
  テレビをつけると、緊急特番のニュースをやっていた。
アナウンサー「たいへんです。ものすごい煙が上がっています。ここには、杉並台高校がたっていましたが、校舎はほとんど残っていません」
鬼月弥生「あ!あれ見て。あの女の子」
  弥生は、カメラに映り込んだ女子高生を指差した。
婆や「なんじゃ」
鬼月弥生「首にぶら下げているもの」
婆や「間違いない。神器じゃ」
鬼月弥生「何であの子が持ってるのよ」
婆や「赤く光っておる。もしや、鬼神を解放したのでは」
鬼月弥生「だって、そんなこと出来ないって、さっき」
婆や「そのはずじゃが」
鬼月弥生「あの制服は、杉並台の制服よ」
婆や「あの高校の生徒か」
鬼月弥生「たぶんね。 とにかく、なんとかしないと。 行ってくる」
婆や「ちょっと待て、これを持っていけ」
  ばあやは、残りの神器を渡した

〇新橋駅前
雪野彩音「みーつけた」
信子「なによ」
雪野彩音「ねぇ、覚えてる?私にしてきたこと」
信子「あ?なんだよ」
雪野彩音「絶対に許さない」
信子「なんだよ、そいつ。卑怯だぞ男を連れてくるなんて。少しでもあたしに触ったら、警察にたれこむぞ」
雪野彩音「その必要はない。だってあなたはこれから死ぬんだから」
  紅煉は、信子に近づく
信子「冗談だろ。やめろって。わるかったよ。やめて。きゃーーー」

〇雑居ビル
  弥生は杉並台高校の近くで彼女を探した
「きゃーーー」
鬼月弥生「はっ!まさか」
  声の方へ急いだ

〇新橋駅前
  人集りができ、女の子が倒れている。
  周りの人に声をかけた
鬼月弥生「あの、このへんでそこに倒れている子と同じ制服の女の子見ませんでしたか?」
田中「あ、あぁ。そういえば、さっきすれ違ったような。変な格好の男といたな」
鬼月弥生「どっちですか?」
田中「公園の方だよ」
鬼月弥生「ありがとうございます」
  弥生は、走って公園へ向かった

〇公園の入り口
鬼月弥生「ちょっと、いい?」
雪野彩音「はい」
鬼月弥生「そのペンダントどこで手に入れたの?」
雪野彩音「あなたと、何か関係あるんですか?」
  あのペンダントを持っているということは、屋上にいた可能性が高い。気づいているはずだ
鬼月弥生「ちょっと、見せてもらっていい?」
雪野彩音「ダメ。私はもう誰にも傷つけられたくないの。こんなおかしな世界、なくなればいいのよ。誰にも邪魔はさせない」
鬼月弥生「ちょっと、どういうこと」
  彼女の神器が光った
鬼月弥生「あなたが、鬼神なの?」
雪野彩音「こいつを、やっつけて」
鬼月弥生「ちょっ、ちょっと待ってよ。私は敵じゃない」
  紅煉の手から出た炎が弥生を取り囲んだ。
鬼月弥生「きゃっ──」
  その時、弥生の懐が光った。と、同時に男が現れた。
  男は、弥生を抱き上げ飛びあがり、炎の外へ着地した
鬼月弥生「あなたは?」
月影「どうもお嬢ちゃん、月影だ。 なんか、厄介なことになってるみたいだな」
月影「久しぶりだな、紅煉」
紅煉「あぁ、何千年ぶりか」
月影「どうする?この状況」
紅煉「どうもこうもない。飼い主が違うんだ、戦うまでだろ」
月影「なら、手は抜かないぞ」
紅煉「当たり前だ」
鬼月弥生「ちょっと、やめてよ二人とも」
  紅煉が炎を放つ。月影は飛びあがりかわすと、分身をし紅煉を取り囲んだ。
月影「腕は鈍ってないようだな」
紅煉「相変わらず、こざかしいやつめ」
鬼月弥生「ちょっと、二人とも喧嘩しないで」
鬼月弥生「あれ?あの子がいない」
  遠くに彼女の後ろ姿をみつけると、弥生は追いかけた

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • 時空を超えた壮大さを感じながら、すらすらと引き込まれるように読みすすめました。神器を手にすることへの尊さも伝わりました。

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