シューカンショーカイシンブンブ

郷羽 路

新部結成、家族募集!(脚本)

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郷羽 路

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〇学校の屋上
幼なじみ「こんな所に呼び出して、どうしたんだ?」
部長「あ、あのね、その・・・」
幼なじみ(アイツが頬を赤らめるなんて)
幼なじみ(まさか俺にこくは・・・)
部長「私と『家族』になってほしいの!」
幼なじみ(ド直球キターーー!!)

〇学校の部室
  ※昨日の放課後
生徒会長「校則に法り、この部は『廃部』となりました」
部長「エエッ!?そんな横暴な!」
生徒会長「そもそもこの部は、去年部員全員卒業して廃部になったはずですが?」
部長「お姉ちゃんが私に『この部を任せる』って言っていたもん」
部長「この部室の鍵が証拠だよ」
部長「先輩が後輩に引継ぎさせるのは『普通』でしょ?」
生徒会長「その当時の部長が3年だったとき、貴方はまだ学校に入学していませんね?」
生徒会長「貴方が入学した時点で、その先輩は卒業したのですから引継ぎは『無効』です」
部長「ぐ・・・」
副会長「更に言えば、当時の部長が個人的判断で 部室の鍵を学校に返還せずに」
副会長「部外者である貴方に鍵を渡しているのは、立派な『犯罪』ですよ?」
部長「あぅぅ」
生徒会長「まあ、こうして部室の鍵はあるのですから その件は不問とします」
副会長「そもそもこの部は『週間紹介新聞部』でしたよね?」
副会長「それに見合う活動をされていないと思いますが」
部長「違いますよ」
部長「これはカタカナで『シューカ』・・・」
生徒会長「問答無用!」
部長「ヒィ!」
生徒会長「どうしても部活動がしたい場合は 部員を集めて下さい」
生徒会長「『新部設立』ということで学校に申請しましょう」
生徒会長「顧問はこちらで手配できます」
部長「『新部設立』?」
副会長「部員は貴方を含めて『5人』」
副会長「申請書類に5人の名前を書けば、設立可能になります」
生徒会長「但し期間は1週間」
生徒会長「それが過ぎれば、この部室の私物は 『強制処分』していただきます」
部長「わかりました、その言葉忘れないで下さいね!?」

〇教室
幼なじみ「つまり、部員が足りないから勧誘したってことか?」
部長「そうなのよ~」
部長「今なら『副部長』枠が空いているよ」
幼なじみ(『告白』だと期待していたのに、 コイツは・・・)
部長「ねぇ?」
幼なじみ「暇だし、いいぞ」
部長「やったぁ、だーいすき!」
幼なじみ「誤解を生む言い方ヤメロ」
幼なじみ「そもそもお前の部はなんなんだ? 『新聞部』だろ?」
部長「違うよ!」
部長「『シューカンショーカイシンブンブ』」
部長「カタカナ表記だよ」
幼なじみ「長いわっ!」
幼なじみ「なんでカナ読みなんだ?漢字で十分だろ?」
部長「それはね、ありとあらゆるものを探求するためだよ」
幼なじみ「?」
部長「『シューカン』の漢字いくつあるか知ってる?」
部長「雑誌の『週刊』、犯人の『収監』、マナーの『習慣』、色々あるでしょ?」
部長「『ショーカイ』だって調べる『照会』、発表の『紹介』・・・」
部長「『シンブンブ』だって、他にも宗教の『信文』とかあるでしょ?」
部長「『新聞』でも『真・文武』両道にも捉えられるし」
部長「『漢字』を入れたら意味が固定されちゃうよ?」
幼なじみ「なら『なんでも探求部』でいいだろ?」
部長「でもお姉ちゃんの部活名は前からこれだよ?」
幼なじみ「お前の姉貴、何代目部長だ?」
部長「初代だよ?」
幼なじみ(やっぱりな)
「おーい、お前ら!」
チャラ男「熱いねぇ?」
チャラ男「その様子だと、『告白成功』で『カップル成立』ってとこだろ?」
幼なじみ「バッ・・・そんなんじゃねぇよ!」
チャラ男「あれ、違うの?」
部長「やだなー、それは絶対あり得ないよ!」
幼なじみ(絶対・・・)
チャラ男「あ、なんか悪ぃ」
部長「そうだ、君も私と『家族』にならない?」
幼なじみ「だから誤解を招く言い方ヤメロ!」
チャラ男「どういうことだ?」
部長「それはね・・・」
幼なじみ「あっ、俺が説明するから黙ってて!」
部長「ん、いいよ」
幼なじみ「──という訳だ」
チャラ男「要約すると、部員が欲しいんだな?」
部長「うん、そんな感じ」
チャラ男「幽霊部員で構わないなら、入ってやっても いいぜ?」
部長「やったぁ!これであと1人だ」
幼なじみ「あれ?もう1人いるのか?」
部長「イトコだよ、今年3年だけど入ってくれるって」
幼なじみ「お前、『イトコ』がいたの?」
部長「2年前に家に下宿しているの」
部長「後で紹介するね」
幼なじみ「となるとあと1人か・・・」

〇学校の廊下
チャラ男「『新聞』も『報道』も基本同じだよな?」
部長「まぁそうだね」
チャラ男「俺の彼女、『報道部』を作るって言ってたぜ」
チャラ男「交渉にはうってつけだろ?」
部長「じゃあ話は早いかも!」
幼なじみ「お前いつの間に彼女ができたんだ!?」
チャラ男「それはノーコメント」
チャラ男「メール送ったから、すぐ来ると思うぜ」
「ダーリン、呼んだ?」
ホウドウ部長「『報道』部長を呼びつけるなんていい度胸ね」
チャラ男「やあ、ハニー」
チャラ男「可愛い彼女の為に部員集めてきたぜ?」
部長「あ、はじめまして」
部長「『シューカンショーカイシンブンブ』の 部長です」
ホウドウ部長「『新聞部』?『報道部』じゃないの?」
チャラ男「まぁ、堅いこと言うなって」
チャラ男「お前も『新部設立』の為に部員欲しいだろ?」
チャラ男「あちらも似たような部を作る為に部員集めをしている」
チャラ男「互いの利害が一致するだろ?」
ホウドウ部長「部名は気に入らないけど、部員集めた側が立場が上よね」
ホウドウ部長「そちらに入部するわ」
部長「やったぁ!『家族』5人揃ったね!」
ホウドウ部長「『家族』?」
幼なじみ「あっ、気にしないで! コイツ表現が独特なんで・・・」
ホウドウ部長「貴方、この子の彼氏さん?」
ホウドウ部長「将来大変ねー」
チャラ男「野暮な事聞くなよ、まだ『お友達』だってよ」
幼なじみ(くそー、意地でも彼氏になってやる・・・)
部長「?」

〇生徒会室
  生徒会室
部長「これが申請書類です」
生徒会長「確かに5人分ありますね」
生徒会長「部の設立を申請しましょう」
部長「やったぁ!」
生徒会長「では1ヶ月以内に部の成果を示すこと!」
生徒会長「それができなければ即廃部!いいですね?」
部長「わ、わかりました」

〇学校の部室
部長「という訳で家族会議始めます」
幼なじみ「その前に質問するけど」
幼なじみ「アレはどこのどなた?」
部長「私のイトコだよ、柔道部も兼部してるの」
イトコ「(ペコリ)」
(全然似てねぇ!!)
部長「会議のテーマは『活動』!」
部長「生徒会にこの部の存在を認めてもらう為、何をしたらいいかな?」
幼なじみ「部長の案はないのかよ?」
部長「まず、『子供』達の意見を聞いてからかな」
ホウドウ部長「『子供』って『部員』の事かしら?」
チャラ男「じゃあ『部長』達は『夫婦』か?」
イトコ((#^.^#))
部長「うん、私が『お父さん』」
幼なじみ「俺が『母親』かよ!?」
(((満更でもないくせに・・・)))
ホウドウ部長「報道部志望の私としては、まず活動内容を『新聞』にまとめた方がいいじゃない?」
チャラ男「『シンブンブ』だしな」
ホウドウ部長「正直どんな部かよくわからないし」
幼なじみ「それでいいと思うよ」
チャラ男「『お父さん』はどう思うよ?」
幼なじみ「それヤメロ・・・」
部長「私もそれに賛成!」
部長「第1回目は『部の紹介』でいきます」
部長「皆の紹介も入れたいから特技とか教えてね」
(すごい量・・・)
部長「皆協力ありがとう」
部長「これは先代の過去の資料だよ」
部長「これらを上手くまとめて、新聞を作りたいと思います」
ホウドウ部長「許可されているのは模造紙1枚分よね?」
ホウドウ部長「まとめられるの?」
部長「そこは、私とイトコで上手く調整するよ」
イトコ「(ペコリ)」
(大丈夫か?)

〇学校の廊下
  数日後
  ~今年度新部設立~
  『シューカンショーカイシンブンブ』

〇学校の部室
  この部は去年卒業された先代から引き継いだ部です。
  傍目に見れば『週間紹介新聞部』ですが、実際は違います。
  色々なモノを探求し楽しむ為の、アットホーム部なのです。
部長「なので、我が家は『カナ表記』です!」
部長「アットホーム部を目指しているので、私は『家族』と呼んでいます」
  家族構成は、部長、副部長が『お父さん、お母さん』です。
幼なじみ「俺が『父親』な!」
部長「『副』だから『婿養子』かな?」
幼なじみ「だから誤解するだろ!」
  他の部員は『子供達』になります。
  上から『長女』、柔道部の主将です。
イトコ「(^-^)/」
  しっかり者の『次女』。
ホウドウ部長「『報道』ならおまかせよ!」
  のんびり屋の『長男』。
チャラ男「ま、俺は付き合いで入っただけだし」
  とても楽しい『家族』です!
  不定期ですが、『家族報告』もしていきます。
  皆様も興味があったら、『家族』になりませんか?
  我が家はいつでも大歓迎します!

〇学校の廊下
生徒「家族かー」
生徒「面白い表現だな」
生徒「見学だけしてみる?」

〇学校の部室
部長「お疲れ様でしたー」
部長「今日は打ち上げだよ」
(打ち上げはいいけど)
(先輩、女だったのか・・・)
部長「コレ全部イトコの手作りなんだ」
部長「柔道部忙しいのにありがと!」
イトコ「(ペコリ)」
(しかも女子力高い!)
副会長「私たちもお呼ばれしていいの?」
部長「今日はお祝いです、会長たちも楽しんで下さいね」
副会長「あの『トンデモ』内容で、入部はともかく見学者は多いわね」
生徒会長「結果としては『成功』ですね」
生徒会長「部の存続を認めます」
部長「やったぁ!」
副会長「時々遊びに来ていい?」
部長「大歓迎ですよ」
副会長「ね、会長?」
生徒会長「私は生徒会の視察ですからね!」
(ツンデレ・・・)
部長「カンパーイ!」
ホウドウ部長「うふふ」
ホウドウ部長「次の『家族報告』用に撮影してたら面白いのが撮れたわ」
ホウドウ部長「『父親を巡る禁断の愛!?母と娘の戦い』」
ホウドウ部長「これで読者は頂きね」
  それはダメ!!
  ──かくして
  楽しい『家族活動』は続くのだった。
幼なじみ「無理やり話を終わらすな!」

コメント

  • 学校の中に生徒だけの擬似家族を作るって新鮮な試みですね。意外性の宝庫のイトコの存在感がすごかったです。長男と次女がカップルなのはご愛嬌かな。創刊号以降の特集記事とか、もっと活動内容も見たかったなあ。

  • 部活名をカタカナにするところが何だか深いなあと感じました😌
    部活動を存続出来て良かったし、何気に良いメンバーが集まっているような気がしました!
    イトコガ女の子で、しかも料理上手だったところはビックリしました🤣

  • とても面白く拝読させて頂きました!
    カタカナは確かにどんな漢字を書くのだろう?と興味をそそるものがあるかもしれませんね。
    それに家族という言い回しがまた良いとも思いました!

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