嘘つきな君

おかぶさん

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〇おしゃれなリビング
美和「ねぇ、達彦。 私のこと、どう思ってる?」
  彼女の質問の意図が分からず、困惑する俺。
  すると美和は少し苛立った様子で、聞き直した。
美和「達彦はまだ、私のこと好き?」
  好きか嫌いかと、聞かれたら。
  ・・・やっぱり、好きなのだと思う。
  だけど以前と比べてどうかと、聞かれたら。
  正直、迷ってしまうのだ。
  ・・・ほんの、少しだけ。
  でもそんな風に答えたら、きっとまた言い争いになってしまうだろう。
  だから俺は笑顔で、素直にこれだけ答えた。
達彦「・・・もちろん、好きだよ」
  すると即答出来なかったせいで、何かを察したらしい彼女は眉間に深いシワを刻み、瞳を潤ませた。
  嘘では、なかった。
  しかし本当に、以前と変わらず美和のことが好きかと問われたら。
  ・・・やはり少し、違うような気がしてしまうのだ。

〇大教室
  大学時代に、付き合い始めてから7年。

〇おしゃれなリビング
  一緒に暮らすようになってからは、3年が過ぎた。
  だから美和と俺の関係は恋人というよりは、もはや家族に近い感覚かもしれない。
美和「嘘つき!」
美和「私は達彦なんて、嫌い」
美和「大っ嫌い!」
  そんな風に言いながら、俺の背に腕を回す彼女もまた、嘘つきだ。
  だけどこの時になり、ようやく気付いた。
  素直じゃなくて、不器用で。
  なのにそんな美和の事がこんなにも愛しいと思うこの感情は、きっともう恋じゃない。
  ・・・もはやこれは、愛だったんだ。
達彦「それでも俺は美和の事が、好きだよ」
達彦「だからさぁ・・・」
達彦「結婚、しよっか?」
美和「・・・本当に達彦って、ずるいよね」
  呆れたように、言われた言葉。
  プロポーズとしては、ホント最低だし、
  それに対する彼女の返事も、相当酷いものだったと思う。

〇おしゃれなリビング
美和「ねぇ、達彦」
美和「・・・今日ってさ、エイプリルフールなんだよ?」
  ・・・言われてみれば、確かに。
  だけどそれだと。
  ・・・さっき言われた、あの言葉。
  あれってつまり、本当は俺のことが、『大好き』っていう意味だよな?
  それにしてもこんな日に、なんて事を聞きやがるのだ。
  ・・・もしや俺は彼女に、気持ちを試されたのだろうか?
  しかしすぐに、思い直した。
  きっと臆病な彼女は俺の気持ちを、
  今日というこの日にしか聞けなかったのだろうと。

〇おしゃれなリビング
  そのタイミングで壁に掛けられたカラクリ時計が、12時を告げるメロディを奏でた。
達彦「エイプリルフールってさ、4月1日の12時までなんだよ?」
達彦「だから俺がこれから伝えるのは、ホントの気持ち」
  彼女の華奢な体を抱き締め、告げた。
達彦「美和が、好きだよ」
達彦「だから君と一緒に、これからも生きていきたいんだ」
達彦「俺と、結婚して下さい」
美和「よろしくお願いします」
  こうして俺達の、エイプリルフールが終わった。
  だけど俺と彼女の毎日は、続いていく。
  恋人としてではなく

〇結婚式場の廊下
  これからは、夫婦として

コメント

  • 長い付き合いの二人が結婚を決意するきっかけの日がエイプリルフールだなんて、まさに「嘘から出たまこと」ですね。結婚後は嘘がない夫婦として、末長くお幸せに。

  • 結婚のタイミングであったり、プロポーズのタイミングであったり、中々難しいように自分は考えてしまいます。
    特に長い時間一緒にいるからこそ、現状で満足してしまうのもあるかもしれませんね。

  • 一緒に暮らす恋人同士って、結婚に至るプロセスは人それぞれなんでしょうね。好きという感覚は付き合い初めた頃のドキドキ感と勘違いしがちですが、彼が感じていた好きへの違和感こそが愛するという気持ちなのかなあと思いました。

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