小倉さん家のアメリアちゃん

ましまる

1日目・出会い(脚本)

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〇明るいリビング
  ──それは、母からの一言で始まった
香子「若菜、ちょっといい?」
若菜「なーにー、お母さん?」
香子「さっき、千早から電話があってさ」
若菜「えっ、お姉ちゃん!? 今はどこに住んでいるんだっけ?」
香子「アメリカのミシガン州のはず」
香子「何の仕事をしているのか知らないけど まぁ元気みたいね」
若菜「元気なんだ・・・ ちょっと元気がないくらいが丁度いいのに」
香子「それについては同感だね」
香子「で、向こうの友人の妹さんの旅の付添いで 明日、日本に2人で来る予定だったけど」
香子「急用で、千早だけ出国が1日遅れるってさ」
若菜「アメリカでも相変わらず・・・」
香子「ま、それは置いておいて」
香子「そんな事情だから、明日1日 その妹さんを我が家で面倒見てほしいって お願いしてきたの」
若菜「えー、急すぎ!」
若菜「お母さんはOKしたの?」
香子「だってさ、断ると妹さんが可哀想でしょ」
香子「なので、1日限定の約束で受けたわ」
香子「だから、明日は用事入れないでおいてね よろしくっ」
若菜「・・・はーい」

〇一軒家
  ──翌日 小倉家──

〇シックな玄関
アメリア「ハジメマシテ ワタシ、アメリア・キャンベルと言いマス」
アメリア「ご迷惑おカケするコトになり 誠に申し訳ありまセン」
アメリア「フツツツカ者ではゴザイマスが 何卒ごよーしゃくだサイ!」

〇明るいリビング
香子「アメリアちゃんって とっても日本語がお上手ね!」
香子「どうやってお勉強したの?」
アメリア「ハイ、ずっと独学でしたケド 最近は千早サンが教えてくれてマス」
アメリア「おかげで、ちょっとダケ会話デキルよう なりまシタ」
若菜「ちょっとじゃないよ、すっごく上手!」
香子「はー、あの娘もやっと人様のお役に・・・」
アメリア「千早サンはさいこーの先生デス 優しいし、面白いし、賢いデス」
若菜「えっ、それ本当にお姉ちゃん? まるで別人!?」
香子「それで、どういうキッカケで 日本に興味を持つようになったの?」
アメリア「ハイ、昔に Washington D.C. の」
アメリア「National Cherry Blossom Festival エエト「全米桜祭り」に行ッテ」
アメリア「ソコの桜の美しさに感動しまシタ!」
アメリア「ソノ桜の木が日本から来たと知ッテ 日本に興味持ちまシタ!」
香子「とってもステキな経験ね」
アメリア「ハイ、ソレから、日本の動画見たり 日本語をべんきょーしたりデス」
アメリア「桜が出る日本文学も読みまシタ 辞書いっぱい使ったケド」
若菜「桜がテーマの日本文学というと 梶井基次郎の『桜の樹の下には』とか?」
アメリア「それデス、すごいコワイ内容デシタ」
アメリア「アンゴもコワかったケド、 ワタシはアンゴ好き、何度も読んでマス!」
香子「坂口安吾の『桜の森の満開の下』ね 私も大好きな作品なのよ」
アメリア「ヤッター、一緒デスネ!」
香子「本当、感心しちゃうわ 並みの日本人顔負けの読書家さんね」
アメリア「若菜サンも読書家って聞きまシタ」
アメリア「オススメの本、教えてくだサイ! できれば、難しくナイのを」
若菜「オッケー、任しといて!」
アメリア「嬉しいデス! 千早サンのオススメ、難しすぎたカラ」
若菜「ちなみに、お姉ちゃんのオススメって?」
アメリア「ユメノキューサクとか、アベコーボーとか」
若菜「あー、そりゃ私でも難いよ」
アメリア「あと、エエト ダンオニロクとかムツキカゲローとかも」
アメリア「辞書にナイ言葉ばかりで読めなカッタ」
若菜「えっ、知らない作家だ💦」
香子「うん、まだ知らなくていいわよ アメリアちゃんにも、若菜にも早いから」
香子「それと、あのバカ娘、今度シメるわ!」

〇女の子の一人部屋
若菜「今日はこのお部屋を使って!」
アメリア「ハイ、アリガトウゴザイマス!」
若菜「ウチに和室がないから、洋間で我慢してね」
アメリア「イエ、スゴイきれいなお部屋で嬉しいデス」
アメリア「アト、日本は和風のモノが減ってるッテ 千早サンから聞いてマス」
若菜「うん、日本のいろんな伝統文化も どんどん無くなってきてるんだ」
アメリア「デモ、日本文化で一番大切なタマシイは 今も受け継がれテルって教えられマシタ」
アメリア「サムライやニンジャはモウいない社会デモ 日本文化の本質は残っテルって」
若菜「それ、どこに残ってるかも聞いたの?」
アメリア「ハイ、「さどー」とか「かどー」とか」
若菜「茶道に華道ね 確かに、これぞ日本文化だね!」
アメリア「「けんどー」とか「きゅーどー」とか」
若菜「剣道に弓道かー 武士の理念も残ってるね!」
アメリア「「こーどー」とか「しゅどー」とか」
若菜「「しゅどー」? 書道の言い間違いかな?」
アメリア「イエ、「しゅどー」デス!」
アメリア「戦国ぶしょーのタシナミで シンゲンやノブナガも達人だったトカ」
アメリア「「現代の日本でも最も尊い伝統文化」 ソウ言ってマシタ」
アメリア「どんなコトするカ知らないノデ 見てみたいデス!」
若菜「お母さんー、ちょっといいー!?」

〇明るいリビング
香子「アメリアちゃん、これ知ってる?」
香子「お餅、食べてみない?」
アメリア「お餅、聞いたコトありマス」
アメリア「イッパイ高齢者の命を奪う食べ物デスネ!?」
香子「おっと、そういう理解かー」
香子「まぁ縁起物だから、試してみてほしいな」
アメリア「エンギモノ?」
若菜「食べたら良い事があるって意味」
アメリア「良いコトあるなら、食べマス!」
香子「砂糖醤油でどうぞ 喉に詰まらせないよう、よく噛んでね」
アメリア「ハイ、気を付けマス」
若菜「お餅の端を咥えて、引っ張ってみて!」
アメリア「ハイ」
アメリア「エッ・・・」
アメリア「スゴイ、スゴイ! びっくりデス!」
アメリア「こんな長くなるのデスネ!!」
アメリア「そして、柔ラカイ、甘イ、美味シイ!! コレ大好き!」
香子「その反応、嬉しいわー」
香子「まだあるから、どんどん食べてね」
アメリア「ハイ、食べマス!」
若菜「気に入ってくれてよかった!」
アメリア「お餅、伸ばすの楽しいデス!」
若菜「もー、すっごく嬉しそうー」
アメリア「お餅、何倍も大きくナッタ! ホントに、千早サンの言う通りデス!」
若菜「へっ、お姉ちゃん、何て言っていたの?」
アメリア「「日本の膨張率はァァァ世界一ィィィ!  日本男児の誇りであるゥゥゥ!」って」
アメリア「ソレ、お餅のコトなんデスネ」
香子「ええと、アメリアちゃん」
香子「あのバカ娘は、どんな場面で そのセリフを言っていたか教えてくれる!?」

〇女の子の一人部屋
アメリア「お母サン、怒っチャッタ ゴメンナサイ!」
若菜「ううん、アメリアは悪くないから」
若菜「悪いのは全部、千早お姉ちゃんだから」
アメリア「デモ、千早サンが怒られるのはイヤ!」
若菜「あー、アメリアは千早お姉ちゃんのこと 好きなのね」
アメリア「ハイ、大好きデス! ワタシ、兄しかイナイので 千早サンのコト、姉みたいに思ってマス!」
アメリア「イッツモ、イタズラして困らせてキタリ 約束スッポカしたりするケド ソレでも・・・」
若菜「今日だって、突然来られなくなっちゃうし」
アメリア「ハイ、驚きマシタ、そして悲シイ」
若菜「本当にあのバカ姉、日本でもアメリカでも "妹"を困らせることしかしないんだから」
アメリア「エ、ワタシも"妹"デスカ!?」
若菜「だって、あのバカ姉って 実は小心者の内弁慶で、 家族にしか迷惑かけられないんだ」
若菜「イタズラなんかも、ほぼ家族限定だし」
若菜「だから、そのアメリアの扱いって "家族" "妹"って思ってるからこそだよ」
アメリア「嬉シイ! 千早サン、”妹”ッテ思ってクレテル!」
アメリア「エエト、ソレなら・・・」
アメリア「ワタシも、千早サンの"妹"ダカラ 若菜サンとも”姉妹”デスカ?」
若菜「そうだねっ! 今日からアメリアは私の可愛い妹ね!」
アメリア「ハイッ! 若菜お姉チャン、大好きデス!」
若菜「うん、私もっ!」
香子「アメリアちゃん、ちょっといい?」
アメリア「ハイ!」
香子「あのさ、今さっき 千早に電話をしたんだけど」
香子「説教かたがた、明日の到着時間の確認でね」
香子「そしたらさ、あのバカ娘ったら 日本に来られなくなったって」
アメリア「エーッ!?」
香子「アメリアちゃん 本来は1週間かけて、京都の名所を巡る 予定だったのよね?」
香子「代わりに私が行こうと思ったけど 仕事の都合で無理でね」
香子「だから、帰国までの間 この家に滞在してもらってもいい?」
アメリア「ハイ、若菜お姉チャンと一緒なら!」
香子「若菜はそれで大丈夫?」
若菜「もちろんっ! 行ける範囲で色々連れ回しちゃうから!」
香子「うん、よかった!」
香子「よーし、今晩は腕によりをかけて とっても美味しい日本食を作るかー」
香子「アメリアちゃん 何か食べてみたいものってある?」
アメリア「ハイ、Wakame Seaweed ワカメを食ベてみたいデス!」
若菜「おー、通なチョイス!」
香子「どんな料理で食べてみたい?」
アメリア「ハイ、千早サンが 「ワカメザケこそ至福の味」って 言っテタから、ソレ味わってミタイ!」
香子「はー」
香子「もう1回あのバカを説教してくる!!」

〇一軒家
  こうして始まった”妹”との1週間
  その様子は、また次の機会に

コメント

  • 面白かったです。アメリアとの今後の展開が楽しみ

  • 早速俺の若菜を堪能しに来ました🤤✨
    ちりばめられた下ネタの数々…!!笑
    ぶちょーのお姉ちゃん出てこないのにキャラ濃すぎで最高です🤣💕シュドーでワカメザケ…(一緒にすんな)純粋なアメリアちゃんには教えては駄目だなww
    作家の話も楽しかったです💕団先生はアメリアちゃん時代に読んだら性癖歪みに歪むやつですねww

  • お姉さんのおすすめする本で笑いました!
    面白いです(*ˊᵕˋ*)

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