フルーツラプソディ

深都 英二

フルーツ星人の野望(脚本)

フルーツラプソディ

深都 英二

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〇立派な洋館
「何じゃこりゃー!」

〇城の会議室
果実バナナ「おれのバナナパイが、アップルパイになってる!」
果実リンゴ「アップルパイの方がいいでしょ」
果実バナナ「ふざけんなー!」
果実リンゴ「そもそもバナナパイって何?」
果実リンゴ「アップルパイに勝てると思ってんの?」
果実バナナ「何だとー!」
果実バナナ「バナナは消費量No.1のフルーツなんだぞ!」
果実リンゴ「人気ランキングは低いくせに」
果実バナナ「うっ・・・」
果実リンゴ「何でバナナの人気が低いか教えてあげようか?」
果実バナナ「何でだよ!」
果実リンゴ「バナナは見た目がダサいから」
果実バナナ「あー!」
果実バナナ「それは絶対言っちゃいけないやつだああ!」
果実メロン「やめろ!」
「メロンダディ!」
果実メロン「朝からくだらない争いはやめなさい」
果実バナナ「リンゴが悪いんだ!」
果実リンゴ「ダサいバナナをリンゴに変えただけじゃん」
果実バナナ「うるせー!腐ったリンゴ!」
果実リンゴ「誰が腐ったリンゴだって!?」
果実メロン「やめなさい!」
果実メロン「二人とも、目的を忘れるな」
果実メロン「何のためにこの星に来たと思っている!」

〇地球
果実メロン「我らフルーツ星人の目的は、人類の主食をフルーツにすること」
果実メロン「そのために、フルーツ星からはるばるこの星に来たのだ」

〇城の会議室
果実バナナ「そうだった!」
果実バナナ「みんなにフルーツをたくさん食べてもらうぞ!」
果実メロン「いい心意気だ」
果実メロン「特に若者のフルーツ離れが深刻化しているからな」
果実バナナ「こんなうまいのに何でだー!」
果実イチゴ「悲しいわ〜」
果実バナナ「イチゴマミィ!」
果実メロン「愛しのマイスウィートストロベリー!」
果実メロン「憂う表情も美しい」
果実イチゴ「いっそ、この世の食べ物を全部イチゴにしちゃうのはどう?」
果実メロン「それは困るな」
果実バナナ「おれはバナナがいいー!」
果実メロン「とにかく、一日も早く計画を進めるぞ」
果実リンゴ「で?今日の作戦は?」

〇果物
果実メロン「フルーツフェスをやる!」
「フルーツフェス!?」
果実メロン「そうだ。フルーツやフルーツを使ったスイーツの屋台を出す」
果実メロン「フルーツの良さを広め、フルーツをたくさん食べてもらうんだ」
果実バナナ「最高じゃん!」
果実リンゴ「いいね!楽しそう」
果実メロン「普通にやってもつまらない」
果実メロン「それぞれが屋台を出して、どのフルーツが一番人気か勝負しようじゃないか」
果実バナナ「よーし!絶対1位になるぞ!」
果実リンゴ「負ける気がしないわ」
果実イチゴ「楽しみだわ〜」

〇アーケード商店街
果実バナナ「いらっしゃいませー!」
果実バナナ「おいしいバナナいかがですか!」
果実バナナ「チョコバナナ、バナナミルク、バナナケーキ・・・たくさんあるよー!」
果実メロン「さすがバナナ」
果実メロン「定番フルーツの安定感があり、バリエーションも豊富だ」
果実バナナ「フルーツフェス人気No.1は、バナナがもらったぜ!」
果実リンゴ「ふん!どうせ見た目がガキだから人気なだけよ」
果実リンゴ「人間って、がんばってる子どもの姿に弱いじゃん?」
果実バナナ「負け惜しみはやめろよ」
果実リンゴ「はあ?」
果実バナナ「バナナ人気に嫉妬して見苦しいぞ〜」
果実リンゴ「バカね。これを見なさい」
果実バナナ「なっ!」
果実バナナ「いつの間に!すげー行列!」
果実リンゴ「アップルパイ、リンゴ飴、リンゴタルト、リンゴジュース」
果実リンゴ「バリエーションならこっちも負けない」
果実リンゴ「それに、リンゴは万人受けするフルーツ」
果実リンゴ「王道中の王道が、バナナなんかに負けるわけないでしょ」
果実バナナ「くっそー!」
「なっ!?」
果実バナナ「あの歓声は、イチゴ屋台から!?」

〇アーケード商店街
果実イチゴ「いらっしゃいませ〜」
女性客「どれもおいしそう〜!」
女性客「めっちゃかわいい〜」
女性客「ショートケーキください」
果実イチゴ「ありがとうございます〜」
果実イチゴ「やっぱりイチゴ最強〜」
果実リンゴ「さすが圧倒的な女子人気」
果実イチゴ「女子はみんなイチゴ好きだもの」
果実リンゴ「でも、男はどうかな?」
果実イチゴ「ふふっ。甘いわね」
果実リンゴ「えっ?」
男性客「あっ・・・あの・・・」
男性客「いつも『らぶスト』見てます」
果実イチゴ「えっ?」
男性客「いつも投げ銭してる「クソリプお」です」

〇仮想空間
果実リンゴ「イチゴマミィがYOYOTUBEでやってる『らぶストロベリーちゃんねる』」
果実リンゴ「通称『らぶスト』の太客、クソリプお!?」

〇アーケード商店街
果実イチゴ「クソリプおさん!うれしい〜!ありがと〜」
果実イチゴ「イチゴのスイーツいっぱい食べてね」
クソリプお「イチゴ5パックと、ショートケーキと、イチゴジュースください」
果実イチゴ「わ〜!いっぱい買ってくれてありがと〜」
クソリプお「イチゴしか勝たん!」
果実リンゴ「オタクの貢ぎ力、ハンパねえ・・・」
果実イチゴ「イチゴはみんなの人気者〜」
果実リンゴ「これって反則じゃない?」
果実バナナ「イチゴマミィ、ズルい〜!」
果実イチゴ「あら~嫉妬は醜いわよ」
果実イチゴ「バナナもリンゴも人気は認めるわ」
果実イチゴ「でもね、あなたたちには絶対的に足りないものがあるの」
果実リンゴ「足りないもの?」

〇コンサートホールの全景
果実イチゴ「それはね、華よ」
「華!?」
果実イチゴ「イチゴは他のフルーツとは華やかさが違うの!」
果実イチゴ「かわいい見た目。パッと目を引く存在感」
果実イチゴ「イチゴは存在自体がアイドルそのものなのよ〜!」

〇アーケード商店街
果実リンゴ「くっ・・・華やかさじゃ勝てない」
果実リンゴ「これはイチゴの勝利確定か?」
果実メロン「甘いな」
「えっ!?」
果実メロン「これだから君たちはいつまで経っても、凡フルーツなのだよ」
果実リンゴ「凡フルーツって何?凡人みたいに言うな」
果実イチゴ「聞き捨てならないわね」
果実イチゴ「イチゴは凡フルーツじゃないわ!」
果実リンゴ「凡フルーツって言葉をサラッと受け入れるな!」
果実メロン「スウィートストロベリー!イチゴはたしかに華があるよ」
果実イチゴ「でしょ〜」
果実メロン「だが、こういう食べ物系のフェスで、何が一番求められているかわかるか?」
果実イチゴ「やっぱり見た目のかわいさ!華やかさでしょ〜!」
果実メロン「違うな。特別感だよ」
「特別感!?」
果実メロン「そうだ。普段食べられないものが食べられるという特別感」
果実メロン「みんなワクワク感を欲しているんだ!」
果実リンゴ「特別感って・・・まさか!」
果実メロン「そう!特別なフルーツといえばメロン!」
果実メロン「つまり、私の勝ちは初めから決まっていたんだよ」
果実イチゴ「えー!最初から計算済みだったってこと!?」
果実メロン「当然だ」

〇コンサート会場
果実メロン「フルーツの王様はメロンだ!」
果実メロン「まさに王者の風格」
果実メロン「この唯一無二のカリスマ性で、必ずNo.1になってみせる!」

〇アーケード商店街
果実バナナ「まずい!このままじゃ負ける!」
果実バナナ「そうだ!」
果実バナナ「みんなのスイーツをこっそりバナナに変えちゃえー!」

〇アーケード商店街
男性客「このリンゴジュース、バナナの味がするぞ」
女性客「あれ?メロンパフェを買ったはずなのに」
女性客「これ、メロンじゃなくてバナナじゃん!」
果実リンゴ「えっ!?」
果実リンゴ「まさか・・・」

〇アーケード商店街
果実バナナ「いいぞ!みんなバナナを食えー!」
果実リンゴ「やっぱりあんたの仕業か」
果実バナナ「やっべ!バレた!」
果実バナナ「くらえ!バナナ攻撃!」
果実リンゴ「うわっ!」
果実リンゴ「やったな!」
果実バナナ「いってえ!何すんだよ!」
果実リンゴ「あんたが悪いんでしょ!」
果実リンゴ「バナナのくせに生意気なんだよ!」
果実バナナ「何だとー!」
果実メロン「ああ!私のメロン屋台が!」
果実リンゴ「くらえ!」
果実バナナ「ぐっ!リンゴの果汁が目に染みるうう!」
果実バナナ「くっそー!」

〇アーケード商店街
果実バナナ「ああー!おれのバナナ屋台がー!」
果実リンゴ「あたしの屋台も壊れちゃった」
果実バナナ「うわあああーん!」
果実イチゴ「何してるのよ〜!」
果実バナナ「ごめんなさあああい!」
果実リンゴ「ごめんなさい・・・」
果実イチゴ「二人とも反省したみたいね」
果実バナナ「もうおしまいだああ!」
果実イチゴ「諦めるのはまだ早いわよ」
「えっ!?」
果実メロン「そうだ。フルーツフェスはまだ終わっちゃいない」
果実リンゴ「でも、もう使えるフルーツがほとんどないよ」
果実メロン「大丈夫。ほら、使えそうなやつを集めて」
果実バナナ「う、うん!わかった!」

〇アーケード商店街
果実メロン「さあ、できた!」
「ミックスジュース!?」

〇アーケード商店街
女子高生「このジュース、映える〜」
男性客「これはうまい!」
女性客「ヘルシーだし、おいしくて最高」

〇アーケード商店街
果実イチゴ「フルーツが足りないなら、全部混ぜちゃえばいいのよ」
果実メロン「それぞれのフルーツが合わさった時、また新たな魅力が生まれる」
果実メロン「フルーツの良さを改めて発見できたな」
果実バナナ「ミックスジュース、うめえー!」

〇アーケード商店街
果実メロン「ほら、飲んでごらん」
果実リンゴ「おいしい・・・」
果実メロン「実はこのミックスジュースのベースは、バナナなんだよ」
果実リンゴ「えっ!」
果実メロン「バナナの甘みが、他のフルーツの良さを引き立てているんだ」
果実メロン「バナナも悪くないだろう?」
果実リンゴ「・・・まあね」
果実リンゴ「見直した。ちょっとだけね」
果実メロン「ははっ!それはよかった」
果実メロン「我々は、かりそめの家族だ」
果実メロン「だけど、同じ目的を持ったフルーツ星人でもある」
果実メロン「だから、バナナとも仲良くしてやってくれ」
果実リンゴ「うん・・・」
果実メロン「色々あったが、フルーツフェスは大成功だ」
果実リンゴ「そうだね」
警官「こら!君たち!」
警官「勝手にフェスなんてやっちゃダメだよ!」
果実リンゴ「えっ!」
果実メロン「あーバレちゃったか」
果実リンゴ「無許可だったんかい!」
果実メロン「さっさと逃げるぞ」
果実リンゴ「ったく・・・」
警官「き、消えた!?」
警官「あれ・・・」
警官「何しに来たんだっけ」

〇洋館の廊下
果実リンゴ「ミックスジュース、おいしかったね」
果実リンゴ「色々あったけど、フェスも楽しめたし」
果実バナナ「バナナのおかげだな!」
果実バナナ「バナナは最強なんだぞー!」
果実リンゴ「うん・・・そうかも」
果実バナナ「え!いつもは否定するくせに!」
果実リンゴ「バナナも、ちょっとだけ良いとこあるじゃんって思っただけ」
果実バナナ「何だよ急に・・・」
果実リンゴ「あんたのバナナ愛は伝わった」
果実リンゴ「今までごめん」
果実バナナ「べ、別にいいよ」
果実バナナ「あー!おれ、用事を思い出しちゃった!」
果実リンゴ「えっ?」
果実バナナ「ちょっと出かけてくる!」
果実リンゴ「今から?もうこんな時間だよ?」
果実バナナ「ちょっと急用で・・・」
果実リンゴ「・・・あんたまさか」
果実バナナ「えっ?何のこと?」
果実リンゴ「ちょっと来い!」
果実バナナ「ひぃー!」

〇豪華なベッドルーム
果実リンゴ「ぎゃあああー!」
果実リンゴ「あたしの部屋がバナナまみれ!」
果実リンゴ「くっさ!バナナくさっ!」
果実バナナ「やっべ・・・!」
果実バナナ「じゃあなー!」
果実リンゴ「あ!逃げた」
果実リンゴ「待て!クソバナナー!」

コメント

  • 読んでてとっても楽しい作品でした😆✨
    フルーツ毎にイメージが膨らませやすそうですし、色んなフルーツ星人を出して、どんどん賑やかになっていく様子が浮かんで来て良かったです!
    個人的にドリアンの扱いが気になってます(笑)やはりフルーツ星の王様でしょうか!?

  • フルーツ星人!他にも親戚のブドウやミカンなどが現れて楽しいドダバタがはじまりそうな予感!楽しかったです!

  • めっちゃフルーツ食べたくなる…!色んなメニューが出てきてお腹が空く…まんまとフルーツ星人にやられてしまいました…!
    リンゴちゃんが特に好きです✨

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