Cross the line(一線を越える)

鷹志

第9話 愛するがゆえの決断(脚本)

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鷹志

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〇おしゃれなリビング
美由紀(今日こそはっきりさせるわ)
直樹(沙羅、今日はバイトだったかな?)
直樹(やっぱりあんなバイト辞めさせたほうが・・・)
美由紀「直樹さん」
直樹「・・・」
美由紀「直樹さん!」
直樹「わっ!」
直樹「ごめん考え事してて・・・」
美由紀「何を考えてたの?」
直樹「えっ! それは、その・・・」
美由紀「かわいい妹のこと?」
直樹「は?」
美由紀「あなたの大事な大事な妹のこと?」
直樹「君は何を言って・・・」
美由紀「沙羅ちゃんのことで話があるんだけど・・・」
直樹「沙羅のこと?」
美由紀「ええ。この際さっきりさせようと思って」
直樹「はっきりさせる?」
直樹(沙羅からだ!)
直樹「ごめん、美由紀」
直樹「どうした沙羅?」
直樹「何! 変な男が家の前をうろついてる!?」
直樹「本当か?」
直樹「わかった。すぐに行くから、誰が来ても絶対にカギを開けるなよ!」
直樹「美由紀、沙羅から家の前を不審者がうろついているって話があった」
直樹「ちょっと見てくる!」
美由紀「いい加減にして!」
直樹「えっ・・・」
美由紀「そんなの嘘に決まってるでしょ」
直樹「何だって?」
直樹「沙羅が嘘をついてるっていうのか?」
美由紀「ええ、そうよ」
美由紀「今回だけじゃない。今までのもずっと」
美由紀「頭が痛くて辛いのも、風邪を引いたのも、全部仮病」
美由紀「そうでしょ?」
美由紀「あなたが行ったとき、妹は熱を出して寝込んでたの?」
直樹「それは・・・」
美由紀「あなたが行くと病気じゃなくて普通にしてたんでしょ?」
直樹「それはそのときちょうど体調がよくなって・・・」
美由紀「お人好しもいい加減にして!」
美由紀「そんなわけないでしょ」
直樹「美由紀・・・」
美由紀「それとも・・・あなたも妹に会いたくて行ってるんじゃないの?」
美由紀「いや、会うだけじゃなくて、兄妹でそれ以上のことをするのが目的なんじゃないの?」
直樹「何!? 君は何を言っているんだ?」
美由紀「あなたと妹は、一線を越えた異常な関係じゃないかって言ってるのよ!」
直樹「何だって!?」
直樹「馬鹿を言うな! そんなことあるわけ・・・」
美由紀「何もないの? 一度もないの? 本当にそう言えるの?」
直樹「それは・・・」
美由紀「否定しないのね」
直樹「違う、そんなのじゃない」
直樹「ただ、沙羅とはたった2人の兄妹で、ずっと2人でいたから・・・」
美由紀「ずっと2人でいたから何なの?」
直樹「それは・・・」
美由紀「弁明は何もなし・・・なのね」
美由紀「本当に、真面目で、お人好しで、嘘のつけない、馬鹿な男ね」
直樹「美由紀・・・」
直樹「美由紀!」

〇ホテルの部屋
美由紀「・・・」
直樹「美由紀」
美由紀「本当に馬鹿な男」
美由紀「妹にいいように振り回され、恋人に問い詰められると嘘もつけない、お人好し」
美由紀「妹と一線を越えてしまうような、気持ち悪い変態男」
直樹「・・・」
美由紀「・・・でも、やっぱり私はあなたが好き」
直樹「美由紀・・・」
美由紀「妹と異常な関係を持ってしまうような男でも・・・好き」
美由紀「だから・・・」
美由紀「私はあなたを他の女に取られたくない!」
美由紀「絶対に」
美由紀「たとえそれがあなたの妹であったとしても・・・」
直樹「美由紀」
美由紀「もうあの妹に振り回されるのはこりごり」
美由紀「だから、はっきりさせて」
直樹「えっ・・・」
美由紀「あなたは男として、私と妹、どっちを取るの?」
直樹「何!? 君は何を言って・・・」
直樹「そもそも沙羅は妹だ。男としてとか、君と比べるなんて・・・」
美由紀「比べて。あの子と私を比べて」
美由紀「比べてどっちかを選んで」
美由紀「それ以外の答えはなしよ」
美由紀「もう一度言うわ」
美由紀「あなたは男として、私と妹・・・沙羅のどっちを取るの?」
直樹(男として・・・)
直樹(沙羅、沙羅・・・)
直樹(沙羅はたったひとりの大事な妹だ。これまでも、これからも)
直樹(それ以上でもそれ以下でもない)
直樹(大事な大事な愛すべき妹だ)
直樹(だからこそ、男としては沙羅を妹以上の存在として見てはだめなんだ)
直樹(だから、男として取るべきは・・・)
直樹「美由紀、もちろん君だ」
美由紀「・・・」
美由紀「私なのね。妹じゃないのね」
直樹「ああ」
美由紀「わかった」
美由紀「じゃあ、もうあの子のところには行かないで」
直樹「何!?」
直樹「沙羅にもう一切会うなって言うのか?」
美由紀「そこまでは言わないわ」
美由紀「普通の兄妹として接する分にはいいわ」
美由紀「それ以上のことはしないでって言ってるのよ」
直樹「・・・わかった」
美由紀「じゃあ、今、妹にそのことを言って」
直樹「今!?」
美由紀「簡単でしょ。「もう行けない」ってだけ言えばいいのよ」
美由紀「妹じゃなくて私を選んだんでしょ?」
直樹「わかった」
直樹「沙羅か?」
直樹「悪いが、今日は行けなくなった」
直樹「いや、これからはもう行けない」
直樹「今後はもう今回のようなことでいちいち連絡しないでくれ」
直樹「連絡されても俺は行けない」
直樹「それじゃあ・・・」

〇ホテルの部屋
直樹「言っといたよ」
美由紀「そう」
美由紀「・・・」
美由紀「本当に、素直で、真面目で、馬鹿な男」
美由紀「ありがとう」
  愛してる・・・
美由紀「美由紀・・・」
直樹「俺も愛してる」
沙羅「お兄ちゃん!」
  直樹さん!
  美由紀!
沙羅「お兄ちゃん! お兄ちゃん! お兄ちゃん・・・」

〇ホテルの部屋
直樹(沙羅は妹だ)
直樹(俺たちは兄妹だ)
直樹(それ以上の関係にはなれない)
直樹(なってはいけない)
直樹(もう沙羅とあんな関係を続けるわけにはいかないんだ)
直樹(沙羅のことは忘れなければならない)
直樹(そのためには・・・)

〇レストランの個室
美由紀(今日は外で食事しようってことだけど)
美由紀(今日は何かの記念日か何かだったかしら?)
直樹「美由紀、君に大事な話があるんだ」
美由紀「えっ・・・」
直樹「その、ぼ、僕と・・・け、結婚してくれませんか?」
美由紀「えっ・・・」
直樹「やっぱり僕には君が必要だ」
直樹「君とずっと一緒にいたい」
直樹「だから、僕と結婚してほしい」
美由紀「直樹さん・・・」
美由紀「はい」
美由紀(やった。ついに・・・ここまで来た)
美由紀(勝った・・・)
直樹(これでいいんだ。これで)
直樹(俺と沙羅は普通の兄妹なんだ)

〇豪華なリビングダイニング
沙羅「お兄ちゃんと美由紀さんが結婚・・・」
直樹「そうだ」
直樹「お前に最初に報告しようと思って」
直樹「結婚式とかそういった話は少し落ち着いてからにするよ」
沙羅「うん・・・」
美由紀「沙羅ちゃん、これからもよろしくね」
美由紀「困ったことがあったら何でも相談してね」
美由紀「私、沙羅のちゃんのことを本当の妹だと思ってるから」
沙羅「うん・・・」
直樹「それじゃあ、そろそろ帰るよ」
沙羅「うん・・・」
沙羅「・・・」

〇モヤモヤ
  映画「Cross the line」
アリス「お兄様が行ってしまった・・・」
アリス「あの女のところに」
アリス「私ではなくあの女を選んで・・・」
アリス「もう戻ってくることはない・・・」
アリス「私は、私はどうすればいいの」
アリス「お兄様、お兄様、お兄様、お兄様・・・」

〇本棚のある部屋
沙羅「お兄ちゃんが結婚しちゃう」
沙羅「もうこの家には・・・私のところには戻ってこない」
沙羅「もうどうしようもないの?」
沙羅「どうしよう」
沙羅「どうしよう」
沙羅「どうしよう」
  どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう・・・
沙羅「お兄ちゃん・・・」
  お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん・・・
  お兄ちゃん!

次のエピソード:第10話 沙羅双樹は闇の色【第2部最終話】

コメント

  • なんとか丸く収まった……とは全然ならなそうな沙羅の反応(;'∀')
    ここはもうひと踏ん張り、お兄さんに頑張ってほしい所‼

  • 美由紀、良かったね~!
    絶対直樹は情に流されちゃうと思っていたたけに、全部ブチまけてのこの展開に私はスッキリです。
    まだまだ小娘のターンが残っているので油断はできませんが、美由紀応援隊長として引き続き応援します。

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