美少女の秘密を知ってしまったら…(脚本)
〇本屋
加藤隼人「おっ!これがバズってる本か!?」
加藤隼人「凄いな・・・上下巻あわせて3000ページ。読者レビューで「面白過ぎて一気に1時間で読めました」とかあるけど・・・」
加藤隼人「いや、どんだけ読むの早いんだよ・・・」
加藤隼人「あれ?あのレジにいるのはクラスメイトの安野さん?」
加藤隼人「ん?なんだろ? 店員さんに頭を下げながら、これと同じ本を渡してるぞ・・・」
加藤隼人「エッ!?泣いてる? まさか万引きしたのがバレて謝ってるとか?」
安野紗枝「ぴえん」
安野紗枝「あっ・・・」
加藤隼人「ヤバッ!目が合った。出よう」
〇大きいデパート
加藤隼人「ふっー。焦ったな・・・」
加藤隼人「てか、リアルにぴえんって泣く奴初めて見たぞ・・・」
安野紗枝「あの、加藤君だよね?」
加藤隼人「わあっ!」
安野紗枝「さっきあたしのこと見てた?」
加藤隼人「う、うん・・・まあ・・・」
安野紗枝「やっぱそうなんだ・・・」
安野紗枝「お願い!誰にも言わないで・・・」
加藤隼人(マジで万引きしてたのか・・・)
安野紗枝「あたしみたいに、真面目で頭脳明晰でスポーツ万能で非の打ち所の無い美少女が・・・」
加藤隼人「はあ?」
安野紗枝「あんなことしちゃったのバレたら、国益を損なうよぉ」
加藤隼人「はあ・・・まあ・・・言わないけどさ・・・」
安野紗枝「ホント?マジ?約束だよ!!」
〇土手
加藤隼人「な、なあ・・・なんで付いてくるんだ?」
安野紗枝「ねーさっきのこと、誰にも話してないよね?」
加藤隼人「ずっと付いてきてんだから、話してないの分かるだろ!」
安野紗枝「言っとくけど、誰にも言わないっていうのは、口だけじゃないからね」
安野紗枝「メールとか手話とか暗号とかモールス信号とか、テレパシーで伝えても駄目だからね」
加藤隼人(はあ・・・厄介な奴にからまれたなあ・・・)
〇一人部屋
加藤隼人「で、なんで俺の部屋まで上がり込んでるわけ?」
加藤隼人「お、おい!勝手に何つけてんだよ!?」
安野紗枝「見て分かんないの?監視カメラだよ」
加藤隼人「だから、なんで監視カメラ付けてんだって!?」
安野紗枝「あのさあ、あたしがそんなに非常識な女子だと思ってるわけ?」
加藤隼人「はい?」
安野紗枝「この部屋に泊まって、ずっと君を見張ってるなんて常識的にも倫理的にも無理っしょ」
加藤隼人「だからといって監視カメラ・・・ いつもそれ持ち歩いてんのかよ!?」
安野紗枝「あっ、あとはリビングとトイレとお風呂にも付けるからね」
加藤隼人「いや、そんなのストーカーじゃん!」
安野紗枝「馬鹿。ストーカーはこっそりやるでしょ。あたしは堂々としてるんだから違うよ」
加藤隼人「あああ、もう!俺の部屋以外に付けたら家族が迷惑するだろ!!」
安野紗枝「そっか・・・しゃーないね・・・ だったら君はこの部屋から一歩も出ないで」
加藤隼人「はあ・・・」
〇一戸建て
安野紗枝「おっはよー」
加藤隼人「おはよう・・・やっぱ今日も付きまとうんだね」
〇おしゃれな教室
加藤隼人「授業中もガン見で監視かよ・・・」
安野紗枝「じっー」
〇明るい廊下
加藤隼人(マジでいつまで付きまとう気なんだ?)
加藤隼人(こんなことならいっそのことぶちまけて楽になりたいよ・・・)
水沼朱美「よぉ!紗枝! ちょっと職員室までツラ貸せや!」
安野紗枝「み、水沼先生!?」
加藤隼人(エッ!?まさか本屋が学園にチクったのか? だとしたら俺は解放される!)
安野紗枝「あ、あの、だったら加藤君も一緒に・・・」
水沼朱美「あーダメダメ。次の女子会の打合せだから、男子禁制。四の五の言わずに来い!」
安野紗枝「あー痛あい!変なとこ引っ張らないでください!」
加藤隼人「チクられたわけじゃないのか・・・まあ、とにかく助かった・・・」
〇グラウンドの隅
加藤隼人「とりあえず解放された」
轟郷剛「おい貴様!俺を見て笑ったな!?」
加藤隼人「い、いや、そんな・・・」
轟郷剛「俺はな、水沼センコーの女子会に呼ばれなくて傷ついてるんだ!」
轟郷剛「さらにお前に笑われて深く傷ついた。俺は被害者だ!お前の誹謗中傷に対し、損害賠償請求する!」
加藤隼人(なんか、俺はややこしい奴に絡まれる運命なのか・・・)
轟郷剛「何シカトしてんだてめえ!俺の心の傷を舐めるんじゃねえぞ!」
???「待ちなさい!」
轟郷剛「な、なんだイキナリ!誰だ!」
安野紗枝「世界とこの学園の平和を守る超絶美少女、安野紗枝よ!」
轟郷剛「ああ!!」
安野紗枝「今その子から、世界を震撼させるほどの国家機密を聞き出そうとしてたでしょ!」
加藤隼人(段々大げさになってくるぞ・・・)
安野紗枝「そうはさせない!正義のお仕置きをくらいなさい!」
安野紗枝「エイッ!」
安野紗枝「うわあっ!」
加藤隼人「エッ!?」
安野紗枝「あぁ・・・あっ・・・」
安野紗枝「ふうん・・・すうっー」
加藤隼人「や、安野さん!?」
轟郷剛「なんだ。石ころにつまづいて失神しやがった」
轟郷剛「シラけたな。あばよ」
〇グラウンドの隅
安野紗枝「ん・・・うーん・・・」
安野紗枝「あ、あれ、あたし・・・ どうしてたんだろう」
加藤隼人「良かった。気が付いたね」
安野紗枝「そっか・・・あたし、失神しちゃって・・・」
安野紗枝「ねえ。あたしが意識失ってる間、バラしたりしてないでしょうね?」
加藤隼人「いきなりそこかよ」
加藤隼人「なあ、別にバレてもいいんじゃないか?万引きしたにせよ、ちゃんと本は返して謝ったんだったら・・・」
安野紗枝「はあ?意味わかんない。あたしがいつ万引きしたの!?」
加藤隼人「エッ!?いやだって、それを見られたから俺に付きまとってたんじゃないの?」
安野紗枝「違うって!あたしはあの本、間違えて上巻を2冊買っちゃったの!」
加藤隼人「はあ?」
安野紗枝「だから店員さんに謝って、片方返品したの!」
加藤隼人「マ、マジ・・・!? ごめん勘違いして・・・」
加藤隼人「でもそれなら、隠さなくても良くない?」
安野紗枝「何言ってんの!?あたしみたいな完璧美少女は、そういう些細なミスも許されないの!!」
安野紗枝「そうだ!きっとこれは誰かの陰謀だよ!あたしがあんな失敗するわけないもん!」
安野紗枝「よし加藤君!犯人探しに付き合いなさいね!」
加藤隼人(どんな陰謀だよ・・・)
ちょっと普通と感覚はずれてるけど、なんだか憎めなくて可愛い子ですね。笑
こんな友達がいたら毎日退屈しないで楽しそうです。
まさかのオチだったー!笑でも万引きは勘違いで良かった良かった笑トリッキーで非常識な彼女に振り回されてる感じがすごくコミカルで面白かったです!
人が何を秘密にしたいかはそれぞれ違うもので、他人にはどうでも良くても自分には大ごとなのは良くあることです。
だからと知ってストーカーじみたことまでしてくる美少女は存在自体がアウトな気もします。
面白かったです。