ストーカーについて彼氏に相談したはずだったのに

水野恵無

ストーカーについて彼氏に相談したはずだったのに(脚本)

ストーカーについて彼氏に相談したはずだったのに

水野恵無

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〇綺麗な一人部屋
一樹「ストーカー?」
麻美「うん。なんか最近、誰かに後ろをつけられてる気がするの」
  私がそう言うと、彼氏の一樹(かずき)が真剣な顔をした。
  一か月前くらいから後ろに人の気配を感じる気がしてたんだけど。
  ここ一週間くらい、足音がはっきりしてきた気がする。
一樹「それ、警察に相談した方がいいんじゃないか?」
麻美「・・・・・・でも気のせいかもしれないし」
一樹「何かあってからじゃ遅いだろ?」
麻美「う、うん」
  でも勘違いだったら警察の人の迷惑になっちゃうかもしれない。
  私が躊躇ってると、一樹にぎゅっと抱き締められた。
一樹「分かった。俺がなんとかするから」
麻美「え、なんとかって・・・・・・」
一樹「任せとけって。な?」
  にこって笑ってくれる一樹は頼もしい。
  一樹と恋人になったのは一か月前のことだ。
  同じ会社の同僚で、仕事ができて、格好良くて、すっごく優しい。
  私は一樹のことが大好きだし、一樹も私のことを大事にしてくれる。
  私のことなのに任せっきりなのは良くないよね?
麻美「私にできること、何かある?」
一樹「そしたら──」

〇線路沿いの道
  カッカッカッ・・・・・・
  コツコツコツ・・・・・・
  会社の帰り道。
  やっぱり後ろから足音がしてる気がする。
  振り返って確かめたいけど、怖い。
麻美(一樹・・・・・・っ!)
  心の中で一樹の名前を呼びながら家とは反対の角を曲がった。

〇ゆるやかな坂道
  ヒールだけど走り出す。
  私に続いて角を曲がって来た足音が、焦ったみたいに走って付いてくる。
  ヒールのせいで早く走れなくて、追いつかれたのはすぐのことだった。
男「な、なな、なんで、逃げるんだよ!?」
麻美「きゃあ!」
  知らない男の人に腕を掴まれて、足が止まる。
  恐怖に言葉が出なくて身体が震えた瞬間。
一樹「その子、俺の彼女なんだけど」
一樹「なんか用?」
  一樹が私と男の間に割り込んで、私の腕から男の手を離してくれた。
男「彼女!?」
男「か、かか、彼氏がいたなんて、聞いてないぞ!?」
一樹「なんでお前に報告しなきゃいけないんだよ」
一樹「麻美、この男と知り合い?」
麻美「し、知らない!」
一樹「って、麻美は言ってるけど?」
男「そんなはずない!」
男「だだ、だって毎朝、ぼ、僕に笑いかけて、くれるじゃないか!?」
麻美「え?」
  男の顔をよく見てみる。
麻美「もしかして、コンビニの店員さん?」
  毎朝私はコンビニに寄ってコーヒーを買ってる。
  そのコンビニの店員さんだったの?
男「き、きき君も、僕のことが、好きなんだろ!?」
男「だから!」
麻美「ごめんなさい!」
  男の言葉を遮るように頭を下げる。
麻美「私が好きなのは、彼だけです」
麻美「一樹だけなんです」
麻美「貴方のことはただの店員さんとしか見てませんでした」
男「そそ、そんな・・・・・・」
一樹「麻美があんたのことを好きでもそうじゃなくても、夜に女性の後をつけるなんてやめろよ」
一樹「麻美はすっごい怖がってたんだからな」
男「ぼ、ぼくは、ここ、怖がらせる気は・・・・・・」
一樹「あんたがどういう気だったとしても、二度と麻美に近づくな」
一樹「今度俺や麻美の視界に入ってきたら、警察に突き出すからな!?」
男「――っ!」
  一樹が強く言うと、男は泣きながらいなくなった。
麻美「こ、こわかったぁ~!」
  足の力が抜けてへたり込みそうなところを一樹に抱きしめられる。
一樹「麻美には絶対手出しさせないって言っただろ?」
麻美「うん、一樹がいてくれて良かった」
麻美「一樹、ありがとう。大好き!」
麻美「でも一樹は怖くなかったの?」
一樹「俺は男だし」
一樹「それに」
一樹「麻美の後をつけていいのは俺だけだから」
麻美「・・・・・・え?」
一樹「麻美を守るのも、怯えさせていいのも、俺だけだからさ」
麻美「一樹、何言ってるの?」
一樹「俺さ、麻美の何もかもが好きなんだよね」
一樹「笑顔も、泣き顔も、怯えてる顔も、全部大好き」
一樹「・・・・・・うん、今の顔も大好きだよ」
  一か月前に恋人になった一樹。
  一か月前から後ろに感じるようになった気配。
麻美「もしかして、私の後ろをずっと付いてきてたのって・・・・・・」
一樹「うん、俺」
一樹「さっきの男は一週間前くらいからだね」
一樹「うざくてそろそろ排除しよっかなって思ってたとこ」
麻美「な、なんでそんなこと」
一樹「だから、麻美のことを大好きだからだよ」
一樹「麻美の全部を俺のものにしたいから」
一樹「だから他の全てからは守ってあげる」
一樹「これからは俺だけに笑って、俺だけに泣いてよ」
一樹「ね?」
一樹「大好きだよ、麻美」

コメント

  • これもヤンデレ…なんでしょうか。
    ずっとついてきてるって、なんだか怖ろしいですね。
    心配だからじゃなくて、怯えた顔を見たいってところがまたゾクッとします。

  • 頼もしくて素敵な彼氏さんだと思ってたらまさかの結末でびっくりです!愛情が深すぎる故のサイコパス彼氏だったとは笑ドキドキハラハラで面白かったです。

  • 頼もしくてかっこよくて素敵な彼氏さんと思ったら、、思った以上に予想外の展開で怖かった。好きでいてくれるのは嬉しいけど、ここまで支配?監視されているのは怖すぎます。しかも悪気を感じてない感じがより怖さを増していました。

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