エピソード4 作戦会議 バックススターの謎(脚本)
〇研究装置
ベガ「初めましてケントさん。3年前から定期的に話をしていたのに、直接会うのが初めてって、不思議ですね」
子安ケント「ああ。本当にそう思うよ。しかも、想像してたより可愛いんだね」
ベガ「サラッと、ドキっとする事言うなんて、ケントさんて、そんなキャラでしたっけ?」
子安ケント「いやあ、声しか聞こえ無かったのが、実際に本物に会えて、素直な感想を述べただけさ」
シャフリヤール「ケント、それぐらいにしておかないと、カオルさんが怒るんじゃないかなあ?知らんけど」
子安ケント「シャフリ、その言い回しは、あまり品が良いものじゃないから、やめておいた方が良いと思うよ。知らんけどw」
シャフリヤール「そうか。忠告感謝するよ。言葉は難しいな。更に時代により細かく変化していくから」
子安ケント「さてと、冗談はこれくらいにして、俺が気になったことを先に話したい。あの男が言っていたバックスターについて」
子安ケント「あの名前、聞き覚えがあるんだ。また、最後に悪魔の様な姿に変化したのも、もしかしたら関係があるのかもしれない」
シャフリヤール「ほう。それは非常に興味深いな。ケントの推論でも何でも良い。とりあえず、先に話を聞こうか。ベガ、リスも呼んで欲しい」
ベガ「あ、あの。リスグラシュー様は、現在トレーニング中なので、少しでも集中する時間が必要です。後ほど共有致します」
シャフリヤール「リスがトレーニングか。まあ、それなら仕方ない。ケント、話を始めてくれ」
子安ケント「OK。では、始めよう。先ずバックススターの名前は、俺達が、よく使うカフェの名前と良く似てるんだ」
子安ケント「そのカフェの名前がスターバックス。このカフェは米国のシアトルに本社があり、世界中に支店がある。そのロゴマークが気になる」
シャフリヤール「そう言えば、コメダという男の最新の記録に誰かが、ケーキには私たちのコーヒーが合うというセリフが残っていたな」
子安ケント「なるほど。もしかしたら、どちらかが偽名の可能性があるな。そして、そのロゴマークなんだが、この50年の間に形が変化している」
シャフリヤール「会社や屋号のロゴマークは、あまり変化するものではないだろう?」
子安ケント「何か意図的なものがあると考えている。表の理由とは別に。1971年当時は、茶色をバックにセイレーンが描かれていたんだ」
子安ケント「更にセイレーンをひっくり返して見ると、山羊の角を持ったバフォメット にも見えると言われている」
シャフリヤール「セイレーンは、人魚の一種だが、海で歌声で船乗り達を誘い込み、船を沈めるという伝説がある。海中都市であるアトランティスと」
シャフリヤール「関わりがある種族の可能性もあるな」
子安ケント「セイレーンなら、人魚。反対ならバフォメット という悪魔。また、昔のスタバのバッグには、666に見える手と船のマストに」
子安ケント「大きな一つ目が描かれていたんだ。また、本社ビルの上には、同じ目のようなマークが書いてある。まさにプロビデンスの目のようだ」
シャフリヤール「どんなものか見てみたいな。ベガ、今の情報を検索できるかい?」
ベガ「はい。お任せください。少しお時間ください」
──ベガは、検索結果をモニターに出したが、何か異常を感知したのか、危険な情報であることをコンピュータは、注意を促した
シャフリヤール「ふむ。確かにロゴマークは変わっているな。特に最初のマークは、セイレーンそのものじゃないか!」
シャフリヤール「なるほど。そう見えなくもないな」
子安ケント「これは、シアトルの本社ビルの屋上広告さ。 目のようにも見える」
子安ケント「昔のテイクアウト用の紙袋さ。あのマークがとても怪しく感じる」
シャフリヤール「なるほど。プロビデンスの眼、エジプトのヒエログリフにあったな。真実を見通す神の眼」
シャフリヤール「悪魔への変化。スタバの謎。悪魔崇拝なのか、セイレーンもしくはバフォメット 、そそしてプロビデンスの眼か」
シャフリヤール「ありがとうケント。少し休憩にしよう。 コーヒーブレイクだ」
子安ケント「わかった。一先ず、情報を整理しようか」
〇近未来の会議室
──いくつか船内の各部屋を案内された後、ケント達はブリーフィングルームで作戦会議を再開した。
子安ケント「さっき、コーヒーを飲みながら気づいたことがあるんだ。俺達に近づいてきた奴らの名前さ」
子安ケント「カフェチェーン店の名前と同じなんだ。もしかしたら、本名では無く、コードネームなのかもしれないなってさ」
シャフリヤール「なるほど、ひょっとすると、そのコーヒーショップ業界で、売上もしくは勢力ナンバーワンがスターバックスなのかい?」
子安ケント「察しがいいな。流石だよシャフリ。その通りさ。世界でNo. 1だよ。そこが司令塔である可能性は今回高いのでは?と思ったのさ」
シャフリヤール「ふむ。そうなると、本社のトップもしくは株主に近い者が怪しくなるな。更にそれさえ、隠れ蓑にしてる可能性もあるのでは?」
シャフリヤール「現代社会に於いて、悪魔形態で、そのまま正規に活動できるなら、軍隊等でも活用されてるはず。秘密活動するなら、資本もあり」
シャフリヤール「世界中に支店があり、情報収集活動するにはうってつけではないか?カフェは、打ち合わせする場所でもあるだろ?」
子安ケント「確かに!世界中の噂話やビジネスの話を盗聴するには、カフェが最も効率が良さそうだ!シャフリの視点は、凄いな!」
ベガ「日本のヒーロー戦隊では、ゴレンジャーの秘密基地はカフェでした。また、仮面ライダー1号もおやっさんがカフェを云々」
子安ケント「あ!悪いけどベガ、そっちの情報は、後にしてくれないか?」
ベガ「これは、大変失礼しました」
子安ケント「シャフリの言う通り、スタバはただの彼らの隠れ蓑の一つに過ぎず、裏で利用している者達がいるとしよう」
子安ケント「それなら、あいつらが、いつ来るかわからないのを待つしか、手掛かりは無いのか?」
シャフリヤール「いや、そうでもない。少なくともケントのおかげで、敵の組織の一旦は見えてきたし、彼らの場所も全くわからない訳じゃない」
子安ケント「シアトルへ行くと言うのかい?」
シャフリヤール「いや、留置所の中の1人に催眠術かけて、会ってからの記憶は消すが発信機は、いくつか仕込んで解放する」
シャフリヤール「そのまま追跡をベガにしてもらう。必ず、帰還するか、仲間との接触があるはず。その時を狙うのさ」
シャフリヤール「また、万が一に備えて、今回は1人だけの解放とする。逃げられた時に、催眠術で、向こうから位置をこちらに知らせる術もある」
子安ケント「おお!なんだか、次の動きが見えてきたな!よし、すぐに始めようか?」
ベガ「お待ちください。間も無く、リスグラシュー様がトレーニングとメディテーションから目覚めます。後一日、お待ちください」
シャフリヤール「そうか。では、本作戦は、リスグラシューにも理解してもらいたいからな。 作戦開始は、2日後にしよう」
子安ケント「じゃあ、俺は一旦、帰るとするよ。2日後に会おう」
シャフリヤール「泊まっていけばよいのに。 あーそうか! カオルさんに、よろしくなw」
子安ケント「あ、ああ、わかったよ」
〇ケーキ屋
渚 カオル「いらっしゃいませ! あら、ケントじゃない。 どうしたの?」
子安ケント「よ、よう。久しぶりだな」
渚 カオル「どうしたの? なんか、元気ないよ? それに久しぶりて、この間、会ったばかりじゃない」
子安ケント「あ、ああ。そうだったな。 そういえば、カオル、明日の夜、空いてるかい?」
渚 カオル「んー。18時過ぎであれば、空いてるよ。 あまり遅くまではいられないけど」
渚 カオル「もしかして、何か美味しいものでもご馳走してくれるの?」
子安ケント「あ、ああ。実は、ちょっとした臨時収入があったんだ。だから、2人で食事でもどうかなと」
渚 カオル「ぜんぜんOKよ! でも、シャフリヤールさんとか、リスグラシューさんは呼ばないの?」
子安ケント「いや、彼等は、色々、やることがあるらしいから。明日は、2人で行こう」
渚 カオル「うん、わかった。 じゃあ、明日の18時に駅前で、いい?」
子安ケント「ああ。構わないよ。 じゃあ、明日の18時に。 大切な話があるんだ」
渚 カオル「大切な話て何? あ!もしかして!? いや、明日、聞いた方が良いのよね?」
子安ケント「あ、ああ。 その方が都合が良いんだ。 今は話すのはやめておく。 じゃあ、また明日」
渚 カオル「(ケントにも心の準備が必要よね。、今、しつこく聞いたら、話す気無くなりそう・・・) 明日、美味しいご飯、楽しみにしてるね」
〇レストランの個室
渚 カオル「こんな素敵な店にケントが連れて来てくれるの、初めてだね?」
子安ケント「そうだったかな? たまには、良いかなと思ってさ」
渚 カオル「それで、話って?」
──ケントは、最近起きた、浜辺での闘い。昨日のシャフリ達との作戦会議について話した。
・・・大切な話があるって聞いたから、楽しみにしてたのに、予想の斜め上をいくのね
渚 カオル「そんな凄い事があったのね!驚いたあ。 これ以上、関わると、ケントも危険じゃないの?これまでは、偶々、無事だったけど」
子安ケント「そうなんだ。それでも、俺は、シャフリ達の役に立ちたい。それが、俺の宿命かもしれないからな」
子安ケント「大切な話はこれからさ。 明日、シャフリ達が、最初に捕まえた奴を1人解放する。その後、仲間との接触の時に俺達も接近する」
子安ケント「彼らの1人は、悪魔のような形態に変身して、もう1人は、攻撃魔法を使ってるんだ。だから、素手の奴らとは訳が違う」
子安ケント「だから、俺も無事に済む保証は無い。だから、最後にカオルとゆっくり話をしたかったんだ」
渚 カオル「そんな危険を、なんで、ケントが犯す必要があるの?おかしいよ!ケントが大怪我したり、死んじゃったら、私はどうなるの?」
子安ケント「カオル、落ち着いて。 奴らの目的は、まだわからない。 もしかしたら、闘う以外の道も、あるんじゃないかって、思ってるんだ」
子安ケント「勝利と敗北だけではなく、お互いの理解と尊重と協力。それは、時代や種族を超えて、可能性はあるんじゃないかと思うんだ」
子安ケント「最初にシャフリ達の船を見た時、恐怖が勝ったけど、結果は、シャフリ達は、良い奴らだった。先入観は、真実から離れさせてしまう」
渚 カオル「でも!そんなの!理想であって、海外では、いきなり銃で撃たれたり、食べ物に毒を入れたりしてる事だってあるんだから!」
子安ケント「そんな世界がある事も十分理解してるさ。それでも、相互理解は、俺の矜持として持ち続けたいんだ」
渚 カオル「もう、私が止めてもきかないんだよね。 だったら、せめて、必ず無事に戻ってきてね!これだけは約束して!」
子安ケント「ありがとう、カオル。 必ず無事に帰ってくるよ。 また、お前のケーキを食べさせてくれ。 それから、これは」
渚 カオル「え、何? 指輪?」
子安ケント「安物なんだけどさ。 カオルに預かっといて欲しいんだ。 これからの闘いの時に無くしてしまったら大変だから」
・・・デジャヴ?何処かで聞いたセリフだけど、頭が混乱してわからないわ!でも、とても、嬉しい!
渚 カオル「あ、ありがとう😊 大切に預かっておくね。 サイズピッタリだけどねw」
──トゥルルル、トゥルルル
ケントのスマホが突然鳴る。
子安ケント「はい、もしもし。 あー、シャフリ。急用かい? え?すぐに母船に来て欲しい? わかった、これから浜辺へ向かうよ」
子安ケント「じゃあ、行ってくる。 何かあっても、シェルターを使ってでも、必ず生き延びるんだぞ!」
渚 カオル「うん。 気をつけて、いってらっしゃい。 必ず、無事に帰ってきてね!」
〇研究所の中枢
シャフリヤール「やあ、急に呼び出して悪かったね。 実は、ベガから、リスも闘える準備をしてると聞いたんだ」
シャフリヤール「それなら、ケントにもメタモルフォーゼスーツを着て、慣れて於いてもらおうという結論に至ったのさ」
子安ケント「本当かい? 結構、気になってたんだよなあ。 でも、俺にも使いこなせるかなあ?」
ベガ「その点は、大丈夫です。 リスグラシュー様も彼女の筋肉量や能力に応じてカスタマイズしています」
ベガ「武術の心得があるケントの方が、より、対応し易いと予測してます」
シャフリヤール「じゃあ、早速、このベルトを腰に巻いてくれ」
子安ケント「え?ベルト? シャフリは、してないのに?」
ベガ「実は、シャフリヤール殿下の服は、メタモルフォーゼスーツが、通常タイプに変身している状態なんです」
ベガ「このままの状態でも、能力向上補佐等してるんですよ。しかし、ケント用のスーツをカスタマイズする時間がありません」
ベガ「かつての帝国の兵士用を誰でも身につけて、変身できるように改良したベルトです。どうぞ、試してください」
子安ケント「ほう。では、早速、試してみるか! へーんシン!!」
子安ケント戦闘スーツ「あ、あれ? これがスーツ! 髪型も変わってるようなんだけど? なぜ?」
ベガ「最近の日本での変身といえば、髪型が金髪に変化したりするものだと思って、その変化もするようにプログラミングしました」
ベガ「金髪には、ならなかったんですね。 調整し直しましょうか?」
子安ケント戦闘スーツ「い、いや。別にスーパー〇〇○人とか、目指してないから、これで良いよ」
リスグラシュー「では、ケント!私達の練習も兼ねて組手のトレーニングをいたしましょう!」
子安ケント戦闘スーツ「え?リスグラシューさんと? なんだか、やりにくいなぁ」
リスグラシュー「手加減無用です。 もしかしたら、スーツを着た殿下の強さより超えているかもしれませんわよ? ホホホホ」
子安ケント戦闘スーツ「仕方ない。いっちょやってみるか! リスグラシューさん、よろしくお願いします! ベガも、スーツの使い方をアドバイス頼む」