神格保持者の時間遡行

二幕 ナミク

プロローグ(脚本)

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〇明るいリビング
  それは、夏休みど真ん中のことだった。
神崎光希「ちょっと、おにぃ! テレビ見て! なんか大変なことになってるよ!?」
神崎天音「どうしたんだ? なんか凄いニュースでもあったのか?」
  そんなことを思いながらテレビを覗き込むと、思いもよらない光景が目に飛び込んできた。
神崎天音「・・・え?」
  『――事故発生から数十分が経過しましたが、現在もトーキョーでは避難誘導が続いています!』
  テレビに映っていたのは、夏休みにレジャー施設や海で楽しんでいる子供なんかの様ないつも通りの映像じゃなく・・・
  地獄のような惨状だった。

〇荒廃した街
  ビルが立ち並び、人で溢れていた筈のトーキョーは、瓦礫まみれの火の海へと変わり果てていた。
  『現在自衛隊や機動隊が対象の駆除を行っていますが、数が多く対処が追いついていません!』
  比較的瓦礫が少ない場所に自衛隊や機動隊の人達が集まって、銃を何かに向けて乱射している。
  その何かは、緑色の醜悪な小鬼のようなもの・・・
  アニメでよく見るような、ゴブリンによく似ていた。
  トーキョー全域及び周辺都市の方は今すぐシェルターに避難してくださ――っ!?
  あ、あれは!!
  グルオオオォ!!
  『――ドラゴン! ドラゴンです!!
   トーキョーを火の海に変えたドラゴンが、もう一体現れました!!』

〇明るいリビング
神崎天音「え・・・ドラゴンって・・・なんで・・・?」
  ラノベ等の創作物の中にしか存在しない、空想上の産物。
   その代表的存在のドラゴンが、
  口から火を吐きながら、トーキョーの上空を飛び回っていた。
  いや、それ以外にも大量のモンスターが画面に映っている。
神崎天音「なんだ、これは!? 昨日までは普通だったのに! たった一日で・・・」
神崎天音「いや、違う。たった数十分で、トーキョーはこんな惨状になったのか!?」
神楽坂瑠璃「――天音! 光希! テレビ観た!?」
神崎天音「あ、ああ。観てるけど、これは一体・・・?」
神楽坂瑠璃「...事故だ。とある科学者が現実世界に空想物を生み出す装置を作り出し、それの実験中に事故が起きた」
神楽坂瑠璃「もう、トーキョー中にモンスターが現れているよ」
神崎天音「・・・は? 空想物を現実に? 何だそれは・・・」
神崎天音「それに装置の実験だって? それが失敗しただけでこんなことが起こったのか?」
神楽坂瑠璃「見ての通りトーキョーは地獄絵図だ。早く避難するよ!」
神崎天音「ちょっと待てよ! 今トーキョーがやばいのは分かった!」
神崎天音「でも交通機関も麻痺してるだろうにこんな中どこに避難するんだ!?」
神楽坂瑠璃「・・・・・・そうだね。これは言った方がいいかな・・・」
神楽坂瑠璃「これから向かう場所は、天宮大学だよ」
神崎天音「天宮大学・・・?」
神崎天音「天宮大学・・・って言えば、ここから数駅分は離れている筈だ」
神崎天音「結構な距離があるが、わざわざ時間をかけてそんなところまで行く必要はあるのか?」
神楽坂瑠璃「他の近いとこより天宮大学の方が安全なんだよ」
神崎天音「そうなのか?」
神楽坂瑠璃「うん。天宮雨嶺っていう科学者がその大学にいて、その人が大学全域を電磁シールドで覆ってる」
神楽坂瑠璃「天宮大学よりも安全な場所は、もうこの世界にはないと思うよ」
神崎天音「・・・何故そんなことを知っているのかと聞きたくはなるが・・・この状況ではそうも言っていられないんだろう」
神楽坂瑠璃「さあ、説明はこれで終わり! 本当に大事なものだけ持ったらすぐに避難するよ!」
「わ、わかった」
  その瑠璃の言葉に、俺と光希は戸惑いながらも頷く。

〇郊外の道路
  瑠璃に手を引かれて家を出てから数分後、瑠璃は人通りの少ない道を郊外とは逆方向に走っていた。
神崎光希「瑠璃さん、大学に向かうと言っても、その間にモンスターに襲われるなんてことはある!?」
神楽坂瑠璃「無いとは言い切れない! だけどできるだけ遭遇しにくい道を選んでるつもりだよ!」
神崎光希「どうやって!?」
神楽坂瑠璃「音!」
神崎光希「この状況で!?」
  光希と瑠璃のテンポ良いやり取りが聞こえるが、状況はあまり良いものでもない。
  どこからともなく人々のざわめきや、銃声とモンスターの鳴き声らしきものが聞こえてくる。
神崎天音「瑠璃はそんな騒音を避けて走っているということだろうが、どこからともなく過ぎて方向なんて分かりはしない」
神崎天音「瑠璃も俺達と同じ学生の筈なのに、何故そんなことができるんだ?」
神崎天音「今回の事故についても何か知っているようだし・・・」
神崎天音「・・・・・・いや、瑠璃にも何か事情があるのだろう。それにいつか話してくれるだろう。瑠璃だし」
  グルォォォォオオ!!
神崎光希「ひゃあっ!」
神崎光希「ち、近くない!? 結構大きい声だよね!」
神楽坂瑠璃「・・・いや、元々声が大きいモンスターだと思う。距離はそこまで近くない」
神楽坂瑠璃「・・・だけど、思いの外来るのが早いな・・・道を変えたほうがいいか・・・?」
  瑠璃はそう言い、少し考えながら走っているようだ。
  そしてこちらに顔を向けて言ってくる。
神楽坂瑠璃「ごめん。天音、光希。 少し時間が無いから別の道を行く」

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