青星からの物体XX

おそなえひとみ

物体XX(脚本)

青星からの物体XX

おそなえひとみ

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〇宇宙空間
  広がる大宇宙
  そこにある辺境の惑星
  奇跡の青い星とも呼ばれる
  No.46億とんで3番

〇地球
  通称:地球
  この星から、一人の少女がエイリアン・アブダクションされた

〇国際会議場
  3日前
大統領「宇宙人達に新たな動きがあった」
大統領「人間を1人差し出せ、だそうだ」
大統領「残念だが、この要求を我が国は呑むことはできない」
総理大臣「それで、条件を呑まなければどうなると?」
大統領「星は滅びる、と」
総理大臣「交渉の余地はないのですか?」
大統領「交渉するより、条件を呑む方が簡単だ」
大統領「我が国でなくても、他の国が呑めば良いからな」
大統領「生贄は日本から出してくれ」
大統領「武器も金も出さないなら、せめて人的資源は出してくれんとな」

〇らせん階段
総理大臣「全く信じられん話だよ」
総理大臣「人間を1人差し出せと、世界の首脳が寄ってたかって言うのだからな」
総理大臣「怒りが抑えられんよ!!」
秘書官「総理、怒りどころか正体も漏れ出てしまってますよ」
総理大臣「あぁ、すまない」
秘書官「誰かに見られたら国際問題ですからね」
総理大臣「しかし、どうするかね?」
総理大臣「相手はコスモファミリー評議会だ」
総理大臣「相手に悪意がないことは知っているが、誰を選出したものか・・・」
秘書官「要望は、家族を演じられる子供役」
秘書官「指定は、染色体がXXの人間」
秘書官「少女を選べば良いだけでしょう?」
秘書官「適役を選出しておきますよ」

〇総合病院

〇病室のベッド
薬師寺三依(みより)「私だけでも助かって良かったね・・・」
薬師寺三依(みより)「そんなわけない・・・」
薬師寺三依(みより)「全然、そんなわけないよ・・・」

〇葬儀場
親戚A「誰があの子を引き取るんだ?」
親戚B「ウチは無理よ」
親戚A「俺の家だって無理だ」
親戚B「じゃあ、養護施設で良いんじゃない?」
親戚A「それが公平で、誰にも迷惑かけないよな」
薬師寺三依(みより)(私が居ると迷惑なんだ・・・)
薬師寺三依(みより)(パパ、ママ・・・)
薬師寺三依(みより)(私も一緒に居たかったよ・・・)

〇墓石
薬師寺三依(みより)「どうしたら、パパとママの所へ行けるかな・・・」
秘書官「風邪をひきますよ」
薬師寺三依(みより)「風邪になってもいい」
秘書官「風邪じゃ、中々死ねないですよ」
薬師寺三依(みより)「じゃあ、どうすれば楽に死ねるのかな?」
秘書官「そうですね」
秘書官「宇宙人に身を任せてみてはどうでしょうか?」
薬師寺三依(みより)「宇宙・・・人?」

〇地球
薬師寺三依(みより)「地球だ・・・」
薬師寺三依(みより)「本当に青い・・・」

〇宇宙空間
薬師寺三依(みより)「宇宙人か・・・」
薬師寺三依(みより)「解剖されちゃうのかな」
薬師寺三依(みより)「痛いのは怖いな・・・」

〇宇宙戦艦の甲板
  青星からの物体XXが乗った船艇
  着艦を確認。
  物体XXは前に進みなさい。

〇コックピット

〇コックピット
薬師寺三依(みより)(この人達が宇宙人)
薬師寺三依(みより)(やっぱり怖い)
ヌメノン「はじめまして、僕はヌメノン」
ヌメノン「君は?」
薬師寺三依(みより)「わ、わたし薬師寺三依」
メカニカ「名前、長い」
メカニカ「メカニカ覚えられない」
トリータ「地球のテラに薬師寺の寺!!」
トリータ「ならばテラちゃんと呼んでは如何でしょうか!?」
テラ「テラちゃん・・・」
「決定!!」
メルシア「アンタ達、慣れ慣れしすぎやしないかい?」
ヌメノン「でも、これから僕達家族になるんだよ」
メルシア「あー、ドラマ上ではね」
メカニカ「念願の妹、メカニカ嬉しい」
メルシア「なんでアタシがママ役なんだよ」
メカニカ「メカニカ知らない」
メカニカ「でもメルシアも母の役割、全うしろ」
テラ「あの、どういう事ですか?」
メルシア「ん、事情を聞いてないのかい?」
テラ「わ、私を殺してくれるって聞いて・・・」
トリータ「そんなことしないクワァーッ!!」
テラ「ゴ、ゴメンなさい!!」
メルシア「こらこら、泣いちゃったじゃないか」
ヌメノン「そんな怖いこと、ヌメノンにはできないよ」
メカニカ「命、大事に。 メカニカからは以上だ」
ヌメノン「本当に僕達が殺してくれるって聞いたの?」

〇墓石
秘書官「では、人間ではない存在に身を任せてみてはどうでしょうか?」

〇コックピット
テラ「言ってない・・・」
テラ「嘘ついたんだ」
テラ「でも、地球を滅ぼしちゃう悪い人達なんでしょ?」
メルシア「どこで、そう解釈されたのやら」
メルシア「滅びるとは言ったけど、地球じゃなくて他の星々のことだよ」
テラ「どう言う事?」
ヌメノン「文明が進化すると、それに伴い個の意識も進化するんだ」
ヌメノン「そうすると個に執着しすぎる余り、家族を大事にしなくなる」
メカニカ「家族はバラバラ」
メカニカ「自分だけ大事」
メカニカ「子供産まないから、種として衰退する。 分かったか、妹?」
メルシア「それに危機感を覚えた我々は、コスモファミリー評議会を設立した」
メルシア「もう一度、家族として生きる素晴らしさを普及しようとな」
メルシア「その解決策が、ファミリードラマを作成しユニバースチャンネルでの宇宙同時放映」
メルシア「バカげた方法だけどね」
テラ「あの、どうして私が選ばれたのか理由が分からないんですが・・・」
メルシア「アタシも知らないよ」
メルシア「人間が勝手に選んだんだもの」
トリータ「こちらの要望は、妹役ができるXX染色体を持つ幼体とだけでクワァッ!!」
トリータ「あ、申し遅れました」
トリータ「ペット役を務めさせて頂く、トリータでございます」
ヌメノン「僕はパパ役のヌメノン」
メカニカ「兄役のメカニカだ、妹よ」
メルシア「で、母親役のアタシ メルシアって訳」
テラ「そんなこと言われても・・・」
テラ「家族ごっこなんて無理です・・・」
テラ「パパとママが死んだ私に、そんな役を押し付けるなんてヒドイよ」
メルシア「そう、分かった」
メルシア「無理なら別に良い」
メカニカ「メカニカ達だけでやるのか?」
メルシア「仕方ないでしょ」
メルシア「やる気がないんだから」
メカニカ「妹が欲しかったメカニカは残念・・・」
ヌメノン「無理強いはできないよ」
ヌメノン「地球に帰る?」
テラ「帰る場所がない・・・」
ヌメノン「じゃあ、ここにいなよ」
ヌメノン「お部屋はすぐに用意できるから」

〇宇宙船の部屋
テラ「なんで、こんなことになっちゃったのかな・・・」

〇コックピット
メルシア「さてと、どうしたものかね」
トリータ「アドバイザーが居ないのは困りますな」
トリータ「我々は、家族がなんたるかを忘れてしまったのですからあぁっ!!」
メルシア「うるさい、静かにしろ」
メルシア「家族が死ぬと、喪失感を抱くとは聞いている」
メルシア「自分のことではないのに悲しむとは、不思議なことだがな」
メカニカ「再起動までに時間かかるか?」
ヌメノン「そういうことだよ、きっと」
ヌメノン「でも様子は見に行ってあげようよ」
ヌメノン「家族って、そう言うものだって聞いたから」

〇宇宙船の部屋

〇コックピット
メルシア「なるほど。 励まそうとしたけど、ダメだったのね」
メルシア「良いんじゃない、ほっといて」
メルシア「お腹が空けば、その内に部屋から出て来るわよ」
「それだ!!」
メルシア「みんな過干渉で、バカみたい」
メルシア「はぁ・・・」

〇宇宙船の部屋
テラ(お腹、空いたな・・・)
メカニカ「妹よ、損傷はないか?」
テラ「妹じゃない」
メカニカ「冷却水が漏れ出ているぞ」
テラ「そんなの流れない」
メカニカ「エンジンオイルを飲むか、妹?」
メカニカ「元気出るぞ」
テラ「いらない」
メカニカ「扉の前に置いておくから、ちゃんと食べてね」
メカニカ「確か、こういえば正解」
テラ「それは、お母さんのセリフ」
メカニカ「さすがだ、妹よ」
ヌメノン「きっと、メカニカのは食べられないと思って」
ヌメノン「こんなモノしか作れなかったけど・・・」
メルシア「しまった・・・」
メルシア「来るのが早すぎた」
メルシア「その、なんだ・・・」
メルシア「人間の口に合うかは分からんが 食べ物を持ってきた」
メルシア「なんか、その辺に用意されていたからな」
メカニカ「メルシア、素直じゃない」
メルシア「う、うるさい!!」
メルシア「た、食べられそうか?」
テラ「ちょっとだけ・・・」
テラ「美味しくない」
テラ「ふふっ」
テラ「美味しくないよ」
ヌメノン「あははは」
メルシア「だよねぇ」
テラ「ねぇ、どうして私に構ってくれるの?」
メルシア「それはその・・・」
トリータ「家族になりたいと思いますからあぁぁっ!!」
メルシア「う、うるさいよ!! トリータ!!」
テラ「私が居ても迷惑じゃないの?」
メカニカ「何故、迷惑に思うと考えるのだ、妹よ」
テラ「そう、言われたから」
ヌメノン「そんなことを言うのは、家族になる資格のない人達だと思うな」
ヌメノン「一緒に居ようって言うのが家族でしょ?」
テラ「そんな風に言われたことない・・・」
テラ「でも、ずっと一緒にいるものだと思ってた」
ヌメノン「じゃあ、僕は一緒に居たいと思ってるから家族だ」
テラ「えーっと、でも一緒に居たいと思うのは家族だけでもなくて・・・」
テラ「なんて言ったら良いのかな・・・」
トリータ「家族とは難しいものですなあぁっ!!」
メルシア「だからアンタはうるさいんだって」
メルシア「地球人は、血の繋がりがなくても家族と呼び合うことがある」
メルシア「稀な種族だ」
メルシア「だが、気持ちを理解したい」
メルシア「家族とは関係なしに、もう少し一緒に居てみたら理解できるかもしれないんだ」
メルシア「ダメか?」
テラ「ダメじゃない、と思う・・・」
ヌメノン「いつかは本当に家族と思ってくれると良いよね」
メルシア「そうやって変に意識させるのは禁止!!」

〇実家の居間
トリータ「撮影スタートォッ!!」
テラ「メルシアの料理は美味しくないから食べたくない」
メルシア(セリフと違うんだけど・・・)
テラ「でも美味しくない」
ヌメノン「ママは料理下手だもんね」
テラ「ヌメノンも下手だよ」
メカニカ「やはり天然物のオイルに限るな 妹よ」
テラ「絶対に飲みたくない!!」
トリータ「心理的ショックで メカニカが爆発しましたぞぉっ!!」
メルシア「ペットはしゃべるな!!」
トリータ「ニャァーン!!」
テラ(パパ、ママ・・・)
テラ(私は変な人達に囲まれています)
テラ(でも、温かい人達です)
テラ(もうちょっとだけ頑張ってみようと思うので、すぐには会いにいけなそうです)
メルシア「これじゃ放映がいつになるか分からないわね」
トリータ「放映できるまで 撮りなおしますぞおぉっ!!」
メルシア「だからペット役はしゃべるな!!」
トリータ「ワオーンッツ!!」
テラ(だから 見守っててね)

コメント

  • 宇宙人たちがみんな優し過ぎてっ!!!!!!✨外見とのギャップがあって、より一層癒されました✨

    そして、みんなワイワイしてる姿に心が温まりますね✨😍ツンデレ女子も可愛いです✨

  • トリータいい味出してますね😄
    個を大事にすることで絶えてゆく血筋、ハートフルな空気の中でヒヤリとなる現実が良かったです。

  • ハートフルでチャーミングな世界観がテンポよく展開されてて面白かったです❗️
    茶の間で撮影してるのも何か良いですね😄

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