『私達、現代忍者ガール!』

サブ

私の正体は――(脚本)

『私達、現代忍者ガール!』

サブ

今すぐ読む

『私達、現代忍者ガール!』
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇大きな木のある校舎
  私の名前は砂座森椿(さざもりつばき)
  『普通』の高校二年生だ。
  友人「椿ー、明日カラオケいかねー?」
砂座森椿「いいね! あ、そうだ! 北方先輩も呼んでよ!」
  友人「椿、本当、北方先輩好きだよねー。早く告ったらー?」
砂座森椿「いやー。だってフラれたら絶対学校行きたくなくなるし」
  友人「大丈夫だって、椿可愛いし。あ、それとさー」
  と、こんな風に普通の高校生だ。
  好きな先輩もいるし。青春の学園生活を楽しんでいる。
  そう、『あの頃』の私とは違うのだ。
砂座森椿「・・・」
  だけど、私にはある悩みがある。
  私は背後の電柱に視線を向けた。
  ・・・
大琴ハチ「はぁはぁ・・・」
  友人「椿、どうしたー??」
砂座森椿「あ、うん、なんでもなーい」
  こうして私は気づかなったふりをして友達と先に進む。
砂座森椿「・・・」
  もう一度、ちらりと後ろを確認する。
  忍者服をまとった少女がじっと私を見ていた。
  ・・・そう
  私は『忍者』にストーカーされている。

〇公園の砂場
  私は友達と分かれて、人気のない公園に入った。
砂座森椿「隠れてても分かってるから! さっさと出てきなって!」
  ――ザッ
大琴ハチ「椿様! お久しぶりです!」
  忍者服の少女は勢いよく私に抱きついてきた。
  私にまとわりつく彼女はまるで犬みたいだ。
  この少女の名前は大琴ハチ。
  一応、私の妹分みたいな子だ。
砂座森椿「あのさぁ・・・」
大琴ハチ「はい、なんですか椿様!?」
砂座森椿「あんまり目立って欲しくないんだけど・・・」
大琴ハチ「もちろんです! 私達は忍びですからね!」
砂座森椿「声がでかいっての!」
  正直、彼女の行動は忍にしてはバレバレだった。
  もはやわざとやっているとしか思えない。
砂座森椿「はぁ・・・」
大琴ハチ「ほら、椿様ため息が出てますよ!」
大琴ハチ「きっと都会にお疲れなんです!」
大琴ハチ「私と一緒に里に戻りましょうよ!」
砂座森椿「絶対に嫌!!!!!!!!!!」
大琴ハチ「そ、そんなぁ・・・・・・」
大琴ハチ「ほら、お頭も帰ってきて欲しいって言ってますし・・・」
  そう言ってハチは私に手紙を渡してきた。
  中を開けて読んでみる。
  『帰って来てよぅ・・・悪い所全部直すからぁ・・・』
砂座森椿「メンヘラの彼女か!!!」
  私はお頭の手紙をビリビリに破った。
大琴ハチ「ああ! 折角持って来たのに!」
大琴ハチ「うわーん! 椿様、一緒に最強の忍者になるって誓ったじゃないですかぁ・・・!」
  そう言うと彼女はいよいよ泣き始めた。
  こんなことで忍が務まるのだろうか・・・?

〇農村
  ――とある山奥にある隠れ里
  そこが私の生まれ故郷だった。
  この里は砂座森一族という忍によってなりたっていた。
  砂座森一族の仕事は諜報、潜伏、暗殺などなど多くの汚れ仕事だった。
  そして、私のお父さんは砂座森一族の頭領だった。
  だから、幼いころから私は修業させられたし、家業を手伝わされた。
  ――そんなある日
  家出をして、この里にやってきたのがハチだった。
  ハチは熱意はあったけど、体力も才能が無かった。
  だから入門試験で落とされるはずだった。
  だけど、最近は年中定員割だったので、入門を許されてしまった。
  そんなハチの世話は私がすることになった。
  そのせいか、彼女は私に無駄になついている。
  一方で、私は忍者稼業に嫌気がさしていた。
  恋愛をしたり、友達と放課後他愛もない会話をして、買い食いして帰る。
  私はそんな学園生活にあこがれていた。
  そして、ある任務で街に出た時──私は逃げ出した。
  こうして私は『普通』の高校生になった。

〇公園の砂場
砂座森椿「ってことで、私はもう帰らないってお父さんに伝えて」
大琴ハチ「嫌ですー! 絶対に怒られちゃいます!」
砂座森椿「ほら飴あげるから!」
大琴ハチ「ぐすん、甘い・・・美味しい・・・」
  ポケットに入っていた飴をあげるとハチは泣きやんだ。
砂座森椿「はぁ・・・こんなことじゃ忍はつとまらないよ・・・?」
大琴ハチ「へへーん。実は他にも仕事を任されたんですよー」
砂座森椿「え!?」
  ハチが仕事を任されるなんて滅多にないから驚いた。
  任されても大抵お使い程度だった。
砂座森椿「一体どんな仕事なの?」
大琴ハチ「暗殺です!!!!」
  ハチは嬉しそうに叫んだ。
砂座森椿「・・・」
  ・・・滅茶苦茶心配だ
  そもそも任務をあっさりとバラす時点で忍失格だ。
  暗殺なんて重大任務、絶対に無理だ。
砂座森椿「・・・仕方ないわね」
砂座森椿「里には戻らないけど、仕事は手伝ってあげる」
大琴ハチ「本当ですか!?」
  私も甘いわね・・・
  だけど流石にほっとけない。
大琴ハチ「やったー! ありがとうございます!」
  ハチは犬みたいに私の周りをぐるぐると走りまわって喜ぶ
  ──パサり
  と、その時、一枚の写真が地面に落ちた。
砂座森椿「え?」
砂座森椿「これって北方先輩・・・?」
  その写真に写っていたのは私が密かに恋心を抱いている北方先輩だった。
大琴ハチ「ああ、この人が暗殺のターゲットです!」
砂座森椿「え、ええっ!?」
大琴ハチ「この男は裏社会のフィクサーの息子で、多くの組織に命を狙われてるんですよ!」
大琴ハチ「けど、絶対私が殺ってやります! 他の組織に遅れはとりませんから!」
  ぺらぺらとハチは語る。
砂座森椿「・・・なるほどねー」
砂座森椿「・・・ハチ、この任務は罠よ」
大琴ハチ「え、ええええっ!?」
砂座森椿「この任務の本当の目的はターゲットの護衛よ。間違いない」
大琴ハチ「ほ、本当ですか・・・?」
大琴ハチ「けど、椿様が言うなら・・・」
大琴ハチ「きっとそうなんですね! 流石、椿様!」
砂座森椿「ちょろい」
大琴ハチ「ん? 何か言いました?」
砂座森椿「気のせいでしょ」
砂座森椿「じゃ、さっさと行くわよ!」
大琴ハチ「はい!」
  私とハチは家々を飛び越えて街を行く―ー
  こうして私は恋心を忍ばせ、愛する人を守ると誓ったのだった。
  おわり

コメント

  • ハチは名前のとおり椿への忠犬ぶりがすごいですね。この世で一番忍者に向いてない子みたいだけど、どこか憎めない。この二人が都会で繰り広げるドタバタ忍者騒動記を見てみたいです。

  • ハチ、この先、敵にやられてしまわないか心配です!笑
    声が大きいのとか任務をペラペラ喋っちゃうのとか
    こちらから見ている分にはとても可愛いのですが…♡笑

  • お頭の手紙の内容に吹きましたw
    それにしても、ハチのポンコツっぷりが可愛くて仕方ないですね。ダメな子だけど愛されキャラ感が強くて!

成分キーワード

ページTOPへ