笑顔の約束(脚本)
〇貴族の部屋
じいや「・・・くれぐれも、お身体にお障りないよう、お過ごしくださいませ。アリアお嬢様」
アリア「わかっているわよ、じいや」
じいや「さようでございますか」
じいや「では、私は失礼いたします」
じいや「なにかございましたら、いつでもお呼びくださいませ」
アリア「・・・はぁ」
アリア「書斎に行きましょうか、ペンタン」
〇要塞の廊下
アリア「今日はどの本を読みましょう・・・」
アリア「・・・といっても、もう全て読んだことのある本なのですよね・・・・・・」
アリア「・・・ペンタンは、どの本が好きなのかしら?」
アリア「・・・・・・」
アリア(・・・・・・ペンタンとお話しできたらよかったのに・・・・・・)
〇古書店
アリア「・・・着きましたよ、ペンタン」
アリア「・・・・・・!?」
やお「・・・・・・」
アリア「ど、どちら様ですの・・・?」
やお「あっ、やっと来た!!」
やお「はじめまして、アリアちゃん!!」
アリア「・・・・・・どうして」
アリア「私の名前を知っているのですか?」
やお「えへへー、それはねー・・・・・・」
やお「魔法使いだから!!」
アリア「魔法使い・・・・・・?」
やお「そう!」
やお「といっても、まだ見習いなんだけどね」
やお「そうだ、自己紹介!」
やお「私はやお」
やお「やおって、呼んで」
アリア「やお・・・・・・さん」
やお「はい!」
アリア「えっと・・・その、」
アリア「不思議なお召し物は何かしら」
やお「これ?」
やお「制服!学校の制服だよ!」
やお「私、学校行きながら魔法使い見習いしているんだ」
アリア(学校・・・・・・)
アリア(同じくらいの年の子が集まり学ぶ場、と聞いていましたが)
アリア(お揃いのお洋服もあるのですね・・・・・・)
アリア「そうなのですね」
アリア「それから、やおさんは、」
アリア「どうやってこの屋敷に入られたのですか?」
やお「魔法!」
アリア「なぜ・・・」
アリア「うちへいらっしゃったのです?」
やお「アリアちゃんに会うため!」
アリア「・・・私に?」
やお「そう!」
やお「アリアちゃん、ここにある本、」
やお「全部読んだんだって?」
やお「すごいね!!」
アリア「ど、どうしてそれを・・・・・・」
やお「魔法使いですから!」
やお「私もね、見習い卒業するために、」
やお「たくさん本を読まなきゃいけないんだけどね」
やお「難しくて、なかなか進まないんだ・・・・・・」
アリア「私は・・・・・・時間があったので・・・」
やお「そんなアリアちゃんにプレゼント!!」
やお「・・・って、あれっ?」
やお「魔法が・・・・・・」
アリア「あの・・・・・・」
やお「なあに?」
アリア「やおさんは、どうして」
アリア「魔法使いになろうと思ったのですか?」
やお「・・・・・・」
やお「たくさんの人に、笑っていてほしいから!」
やお「私ね、小さい頃に、ちょっとした病気で」
やお「どこにもいけなくて、つらかったことがあったんだ」
アリア「やおさんも・・・・・・」
やお「うん」
やお「そのときにね、」
やお「魔法使いに会ったんだ」
やお「一緒に遊んでくれたり、」
やお「病気は治るよって、勇気づけてくれたり」
やお「その魔法使いは、いつのまにかいなくなってたんだけど」
やお「その後すぐに病気、治ったんだ」
やお「それが、嬉しくて」
やお「あの人みたいに誰かの心の支えになりたくて」
やお「私も、魔法使いになりたいって思ったんだ」
やお「それで、どうにかもう一度会えないかって、」
やお「色々調べていたら・・・・・・」
やお「なんかうまくいって魔法使いみならいになれちゃった!」
アリア「・・・そうだったのですね」
やお「うわっ!!」
やお「できた!」
やお「はい!魔法使い特製の本セット!」
アリア「あ、ありがとうございます・・・」
やお(あれっ・・・)
やお(本が好きな子なんだと思ってたけど・・・・・・)
やお(違う・・・・・・?)
やお(どうしたらもっと、笑ってくれるかな・・・・・・)
アリア「あの・・・・・・」
アリア「この作品、なんですか?」
やお「それは、『スター・ロード』」
やお「主人公の女の子が、仲間を集めて大冒険するお話だよ」
アリア「仲間・・・・・・」
やお(・・・そうか!)
やお(アリアちゃんが本当に望んでいることって・・・!!)
やお「あっ、時間が・・・・・・」
アリア「もう、帰られるのですね・・・」
やお「うん」
やお(でも、その前に)
アリア「どうしましたか?」
やお「私と友達になろう。アリアちゃん!!」
アリア「とも・・・だち・・・?」
やお「うん!」
やお「私、まだ見習いだから、自由に遊びに来ることはできないけれど」
やお「立派な魔法使いになって、またここに来る」
やお「また会いに来る」
やお「今日よりももっと、たくさんお話しよう!」
やお「約束、アリアちゃん!!」
アリア「・・・・・・」
やお「アリアちゃん?」
アリア「・・・約束」
アリア「約束します!!」
アリア「また、絶対、いらしてください!」
アリア「このいただいた本、全部読んで待ってます!」
アリア「だから・・・その・・・・・・」
アリア「私と、友達になってください!!」
やお「もちろん!!」
やお「じゃあ、行かなきゃ・・・」
やお「またね、アリアちゃん!!」
アリア「はい・・・」
アリア「また会いましょう!」
────
アリア「・・・・・・」
アリア「やおさん・・・?」
アリア「まさか、夢・・・?」
アリア「違う」
アリア「ちゃんとやおさんにいただいた本がある」
アリア「夢じゃない」
アリア「ふふっ」
アリア「”またね”だって」
アリア「楽しみだなぁ」
アリア「きっと、また会えますよね」
アリア「ねっ、ペンタン!」
アリア(約束ですからね、やおさん!)
何不自由ない生活をしていても友達だけはお金で買えませんものね。やおさんが気づいてあげてよかった。いつかやおさんの魔法でペンタンが話せるようになったりして…。
やおさんが、制服姿の魔法使いなところが可愛かったです。アリアちゃんのセリフから、学校という場所で集団生活をしたことがないことが伺えて、可哀想だなあと思いましたが、これからの2人の展開に、ワクワクする出来事が訪れることを期待しています。
やあさんが登場時から感じるブレない明るさや、元気さに思わずクスッと笑いそうになりました。制服で学校に通いながら魔法使い見習いをしているというのも実際に現代ならこんな感じになるのかな?と想像が膨らみました!
面白くて、心温まる素敵な内容だと思います!
これからも頑張って下さい!