ようこそ僕の村へ

白井涼子

エピソード2(脚本)

ようこそ僕の村へ

白井涼子

今すぐ読む

ようこそ僕の村へ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇田舎の役場

〇古い施設の廊下

〇役場の会議室
職員A「とにかく、人の流出を止めないと」
職員B「流出以前に、そもそも増やさなきゃ意味がないだろ」
職員A「簡単に増やすとか言うなよ!」
  そう言って、自分の頭部を撫でる職員A。
職員B「す、すみません」

〇役場の会議室
佐々木「みんな必死だねー」
桃井太郎「ここで山田村長にアピールして、リストラ候補から逃れたいんでしょうね」
  桃井、上座に堂々と座る男を見る。
山田「・・・・・・」
佐々木「そうなの? え、えっと・・・ はい、はいはい!」
山田「・・・・・・」
佐々木「えーっと、そのー・・・ そうだ、葉っぱを売ろう!」
桃井太郎「・・・どっかの真似ですよね」
佐々木「だってうちの村、特に名物とかないし・・・あるの山と川と、どこにでもある田舎の風景だし・・・」
桃井太郎「どこにでもある田舎・・・それを上手く利用できれば・・・」
桃井太郎「空き家もいっぱいあるから、古民家で宿泊体験とか!」
佐々木「それをどうやってアピールするかだよねー。まずは村の存在を知って貰わないと・・・」
山田「・・・・・・」
  二人の会話をよそに、山田村長は壁に貼られたポスターを見ている。
山田「・・・・・・」
桃井太郎「・・・有名人か何かよんで、アピールしてもらうとか」
山田「いいねー」
  山田村長の言葉に、盛り上がる一同。
佐々木「テレビに出てるような人は呼べなくても、今はネットや地下とか、アイドルもいくらでもいるし」
  ポスターを指差す山田。
山田「こういう子、呼べないの? カワイ子ちゃん」
佐々木「誰か一人くらい、いるんじゃないの?」
  頭を悩ませる職員たち一同。
  ブー・・・ブー・・・
桃井太郎「!」
桃井太郎「今日は田舎歩きか・・・あっ」
佐々木「いるの?」
桃井太郎「えっと、アイドルではないですけど」
桃井太郎「知り合いで、所謂インフルエンサー的な人が、ちょっと田舎歩きというシリーズをやってて」
桃井太郎(知り合いと言っても、僕のネット上での仮の姿『ルミト君』の知り合いなんだけど)
佐々木「ネットで紹介してもらえたら最高じゃない」
佐々木「いつも携帯で見てる美人さん? 田舎歩き? ピッタリじゃない」
桃井太郎「はい・・・でも都内に住んでいるOLさんで」
山田「桃井君、行っておいで」
桃井太郎「!」
山田「もうすぐ夏休みだし、きっと有給もあるよー。大丈夫、連れてきて」
桃井太郎「・・・・・・」

〇田舎の駅舎
運野遊造「ふぁ〜あ」
  一台のタクシーから、運野遊造(うんのゆうぞう)があくびをしながら出てくる。
田中次郎「遊造さん」
運野遊造「田中も休憩か?」
田中次郎「今日も暇っすね〜」

〇田舎駅の待合室
  柴山幸之(しばやまゆきのり)が、ベンチに座って時刻表を読んでいる。
  『指名手配中の連続殺人犯ですが、未だ逃亡を続けており——』
田中次郎「怖ーな。連続って、何人殺したら連続なんだろうな」
柴山幸之「・・・・・・」
運野遊造「よう、柴ちゃん。 何読んでんだ・・・時刻表?」
運野遊造「そんなの見なくったって分かるべ。電車は一時間に一本しかねぇ」
柴山幸之「・・・・・・」
  柴山、時刻表の表紙を二人に掲げる。
運野遊造「・・・東京の時刻表? なんでそんなもの見てんだ?」
柴山幸之「今頃、桃井のタロちゃんがよ・・・」
田中次郎「そう言えば、東京に出張——」
柴山幸之「村をアピールしてもらうのに、有名人連れてくるって!」

〇駅前ロータリー
桃井太郎(連れてこいって言われても、どうやって声をかければいいんだろ・・・)
松平大吉「あんた、さっきからウロウロと、何やってんの?」
桃井太郎「!」
桃井太郎「べ、別に怪しいもんじゃないですよ」
松平大吉「十分怪しいけど・・・」
松平大吉「観光? だったらさ、これ見に来てよ」
桃井太郎「俳優さんですか? 劇団ソラマメ・・・」
桃井太郎「ってもしかして、リリーさんが昔在籍してたあの劇団ですか!?」
松平大吉「リリーを知ってるのか?」
桃井太郎「もちろん!」
  とポケットを探る桃井。
松平大吉「・・・あんたもそれを見て、来た?」
桃井太郎「・・・あんたも?」
松平大吉「いや・・・」
松平大吉「はっ! 隠れろ!」

〇駅前ロータリー
  ——パシャッ
奥谷百合「♪」

〇駅前ロータリー
桃井太郎「本物だー。 やっぱり綺麗だな〜」
松平大吉「だな〜」
桃井太郎「松平さんも、リリーさんに会いに?」
松平大吉「ちげーよ! 俺は連絡先知ってるし・・・」
松平大吉「チラシ配ってるだけだし」
桃井太郎「ふーん、偶然ねぇ・・・」
桃井太郎「あっ! 行っちゃう!」
松平大吉「ちょっと待てって!」
桃井太郎「何ですか?」
松平大吉「いや、その・・・声かけるの?」
桃井太郎「いけませんか?」
松平大吉「ファンで、つぶやき見て張ってましたって?」
桃井太郎「・・・・・・」
松平大吉「それ軽いストーカーだよー! 怖くなーい?」
桃井太郎「追っかけという言い方もあります」
松平大吉「・・・リリーはそういう、しつこいファンが好きじゃない。嫌われるぞ?」
桃井太郎「うー、僕はちゃんと用があって来たんです! ストーカーでも追っかけでもありません」
松平大吉「向こうからすれば、同じなんじゃない?」
松平大吉「ネット見て追っかけてきたって事実は、変わらないんだから」
  駅の方へと消えていく百合。
桃井太郎「!」
桃井太郎「放して下さい!」
松平大吉「ちょ、おい——」
  百合の後を追いかけていく桃井。
松平大吉「・・・・・・」

次のエピソード:エピソード3

成分キーワード

ページTOPへ