転校するにはうってつけの日

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転校するにはうってつけの日(脚本)

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〇教室
担任教師「今日で白鳥沢が転校するのはみんな知っているな?」
担任教師「放課後のホームルームはお別れ会を開こうと思う」
  ついにこの日が来た。
  白鳥沢レイコの転校日だ。
  ここを乗り切れば次に行ける。
  慎重にことを進めなければならない。
  間違えれば振り出しに戻ってしまう。
担任教師「それじゃあ、白鳥沢に最後の挨拶をしてもらおうか」
白鳥沢レイコ「今まで本当にありがとう。 田中さんたちと出会えてよかった」
白鳥沢レイコ「・・・」
  今回はずいぶんシンプルな挨拶だな。
  ここは手堅くいくべきか。
田中908「ぼくたちも白鳥沢さんと別れるのは悲しいな」
白鳥沢レイコ「ほんとうです?」
白鳥沢レイコ「変だと思われるかもしれないけれど、なんか前にもあったような?」
白鳥沢レイコ「夢でみたような・・・ これがデジャブっていうのかな?」
白鳥沢レイコ「毎日こういうことがあるんだよね」
  スクリプト解像度が上がってきているな。
  なるべく話さないようにしないと厳しいかもしれない。
  余力はあと1000文字もないかもしれないな。この言語が最適だし、今から変更もできないこともないが。
  いや。するべきじゃないな。このまま進めていこう。
田中908「・・・ まぁ、そういうこともあるかもな」
白鳥沢レイコ「そうね、変なこと言ってごめんなさい」
担任教師「白鳥沢! この一年で一番思い出に残っていることはなんだ?」
  なるべく思い出させないようにするべきだが、どうすればいいか。担任は単純な虚無回路だがそれでも変化は多少あるようだし。
白鳥沢レイコ「うーん、そうですねー」
  あまり間をもたせても解像度が上がってしまう。
田中908「実は昨日モジャノフィーを見かけたんだ」
白鳥沢レイコ「もじゃ?何それ?」
田中908「もじゃもじゃしてて、ころころしてる感じの生き物だよ」
白鳥沢レイコ「えー!何それ!見てみたい! どこで見たの?」
田中908「えーと、校庭だったかな」
  まずいな。
  田中908はもう限界だ。
田中34「じゃあ、みんなで校庭に行ってみよう!」

〇田舎の学校
  これで少しは時間を稼げたな。
  このままモジャノフィーを探しているふりをしていればクリアーできるだろう。
白鳥沢レイコ「もじゃもじゃどこかなー?」
白鳥沢レイコ「なんかこうやってみんなで探していると、文化祭とか思い出すね」
  まずいな。文化祭はデータ容量が大きい。
田中34「そうか? それよりモジャノフィー探そうぜ!」
白鳥沢レイコ「そういえばモジャノフィーってどんな色? 大きさは?」
田中908「それは・・・」
  田中908は最適化されたか。
  このくらいは想定の範囲内だ。
田中34「えーっと、白っぽくて結構大きいよ」
白鳥沢レイコ「そうなんだ!」
白鳥沢レイコ「そういえば、文化祭の時にみんなで作ったのって校庭に置いてあったよね・・・、あれ、違う?」
  まずいな。記憶の重複が起こっている。
  複数の記憶の想起はかなり危険だ。
田中709「白鳥沢!!」
白鳥沢レイコ「え?はい!急にどうしたの?田中くん?」
田中709「実は俺は・・・」
  もうこれを使うしかない。
田中709「白鳥沢のことが・・・」
  データ容量や解像度のことを考えるとこの方法はかなり危険だ。しかしこれは賭けだ。
白鳥沢レイコ「うん・・・」
  これは間違えることはできない。最大で13億光年の遅延が起きる。
田中709「初めて会ったときから・・・」
白鳥沢レイコ「あ!あれ!あれ見て!」
モジャノフィー「ふんふんふん ふんがっふー」
白鳥沢レイコ「これって」
白鳥沢レイコ「モジャノフィーだよね!」

〇清潔なトイレ
  モジャノフィーを具現化するとはね。まいったな。

〇和室
田中オリジナル「はぁ~、今回も失敗か」
田中オリジナル「まさか具現化と二重化が同時に起きるとは思わなかった」
佐藤AQ型「あれは仕方ない」
田中オリジナル「しかし、これでどのくらいの遅延になるのかと思うと・・・」
佐藤AQ型「気が重いか?」
田中オリジナル「そうだな・・・」
佐藤AQ型「まぁ、田中は中学の時の遺産があるからな。これでコンバートはないと思うぞ」
田中オリジナル「そうかもしれないが、かなりの遅延は避けられないだろう」
佐藤AQ型「お互い進化の種を得るには長い道のりだな」
田中オリジナル「そうだな」

〇教室
モジャノフィー「はいはい 静かに! ビークワイエットプリーズ! 今日は転入生を紹介するぞ!」
モジャノフィー「今日からこのクラスの仲間になった白鳥沢レイコだ!みんな仲良くな!」
白鳥沢レイコ「白鳥沢レイコです! よろしくお願いします!」
モジャノフィー「それじゃあ田中の隣の席な!」
田中オリジナル「先生! みんな田中なんですけど!」
田中オリジナル「はっはっはっはっは!」

コメント

  • まさかの視点からの物語(?)、とっても面白いです。
    現世界で生きている我々も、誰かによって容量をチェックされながらイベントを設けられてるかもしれませんね。真っ当なクリエイターを望みたいですが。

  • 田中908って、クラスメイトが908人以上はいるって事でいいのか?どんな学校だ。しかも、転校する子が転入してくるなんて聞いた事がない。モジャ・・・、所々の場面にツッコミを入れてしまいました。(笑い)

  • ストーリーが難解に感じてしまいましたが、テンポ良く面白く最後まで読み進められました。
    ?と思うところが多かったので、数回読みました!面白かったです!

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