相沢一家は10人家族!?

郷羽 路

相沢さん家の日常風景(脚本)

相沢一家は10人家族!?

郷羽 路

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〇劇場の舞台
  ──続きまして、作文コンクール金賞受賞された相沢楓さんです
相沢楓「『わたしのかぞく、あいざわかえで』」

〇高層マンションの一室
  『わたしのかぞくは、かえでを入れて
  4人かぞくです。』
  『かぞくこうせいは、お父さん、お母さん、』
  『双子の弟のはやて、そしてわたしの4人かぞくです。』
  『これからかぞくのしょうかいをします。』
  『まずはわたしのお父さん。』

〇SHIBUYA109
  『お父さんはお洋服のデザイナーをしています。』
  『ドレスにコートにネクタイとたくさんの服をつくっています。』
  『とかいで有名なお店に、お父さんの服が
  売られています。』

〇コンサート会場
  『お母さんはモデルをしていました。』
  『お父さんとはファッションぎょうかいで
  しりあい、』
  『『わたしこじんのせんぞくモデルになって下さい』と、』
  『お父さんがお母さんにプロポーズしたそうです。』

〇高層マンションの一室
  『お母さんはモデルをしつつ、自分で服をデザインしたりもします。』
  『お父さんのしごとを見て、自分で服を
  つくりたくなったそうです。』
  『さいきんは、こども服のデザインをしています。』

〇劇場の舞台
相沢楓「ちなみに今きている服もお母さんのデザインです」
相沢楓「『つづいて双子の弟のはやてです。』」

〇白い校舎
  『はやては、うんどうしんけいがいいです。』
  『かけっこはいつも1ばん。わたしは足がおそいのでうらやましいです。』
  『さいきんはサッカーボールにはまってます。』

〇高層マンションの一室
  『わたしは、3人と比べるととくいなことはありません。』
  『でもわたしは、お父さんお母さんの
  さいしょのこどもであり、』
  『はやてのおねえちゃんです。』

〇おしゃれなキッチン
  『いまはおりょうりのべんきょうしています。』
  『お母さんのおなかがおおきくて、』
  『来月には、もうひとりきょうだいが
  ふえるそうです。』
  『わたしは、さらにおねえちゃんになるのでもっとがんばりたいです。』

〇劇場の舞台
相沢楓「『わたしは、このかぞくにめぐまれて、 しあわせです。』」
相沢楓「『わたしは、おとなになってもかぞくといっしょにくらしていきたいです。』」
相沢楓「『おしまい。』」

〇黒背景
  ──という10年前の出来事の夢を見た。
  当時のあの頃は幸せの絶頂だった。
  素敵な両親に頼りになる弟。
  しかし、数年が経過すれば世界が変わることを知った。

〇黒背景
  もう、朝の7時よ!全員起きなさーい!!

〇明るいリビング
相沢楓「全員集合!」
相沢陸「姉ちゃん、おはよー!」
相沢海「ご飯まだー?」
相沢空「まだちょっと眠い」
相沢雪「おはよー!」
相沢月「まだ身支度終わってないのに」
相沢華「顔洗わせてよー」
相沢楓「何言ってんの?」
相沢楓「朝7時には朝食だって、みんなで決めた ルールでしょう?」
相沢陸「だってさ~」
相沢雪「まだ7時だよ?」
相沢楓「『もう』7時なの!」
相沢楓「アンタたち食べるの遅すぎだから、こっちも大変なの!」
相沢月「大変といっても、基本セルフでしょ?」
相沢華「自分でトーストか、ご飯か好きなの選んで」
相沢空「各々好きに用意するだけだし」
相沢海「結構ラクしてるよね?」
相沢楓「いいから、早くご飯にしなさい!」
相沢楓(10年前は、とても想像できなかったよ・・・)
相沢楓(まさか一気に家族が6人増えるなんて・・・)

〇手術室
  あの表彰の一ヶ月後、母は赤ちゃんを産みました。
  しかし・・・
「おい!まだ出てくるぞ!」

〇病院の廊下
父さん「え!?」
父さん「六つ子・・・ですか!?」
「??」
  母はあまり検診に来なかったので、子供が
  たくさんいる事を知らなかった。

〇高層マンションの一室
  六つ子の誕生は嬉しいけど、
  いくら有名デザイナーとモデルといっても
  通常の6倍の生活費を稼ぐのは大変だ。
  このままでは、家賃も払えないので
  両親は悩んだ末に、引っ越しを決意した。

〇昔ながらの一軒家
  それで今は家賃が比較的安いこの家に住んでいます。
  築30年は経過していますが、中身は改装されているので問題はありません。

〇明るいリビング
  それで今に至る。
相沢楓(私も双子だけど、まさか六つ子の兄弟が できるなんて思いもよらなかった)
  そんな六つ子は現在小学4年生。
相沢陸「やっぱ目玉焼きには醤油だろ?」
相沢海「洋食だからソースだよ」
相沢空「俺は塩がいい」
  陸(りく)、海(かい)、空(くう)。
  朝食はご飯派だが、調味料に関して好みが
  分かれている。
相沢華「わーい、バターちょうだい!」
相沢雪「お姉ちゃん、ジャムないの?」
相沢月「私、コーンフレークが食べたい」
  雪(ゆき)、月(るな)、華(はな)。
  朝食はパン派だが、これまた好みが分かれている。
  最近、月は美容に目覚めたのか、カロリーを気にしている。
相沢楓「文句があるなら、ご飯もう作らないよ?」
相沢月「いやですわお姉様ったら、冗談がお上手♪」
相沢空「姉ちゃん、牛乳おかわり」
相沢楓「みそ汁飲んでからね」
相沢楓「というか、なんでご飯食べているのに牛乳飲んでいるの?」
相沢華「お姉ちゃん、バター取って」
相沢海「姉ちゃん、ソース欲しい」
相沢雪「陸、私のおかず盗らないでよ!」
相沢陸「もういらないかと思ったぜ」
相沢陸「雪が遅すぎなんだよ」
相沢雪「私は味わって食べてるの!」
相沢楓「だぁ、もう!やかましい!」
  昔、某六つ子マンガで大笑いした記憶は
  あるけれど
  いざ、現実を目の当たりにすると
  かなりウザイ。

〇明るいリビング
「やれやれ、騒がしいな」
相沢颯「お前らまだメシ食ってんの?」
相沢楓「颯!アンタ起きるの遅すぎ!」
  双子の弟の颯。
  最近は学校をサボり気味の不良学生である。
相沢颯「心外だな」
相沢颯「俺はチビ共が終わるのを待っていただけだぜ?」
相沢陸「チビとはなんだ、でくの坊!」
相沢海「引きこもり!」
相沢空「わがまま!」
相沢雪「いじめっ子!」
相沢月「いばりんぼ!」
相沢華「甲斐性なし!」
相沢颯「『仏の顔も三度まで』というが」
相沢颯「お前らの場合は二倍増しで報復するぞ!」
相沢楓「颯も子供相手にムキになるな!」
相沢陸「子供とはなんだ、ブス!」
相沢海「寸胴!」
相沢空「ペチャパイ!」
相沢雪「短足!」
相沢月「ぽっちゃり!」
相沢華「年増!」
相沢楓「うふふふふ・・・!」
相沢颯「・・・やべえ」
相沢颯「お前ら、今すぐ逃げたほうがいいぞ?」
相沢陸「え?」
相沢楓「うふふふふ・・・」
相沢颯「楓を本気で怒らせたな」
相沢颯「俺は早々に避難するぜ」
相沢雪「ハヤ兄が逃げた」
相沢空「あれ本気で怒っているの?」
相沢月「あなたたち、お姉様を怒らせたわね」
相沢海「お前も同罪だろ」
相沢華「私、みんなにつられて言っただけだよ?」
相沢陸「お前らビビってるの?」
相沢陸「姉ちゃんが怒ってるのいつもの事じゃん?」
相沢雪「でもあのハヤ兄が逃げたんだよ?」
相沢空「本気で怒ると相当恐いんじゃ・・・」
相沢海「早くご飯片づけよう」
相沢月「食器も洗おう」
相沢華「後でみんなで謝ろ?」
  ・・・・・・

〇白い玄関
「・・・・・・」
相沢颯「作戦成功ー」
相沢楓「この脅しいつまで効くかしら?」
相沢颯「まだガキだからしばらく続くぞ」
相沢楓「アンタも学校行かないと、 私の『本気』を見ることになるよ?」
相沢颯「着替えてきます」
相沢楓「たくっ!」
  これが『我が家』の日常です。
  もはや動物園と化しています。

〇昔ながらの一軒家
「行ってきまーす」
相沢楓「行ってらっしゃーい」
相沢颯「じゃあ俺先行ってくるわ」
相沢楓「行ってらっしゃい」
「おや颯、今日は珍しいな」
父さん「息子と出勤なんていつぶりかな?」
相沢颯「いや、今日はたまたまだよ」
父さん「『楓』はとっくに登校しているよ、急いだ方がいいんじゃない?」
相沢颯「えっ!?」
相沢楓「颯、時間よ?」
相沢颯「えっ、もう8時?行ってきます!」
父さん「・・・いつまでその格好しているの?」
父さん「『楓』に怒られるよ?」
母さん「あら?よく分かったわね?」
父さん「僕は夫だよ?」
父さん「愛する妻と娘を見分けられないようじゃ、夫失格だよ?」
母さん「・・・3回に1回は間違えてるけどね?」
父さん「えっ、そんなに頻繁に入れ替わっているの !?」
母さん「さぁて、どうかしら?」
  母は時々こういう冗談をする。
  さすがは元モデルである。

〇大きな木のある校舎
相沢楓「颯、遅刻決定!」
相沢颯「お前、いつの間に学校に?」
相沢楓「私は風紀委員よ?」
相沢楓「7:30の時点で学校にいるわよ?」
相沢颯「マジかよ・・・」

〇学校の校舎
相沢空「なー、今思い出したけど」
相沢空「姉ちゃん最初からいなかったんじゃね?」
相沢海「いやいつもの姉ちゃんだよ?」
相沢雪「実はママだったとか?」
相沢月「ママは元モデルだし」
相沢華「あり得るかもよ」
相沢陸「マジかよ? 入れ替わりネタは俺達の特権だろ」
相沢雪「お姉ちゃんこのこと知ってるの?」
相沢海「分からねぇ」
  ・・・・・・

〇階段の踊り場
相沢楓「もしもしお母さん?」
相沢楓「また私のフリしていたでしょ?」

〇明るいリビング
母さん「だって面白くって♪」

〇白い玄関
  ※颯が部屋に戻った後。
相沢楓「いっけない!私もそろそろ行かなくちゃ」
母さん「ふふふ・・・行ってらっしゃい楓」
母さん「さぁて、みんながいない間に着替えますか」

〇階段の踊り場
相沢楓「8人の子持ちなんだから、年考えなよ?」
相沢楓「オバちゃんなんだから!」

〇明るいリビング
母さん「失礼ね!私は永遠の10代よ!」
母さん「体型だって負けてないわよ!」

〇階段の踊り場
相沢楓「どんなに若作りしても、肌年齢は下がらないわよ?」

〇雷
母さん「ぐはぁ!!」

〇階段の踊り場
相沢楓「たくっ!」
  バカップル両親に、正反対の双子。
  おまけに喧しい六つ子たち。
  今日もまた嵐のような日常は続く──

コメント

  • わー!6つ子!!!!!それは想像を絶しますね!!!!!!😱💦
    2人の子供でも手を焼いているのに2人いる上でさらに6人も子供増えたら・・・・・・ひゃー!!!!!ってなりました!!!

    このお話は軽快なリズムで進んでいって、家族みんなが仲良い感じで癒されますね✨読んでいて楽しい気持ちになりました✨ありがとうございます✨😆

  • 現実の六つ子の子育ては過酷でカオスでしょうから、コメディやファミリーのジャンルではなくサバイバルとか戦争のジャンルに区分されるでしょうね。この一家はお父さんもミイラみたいに干からびてないし、お母さんもふざける余裕があってすごいな〜。

  • すっごい楽しいです!六つ子が騒ぐのも悪態も反論も息ピッタリで、破壊力も6倍なのですね!誕生日編や家族旅行編も見てみたくなりますね!

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