読切(脚本)
〇渋谷駅前
オレの名前は大地。地球警備隊の隊員をしている。
今日は非番で、彼女のソラとデートだ!
ソラはどこか遠い国から来たらしい。
でもそれを語ろうとしない。
そして俺にもソラに秘密にしている事がある・・・・・・。
ソラ「生グミ生モメマミムメモ・・・」
大地「生麦生米生卵ね」
ソラ「群雄割拠許可きょきゅ!!」
大地「東京特許許可局かな?w 全然違う感じになってたけどw」
ソラ「あかん! ウチには無理! 大地は早口言葉得意やなあ」
ソラ「ロボットなみやわあ」
大地「ろ、ロボットも最近は優秀だよね」
ソラ「うん。人間と見分けつかへん」
大地「あ、そうだね・・・ 今は音声と感情を多層認識するニューロンネットワークて技術が・・・」
ソラ「たそう? にゅうろん・・・? あかん! 無理やわ!」
ソラ「早口言葉って、ノド乾くわあ!」
ソラはペットボトルの水をゴクゴク飲んだ。
大地「人と人ならざる者 違いって何だろうね・・・」
ソラ「そやな。 大地、実はな・・・」
ソラ「この街 滅びるかもしれへん・・・」
大地「え?」
ソラ「新型のウィルス流行てるやろ? あれな、実は・・・」
ソラ「ううん、何でもない・・・ ウチ、今日もう帰るわ・・・」
大地「え!? 何? どうしたの!?」
ソラ「大地だけは生きてて欲しかった・・・」
大地「ど、どういうこと!!?」
大地「ソラ!!」
ソラは突然不思議なことを言い残し去って行った。
その時、嫌なタイミングで電話が鳴った・・・・・・。
「俺だ。また女の尻追っかけてんのか?」
俺の上司の零士さんだ。
「紛れ込んでいる異星人の情報が入った」
大地「本当ですか!?」
「姿は女 何故か関西弁でしゃべる」
大地「え?」
「早口言葉が苦手で、すぐノドが乾くらしい」
大地「ええ・・・!?」
「名前を『ソラ』と名乗っている お前もすぐに来い! 場所は・・・」
大地「そ、そんなまさか・・・」
嫌な予感が的中した。
俺は真っ白になりそうな頭を降った。
とにかくソラの元に行くんだ!
急がないと・・・
俺はそう思った。
〇東京全景
・・・・・・
オレが辿り着いた時には
すでに警備隊がソラを取り囲んでいた。
ソラは宙に浮き、青白い光を放っていた。
零士「大地! 遅いぞ!」
大地「ソ、ソラ!」
ソラ「この星には、ウチの同胞がウイルスを拡散させてる ウチらが住めるようにするんや・・・」
零士「なんだと!?」
隊員「隊長! 発砲許可を!?」
大地「待ってください! 話せばわかります!」
ソラ「大地・・・隠しててゴメンな・・・」
零士「大地! 邪魔をするな!」
零士さんは、ソラを狙撃しようとした。
大地「零士さん! 待ってください! ソラ! やめてくれ! 話し合えばわかるはずだ!」
ソラ「この星の人間がウィルスで滅びるころ ウチらは移住すんねん」
ソラ「それがちょうど100年後・・・」
ソラ「もう大地に会う事も無い ウィルス感染を防いでも、大地は100年は生きられへん・・・」
ソラ「ウチと大地は同じ時間を生きられへんねん !」
ソラ「さよならや・・・」
俺は零士さんの銃を奪い取り、ソラに銃口を向けた。
大地「生麦生米!」
ソラ「ま、マミムメモ・・・」
大地「東京特許許可局局長!」
ソラ「きょ、きょ、やめて!」
零士「いいぞ大地! 捕獲してウィルスを解明する!」
零士「お前が人類を救うんだ!」
俺はトリガーに指をかけた。
だが、俺は銃を降ろした。
零士「このポンコツが! 貸すんだ!」
銃声が鳴り響いた。
俺は零士さんの前に立ちソラをかばった。
俺の胸には弾痕が煙をあげていた。
零士「バカヤロー! 誰か応急処置だ!」
大地「ソラ・・・俺は・・・いつまでも待ってるよ・・・」
ソラはそのまま空高く消えて行った。
俺の意識はそこで途絶えた・・・
シャットダウンだ・・・
〇東京全景
・・・・・・
・・・・・・
あれから長い年月が流れ、
ウチはこの星に戻って来た。
ウチの名前はソラ。
この星で恋人と過ごした時の名前。
同胞たちは旅の途中で疲弊し、この星に戻れたのはウチ一人・・・・・・。
え? 街がそのまま・・・・・?
え!?
人? 人がいる・・・・・・!?
ソラ「え・・・!? なんで・・・!?」
ソラ「あれは・・・」
ソラ「大地・・・!?」
俺の名前は大地。地球警備隊の隊員で、
AI搭載型のロボットだ。
俺の金属の胸には弾痕が残っている・・・・・・。
ソラ「大地・・・」
大地「ソラが戻るのをずっと待ってたんだ・・・ この街を守りながら・・・」
ソラ「・・・そんな・・・ 大地は・・・人間じゃ無かったの・・・?」
大地「うん・・・隠しててゴメン・・・」
大地「俺はソラより長生きかもしれないよ」
ソラ「大地・・・ ごめん・・・ごめんなさい・・・」
大地「あのさ、 この先の施設で赤ちゃんが生まれたんだ」
大地「人間の・・・」
ソラ「え・・・?」
大地「人も生きてるよ かなり減ったけど・・・」
大地「見に行かないかい?」
ソラ「うん・・・」
俺たちは100年ぶりに再会した。
大地「ねえ、ソラ・・・」
大地「すもももももももものうち」
大地「言える?」
ソラ「すもももももも、もものうち・・・!」
大地「え!? すごい! 言えてる!?」
ソラ「ずっと練習しててん・・・」
大地「ソラ・・・」
これから俺たちは、この星で共に生きて行くんだ・・・・・・
この先もずっと・・・・・・
全てが違う二人が時空を経て障害を乗り越えてそれでも一緒にいたいと思うなんて、誰かを好きになることのパワーは底知れぬ不思議さに満ちていますね。関西弁と早口言葉が可愛らしいソラのキャラクターが魅力的でした。
二人再び会えてよかったなぁと思いました。
その背景はかなりシビアですが、なぜかソラさんが消える時に悲しそうに感じたので、どうなるんだろう?って思ってたんです。
(笑)楽しいストーリーでした。クスッと笑いながら読ませて頂きました。可愛らしい二人ですね会話のテンポがとてもいいと思いました。