ディスポーザブル

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ディスポーザブル【読切】(脚本)

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〇山奥の研究所
  特殊医療法人『リボディ研究所』
  小さな研究施設だが
  奇跡の若返り医療で
  注目を集めている

〇シックなリビング
  こちらの女性が何歳か分かりますか?
黒木蓮治「・・・」
  このモデルさんのような
  スタイル抜群でオシャレな女性は?
  スポーツを楽しむフレッシュな男性は?
被検者「恥ずかしいですけど、実は・・・」
被検者「今年で74歳になります!」
被検者「昨年、会社を定年退職しました!」
被検者「今は66歳です!」
  なんと、二人とも還暦を過ぎているんです
  信じられない若々しさです
  この若さの秘密は?
被検者「リボディ治療を受けました」
被検者「僕もリボディ治療を受けました!」
  リボディの若返り医療で
  あなたも永遠の若さを手に入れませんか?
黒木蓮治(若返り治療・・・)
黒木蓮治(でも、高いんだろうな)
  なんと、今だけ
  『体験モニター募集中!』
  最新の若返り医療が
  10万円で受けられます!
黒木蓮治(10万か・・・)
黒木蓮治(払えない金額じゃないよな)

〇店の入口
  喫茶ドリー

〇シックなカフェ
黒木蓮治「と、言うことで」
黒木蓮治「明日からしばらく休みにするから!」
堀田佑月「待ってください!」
堀田佑月「私のバイトはどうなるんですか?」
黒木蓮治「もちろん休みだよ」
堀田佑月「じゃあ、私のバイト代は?」
黒木蓮治「そりゃあ」
黒木蓮治「少し減るだろうね」
堀田佑月「来月の生活ができませんよー」
黒木蓮治「まあまあ」
黒木蓮治「僕の勝手で迷惑かけるわけだし」
黒木蓮治「いくらかボーナス出してあげるからさ」
堀田佑月「本当ですか!?」
堀田佑月「やったー。マスター大好きです!」
黒木蓮治「ゲンキンだなぁ」
堀田佑月「世の中、お金が全てですから!!」
黒木蓮治「おいおい」
堀田佑月「でも、本当に大丈夫なんですか?」
黒木蓮治「なんのことだい?」
堀田佑月「リボディ治療ですよ」
堀田佑月「ただの整形手術じゃなくて」
堀田佑月「奇跡の若返り医療、でしたっけ?」
黒木蓮治「そうだよ」
堀田佑月「怪しくないですか?」
堀田佑月「詐欺とか・・・」
黒木蓮治「仮にだまされても10万円だ」
黒木蓮治「命を取られるわけじゃない」
堀田佑月「マスターって気楽な性格でいいですね」
黒木蓮治「そうかな?」

〇山奥の研究所

〇病院の待合室
黒木蓮治「それにしても、女性が多いなぁ・・・」
  リボディの受付には20人ほどが並んでいた
  でも、男は黒木だけだった
  やはり若返りは女性のあこがれなのだろう
黒木蓮治「どうも、予約した黒木です」
受付の女「こんにちは」
受付の女「黒木蓮治さんですね?」
受付の女「カルテに記入をお願いします」
黒木蓮治「・・・」
黒木蓮治「これでいいですか?」
受付の女「はい」
受付の女「ご希望の年齢は20代ですか!!」
黒木蓮治「お恥ずかしい・・・」
受付の女「いえ、ぜんぜん」
受付の女「そんなことないですよ!」
受付の女「次は検査ですね!」
受付の女「向こうの列に並んでください」

〇大きい病院の廊下

〇病院の診察室
瀬戸華絵「黒木蓮治さん、どうぞ」
黒木蓮治「よろしくお願いします」
瀬戸華絵「まずは採血からです」
瀬戸華絵「腕を出してください」
  プツッ・・・
黒木蓮治「痛てて・・・」
瀬戸華絵「注射は苦手ですか?」
黒木蓮治「すみません」
瀬戸華絵「ふふっ」
西野湊「採血は終わったか?」
瀬戸華絵「まだ検査中なんですけど」
西野湊「で、血は採ったのか?」
瀬戸華絵「はい」
瀬戸華絵「これです、どうぞ」
西野湊「ああ、すまない」
西野湊「めずらしい男性サンプルだと聞いて」
西野湊「急いでいたんでね」
瀬戸華絵「すみませんでした」
瀬戸華絵「お騒がせしてしまって」
黒木蓮治「いえ」
黒木蓮治「気にしないでください」
瀬戸華絵「では次の検査に移りましょう」
黒木蓮治「・・・」
瀬戸華絵「大丈夫ですよ」
瀬戸華絵「もう痛い検査はありませんから!!」
瀬戸華絵「痛い検査は、ね・・・」

〇古生物の研究室

〇実験ルーム
西野湊「久しぶりの男性サンプルだ」
謎の生物「・・・」
西野湊「この血からDNAを取り出して・・・」
西野湊「できた!」
今村響子「西野君!」
今村響子「調整はできたの?」
西野湊「ええ」
西野湊「あとは遺伝子カプセルを」
西野湊「クローン素体に混合するだけです」
今村響子「なら、早くなさい!」
西野湊「ええ、分かってますよ」
  ポチャン
西野湊「これでよし」
謎の生物「ボコッ、ボコボコッ」
謎の生物「ゴボッ」
今村響子「何度見ても あまり気持ちのいいものじゃないわね」
西野湊「美しいじゃないですか」
西野湊「生命の神秘ですよ」
今村響子「マッドサイエンティストね」
今村響子「あなたは」
西野湊(そのマッドサイエンティストのおかげで)
西野湊(稼げてるくせに・・・)
  ゴボゴボ、ボゴッ・・・
  ボコ、ボコッ・・・

〇大きい病院の廊下
瀬戸華絵「次はこっちです」
黒木蓮治「まだ続くんですか?」
瀬戸華絵「次が最後の検査です」
黒木蓮治「そうですか・・・」
瀬戸華絵「この部屋に入ってください」
黒木蓮治「・・・」

〇魔法陣のある研究室
黒木蓮治「ここは?」
瀬戸華絵「脳波を図るので」
瀬戸華絵「このヘッドギアを被ってください」
黒木蓮治「脳波ですか?」
瀬戸華絵「治療に必要なんです」
瀬戸華絵「目をつぶっていてくださいね」
黒木蓮治「こうですか?」
瀬戸華絵「はい」
黒木蓮治「・・・」
  ガタ、ガタ、ガタッ
黒木蓮治「なんだ?」
黒木蓮治「これは・・・」
黒木蓮治「若いころの俺か?」
瀬戸華絵「ダメじゃないですか目を開けちゃ」
黒木蓮治「そんなことより、これは?」
瀬戸華絵「若返ったあなたです」
黒木蓮治「でも、俺はここに」
瀬戸華絵「体の機能も若返ってるんですよ」
黒木蓮治「だが・・・」
瀬戸華絵「じっとしていてください」
瀬戸華絵「ヘッドギアを通して」
瀬戸華絵「記憶をコピーしていますから」
黒木蓮治「・・・」
黒木蓮治「どういうことだ?」
瀬戸華絵「明日からはあなたの代わりに」
瀬戸華絵「お隣にいる若いあなたが」
瀬戸華絵「あなたとして生きていきます」
黒木蓮治「じゃあ、俺は?」
瀬戸華絵「古い体は、もう必要ありません」
黒木蓮治「なんだと」
瀬戸華絵「だから、処理します」
黒木蓮治「ま、待て!」
黒木蓮治「冗談だよな?」
瀬戸華絵「この瞬間がたまらないんですよね!」
黒木蓮治「やめろ、やめてくれ」
黒木蓮治「誰か助けてくれ!」
瀬戸華絵「古い体を治療するんじゃなくて」
瀬戸華絵「クローン技術で新しい体を作り」
瀬戸華絵「記憶を移し替える・・・」
瀬戸華絵「これがリボディの若返りの秘密です♡」
  ズギューン・・・
黒木蓮治「うぐっ・・・」
瀬戸華絵「さようなら」
瀬戸華絵「使い古しの黒木蓮治さん・・・」
黒木蓮治「・・・」

〇商店街

〇店の入口

〇シックなカフェ
堀田佑月「ほんと、嘘みたいです・・・」
黒木蓮治「そうかな?」
堀田佑月「魔法みたい・・・」
堀田佑月「私と同い年くらいですよ。見た目」
黒木蓮治「中身も若返ったみたいでさ」
黒木蓮治「体が軽いんだよ!!」
堀田佑月「ちょっとカッコイイかも・・・」
黒木蓮治「ん?」
堀田佑月「いえ、別に・・・」
堀田佑月「それより」
堀田佑月「どんなことをしたんですか?」
黒木蓮治「それが、覚えてないんだよな」
黒木蓮治「検査されたとこまでは分かるんだけど」
黒木蓮治「その先があいまいで」
黒木蓮治「気づいたら若返ってたって感じかな」
堀田佑月「気楽でうらやましいです」
黒木蓮治「はははっ」
黒木蓮治「いいんだよ」
黒木蓮治「若返ったんだから」
黒木蓮治「方法なんてさ」

〇山奥の研究所

〇魔法陣のある研究室
  ・・・
瀬戸華絵「西野さん、この廃棄物」
瀬戸華絵「片付けておいてくださいよ!」
西野湊「はいはい・・・」
  ギュイィィン

〇魔法陣のある研究室
  バリッ
  バリバリッ・・・
西野湊「まったく」
西野湊「どいつもこいつも」
西野湊「人使いの荒いこった・・・」

〇山奥の研究所

〇山奥の研究所
  T h e E n d

コメント

  • なるほど、ただ単に若返れるなんて甘い考えてはよくないということですね…。
    甘い話には罠があるのはこのこと…、でも私も若返りたいなぁ笑

  • 人間の欲望に付け込んだ犯罪、やり方が巧妙すぎてそれが明るみならないから志願者が後を絶たない感じですね。おぞましい光景がコミカルな描写によって、その恐ろしさが軽減されているところが!

  • 自分の記憶が他の体に移っても、元々の体がああいっために遭うのはおそろしいですよね。
    こうやって体を乗り換えていくシステムは、作った人達もいずれ自分たちにやるのかな?と思いました。
    怖かったですが面白かったです!

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