幸せの絶対数と悪魔の算術

nori

スカウティング(脚本)

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〇クリスマス仕様のリビング
  クリスマスが来るたびにいつも思い出す
  癒えることのない痛みと深い後悔
  「おかあさん、どうしてうちにはサンタさん、来ないの?」
(それは・・・)
  嬉しそうにプレゼントの話をする周りの友達たちが羨ましくて
  だから困らせるつもりなんてなくて・・・
  でも、無邪気だったわたしの一言が招いた結末・・・
刑事「奥さん、署まで同行していただけませんかね?」
  たったひとつ高価なオモチャを盗んだだけだった。わたしのために・・・
  お金は複数回にわたって払うことで合意し、起訴はされなかった
  でも周りは、そんなわたしたちに容赦しなかった
(あそこの奥さん、窃盗ですって)
(子の見本となるべき親が盗みを働くなんてね──)
(困るんですよ、奥さん。他の住民たちがね、子供に悪影響を及ぼすから、あなたたち親子を追い出せって──)
  貧しくても、愛情に溢れた母は酒に溺れ
  そしてその心は壊れた・・・
マイ「お母さん、やめて!!!」
  わたしの何気ない一言が招いた結末・・・
  ひとりの女の人生の崩壊
  そして・・・
  犯罪者の娘というレッテル・・・

〇シックなバー
中年おやじ「マイちゃーん、クリスマスだっていうのに、こんなとこで仕事しててい──の?」
マイ「いいの。わたし、彼氏いないから」
中年おやじ「またまた──。そんなに可愛い顔して、男いないワケないでしょ──」
マイ「やだー。ホントですよ」
中年おやじ「だったら、オジサン、立候補しちゃおうかな。クリスマスなんだし、なんか欲しい物、ある?」
マイ「プレゼントしてくれるの?嬉しい」
中年おやじ「言ってごらん。多少、高い物でもいいよ──」
マイ「じゃあ、遠慮なく」
  幸せをください・・・

〇ネオン街
航「良い人材は見つかったか?」
航「案内しろ」
マイ「・・・」
通りすがりのナンパ男「お姉さん、ひとり?」
通りすがりのナンパ男「ちょっと──無視しないでよ」
マイ「なんか用ですか?」
通りすがりのナンパ男「そうこなくちゃ。クリスマスにこんなところで独りって寂しくない?」
マイ「クリスマスは誰かと一緒じゃなきゃいけないワケ?」
通りすがりのナンパ男「まあ、そうじゃない。一年で特別な日だしさあ」
マイ「・・・」
通りすがりのナンパ男「ちょっと待ってって」
マイ「触らないでよ」
マイ(何?)
通りすがりのナンパ男「なんだ・・・」
マイ「ちょっと・・・」
航「お姉さん、ついて来て・・・」
マイ「えっ?」
航「いいから早く!!」
マイ「ちょっと・・・」

〇飲み屋街
航「ここまで来れば大丈夫か・・・」
マイ「ちょっと何なのよ──」
航「聴こえたんでしょ、コイツの声」
マイ(えっ?この子、何を言っているの?まさか、さっきの・・・)
航「姿まで見れないから、信じられないのも無理はないか・・・」
マイ「大人をからかうもんじゃないわ。わたし、帰るね。キミも早くうちに帰りなさい。こんな時間に子供がうろつく場所じゃないわ」
マイ「助けてくれてありがとう」
マイ「何っ──」
航「ますますあなたのことを気に入ったようだ」
マイ「・・・」
マイ「何かがいるのは確かなようね」
航「受け入れるのが早い。なるほど、コイツがあなたを選んだわけだ」
航「あなたに手伝って欲しいことがあるんです」
マイ(ちょっと、この子、何を言っているの!?手伝うって・・・)
航「こいつらの飼育をね。もちろん協力をお願いする以上、タダとはいいません。引き換えに、あなたが欲しているものを提供します」

コメント

  • タイトルがかっこいいですね。幸せの絶対数が決まっているから、不幸になる人が必ずいる。その数をコントロールしているのが悪魔ということなのかな?航の存在もミステリアスで気になります。

  • 一度起こしたことはいくら後悔しても消えるわけではありませんよね。でも人間だから誰しもが後悔を背負って生きてるのも事実…。難しいですね。

  • クリスマスの日の思い出が悲しすぎる。一人で過ごした方がよいと考えても仕方ないように思う。
    新しい出会いは、どういう変化をもたらすのか?
    今後明かされる展開の期待

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