読切(脚本)
〇教室
拓也「・・・ ・・・」
亮太「・・・ だと考えたら、ノートの方がいいよな?って、聞いてるのか、拓也」
拓也「ん?すまん、なんだっけ?」
亮太「パソコン買うなら、デスクトップかノートかって話」
拓也「何に使うかによるんじゃないか?」
亮太「だーかーら!小説書くために使うんだって!」
拓也「あれ?亮太、小説書いてんの?」
亮太「なるほど。お前が最初から全く、俺の話を聞いてなかったってことがよーくわかった」
拓也「ごめんごめん。マジで。今度はちゃんと聞くから。で?」
亮太「はあ・・・ 。いやさ、今、家にパソコンがないから、小説を手書きで書いてんだよ。しかも原稿用紙もないから、日記帳に」
拓也「日記帳って、またメルヘンチックだな。お前、日記なんてつけてたのか?」
亮太「妹のだよ」
拓也「あー、奏ちゃんのか。・・・にしても、いーなー。お前は」
亮太「なにがだ?」
拓也「あんな可愛い妹がいるなんてさ」
亮太「はあ・・・。いいか、拓也。世界中の妹がいない男は、全員、妹という存在に幻想を抱きすぎだ」
拓也「世界って・・・ 。いや、でも、奏ちゃんが可愛いことは確かだろ」
亮太「甘いな、拓也。人間というのは精神も伴った状態で評価されるべきなんだ。見た目なんて、二の次にしたほうがいい」
拓也「そうかぁ?けどさ、奏ちゃんは可愛いし、性格だっていいだろ?」
亮太「わかってない!本当に、お前はわかってない!」
亮太「あいつは外見と外面がいいだけだ」
亮太「あれは擬態といってもいい。あいつと付き合う男は、正直に言って、詐欺にあうようなものだ」
拓也「実の妹をそこまで言うか?」
亮太「実の妹だからこそだ。間近であんたのを見せられたら女性不振に陥りそうだ」
拓也「そういりゃ、亮太はどんな女の子が好きなんだ?」
亮太「ん?んー。そうだな。やっぱり、現実にはいないくらい心が純粋な子かな」
拓也「現実にいないくらいなのは、現実にはいないんじゃないのか?」
亮太「おお、哲学だな」
拓也「いや、違うって」
亮太「・・・ って、おい!どこまで話を逸らすんだよ!パソコンの話だよ、ぱ、そ、こ、んの!」
拓也「ああ、ごめんごめん。えっと、ディスクトップかノートかって話だよな?」
拓也「で、目的は小説を書くこと、と」
亮太「ああ、そうだ」
拓也「なら、ノートの方が良いんじゃないか?持ち運べるし、あれば、どこでも書けるだろ」
亮太「そっか・・・。ノート方がいいか。んー、ディスクトップもいいと思うんだけどな」
拓也「・・・ お前さ。まさか、ゲームするからディスクトップの方がいい、とか考えてるんじゃないだろうな?」
亮太「ぎくっ!」
拓也「やめとけって。ゲームなんて買ったら、それこそ小説なんて書かなくなるって」
亮太「・・・ うっ!そ、そうだよな・・・。うん。わかった。今回はノートパソコンにする」
拓也「ああ。それがいいと思うぞ」
亮太「あとさ、やっぱネット回線はあった方がいいよな?あ、もちろん、調べものするためだぞ!ゲームじゃない」
拓也「すこぶる怪しいけど、まあいいか。確かにネット環境はあったほうがいいかもな」
亮太「それでさ、拓也にちょっと頼みたいんだけどさ」
拓也「ん?なに?」
亮太「家にさ、前に買ったパソコンの周辺機器が残ってんだけどさ、こういうのって使えるもんなのか?」
拓也「んー。どれくらい前にもよるんじゃないか?」
亮太「大体、3、4年ってとこかな」
拓也「それなら大丈夫じゃないか?」
亮太「で、頼みって言うのがさ、その周辺機器がまだ使えそうか、見て欲しいんだよ」
拓也「ああ、いいよ。じゃあ、今日の学校の帰りにお前ん家によるか」
亮太「すまんな」
〇豪華なリビングダイニング
亮太「ただいまー・・・ って、誰もいなんだけどな」
拓也「まさか、お前。一人の時もその突っ込みしてないよな?結構、痛いぞ」
亮太「・・・ うっ」
拓也「・・・ って、誰もいなって、奏ちゃんは?」
亮太「あいつは最近、部活始めたから帰ってくるのは遅いな」
拓也「そっか・・・。しゃーない。奏ちゃんに会うのは諦めるか」
亮太「友達としていうけど、あいつは止めた方がいいって」
拓也「やけに止めるんだな。もしかして、俺にお兄さんって呼ばれたくないとかか?」
亮太「あー、それは死んでも嫌だな。ってことで、あいつのことは諦めてくれ」
拓也「ええ・・・」
亮太「それより、今日の本題に入ろうぜ」
拓也「ああ、周辺機器のことだったな」
亮太「ちょっと持ってくるから、待っててくれ」
拓也「あ、その前に、ごめん、亮太。トイレ貸して」
亮太「ああ、別にいいけど。しょんべん、まき散らすなよ」
拓也「散らすか!」
〇一階の廊下
拓也「えーっと・・・おお、あったあった。トイレトイ・・・」
拓也「ここって奏ちゃんの部屋だよな?少しドアが開いてるから中が見えるぞ」
拓也「おおー・・・ 。奏ちゃんの部屋!すこし興奮するな。ふむ・・・」
拓也「少しだけ、ちょっとだけ中に入るだけだ」
〇可愛い部屋
拓也「おじゃましーますー。・・・って、誰もいなんだけどね。・・・ って、おお!あ、あれは!」
拓也「こ、これは・・・奏ちゃんの日記!・・・ 少しだけ。ホント少しだけ。10ページ見たら元に戻す」
拓也「えーと。・・・今、私には好きな人がいますぅ?え?マジで!?だ、誰だよ!」
拓也「えっと、好きな人は、お兄ちゃんの親友。小さい頃からよく遊んでくれて・・・ いつの間にか好きになってた」
拓也「これって・・・俺じゃね?続きは?」
拓也「えっと、最近は滅多に家に来てくれなくなった。忙しいのはわかるけど、とっても寂しい」
拓也「私はあの人がいつ来てもいいように、ずっと部屋にいるのに・・・」
拓也「間違いない。俺のことだ。全てが当てはまる。・・・そっか、奏ちゃんが俺のことを・・・」
亮太「ああ、いたいた。こんなとこにいたのかよ」
拓也「うおぅ!ビビった!マジで心臓止まるかと思ったぞ」
亮太「あ、それ!」
拓也「あー、いや、これはその・・・」
亮太「読んだか?」
拓也「まあ、ちょっとだけ・・・」
亮太「どうだった?妹に読んでもらったけど、キモイって言われてさ」
拓也「なにが?」
亮太「それ」
拓也「どれ?」
亮太「はあ、やっぱり女目線の一人称は厳しかったかな?」
拓也「お前の小説かーい!」
終わり。
オチが最高でした!笑
そりゃあそんなこと書かれてたら自分がそう思われてると勘違いしちゃいますね!
少し話は変わりますが、パソコンはどっちがいいのですかね…用途によりけりかな?