橙コマリは困ってる〜先祖と暮らす日々〜

わらやま

だから困ってないんだって(脚本)

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わらやま

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〇屋敷の門

〇田舎の一人部屋
橙 コマリ「ん」
橙 コマリ「朝か」

〇綺麗なリビング
橙 コマリ「父さん、母さん」
橙 コマリ「おはよう」
橙 コマリ「昨日で四十九日も終わったよ」
橙 コマリ「2人がいなくなって」
橙 コマリ「寂しくなると」
橙 コマリ「思ってたんだけど」
橙 コマリ「・・」

〇L字キッチン
原賀 玄海(はらが げんかい)「おい雲暗! 朝からこんなに食えねぇよ!」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「玄海殿! 健全な肉体は食事が育むのですぞ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「限度があるだろ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「朝は米と味噌汁と漬物でいいんだよ」
バァ・ソソボ「そんな古臭い食事いやじゃ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「バァちゃんの時代よりは新しいっつーの」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「今は江戸時代ではないのですぞ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「平安時代から来たお前さんに言われたくねぇよ」
橙 コマリ「・・」
橙 コマリ「朝からうるさいよ!先祖達!」
「おはよう!コマリ!」
  この3人は
  僕の先祖

〇L字キッチン
橙 コマリ「まったく騒がしいんだから」
原賀 玄海(はらが げんかい)「コマリ、雲暗のやつに言ってやってくれ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「こいつの大喰らいにつきあってたら俺は腹が限界だい!」
橙 コマリ「玄海さんは自分で食事作らないで発明ばっかしてるんだからそんな事言う権利ないよ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「正論・・」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「コマリ殿は聡明だ」
橙 コマリ「雲暗さん それでもコレは多すぎるよ」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「だが立派な陰陽師になるには豊かな食事をとらねば」
橙 コマリ「何度も言ってるけど陰陽師にならないから」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「そんな」
橙 コマリ(てか陰陽師にフィジカルいらないでしょ)
バァ・ソソボ「どうでもよい、早くメシにしようぞ」
橙 コマリ「てかバァちゃん! 制服洗濯した後なんかしたでしょ」
橙 コマリ「焦げ臭いんだけど」
バァ・ソソボ「お主が今日から学校なのに服が乾かんと言うから」
バァ・ソソボ「ワシの力で乾かしてやったまでよ」
橙 コマリ「ここで能力使わないでよ!」
橙 コマリ「スプリンクラー作動しちゃったじゃん」
バァ・ソソボ「す、すまん お主が困っていると思って」
橙 コマリ「困ってないから!」
橙 コマリ(夏休み、頑張って教育したけど)
橙 コマリ(これじゃ先が思いやられるよ)
橙 コマリ「って早く準備しないと!」

〇屋敷の門
橙 コマリ「じゃあ、学校行ってくるけど」
橙 コマリ「大人しく家にいてよ」
「・・」
橙 コマリ「返事!」
「はい!」
原賀 玄海(はらが げんかい)「行ったな」
バァ・ソソボ「じゃな」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「それでは」

〇大きな木のある校舎

〇教室
橙 コマリ「お、おはよう」
橙 コマリ(まあ、こうなるか)
垣田 意匠(かきだ いしょう)「コマリ」
垣田 意匠(かきだ いしょう)「大変だったな」
橙 コマリ「垣田君」
垣田 意匠(かきだ いしょう)「何か困ってたら言えよ」
垣田 意匠(かきだ いしょう)「力になるから」
松野 未来(まつの みらい)「橙君」
橙 コマリ「松野さん」
松野 未来(まつの みらい)「無理はしないでね」
橙 コマリ「2人ともありがとう」
橙 コマリ「でも大丈夫、寂しくないから」
垣田 意匠(かきだ いしょう)「そうか」
橙 コマリ(それどころじゃないっていうか)
阿賀辺 先生「おーし、みんな席につけ」
阿賀辺 先生「早速だが転校生を紹介する」
バァ・ソソボ「バァ・ソソボじゃ」
バァ・ソソボ「よろしくな」

〇教室
橙 コマリ「バ」
橙 コマリ「バァちゃん!!」
垣田 意匠(かきだ いしょう)「コマリ、あの子知り合いなんかよ!?」
橙 コマリ「し、知り合いっていうか」
橙 コマリ「と、遠い親戚?」
垣田 意匠(かきだ いしょう)「マジか!?」
垣田 意匠(かきだ いしょう)「俺、めっちゃタイプなんだけど」
橙 コマリ(ややこしいからやめて)
阿賀辺 先生「では、席は橙と松野の間で」
バァ・ソソボ「うむ」

〇教室
松野 未来(まつの みらい)「ソソボさん? 私は松野、よろしくね」
バァ・ソソボ「礼儀正しい女子じゃ」
バァ・ソソボ「気軽にバァちゃんでよいぞ」
松野 未来(まつの みらい)「あ、う、うん」
松野 未来(まつの みらい)「バァちゃんってどこから来たの?」
バァ・ソソボ「『マグラン』じゃ」
松野 未来(まつの みらい)「知らない国ね」
バァ・ソソボ「亡国となってしまったからのう」
松野 未来(まつの みらい)「え・・」
橙 コマリ「ま、松野さん ごめん」
橙 コマリ「ちょっと」
橙 コマリ「なんでいるの!?」
バァ・ソソボ「何でとは随分じゃな」
バァ・ソソボ「ワシが近くにおらんと」
バァ・ソソボ「コマリが困った時に助けられんじゃろ」
橙 コマリ(だから困ってないんだって)

〇教室
獏 泡代(ばく あわよ)「ソソボさん」
獏 泡代(ばく あわよ)「私はクラス委員長の獏」
獏 泡代(ばく あわよ)「よろしく」
バァ・ソソボ「おう」
獏 泡代(ばく あわよ)「ソソボさんって橙君と知り合いなの?」
バァ・ソソボ「それはもう切っても切れぬ縁じゃよ」
橙 コマリ(まぁ、先祖だし)
獏 泡代(ばく あわよ)「そ、そう」
獏 泡代(ばく あわよ)「ソソボさん少し時間いい?」
バァ・ソソボ「まぁよいが」
橙 コマリ「なんなんだ?」
橙 コマリ「てか、バァちゃんが学校に来てるんだったら」
橙 コマリ「あの2人も大人しくしてない?」

〇見晴らしのいい公園
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「ハァハァ」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「今日の鍛錬も終わりだ」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「奴らもそろそろ来るだろう」

〇古びた神社
是空「くっ」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「是空よ」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「貴様でモノノケも最後だ」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「私達の勝利だ」
是空「憎き陰陽師よ」
是空「だが」
是空「我らは完全に滅びる事はない」
是空「長き眠り、1000年の時を経て」
是空「復活を果たすだろう」
是空「仮初の平和を興じし者共」
是空「そして貴様の子孫に」
是空「この怨み晴らさせてもらうぞ」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「なんだと!?」

〇見晴らしのいい公園
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「妻子を残し陰陽術で時を渡って来てみれば」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「この平和な街」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「必ず守る」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「ん!?」

〇見晴らしのいい公園
河童泥(かっぱでい)「さて、是空様の命令通り」
河童泥(かっぱでい)「コマリとやらを探すカパ」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「其方は河童泥!?」
河童泥(かっぱでい)「カパ!?貴様は雲暗!?」
河童泥(かっぱでい)「何故この令和の世に!?」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「モノノケあるところに陰陽師ありよ」
河童泥(かっぱでい)「カパ!ここであったが1000年目!」
河童泥(かっぱでい)「貴様の尻子玉からいただくカパ」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「私に敗北した過去を忘れたか?」
河童泥(かっぱでい)「カパー!いつの話カパ」
河童泥(かっぱでい)「見せてやるカパー」

〇見晴らしのいい公園
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「迅い」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「その動きは!?」
河童泥(かっぱでい)「カパパ! 俺達もただ眠っていただけではいカパ」
河童泥(かっぱでい)「これは現代のスポーツ」
河童泥(かっぱでい)「『カバディ』の動きカパ」
河童泥(かっぱでい)「さあ」
河童泥(かっぱでい)「尻子玉」
河童泥(かっぱでい)「いただくカパ」

〇古民家の居間
平賀 源内「先生 これは?」
原賀 玄海(はらが げんかい)「新発明の『凍るぞすりぃぷ』だ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「加賀藩の氷室を見て思いついてな」
平賀 源内「はぁ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「これが成功したら、この前の『えれきてる』と合わせて俺は偉人になっちまう」
平賀 源内「・・」
原賀 玄海(はらが げんかい)「俺が試しに入ってみるからよ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「とりあえず明日起こしてくれ」
平賀 源内「任せてください!」
平賀 源内「・・」
平賀 源内「庭に埋めよう」

〇研究所の中
原賀 玄海(はらが げんかい)「源内が裏切らなきゃ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「発明家として名を馳せてたのによう」

〇一軒家の玄関扉
セールスマン「・・」
原賀 玄海(はらが げんかい)「なんだ?」
セールスマン「あ、こんにちは」
セールスマン「コマリ君の親族の方ですか?」
原賀 玄海(はらが げんかい)「そうだが」
セールスマン「私、不動産投資の営業をしておりまして」
セールスマン「コマリ君も両親を亡くされて安定的な収入が必要だと思い」
セールスマン「その手助けが出来ればと」
原賀 玄海(はらが げんかい)「おう」
原賀 玄海(はらが げんかい)「そりゃありがてぇや」
セールスマン「なので、まずは不動産価値の見積のために」
セールスマン「お宅を拝見したいのですが」
原賀 玄海(はらが げんかい)「ああ、いいぜ」
セールスマン(ふっ)
セールスマン(まさか親戚がいるとは思わなかったが)
セールスマン(ちょろいもんだ)

〇理科室
バァ・ソソボ「こんなところで何の話じゃ?」
獏 泡代(ばく あわよ)「ソソボさん」
獏 泡代(ばく あわよ)「・・」
獏 泡代(ばく あわよ)「コマリ君に馴れ馴れしくすんのやめてくんない?」
バァ・ソソボ「穏やかではないのう」
バァ・ソソボ「お主はコマリが好きなのか?」
獏 泡代(ばく あわよ)「別に」
獏 泡代(ばく あわよ)「でも、いい物件なんだよ」
獏 泡代(ばく あわよ)「親が金持ちってだけで十分だったのに」
獏 泡代(ばく あわよ)「もう遺産が転がり込んできた」
獏 泡代(ばく あわよ)「弱ってる今がチャンスなワケ」
獏 泡代(ばく あわよ)「だから邪魔すんな」
バァ・ソソボ「物件・・」

〇未来の店
バァ・ソソボ「ふむ」
バァ・ソソボ「ワシはもうやり残したことはないのぅ」
バァ・ソソボ「後はワシの子孫が」
バァ・ソソボ「幸せに過ごしてもらえれば」
バァ・ソソボ「ぬっ!?」

〇綺麗なリビング
  未来でワシの子孫が辛い表情をしておる
  名をコマリというのか

〇未来の店
バァ・ソソボ「こうしてはおれん」
バァ・ソソボ「今行くわい」
バァ・ソソボ「・・これでヨシ (ついでに若返りじゃ)」
バァ・ソソボ「出発」

〇理科室
バァ・ソソボ「委員長よ」
バァ・ソソボ「お主はコマリを幸せにしたいと」
バァ・ソソボ「思っておるか?」
獏 泡代(ばく あわよ)「はっ」
獏 泡代(ばく あわよ)「幸せになるのは私だよ」
バァ・ソソボ「そうか」
バァ・ソソボ「残念じゃ」
バァ・ソソボ「『増虚(ますから)』」
獏 泡代(ばく あわよ)「ひっ」
獏 泡代(ばく あわよ)「何を!?」
バァ・ソソボ「お主の負の感情を高めさせてもらった」
バァ・ソソボ「悪意が強いほど辛いはずじゃ」

〇見晴らしのいい公園
河童泥(かっぱでい)「尻子玉いただき!」
河童泥(かっぱでい)「カパー!俺の手が!」
河童泥(かっぱでい)「まるで壁のような尻カパ!」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「力が増しているのは其方だけではない」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「私も現代の食事や戦闘術を学び」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「強くなっているのだ!」
河童泥(かっぱでい)「カパー」

〇風流な庭園
原賀 玄海(はらが げんかい)「さて、ここならいいか」
セールスマン「はい?」
原賀 玄海(はらが げんかい)「アンタ本当は空き巣に入ろうとしたんだろ?」
原賀 玄海(はらが げんかい)「さっきの話が本当なら」
原賀 玄海(はらが げんかい)「わざわざ夏休み明けの日に」
原賀 玄海(はらが げんかい)「こねぇわな」
セールスマン「い、いや、そんな──」
原賀 玄海(はらが げんかい)「誤魔化せると思ってんのか!?」
原賀 玄海(はらが げんかい)「笑わせるぜ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「腹が」
原賀 玄海(はらが げんかい)「限界だよ」
セールスマン「あ、あんた」

〇見晴らしのいい公園
河童泥(かっぱでい)「コマリの」

〇理科室
獏 泡代(ばく あわよ)「何なのよ!?」

〇炎
「・・」
「先祖だ!」

〇理科室
バァ・ソソボ「『解記憶故(げきおこ)』」
獏 泡代(ばく あわよ)「きゃー!」

〇見晴らしのいい公園
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「『アルゼンチン・バックブリーカー』」
河童泥(かっぱでい)「うぎゃー!」

〇風流な庭園
原賀 玄海(はらが げんかい)「『えれきてるぱれぃど』」
セールスマン「ひ、ひいぃ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「ふん」
原賀 玄海(はらが げんかい)「あんな辛い目にあったコマリを」
原賀 玄海(はらが げんかい)「これ以上困らせてたまるかよ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「さて、すいっちを片付けて」
原賀 玄海(はらが げんかい)「ぎゃいい!」

〇屋敷の門
橙 コマリ「もう!今日一日散々だったよ!」
橙 コマリ「委員長もなんか態度がおかしくなったし」
バァ・ソソボ「そうか?」
バァ・ソソボ「学校でもワシと過ごせて嬉しいくせに」
橙 コマリ「嬉しくない!」
バァ・ソソボ「ところであの松野とかいう女子」
バァ・ソソボ「お主の未来の妻にピッタリじゃと思うぞ」
橙 コマリ「余計なお世話だよ」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「コマリ殿おかえり!」
橙 コマリ「雲暗さん、汗臭っ!」
橙 コマリ「どこ行ってたの!?」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「少しばかり運動をな」
橙 コマリ「家で大人しくしててよ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「お、おう、おかえり」
橙 コマリ「服ボロボロじゃん!」
原賀 玄海(はらが げんかい)「い、いや、これは」
橙 コマリ「どうせ実験の失敗でしょ」
原賀 玄海(はらが げんかい)「まぁ、そんなとこだ」
バァ・ソソボ「コマリ」
安野倍 雲暗(あのべ うんあん)「困ったことがあったら」
原賀 玄海(はらが げんかい)「いつでも言えよな」
橙 コマリ「だから・・」

〇空
  困ってないんだってー!

コメント

  • 御先祖達の個性が光ってて皆おもしろいですね!
    カバディを習得したカッパvs圧倒的物理の陰陽師が特に笑いました(笑)

  • 発明家に陰陽師、そして超能力者ですか……( ゚д゚)
    家系図が気になるぅ……!!
    わちゃわちゃ感があって、コメディ部門に相応しい作品でした!!( ´ ▽ ` )

  • コマリくんが「困ってない」のは彼らが来てくれたから。そんな家族の温かさに、コマリくんが気付くのはいつなんだろう…と考えてしまいました。カオスだけれども温かな家族😊
    しかしコマリくん、すごいご先祖さまをお持ちで(笑)まだ他にも時空を超えてご先祖様登場しちゃうんじゃないかな〜(ますますカオスですね😇)

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