純情サンセット

ササキタツオ

純情サンセット(脚本)

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〇ソーダ
「カラスが鳴く夕暮れ」
「僕は、高校の門の前で、希子さんを待っていた」
「今日こそ、言うんだ!」

〇大きな木のある校舎
森下君「き、希子さん!」
希子さん「あれ? 森下君。いま帰り?」
森下君「希子さん。あ、いえ。あの、その・・・・・・」
希子さん「なになに? ちがった?」
森下君「僕は待っていたんです」
希子さん「え? 何を?」
森下君「それは」
希子さん「あ。誰か待ってたの?」
森下君「それは・・・」
希子さん「それは?」
森下君「それは!!!」
希子さん「もしかして・・・・・・私!?」
森下君「ちちちちち、違います!」
希子さん「だだだだだ、だよね!?」
希子さん「もおー」
希子さん「びっくりしたよー」
希子さん「もしかして、彼女さんとか!?」
森下君「え!? 彼女!?」
希子さん「待ち合わせでしょ?」
森下君「ま、まあ・・・そんなところかもしれません」
希子さん「へえー」
希子さん「森下君、意外とやるねえー!」
森下君「い、いえ・・・」
希子さん「いつもクラスでは大人しいイメージだし」
希子さん「寡黙っていうか」
希子さん「存在感薄い存在っていうか」
希子さん「いるのか、いないのかわからない感じなのにね」
森下君「そ、そうですね」
希子さん「あ。ごめん」
希子さん「私、思ったことすぐ口に出ちゃうから」
森下君「いえ・・・」
希子さん「ホント、ゴメン」
希子さん「それで。どんな彼女さんなの?」
森下君「え・・・っと、それは」
希子さん「なになに? 秘密ってわけ?」
森下君「そ、そうですね」
希子さん「えー----」
希子さん「でも。だったらこんな所じゃダメだよ」
森下君「え?」
希子さん「待ち合わせには目立つよ? ここ」
森下君「そうですよね・・・」
希子さん「もっと彼女さん気遣ってあげないと!」
森下君「はい・・・」
希子さん「でも。なんか少しショックだなあ」
森下君「え?」
希子さん「こんなこと、私が言うのも変だけど」
希子さん「森下君。私の事好きだと思ってたから」
森下君「え!? そんな!!!」
希子さん「だよね」
希子さん「よく視線合うし。そうなのかなって」
希子さん「勝手に思ってた。私って変だね」
森下君「変。ではないです」
希子さん「でも。そっかー。森下君に彼女さんかー」
森下君「いや。その本当は!」
希子さん「ん?」
森下君「本当は!!!!」
希子さん「なになに?」
森下君「いえ・・・」
希子さん「はやく彼女さん来るといいね」
森下君「は、はい・・・」
希子さん「じゃあ、また明日!」
森下君(完全に誤解されてしまった)
森下君(彼女なんていないのに)
森下君「僕は希子さんが好きなのに!」

〇見晴らしのいい公園
希子さん(森下君に彼女さんかあ)
希子さん(なんだか切ないなあ)
希子さん(たい焼き買って帰ろうかなあ)
「希子さー--ん!」
希子さん「え!? 森下君!?」
森下君「希子さん。息が切れます!!!」
希子さん「なになに? 私を追いかけてきたの?」
希子さん「彼女さんに悪いよー」
森下君「そのことなんですけど!」
希子さん「気にしてるよね。私、余計なこと言ったから」
希子さん「存在感薄いとか。なんとかって・・・・・・」
森下君「気にしているとかじゃないんです」
森下君「存在しないんです」
希子さん「え?」
森下君「その、僕に彼女なんていません」
希子さん「まさか」
希子さん「私が存在感薄いとか言ったから?」
希子さん「消しちゃったの?」
森下君「違います。僕は!」
森下君「僕は!」
森下君「希子さんの事が好きなんです」
希子さん「え」
希子さん「ええええええええええええええええ」
希子さん「嘘?」
森下君「本当です」
希子さん「からかってるんだ?」
森下君「違います」
希子さん「だって。彼女さんいるって言ってた」
森下君「あれは流れで・・・。でも。いないんです」
希子さん「森下君。そういうことは、ハッキリ言わないとダメだよ」
希子さん「誤解しちゃうじゃん!」
森下君「す、すみません」
希子さん「でも。嬉しい!」
希子さん「たい焼き食べたくない?」
森下君「あ。はい・・・」
希子さん「一緒に買いに行こ!」
森下君「はい!」
  こうして僕たちは、付き合うことになったのでした。
  想いは、ちゃんと言葉で口にしないと伝わらない。
  純情サンセット!

コメント

  • 森下君が最初は告白できなくて希子ちゃんとの会話がどんどんずれていく感じが、あーわかるーってなりますね。彼女がいると聞いてから希子ちゃんも自分の気持ちを徐々に意識し始めるあたりの繊細な描写が際立っていました。

  • 甘酸っぱくて、清々しくて、何とも気持ちいのいいお話ですね。思っていることを一言告げるだけでも、色々と考え込んだり誤魔化したりとかって、若者の特性ですよね。そんな若者の必死感がいっぱいで楽しめました!

  • 初な少年ですね。
    恋って本当に甘酸っぱい!
    その当時は甘酸っぱく感じないですが、歳を重ねるに連れて、こういう話でどんどん酸っぱさが増していくというか…ね?

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