生き急ぎ家族

サトJun(サトウ純子)

兄さんの恋(脚本)

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〇おしゃれなリビングダイニング
  磯木家の朝は慌ただしい。
磯木真寿代「おは(おはよう)」
磯木菜乃花「おはよー」
磯木真寿代「おと!ま? (お父さんはまだ起きてない?)」
磯木菜乃花「うん」
磯木真寿代「たお!(たいへん!起こさないと!)」
磯木南陽「は!(おはよう!)」
磯木菜乃花「おはよー」
磯木南陽「じゃい! (じゃあ、いってきます!)」
磯木菜乃花「行ってらっしゃーい」
磯木大洋「ねぼ!く!ご! (寝坊した!朝ご飯食べずに行くね。ごめん!)」
磯木真寿代「はやち!(早くしないと遅刻よ!)」
磯木菜乃花「・・・」
磯木菜乃花「行ってらっしゃーい」
磯木真寿代「にお?(お兄ちゃんは?起きてる?)」
磯木菜乃花「兄さんは、さっき出かけて行ったよ。 朝ご飯はまた、パンに挟んで持って行ったよ」
磯木真寿代「り!(了解!)」
磯木菜乃花「・・・」
磯木菜乃花「はぁー」
磯木菜乃花「さ、ご飯食べよ」
磯木菜乃花「いただきまーす!」
磯木菜乃花「・・・また、戸を閉めなかったな」
磯木真寿代「じゃい!(じゃあ、行ってきます)」
磯木菜乃花「行ってらっしゃーい!」
磯木真寿代「スわ!(スマートフォン忘れた)」
磯木真寿代「い!(行ってくるね)」
磯木菜乃花「行ってらっしゃーい」
磯木菜乃花「さ、続き食べよっ」
磯木菜乃花「家族LINEだ」
  【母】みんな、帰りは何時頃になりそう?
磯木菜乃花「また、電車の中で打ってるな・・・」
  【父】遅くても19時半
  【兄】俺は友達と呑んで帰るから、23時頃
磯木菜乃花「相変わらずみんな返事はやっ」
  【母】菜乃花は?
磯木菜乃花「・・・まだハッキリしてないんだけど」
  【母】菜乃花はどうなの?
磯木菜乃花「えっと、授業が終わって、塾行く前にシャーペン買いたいから・・・」
磯木菜乃花「はーい。もしもーし」
「で、菜乃花は帰りは何時なの?」
磯木菜乃花「しびれをきらして、途中下車して電話かけて来たか」
磯木菜乃花「多分、18時頃」
「り!(了解!)」
磯木菜乃花「・・・」
  これが、磯木家の日常だった

〇おしゃれなリビングダイニング
  それが、この日は違った
磯木真寿代「おは(おはよう)」
磯木菜乃花「おはよー」
磯木真寿代「おと!ま? (お父さんはまだ起きてない?)」
磯木菜乃花「うん」
磯木真寿代「たお!(たいへん!起こさないと!)」
磯木南陽「は!(おはよう!)」
磯木菜乃花「おはよー」
磯木南陽「じゃい! (じゃあ、いってきます!)」
磯木菜乃花「行ってらっしゃーい」
磯木大洋「ねぼ!く!ご! (寝坊した!朝ご飯食べずに行くね。ごめん!)」
磯木真寿代「はやち!(早くしないと遅刻よ!)」
磯木南陽「そうだ!言い忘れてたけど、週末、嫁さん連れて来るから。みんな予定空けといてよ!」
磯木菜乃花「・・・」
「よ、嫁さん!?」

〇教室
  そういえば昨日
野良利クラリ「菜乃花。おはようー!」
磯木菜乃花「おはよう!クラリ」
野良利クラリ「最近、菜乃花のお兄さんが、よくバイト先に来てくれるって話ししてたでしょ?」
磯木菜乃花「ああ、駅前のカフェね! うんうん」
野良利クラリ「どうやら、学祭でお兄さん、カフェやるみたいで」
野良利クラリ「近々、菜乃花の家にお邪魔するかも!」
磯木菜乃花「家に?」
野良利クラリ「うん! コーヒーをドリップで入れるやり方と、ラテ・アートを教えて欲しいって」
磯木菜乃花「あの、学祭みたいなイベントは必ずスルーする兄さんが、積極的に?」
  おかしいと思ったのよ・・・
  まさか、兄さん。
  クラリに恋してる!?

〇おしゃれなリビングダイニング
磯木菜乃花「ただいまー」
磯木真寿代「おかえり! 週末、これでいい?」
磯木菜乃花「お母さんが花嫁になってどうするのよ」
磯木大洋「お父さんはこれでいいかな?」
磯木菜乃花「走るわけじゃないから」
磯木真寿代「これは?」
磯木菜乃花「昔の服引っ張り出して来て、どうするの!」
磯木大洋「これならどお?」
磯木菜乃花「色しか変わってないし」
磯木真寿代「これならいけるでしょ!」
磯木菜乃花「・・・」
磯木菜乃花「ちょっと二人とも、落ち着いてーっ!」
磯木菜乃花「兄さん、多分、告白もしていないと思う」
磯木真寿代「でも、嫁さん連れて来るって」
磯木菜乃花「いつ着替えた?」
磯木大洋「第一印象大事だから・・・」
磯木菜乃花「まだ着替えてるんかい!」
磯木南陽「ただいまー!」
磯木菜乃花「・・・」
磯木菜乃花「兄さん、もしかして嫁さんって クラリの事?」
磯木南陽「あ。バレた?」
磯木菜乃花「・・・」
磯木菜乃花「あのね、兄さん」
磯木菜乃花「そこは端折っちゃいけないところだと思うよ」
磯木南陽「なにが?」
磯木菜乃花「付き合ってもいないのに、いきなり「結婚」を持ち出すのはダメだってば」
磯木南陽「え?なんで?」
磯木真寿代「そうよ。結婚でいいじゃない!」
磯木大洋「そうそう。 男として、ケジメをつけないと」
磯木南陽「子供は三人欲しいなぁ」
磯木大洋「良い学資保険教えてやる!」
磯木真寿代「お迎え行ってあげるからね!」
磯木菜乃花「シャーラァァァーップ!」

〇明るいリビング
磯木菜乃花「まず、お互いが好きである事を確認しなきゃでしょ」
磯木南陽「俺は好きだ!だから結婚する」
磯木菜乃花「クラリが兄さんの事、『私の兄さん』としてしか見ていなかったら、どうするのよ!」
磯木南陽「そんな事、あるのか? あんなに可愛く笑ってくれるのに」
磯木真寿代「確かに。 私もアイドル時代はキモオタ相手でも、笑顔で握手していたからなぁ・・・」
磯木大洋「俺も、どんなに疲れていても、スポンサーの為に取材には笑顔で答えていたからな・・・」
「・・・」
「見込みないかもかぁ・・・」
磯木菜乃花「極端だなぁ」
磯木菜乃花「まだ、はじまってもいないかもってこと」
磯木菜乃花「まず、仲良くなって、特別な存在になって。 お付き合いして、それから・・・でしょ」
磯木南陽「まだ、始まってもないのか!」
磯木真寿代「だったら、諦めちゃダメ! アイドルになるのにも、人気が出るのには時間がかかったからね!」
磯木大洋「確かに! スポーツも、日々の積み重ねが大事だからな!」
磯木南陽「お、俺、頑張ってみるよ!」
  こうして、兄さんは
  恋をGETする為に
  「急がば回れ作戦」に
  挑戦することとなった。

〇おしゃれなリビングダイニング
  ──はずだった
磯木南陽「さて、これで準備OK!」
磯木真寿代「気合いよ!気合い!」
磯木大洋「俺が緊張するなぁ」
磯木菜乃花「・・・」
磯木菜乃花「ちょっと、みんな、いいかなぁ」
磯木菜乃花「とりあえず、こっち来て座って」
磯木南陽「なんで?」
磯木菜乃花「いいから、座って!」
「・・・はい」

〇明るいリビング
磯木菜乃花「今日は、クラリはあくまでも 「コーヒーの入れ方を教えに来る」 のよ?わかってる?」
磯木南陽「そのついでに告白しちゃおうかと」
磯木真寿代「ついでに、我が家の味噌汁の味を 知っておいてもらおうかと」
磯木大洋「ついでに、帰る時にクラリさんのご両親にも挨拶しに行こうかと」
磯木菜乃花「あのねー ちっともわかっていないじゃない」
磯木菜乃花「クラリはコーヒーを教えに来るの。 いきなり違う方向に話しを持っていったら、逆に嫌われちゃうわよ!」
「それは困る!」
磯木菜乃花「だとしたら、まず、普段の服に着替えて。 「私の友達が来た」ように迎える事!」
「・・・はーい」

〇おしゃれなリビングダイニング
野良利クラリ「こんにちはー! おじゃましまーす!」
磯木菜乃花「いらっしゃーい! 今日は兄さんの為に、わざわざありがとね!」
磯木南陽「よ、よろしくお願いします!」
磯木真寿代「あら、いらっしゃい。 キッチン、好きなように使ってね!」
磯木大洋「あ、あ、いらっしゃい! ゆっくりしてって」
野良利クラリ「あ、そうだ! これ、皆さんに食べてもらおうと思って 焼いてきたクッキーです!」
野良利クラリ「わーっ!キッチン。 オシャレで、すっごい素敵ですね!」
「・・・」
「・・・クラリさん」
「うちのお嫁さんになってください!」
野良利クラリ「・・・え?・・・えっ?」
磯木菜乃花「・・・ダメだ、こりゃ」

コメント

  • お兄さん端折りすぎ〜😂からの、結局全員端折り過ぎてて笑いました🤣🤣🤣クラリちゃんに父母がキュンとしてしまうのも早すぎだし、もうとにかく早い!菜乃花ちゃんは毎日振り回されていて大変ですね💧
    どうしてこうなったのか?みたいな回もあったら読んでみたいです😊
    でも、これだけ早く行動できていれば、時間に余裕が生まれそうでちょっと羨ましいです😅

  • 色んな意味で生き急ぎすぎぃ!!!( ゚д゚)
    言葉を端折るのは現代人あるあるなので、謎の共感を覚えましたw
    後、名前がど直球で覚えやすくていいですね( ´ ▽ ` )
    楽しかったです!!

  • タイトル通り、本当に生き急ぎ過ぎで、終始爆笑でした! 色々なトラブル起こしそうな3人ですが、菜乃花の話を素直に聞く所は、なんだか可愛かったです^^
    自分もせかせかしてる方なので、ここまで生き急がないように気を付けたいと思います。笑

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