私の運命の人は親友の女の子でした

上村夏樹

運命の人(脚本)

私の運命の人は親友の女の子でした

上村夏樹

今すぐ読む

私の運命の人は親友の女の子でした
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇教室
陽葵「詩織ぃ~!助けてよぉ!」
詩織「嫌よ」
陽葵「つめたっ!」
陽葵「ううー、なんでさぁ。まだ何も言ってないじゃん」
詩織「どうせ「英語の宿題うつさせてー」でしょ?」
陽葵「げっ。なんでバレたし」
詩織「バレバレよ。陽葵と何年親友やってると思っているの」
陽葵「案外、前世からかもよー?」
詩織「はいはい」
詩織「ばか言ってないで教科書だしなさい」
陽葵「さっすが詩織様!」
詩織「教えるだけ。写させないわよ?」
陽葵「あーん、いじわるぅー」
  私と詩織は中学一年生からの付き合いだ
  同じ高校に進学するほど仲がいい
  そそっかしい私と、しっかり者の陽葵
  仲間内の評価は仲良し凸凹コンビって感じかな
詩織「はあ。もし陽葵に恋人ができたら彼氏さん苦労しそう」
陽葵「なんだとー!?」
陽葵「どーゆー意味だよー」
詩織「だらしない陽葵の世話するのが大変ってこと」
陽葵「ぐぬぬー、何も言い返せない・・・」
陽葵「いいもん、彼氏つくらないから」
陽葵「私には詩織がいるもんねー」
詩織「そんなこと言っていいの?」
詩織「陽葵には『運命の人』がいるんでしょ?」
陽葵「うっ、それはー・・・」
  運命の人に出会ったのは私がまだ小さい頃だ
  近所にショートヘアの男の子がいて、私はその子とよく一緒に遊んでいた
  しかし、ある日突然、彼は引っ越すことになったと私に告げた
  お別れの日、彼は私の薬指にペアの玩具の指輪をはめて言った
  ──これは婚約の証
  ──大人になったら、お嫁さんになってください、と
  ちなみに指輪の話までは詩織に話していない
  だって絶対からかわれるもん
陽葵「小さい頃の話だから。べつに本気にしてないし」
詩織「ふーん。そのわりに、よく運命の人の話をしてない?」
陽葵「う、うっさいなぁ」
陽葵(いいじゃん、べつに)
陽葵(私だって女の子だもん)
陽葵(運命の人と再会したら、なんて妄想くらいするよ)
陽葵(だって・・・)
陽葵「・・・初恋の人なんだもん」

〇女の子の一人部屋
陽葵「詩織ー!私を騙したなー!?」
陽葵「普通「うち来ない?」って言われたら遊ぶかと思うじゃん!」
詩織「正直に「勉強会する」って伝えたら逃げるでしょ?」
詩織「観念して勉強しなさい」
陽葵「ヤダ!勉強キライ!」
詩織「子どもじゃないんだから・・・」
詩織「あのね、陽葵」
詩織「あなた、前回のテスト赤点ギリギリだったでしょ」
陽葵「あんな紙切れで私の実力がわかると思うなよ?」
陽葵「べーっだ」
詩織「わけわかんないわよ・・・」
詩織「とにかく、今日は勉強するからね!」
陽葵「あーん、いじわるぅ」
詩織「いいから筆記用具だして」
陽葵「ぶぅー」
陽葵(はぁ、詩織は真面目すぎなんだよねー)
陽葵(・・・でも、私のためを思ってやってくれているのはわかる)
陽葵(なんだかんだ言って、面倒見がよくて優しいんだよね、詩織って)
陽葵(だから甘えちゃうんだろうなぁ)
陽葵「にっしっし。将来は詩織みたいなイケメンと結婚して養ってもらおっと」
詩織「またわけのわからないことを・・・ま、勉強すれば夢叶うかもね」
陽葵「マジか!勉強やるー!」
詩織「ふふっ、単純ね」

〇女の子の一人部屋
陽葵「つーかーれーたー」
詩織「集中力なさすぎよ!」
陽葵「だってぇ。英語むずいよぉ」
詩織「陽葵を養ってくれるイケメン、アメリカ人かもよ?」
陽葵「英語やりますッ!」
詩織「そんなに養ってもらいたいのね・・・」
詩織「仕方ない。休憩する?」
陽葵「するするー」
陽葵「ねね、漫画よんでいい?」
詩織「いいわよ」
陽葵「やった!」
陽葵「ぐへへ、えっちな本はどこだー?」
詩織「おっさんか!」
詩織「えっちな本なんてないわよ!」
陽葵「この引き出しがあやしい!」
  ごそごそ
陽葵「・・・ん?」
陽葵「え、待って」
陽葵(なんで『これ』がここにあるの・・・?)
陽葵(この指輪、私が運命の人からもらったヤツと同じヤツだ・・・!)
陽葵「し、詩織。この玩具の指輪どしたん?」
詩織「あ、それ?」
詩織「言ってなかったけど、私も陽葵と同じように運命の人がいてね」
陽葵「ふ、ふーん。そそっ、そうなんだー」
詩織「なんか焦ってる?」
陽葵「ぜぜっ全然!」
陽葵(正直、めっちゃ焦ってるんですけど)
陽葵(私の運命の人、男の子だと思っていたのに・・・まさか女の子だったってオチ?)
陽葵「詩織さ・・・昔も今みたく髪伸ばしてた?」
詩織「ううん、ショートヘア」
陽葵(ぎゃああああああ!)
陽葵(私、幼い頃のボーイッシュだった詩織に恋してたっぽいー!)
陽葵(でもでも、まだ運命の人が詩織だって決まったわけでは──)
詩織「小さい頃ね、近所の好きだった子にプロポーズして、玩具の指輪を渡したの。その指輪のペアのヤツ」
陽葵(ふぎゃああああ!)
陽葵(その好きだった子、私だろぉぉー!)
詩織「あの子、今頃どうしてるのかな」
陽葵(目の前にいるよ!気づけ、にぶちん!)
陽葵(うー、まさか運命の人が同性の親友だったなんて・・・!)
詩織「陽葵、顔赤いわよ?」
詩織「熱でもあるの?」
  ぴとっ
陽葵「なっ・・・!!」
陽葵(お、おでこくっつけてきたぁぁ・・・!)
詩織「熱はないわね」
陽葵「ふっ・・・不意打ちは卑怯でしょーが!」
陽葵「ち、近いから離れてよぅ!」
詩織「ご、ごめんなさい・・・?」
陽葵(不思議そうに首かしげちゃって・・・何その仕草。可愛いんですけど!)
陽葵(どうしよう。意識したらドキドキしちゃう)
陽葵(今までこんなことなかったのに・・・)
陽葵(私・・・詩織のこと好きなのかも)
陽葵「あ、あのさ・・・詩織の運命の人が私だったらどうする?」
陽葵(うわっ!何聞いてるの、私のばかばか!)
詩織「あはは、ないない」
陽葵「否定するの早っ!」
陽葵(ううー、秒でフラれちゃった・・・さらば、私の初恋・・・)
詩織「だけど──」
陽葵「えっ・・・」
詩織「そそっかしい陽葵のこと、放っておけないから」
詩織「ずっと陽葵と一緒にいてあげる」
陽葵「ななっ・・・!」
陽葵「は、恥ずかしいこと言うなー!」
陽葵(ほんと、この子ってばズルい。ドキドキしちゃうじゃん。ばか)
陽葵(ねえ、誰か教えて)
陽葵(親友のことを好きになっちゃったら、どうすればいいのぉぉぉ・・・!)

コメント

  • 正反対のタイプの陽葵と詩織の関係性が微笑ましいですね。もし陽葵に相談されたら、「結論を急がないで、恋心に似た友情なのか、友情に似た恋心なのか、はっきりわかる日が来るまでもう少しこの関係を続けたらいいんじゃない?」って言うと思います。

  • 幼い子供ってたまに大人並みの言動したりしますよね。テレビの影響だったり、自分の両親からだったり。でも本能でやってることだから、すごく愛おしいです。

  • この作品からときめきの香りが漂ってますねぇ!
    時が経てば忘れてしまうことも多くありますよね。
    私も昔仲良かった子と同じようなこと言ってた気がしますが…。

成分キーワード

ページTOPへ