ケモミミアイドル 人間の差別と個性

七霧孝平

ミウ、美しい羽(脚本)

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七霧孝平

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〇渋谷駅前
ミウ「みんなー! ありがとうー!」
観客「うおー! ミウ! ミウ!」
観客「ミウちゃん、最高ー!」
ミウ(すごい・・・! みんながわたしを応援してくれてる!)
ミウ「『あの』ミウなのに・・・!」

〇入り組んだ路地裏
ミウ「あの頃、わたしは路地裏暮らしで・・・」
ミウ「お願いです・・・! もう少しだけ、ここにいさせてください!」
男「そう言ってはや数ヶ月だがね、キミ」
ミウ「でもわたし、行く場所がないんです!」
男「それは私の知ったことじゃないよ」
男「・・・連れ出してくれ」
ガラの悪そうな男「あいよ」
ガラの悪そうな男「おらいくぞ、ガキ!」
男「だいたい、金がない身でありながら、 そんな耳のアクセサリーなんて付けおって」
男「外せ」
ミウ「いやっ、これは!」
ガラの悪そうな男「ん・・・?」
ミウ「痛いっ!」
ガラの悪そうな男「旦那、これ、外れませんぜ」
男「なにを馬鹿なことを・・・」
男「・・・?」
男「ど、どうなっておる。 本当に外れん!」
ミウ「痛い・・・やめてください・・・」
男「ま、まさか、本当に生えているというのか」
ガラの悪そうな男「ば、化物!」
男「化物め、早くここから出ていけ!」
ミウ「ああっ!」

〇ゆるやかな坂道
ミウ「ううっ・・・」
ミウ「わたし、これからどうしたら・・・」
町の子供「見てー、あの女の人、 変な耳付いてるー」
親らしき人「見てはいけません!」
ミウ「・・・」
男の声「おや・・・?」
会長「君・・・」
ミウ「! な、なんでしょう?」
会長「その耳・・・」
ミウ「こ、これは生まれつきで・・・」
会長「ほう・・・?」
会長「・・・」
ミウ「あの・・・?」
会長「うむ。いい!」
ミウ「え、あの、なにがでしょう?」
会長「君、こんな時間に彷徨いているが、家は?」
ミウ「・・・ありません」
会長「親や親戚は?」
ミウ「・・・いません」
会長「ふむ」
会長「君さえよければだが、 うちの事務所に来ないかね?」
ミウ「事務所・・・?」
会長「名乗りが遅れたね。 私はこういうものだ」
ミウ「○✕アイドル事務所会長・・・」
ミウ「○✕アイドル事務所!?」
会長「知っているかね?」
ミウ「は、はい! 有名なアイドルを世に出し続けている あの事務所ですよね?」
会長「うん」
ミウ「そんなすごい所に、わたしなんかが 行って大丈夫なんですか?」
会長「私の目に狂いはない。 君はいいアイドルになれると思うよ」
ミウ「で、でもこの耳が・・・」
会長「耳? いいじゃないか」
会長「君のその耳は大きな個性だ」
会長「怯える必要はない。 もっと堂々と、その耳を誇りなさい」
ミウ「この耳を・・・」
ミウ「耳を誇れるかはわかりません。 今まで、この耳でずっと虐げられてきたから」
ミウ「でも・・・ついていってもいいですか?」
会長「もちろん。 誘ったのは私だからね」

〇校長室
ミウ「すごい・・・。 来る途中にも有名なアイドルが」
会長「さてと、まずは」
会長「おーい! カナくん!」
カナ「はーい。 なんです、会長?」
会長「この子にシャワーと、 あと似合う服を見繕ってくれ」
カナ「了解ー」
カナ「さっ、いきましょ!」
ミウ「え、あ、あの」
  数10分後・・・
ミウ「あ、あの・・・」
会長「おお、似合うじゃないか!」
カナ「当然ー! あたしが選んだんですから」
カナ「この子、えっと名前は?」
会長「おお、そうだ。 君の名前を聞いていなかったな」
カナ「会長ー。 また、名前も聞かずに連れてきてー」
会長「はは、すまない」
ミウ「名前、ミウ・・・です」
カナ「ミウ!」
会長「ミウか、いい名前だ。漢字は?」
ミウ「わかりません。 お母さんが呼ぶだけだったので」
会長「そうか・・・」
カナ「それなら『美羽』なんてどう?」
会長「美しい羽、美羽か。いいね。 もちろん、ミウさんがよければ、だが」
ミウ「美羽・・・。 わ、わたしも、いいと思います」
会長「それでは君は、『美羽』! 我が事務所のニューアイドルだ!」
ミウ「え、ええっ!?」
会長「強制はしないよ。 でも新たな自分に生まれ変わりたくはないかい?」
ミウ「それは・・・」
ミウ「やります、やらせてください!」
会長「うん。よく言ってくれた!」
カナ「もちろん、レッスンは厳しいわよー?」
会長「はは、カナくん。脅かしちゃダメだよ」
カナ「本当のことですからー」

〇渋谷駅前
ミウ(カナさんの言うとおり、 レッスンはキツかったけど)
ミウ(わたし、今すごく楽しい!)
ミウ(この耳で虐げられてきたけど、 この耳が、今のチャームポイント!)
ミウ(個性として誇っていいんだ!)
ミウ(ありがとう会長さん! ありがとうカナさん!)
ミウ(わたし、 これからもアイドル頑張ります!)

コメント

  • 猫耳は一例で、自分では欠点だと思っているものが実は個性だったりセールスポイントになったりするよ、ということなんでしょうね。あとは理解者と出会えるかどうかが重要。ミウちゃんには会長さんとの出会いがあってラッキーでしたね。

  • 会長が初めて話しかけた時、夜道だった事もあり
    怪しい人なのではないかと思ってしまった事を全力で謝りたいです…🙇🏻‍♀️
    見た目とかだけで全て決めつけて差別するのは本当に悲しい事です。
    会長のような、差別をしない、ポジティブな人が増えたら世界は平和になるのでは無いかなあと思いました。

  • 自分の特徴が買われて、人気が出て、忌み嫌われる存在からスターダムを駆け上がる…すごく夢がある作品ですね!
    会長の目に狂いはなかった…と!
    私も猫耳娘をスカウトしたいです。

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