読切(脚本)
〇撮影スタジオのセット
ここは、春のスペシャルドラマ
『姫の教室SP』の撮影現場だ。
そう、あの清純派人気女優、倉持サユの大ヒットドラマの、スペシャル編である。
赤星(サユりん、可愛いなぁ🖤)
〇ライブハウスの控室
事件は、そんなドラマ撮影終わりの
楽屋で起きた!
そう・・・倉持サユの楽屋で。
赤星「おい!分かってると思うが、 外部には漏らしてないよな?」
青井「勿論です」
桃田「あぁ」
黄島「あったりめぇよ!」
緑山「・・・」
赤星「緑山!お前、誰かに言ったのか!?」
緑山「写真に撮っただけだよ・・・」
青井「SNSにでも流出したら、大事ですよ」
緑山「分かったよ、削除するよ・・・」
倉持サユの帰った楽屋に集まった
俺たち5人には、不名誉なグループ名があった。
DT戦隊 モテヘンジャー!!
DTは、ドラマチームの意味と
そのままのモテないDT(童貞)の意味。
悲しき哉、2つの意味が込められていた。
メンバーは、チーフADの俺こと、赤星。
タイムキーパーの、青井。
大道具の、黄島。
小道具の、緑山。
カメラアシスタントの、桃田。
うまい具合に五色そろってしまった。
そして、そんな俺たちDT戦隊が
こよなく愛して止まないのが、
サユりんこと、倉持サユだった。
そして、サユりんの楽屋の片付けに入った俺たちは、とんでもないお宝を発見してしまったのだった!
黄島「これって、この毛って・・・ やっぱり、そういうことだよな」
青井「期待し過ぎは禁物です。 髪の毛という可能性は?」
桃田「いやいや、サユりんはストレートだし。 この部屋で着替えたのは、彼女だけだ」
緑山「と、いうことは この緩やかに波打つ、ヘアーは・・・🖤」
赤星「正真正銘、サユりんのお宝ヘアーだ!」
よっしゃーーーー!!!
赤星「まずは急ぎ、お宝を回収するぞ!」
桃田「赤星くん、回収って 何に収納する気だい?」
赤星「えっ?えっと・・・ ここ楽屋だし、何かないか?」
黄島「これはどうだ?」
黄島が示したもの。
それは、ウエットティッシュだった。
赤星「バカ野郎!除菌してどーする!」
青井「しかも除菌率99% コロナの弊害か・・・!」
黄島「ちくしょー!コロナめ!」
緑山「これ、俺のだけど・・・どうかな?」
緑山が差し出したもの、
それは洗い立てのハンカチだった。
赤星「洗濯機の洗浄力・・・ 洗剤の除菌力・・・」
赤星「ダメだ!緑山エキスが数%残っている!」
緑山「み、緑山エキスって・・・!!」
赤星「新品のハンカチを買いに行こう!」
桃田「1番近いコンビニでも2.5kmあるぞ! しかも今の時間、ロケバスも使えないし」
俺たち、DT戦隊の間に、
重苦しい空気が漂った。
諦めかけた、その時・・・
黄島「俺に行かせてくれ! 学生時代は、陸上部だったんだぜ!」
赤星「黄島!頼んだぞ!」
黄島「あぁ」
皆が見守る中、黄島は
新品のハンカチを求めて、旅立った・・・
時間は、刻々と過ぎていった。
俺たちの中にも、次第に焦りの色が見え始めた。
その時だった。
♪~♪~♪~♪~♪
黄島からの電話が鳴った!
〇小さいコンビニ
黄島「・・・ぐすっ。お、俺だ」
【赤星】
黄島?な、泣いているか?
どうした?ハンカチ、なかったのか?
黄島「いや、あったにはあったんだか・・・ キャラクターもののハンカチで。 しかも✕✕✕✕✕✕(ピー音♪)なんだ・・・」
【赤星】
な、なんだって!!
黄島「赤星ぃ~・・・俺、できねぇよ。 甥っ子、好きなんだよ!奴のこと。 そんなのに、俺・・・包めねぇよ!」
泣きじゃくる黄島に、
俺たちは何も言うことは出来なかった。
〇ライブハウスの控室
緑山「お、おい!この際さぁ。 仕方ないんじゃねぇの?✕✕✕✕✕✕でも」
緑山「あいつってさ、ほら いつだって他人の為に、最大限の自己犠牲払ってんじゃん? 俺たちの願いだって、きっと・・・」
赤星「ダメだ! 俺たちの邪な願いを、 彼のあの笑顔で包むなんて・・・ やっちゃいけないんだ!」
青井「愛と勇気だけが友達・・・ですもんね」
緑山「うっ、うぅっ、」
桃田「緑山・・・」
膝から崩れ落ちた緑山の背中に、
桃田が優しく手を添えた。
涙は流さずとも、俺たちの悲しみは
気持ちは同じだった・・・
赤星「黄島、苦労かけたな。 気を付けて戻ってきてくれ」
【黄島】
あぁ、分かった。
赤星、みんな。俺、お前たちと夢が見れて最高だったよ。
黄島が電話をきった後も、
俺たちは、なかなか身動きが出来ずに
その場で立ちすくんでいた。
その時だった・・・!!
ガチャッ!
コースケ「あれー?何々? みんなお揃いで!って、DT戦隊じゃん! ・・・あ、イエローはいないか」
ハイテンションで、楽屋に入ってきたのは
お笑い芸人の、コースケさんだった。
実は、何を隠そう
俺たちDT戦隊の名付け親でもあった。
赤星「お、お疲れ様っす」
コースケ「な~んか、みんな暗くない? ・・・あ、あった、あった!」
コースケさんは、楽屋の隅に落ちていた
帽子を嬉しそうに拾った。
赤星「えっ?それコースケさんの帽子っすか? えっ?なんでこの楽屋にあるんっすか?」
コースケ「な~に言ってだよ? 今日、この楽屋使ったの、俺だぜ!」
えっ!?
赤星「いやいや、ここ、 倉持サユの楽屋ですって!」
コースケ「あぁ~ここ、喫煙所近いから、 変わってもらったんだよ~」
俺たちは、ゆっくりとコースケさんを見た
顔じゃなく、帽子を被ろうとする、
コースケさんの頭を見たのだ。
かけたばかりの、パーマが
キレイに波打っていた・・・!!
そのヘアーはアイツのだったんかい!
DTドンマイ!
すごい盛り上がりの後の落胆ぶりがすごいです。笑
まあたしかにそうでしょうけど、なぜそこで除菌をいやがる!?とツッコミを入れてしまいました。笑
ノリが良くて楽しかったです!
(笑)楽しいお話し!笑ってしまいました!会話のテンポがよくて一気に最後まで読み進めさせてもらいました。これからも頑張って活躍してほしいです。