ペット星人

尾長イルカ

ペット星人(脚本)

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〇商店街
勇真(ゆうま)「この顔 見てませんか?」
店主「あんたの恋人?」
勇真(ゆうま)「恋人じゃない ペットだよ」
店主「女性をペット扱いか!?」
勇真(ゆうま)「いいだろ 俺のペットだ!」

〇スーパーの店内
あかね「あの子 これ好きよね」
勇真(ゆうま)「あれは 一週間は部屋の匂いが取れないという・・・」
勇真(ゆうま)「「納豆ドリアンピザ」!! あれを買う奴が 俺以外にいるとは・・・」
勇真(ゆうま)「もしかしたら・・・」
  男は女のあとをつけた

〇マンションの共用廊下
勇真(ゆうま)「宅配便で~す」
  女がドアを開けた
  その途端 部屋に侵入する男

〇綺麗な部屋
あかね「何ですか!!」
勇真(ゆうま)「あいつを出せ あいつを」
あかね「会社にいいつけますよ!!」
勇真(ゆうま)「俺は宅配便じゃねぇ」
あかね「泥棒!?」
勇真(ゆうま)「泥棒はテメーだ 俺のペット盗みやがって あいつ ここにいるんだろう!?」
勇真(ゆうま)「帰るぞ ご主人様だぞ!!」

〇白いバスルーム
勇真(ゆうま)「でてこい夢香!!」
  現れたのは・・・
勇真(ゆうま)「なんだこの ヒゲおやじは!?」
勇真(ゆうま)「俺の夢香が なんて姿に あんまりだ!!」
  崩れ落ちる男

〇城のゴミ捨て場
  出会いはゴミ捨て場
猫「ニャー」
  可愛い子猫を拾って帰った

〇学生の一人部屋
  翌朝 目覚めると
  理想の女がいた!!
  いつも妄想していた理想の女
  実体化していた・・・
夢香(ゆめか)「ニャーニャー」
  それがペット星人との出会い

〇公園のベンチ
  ペット星人はどんな姿にもなれた
  脳波を読み取り
  どんな姿にも変身できるらしい
  理想の女性を思い描けば
  その通りの姿になれる
  最高の女
  そして最高のペット

〇綺麗な部屋
勇真(ゆうま)「こんなヒゲ面親父にして ファザコンか!?」
あかね「ヒドい!!」
あかね「あんたみたいな 傲慢な人に渡せない」
勇真(ゆうま)「泥棒の癖に!」
あかね「拾っただけでしょ あなたのものじゃない!!」
勇真(ゆうま)「ずっと一緒に暮らしてたんだ 俺のペット星人だ!!」
あかね「この子は私が育てます!!」
勇真(ゆうま)「こんなヒゲ親父に変身させて 悪趣味だよ!!」
あかね「ほっといて」
あかね「どうせ美人に変身させて いやらしいことするんでしょ!? エロエロ変態星人!!」
勇真(ゆうま)「お前だって 閉じ込めてるだろ 納豆ドリアンピザで 手なずけて!!」

〇学生の一人部屋
  話し合いで 一週間事に世話することに
  離婚夫婦が
  子供を互いの家に預け合う様に
  俺の家にいる間は 夢香になるのだが
勇真(ゆうま)「よく見るとヒゲ生えてるじゃないか 胸も小さくなってるし!!」
勇真(ゆうま)「腹もちょっと出て小太りになってるぞ!!」
夢香(ゆめか)「つまんねーやつ」
勇真(ゆうま)「話し方もオッサンぽい あっちの影響受けすぎだよ」
  夢香を抱き寄せた・・・
勇真(ゆうま)「なんだこれ」
勇真(ゆうま)「股間にキノコが!!」
勇真(ゆうま)「キノコじゃないこれは・・・」
勇真(ゆうま)「それも こんなにたくさん あの女どういう趣味してんだ!!」
勇真(ゆうま)「お前は理想の女なんだ キノコ生やしてんじゃねぇ!!」

〇黒
  ペット星人は 泣いて出て行った
  あんな顔 見るの初めてだった
勇真(ゆうま)「あの女の家に行ってるかも・・・」
  事情を話し 一緒に心当たりを捜した

〇川沿いの原っぱ
勇真(ゆうま)「何で泳ぎなんか覚えさせた? 溺れたらどうすんだ!?」
あかね「外の空気を吸わせてあげたかったの あんたみたいに 閉じ込めてないで」
あかね「そもそも逃げ出したのも 自由になりたかった証拠じゃない」
勇真(ゆうま)「人の教育に口出すな」
あかね「動物虐待!!」
勇真(ゆうま)「本音が出たな お前も 動物だと思ってるじゃないか」
あかね「いいえ!! 私は一人の人間として接した 敏男さんとして」
勇真(ゆうま)「何だよ敏男さんって? どうせヒゲ親父と不倫でもしてたんだろ? スケベ OL」
あかね「ひどい あんまりよ!!」
勇真(ゆうま)「何すんだこの野郎!!」
  女が叩くので つい反撃して突き飛ばした
  彼女は川に溺れた
  飛び込んで助けた
  水を飲んだらしく
  彼女は動かなかった 救急車を呼んだ

〇病室のベッド
  俺は一晩中つき添った
  彼女に もしものことがあったら・・・
  心配で眠れなかった
  気づけば ずっと彼女の手を握っていた
  彼女が目を開けた
あかね「いいの 握ってて」
勇真(ゆうま)「・・・・・・」
あかね「夢の中で温かさ感じた あの人に握ってもらった ぬくもり」
  俺の無精ヒゲを見て 笑った
あかね「ずっと見守ってくれたのね」
あかね「私 やっぱりヒゲフェチかも」
  そう言って クスクス笑う
あかね「あなたに会った時 嫌な予感がした 元カレと同じ匂い 忘れられない匂い」
あかね「ずっと好きにならないよう 意地張ってた・・・」
勇真(ゆうま)「俺も前の彼女のことがトラウマで・・・ ひどい振られ方 二度と傷つきたくなくて」
勇真(ゆうま)「そんな俺に アイツはぴったりで どうせ宇宙人だって 罪悪感なかった 俺 最低だ・・・」
勇真(ゆうま)「人間じゃないと言い訳してた もう誰かに傷つけられるのは 嫌だから・・・」
あかね「似た者同士だね」
  また笑った

〇城のゴミ捨て場
猫「ニャーニャー💛」
優一(ゆういち)「ネコか・・・可愛いけど 俺 犬派だから」
  去りかけた男が振り返ると
優一(ゆういち)「それ 熊だろう」
ペット星人「・・・・・・」
優一(ゆういち)「変な奴だな」
  行こうとする男
ペット星人「クスンクスン」
優一(ゆういち)「泣くなよ」
ペット星人「ウチ 変身能力落ちました もうダメ 生きる価値ない」
優一(ゆういち)「!?」
ペット星人「愛されるために来た 地球人優しいと聞いて でも違った 地球人身勝手 イエ 寂しい人たち」
ペット星人「帰り方わからへん どないしょ?」
ペット星人「変身能力も落ちたし もう生きてけへん」
優一(ゆういち)「じゃあ 家に来れば?」
ペット星人「え? でも・・・」

〇朝日

〇城のゴミ捨て場
ペット星人「あなたの頭の中 広い海あるだけ ウチ どんな姿になればいい? わからへん」
優一(ゆういち)「別にどんな姿でもいいじゃないか 君は君だろ? 君のままの姿で いいんじゃない?」
優一(ゆういち)「好きなだけ泊まって 出て行きたければ いつでも 出て行っていいよ」
ペット星人「ウチの姿のまま・・・」
ペット星人「ヘンじゃない?」
優一(ゆういち)「君は君だよ」
ペット星人「・・・・・・」
  新しい相手が見つかった
  それは ご主人様ではなく
  パートナーだった
ペット星人「ひとつだけ・・・ あれ買って欲しい 納豆ドリアンピザ」
優一(ゆういち)「俺も好物だ じゃあ二つ買っていこう!」
ペット星人「ウン!!」
  おしまい

コメント

  • ペット星人さん、、、胸もヒゲもキノコwも思うがままって、何て恐ろしい子なのでしょう。欲望むき出しの展開からの心洗われるラスト、とっても好きです!
    納豆ドリアンピザは、あっ食べてみたいって思ってしまいましたww

  • 納豆ドリアンピザ🍕このマリアージュ…恐ろしすぎる

    面白かったです!
    何にでもなれる事がアイデンティティだと思っていたけど、何にならなくてもいい、そのままでいいというオチも良かったですし、自分の心の隙間を別の他者で埋められるという結論にいたった2人が爽やかでした。

  • 理想のペット…夢のような話ですね。最後はなぜか2人がうまくいくという… 「何だそれ? リア充爆発しろ」と言いたくなる(笑)ような素敵なストーリーでした。

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