劇場家族 〜家族を知らぬ者たちの偶像物語〜

タイムライム

第一幕 始まりの終わり 終わりの始まり(脚本)

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〇ビルの裏
ソフィア「う・・・・・・雪がひどくて・・・寒い・・・」
ソフィア「誰か・・・いないの・・・?寒いよ・・・」
ソフィア「・・・誰かいるの?」
ホルン「・・・君は、だれ?」
ソフィア「そっちこそ、だれ?」
ホルン「僕は、ホルン・・・ ・・・逃げてきたの」
ソフィア「私はソフィア。 ・・・私も・・・色々あって・・よろしく、ホルンさん」
ホルン「うん、よろしく・・・」
ホルン「・・・おなか、鳴っちゃったね、ごめん」
ソフィア「・・・とりあえず、休めるとこ探そうか」
ホルン「・・・そうだね・・・」

〇荒れた倉庫
ソフィア「こことか、誰もいなくて休めそうだね・・・」
ホルン「うん、そうだね・・・」
ソフィア「・・・これ、私がなけなしのお金でさっき買ってきたんだけど・・・」
ソフィア「これ、一緒に食べよう。 美味しいよ」
ホルン「・・・うん!」

〇荒れた倉庫
ホルン「・・・う〜ん・・・」
ソフィア「むにゃむにゃ・・・」
ホルン「あ、まだ寝てる・・・ ふぁああぁ・・・」
ソフィア「う〜ん・・・むにゃ・・・」
ホルン「あ、おはよう。 ソフィア」
ソフィア「おはよ〜」
ホルン「・・・なんか、家族みたいだね」
ソフィア「・・・家族・・・」
ホルン「あはっ、憧れちゃうな、ボク。 幸せな家族に。 ボクには、家族なんていなかったし・・・」
ソフィア「・・・」
ホルン「さ、いこ──」
ソフィア「待ってっ!!」
ホルン「え・・・?」
ソフィア「・・・わ、私と・・・か、”家族”になってっ!!」
ホルン「え、ええええええっ!?」
ソフィア「・・・その、えっと、私、いつも一人で、寂しいから、家族になれたら、寂しくないんだろうなって・・・」
ホルン「で、でも、僕も、”家族”に関してはわからないよ・・・?」
ソフィア「か、家族については・・・わからないなら・・・これから一緒に、色んな人と出会って、考えよう」
ホルン「・・・」
ホルン「うんっ!!」
ソフィア「えへへ・・・よろしく!」
ホルン「うん!よろしくね!」

〇広い公園
ソフィア「いやぁ、公園ってこんな感じなんだ・・・初めてきた・・・のか?」
ホルン「そうだね、ボクは・・・何回も来たけどね・・・」
アルデ「うわぁああああんっ!! ママ、ママ、どこにいるの・・・?」
ソフィア「あれ、きみ、どうしたの・・・?」
アルデ「ママが、ママがいなくなっちゃったの・・・」
ホルン「ど、どうしよう・・・」
ソフィア「・・・とりあえず、一緒に、ママを探しに行こうか・・・」
アルデ「うん・・・ママ、何処行っちゃったんだろう・・・」
ソフィア「・・・さっきまでどこにいたの?」
アルデ「あっちの広場にいたよ・・・」
ホルン「うん、ママが探してくれてるかもしれないし、行ってみよう!」

〇華やかな広場
コード「アルデ、どこにいるの〜?」
アルデ「ママっ!!」
コード「アルデ! アルデ、よかった・・・」
アルデ「ママ、ママっ!!」
コード「ごめんねアルデ、大丈夫?」
アルデ「うん、大丈夫! 案内してくれたもん!」
コード「本当に、有難うございました・・・!」
ソフィア「いえ、私達はただアルデちゃんを見つけて導いただけなので」
コード「それは、有難うございました・・・!」
コード「じゃあ、アルデ、帰ろうか」
アルデ「うん、そうだね!」
ホルン「ねえ、アルデちゃんにとって、「かぞく」って、なに?」
アルデ「あたしにとって、ここは幸せなばしょなんだ!!ぽかぽかで、はっぴーで!!」
ホルン「へぇ・・・!」
アルデ「あたしはそろそろ帰るね!じゃあね!お姉ちゃん!」
ホルン「・・・幸せな場所・・・ 良いこと聞けたな」
ソフィア「私達も、そんなものでありたいね・・・」
ホルン「そうだね!」
ソフィア「だね〜」
ホルン(そういえば・・・アルデちゃんとソフィアちゃん・・・ どこか、似ているような・・・)
???「・・・・・」

〇廃ビル
ソフィア「う、う〜ん・・・」
ホルン「どうしたの?ソフィア。 悩み事?」
ソフィア「お金が底をつきそうなんだ・・・ 毎日のご飯が買えなくなっちゃうな〜って。 どうしようか考えてたの」
ホルン「それは深刻な問題だよ。 お金がなくなったらご飯食べられないし・・・」
ソフィア「働きたいところではあるけれども、”家族” について探す旅をしているし、なにせまだ私達子供・・・なにもできないよ・・」
ホルン「なんとか出来ないのかな・・・」
???「・・・・・」

〇廃ビル
「え、え、えええええええっ!!??」
ホルン「こ、こんなに大金が・・・っ!? ど、どうしてここに? 昨日の夜は無かったよ」
ソフィア「誰かが昨日の話を聞いて置いていった・・・とか?」
ホルン「・・・もしかしたら近くにいるかもしれないし、ここの近く探してみよう」
ソフィア「うん、どうして私達の場所にお金をおいていったか、聞きたいからね」

〇荒廃したビル
ホルン「まだ全然夜だな・・・」
ホルン「そこにいるんでしょ、知ってるよ」
コロン「あはっ、バレちゃったね」
ホルン「・・・」
コロン「ねえ、どうして君たちは家族ごっこをするの? 家族なんて、己を縛る鎖でしかないのに」

〇豪華なベッドルーム

〇荒廃したビル
コロン「だから、君達を見てると腹が立つんだよ! どうしてそんなに幸せそうなんだよ!」
ホルン「・・・どうして私達にお金を・・・?」
コロン「それは、君をおびき出して理由を知りたかったんだよ」
ホルン「どうして・・・?どうしてそこまでして・・・?」
コロン「君が、あの事実に蓋をしていているのに、それなのにソフィアと仲良くなっているのが憎いんだよ。だって君は―――」
  両親を殺した人殺しなんだろう?
ホルン「・・・」
コロン「隠し通せると思っているのかな。 その真っ赤な手で、家族ごっこなんてね」
ホルン「ち、違う!!私は・・・ 私は・・・」
ソフィア「・・・ホルン?どうしたの・・・?」
コロン「まあ、家族ごっこしていたいなら、勝手にすればいいさ」
ソフィア「ホルン、どうしたの・・・?」
ホルン「・・・・ごめんなさい、さよなら、ソフィア」
ソフィア「え?待って、ホルンっ!!」

〇ビルの裏
ホルン「はぁっ・・・はぁっ・・・」
ゴジュ「なあ、お嬢ちゃん、これから俺たちと遊ばねえ?」
ホルン「・・・遠慮しておきます。 私には家族がいるので・・・」
ゴク「家族かぁ。 お前の家族は本当に家族と思っているかねぇ」
ホルン「・・・失礼します」
ゴジュ「うわっ、足早いじゃねえか」

〇沖合
ホルン「・・・・」
  お前の家族は本当に家族と思っているのか?
  その真っ赤な手で家族ごっこなんてね
ホルン「・・・・ごめんね、ソフィア。 ボクは・・・家族なんてなれなかったんだ」

〇ビルの裏

〇沖合
ソフィア「ホルンっ!!」

〇水中
ホルン(これで良いんだ。 ボクは、やっぱり悪い人間なんだ。 ボクが家族になんて、なれなかったんだ)
ソフィア「・・・ホルン、ホルン!」
ホルン「え・・・?」

〇沖合
ソフィア「大丈夫?ホルンっ!!」
ホルン「・・・」
ホルン「うぅっ、グス・・・どうして、どうしてボクに・・・僕についてきたの・・?」
ソフィア「「家族」だからだよ」
ホルン「でも、僕は、ボクは・・・」
ソフィア「私は、君といたいの」
ソフィア「だから、どんな理由があっても、これからも一緒に居たいんだ。 一人ぼっちは、もう嫌」
ホルン「・・・ボクでも、いいの? ボクは、ボクは、素晴らしい家族にもなれないし、それに・・・」
ソフィア「良い」
ソフィア「一緒に家族ごっこ、最後まで付き合ってもらわなくちゃいけないからね」
ホルン「・・・!」
ソフィア「さあ、いこう! 冷えちゃうよ」

〇朝日
ホルン「うん!」

〇見晴らしのいい公園
ソフィア「・・・それじゃあ、行こう! 色んなものも、いろんな家族も、一緒に見よう。 一緒に、明るい未来へ」
ホルン「うんっ!! 色んな世界を、一緒に見よう!」
ソフィア「世界を見て、汚いものも、綺麗なものも、いっぱい見て、本物の家族に向けて、目指そう」
ソフィア「ホルンはさ、どんなもの見たい?」
ホルン「私はね、寿司食べてみたい・・・ あとは、いろんな景色も見たりとか・・・」
ソフィア「おお〜っ、良いね!」
ホルン「えへへ・・・」
  新しく始まった、私たちの物語。
  それは、始まりの終わりであり、終わりの始まりなのであった。
  さあ、始めよう。
  終わりへのストーリーへと。

〇見晴らしのいい公園
???「え〜こちらK、対象はぐっすりだよ〜」
???「え?記憶に関して? まだ思い出さなさそうだよ、ダイジョブ」
???「ただ、少しだけ不安な点があって・・・ うん、そうだよね」
???「「あれ」は思い出させたら行けないから」
???「それじゃあ、また後で連絡するね」

〇荒れた倉庫
「次回予告、いっくよー!」
ホルン「あれ、この作品って、読み切りじゃなかったっけ?」
ソフィア「最優秀賞に選ばれたらこんなのやりたいなっていう・・・ 選ばれるかは、うん・・・お察し」
ホルン「えぇ・・・ で、ここはどうなるの?」
ソフィア「裏話について語っていくよ」
ホルン「なるほど・・・」
ソフィア「じゃ、次回予告始めるよ──」
ホルン「文字数制限のせいで急・・・」

〇黒
  旅を続けているホルンとソフィア。
  コンビニでお昼を買おうとした際に倒れている少女を見つける。
  その少女は、どんな「家族」なのか。
  どうして倒れていたのか。
  現代の中高生の問題となっている──
  次回 第二幕「ヤングケアラー」
「(たぶん無理に決まってるけど) 乞うご期待!!」

コメント

  • 二人とも子供なのに「友達になってほしい」ではなく「家族になってほしい」というセリフが出てくるあたり、二人が直面する問題の根深さや心の闇を感じました。最後の謎の人物と意味深なセリフのシーンも気になるところです。

  • キャラクターごとにキッチリと人物背景があるためか、短編でも充実した内容の物語ですね!様々な事情や背景が気になるので、続きも読んでみたいです。

  • 一般的な解釈だけが家族ではないですよね。
    家族と思える、それは凄く大切な事だと思います。
    とても暖かいお話でした!
    最優秀賞に選ばれなくても、是非続編を!

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