再会(脚本)
〇広いベランダ
コンコン・・・コンコン・・・
アキ「兄貴!兄貴!」
兄貴「おう、トラじゃないか。もう会うことはないと思っていたよ」
アキ「そんなこと言わないでくださいよ!兄貴こそこんなところにいたんですね・・・必ずどこかで暮らしいていると信じていました」
兄貴「俺もいい弟を持ったもんだ。もうかれこれ2年くらいか・・・この辺一体の様子はどうだ?」
アキ「兄貴がいなくなってからそりゃもうたいへんでしたよ。このシマの秩序が保たれてたのは兄貴みたいな懐の深いリーダーがいたから」
アキ「だってこと、痛いほど思い知らされました」
兄貴「そうか。しばらく顔を出さないうちに変わっちまったみたいだな。度々物騒な音は聞こえてきていたがね」
アキ「兄貴・・・もうここには戻ってこないんですか? この街を束ねるには兄貴が必要なんです・・・・・・・・・」
兄貴「悪いが俺はもうここで静かに暮らしてるんだ。それに世代交代ってもんがある。俺が今更戻ったって誰も相手にしやしないさ」
アキ「何言ってるんですか!兄貴らしくないっす・・・・・・・・・ギラギラしてて仲間にはアツい兄貴にみんな憧れてたんすよ・・・!!」
兄貴「そこまで思っててくれてたなんて嬉しいよ。でも俺の気持ちは変わらない。もう昔の俺じゃないんだ。期待には応えられない」
アキ「・・・・・・兄貴・・・・!あの決闘さえなければこんなことにはならなかったんだ・・・・・・俺まだアイツのこと許してないっす」
アキ「必ず見つけて俺が仇を討ちます・・・・・・!!」
兄貴「・・・もう過去のことだ。俺のためにそこまで思ってくれるのは嬉しいが、お前にはお前自身の獣道を歩んでいってほしい」
兄貴「それこの怪我のおかげでいい出会いもあったよ。素性のわからねえ傷だらけの俺を救ってくれてよ」
アキ「兄貴・・・」
兄貴「丸くなっちまっただろ?これが今の俺なんだ。お前には到底理解できないと思うがな」
アキ「そんなことないっす!まあちょっと驚いたけど・・・でも、どこへ行っても兄貴は兄貴っすね!」
兄貴「ハハハ、ところでお前も年頃だろう。結婚も考える時期なんじゃないか?」
アキ「流石兄貴勘が鋭いっすね・・・。今ちょうど悩んでるんす。彼女はいるけど俺といて危険な目に遭わせるわけにもいかないし・・・」
アキ「この辺は危険だし子供が産まれても幸せにできるかどうか・・・」
兄貴「そうか。俺はもう生涯独り身だからな。想う人がいるだけ羨ましいよ」
アキ「そうなんすか!?」
兄貴「ああ。ここに住んでる限りはな。それにもう子供を作れる身体じゃない」
兄貴「でも悪いことばかりじゃない。ここの住人はこんな俺にもよくしてくれるし飯もうまい。薄味だけどな」
アキ「健康に気を遣うなんて昔の兄貴からは想像できないっす・・・」
兄貴「ハハハ・・・カンヅメを巡って争ったことも懐かしいな」
アキ「でも今日兄貴の元気そうな姿見られてよかったっす・・・.」
兄貴「お前は家族を幸せにできる男だよ。何かあったらまたここに来るといい」
アキ「いいんすか・・・!?」
兄貴「ああ。きっとここの人が助けてくれる。俺もついつい甘えるくらいだ」
トラ「兄貴が甘えるとか想像できないっす(笑)」
兄貴「だろ?昔やんちゃしてたのはここの人にバレてるけどな」
最後のオチにくすっと笑えました。とても可愛らしい猫ちゃん登場で缶詰で争ったというエピソードになるほどと納得でした。思い込みでよんではいけませんね。
ギャングの兄弟が再会して、シマの取り合いか缶詰の強奪や仲間割れのシリアスな話かと思いました。最後に正体が分かった。なんだ、キャットが仲間と再会して、縄張りや食料の奪い合いの話なのね。和みました。
野良猫達って一見群れないようにみえるけど、気の合う仲間をみつけた時は強い絆があるみたいですね。お話が猫社会のことだと分かったときに、ほっとリラックスできました。