〇宇宙空間
　　大流星群。それはそれは、珍しい天体現象で120年に１度しか見れないと言われてる。
　　空を照らし覆い尽くす程の無数の星が空を駆け巡ると言われている。
　　そしてその流れ星が願いを叶えると言われていた。

〇教室
生徒1「いよいよ今日だな！」
生徒3「うん！120年に１度の大流星群！」
生徒2 「しっかりと晴れたし！ 見るの楽しみだぜ！」
生徒1「お前達は何を願う！」
生徒3「彼氏ができますようにだよ！」
生徒2 「俺は次の部活の大会の優勝だ！」
　　盛り上がる教室の隅で一人だけ生徒はただ話に参加せずに座っていた。
奏人（あ～つまらねぇ。 何にあんな盛り上がれるのかな）
奏人（部活も恋人も俺には縁のない話だしな）

〇住宅街の道
奏人「あー、学校ダルかったな・・・」
住民「見てみて！あれだよ！」
住民「これからどんどん来るはずだぞ！ 何を願おう！」
奏人「今日は大流星群だったかぁ」
　　奏人は空を見上げた。
奏人「なんだぁ!?」
住民「おい！なんだ！あれ？」
住民「人だ！人が倒れているぞ！」
奏人（なんだ・・・身体が重い・・・動かない）

〇病室のベッド
奏人（・・・ここは？・・・何がどうなった？）
医者「おや、起きたね」
奏人「は、はい？ あの・・・俺はどうして・・・」
医者「倒れたんだよ、住宅地で突然。 流星群を見ている人たちが沢山居たから、直ぐに気づいてもらえたみたいだね」
奏人「あぁ・・・。 確か・・・そうだ」
医者「特に身体も脳も異常はないようだけど、気分はどうだい？」
奏人「まぁ、・・・あんまり良くはないです。普段から」
医者「君くらいの年齢だとそういう感じの返答かもな！」
医者「まぁ、私も医者だからな。 何かあったら言ってくれ」
奏人「ええ・・・。大丈夫です」
医者「そうか、じゃあ一緒に倒れた妹さんも隣に寝ているから頼むよ！」
奏人「妹・・・？ 俺に・・・？」
奏人「あの医者、寝ぼけてんのか？」
　　奏人の隣の布団が動いて掛け布団の下に一人の少女の背中が姿を現した。

〇病室のベッド
奏人（うわっ、誰か居る。 子どもじゃん。 俺と一緒に倒れたって何？）
星子「んー？おはよう！」
星子「さぁ、私は流星の旅人の『星子』で〜す！ 皆の願いを叶えていきます！」
星子「早速、お兄さん！ 願い事、私にして！ 叶えてあげるから！」
奏人（うわ～。 何だかこれは面倒くさいタイプの子どもだな）
奏人「あのさ、一旦落ち着いて話を聞いてもらっていい？ ここは病院だし」
星子「はいはいー？」
奏人「君くらいの歳なら話わかるよね？ 家に一度帰った方がいい」
星子「それがお兄さんの『願い』？」
奏人「あ～？うん。そうだね」
星子「OK！ 星子はお兄さんの『願い』！ 叶えまーす!!」
星子「・・・・・・・・・・・・」
奏人「・・・・・・・・・・・・・・・」
星子「・・・・・・・・・・・・」
奏人「・・・・・・・・・・・・・・・」
星子「た、大変だ！」
星子「『星のエネルギー』不足で帰れない!!」
星子「うわあああ〜!! どうしよ〜！ 忘れてた〜！ あああぁー!!」
奏人「あ～、なんでもいいから泣くなよ」
奏人（なんか、面倒くさい感じだな・・・）
星子「うわぁ～ん！ 私はどーしたらいいの!?」
奏人「はぁ・・・なんか・・・あったかな？」
奏人「ほら、これ」
星子「何？これ？」
奏人「食べていいから・・・。 少し落ち着いて」
星子「食べていいの!?」
奏人「あぁ、いいよ。 だから・・・食べて落ち着いたら話を聞かせてくれるかい？」
星子「うん」
医者「おーい、入りますよ」
医者「二人とも、両親がお迎えに来たぞ」

〇明るいリビング
父親「おい？良いのか？母ちゃん!? あんな小さい子どもを家に連れてきて」
母親「いーじゃない？ 家族に返す間くらい」
母親「それに、なんか奏人に懐いてるみたいだし」
父親「まぁ、奏人のやつ。 最近は学校の話も対してしないし、休みがちだったからなぁ」

〇男の子の一人部屋
星子「わぁー！奏人の部屋だ！ いやっほー！」
奏人（元気すぎるだろ・・・ ・・・ちょっと飛べたりするんだなぁ）
奏人「あのさ、星子」
星子「なーに？」
奏人「聞いた話を整理すると、 星子は空から願いを叶えに来たんだよな!?」
星子「うんそうなの。 人が星に願いをして叶えるっていうのは元々、流星の旅人が皆の願いを叶えていたからだよ！」
奏人「で？星子はたまたまこの星で一人前になるために人の願いを叶えに来たって？」
星子「奏人、頭い～！」
星子「皆の願いを叶えると私に『星のエネルギー』がたまるの！」
星子「奏人の『願い』を叶えるって約束したけど、『星のエネルギー』が貯まるまで待ってね！私頑張るから！」
奏人「あー、なんでもいいよ。まぁ、静かにしてくれよ」
星子「奏人、優しー！」
奏人「とりあえず、俺は寝るからね」
星子「じゃあ、わたしも！」
奏人「そんなことできるの？」
星子「うん。簡単な魔法なら。 使いすぎると『星のエネルギー』は減っちゃうけど」
奏人（・・・ってことは、今、また少し星子が帰るから遠ざかったのか・・・）
奏人「とにかく寝るぞ」

〇シックな玄関
奏人「行ってきまーす」
母親「いってらっしゃい」
母親「奏人・・・学校行ってるかしら？」
星子「あ、奏人のお母さん！」
母親「あら？星子ちゃん？」
星子「奏人はもう、学校？」
母親「え、えぇ、まぁ・・・」
母親「多分ね」
星子「多分？」
母親「星子ちゃんに話すようなことじゃないんだけど、最近、奏人は学校に馴染めてなくてね」
母親「お友達ができたり、学校に行ってくれたりすればいいのだけど・・・」
星子「それは奏人のお母さんの『願い』？」
母親「ええ・・・そうね。 そういうことになるかしら」
星子「じゃあ星子！ お母さんの『願い』叶えます！」
星子「奏人が学校行ったり、お友達が出来たりするようにしまーす！」
母親「星子ちゃん!? ・・・元気な子」

〇グラウンドの隅
奏人「はぁ・・・。ダルいな。このままここにいようかな？」
？？？「ちょっと待って・・・ねぇってば」
金子「い～じゃん。 咲。 俺と付き合ってくれよ、なぁ？」
金子「別にガキじゃないから こういうこともありだろ？」
咲「馬鹿じゃない!? 離しなさいよ！」
奏人（うわ、金子だ。 咲さんに手を出しているのかぁ・・・）
奏人（無視無視・・・。 俺が首突っ込むと余計に面倒くさくなる）
星子「すみませーん！」
星子「ここは奏人の学校ですか？ 奏人は学校にきてますか??」
金子「何だ？このガキンチョ？」
星子「星子でーす！ 奏人のお母さんの『願い』を叶える為にきました！」
金子「ぷっ！」
金子「あははははっ！ あの根暗、奏人・・・ウケるわー！ こんなガキンチョに心配されてるとか傑作じゃねぇ？」
星子「お兄さん奏人を知ってるんですね！」
星子「じゃあ、奏人とお友達になってください！」
奏人「ちょっと待ってー!!」
奏人「星子、お前！ 何を言ってるんだ!?」
星子「あ、奏人！ 今ね、このお兄さんが奏人の友達になってくれるって！」
奏人「と、とにかく。お前は引っ込んでろよ！」

〇グラウンドの隅
金子「奏人、居たのか？」
奏人（お、落ち着け）
奏人「と、とにかく！ 咲さんを解放してやれよ！」
金子「おー怖っ！」
金子「先に手を出したからには、覚悟はできてるよなぁ？」
奏人「あ、いや・・・これは・・・なんというか・・・」
金子「うるせー!!」
奏人「!?・・・うぇぇっ！」
星子「あれれ～。 お友達になってくれるって・・・？」
金子「スキンシップだよ！ スキンシップ!!」
星子「で、でも奏人・・・倒れて」
金子「うるせーんだよ！ガキンチョ！」
金子「はううぅ!?」
咲「馬鹿じゃない!? そんな小さい子まで手を出して！」
金子「お前は・・・そんな大事な所蹴るか・・・？」
咲「さっさとどきなさい！」
「くそー。女なんぞに助けられやがって・・・」
咲「ふぅー。 奏人くん！大丈夫？」
奏人「い、一応・・・ 咲さん、凄いね」
咲「ううん、私も本当はとっても怖かった」
咲「ありがとうね、奏人くん！」
奏人「い、いや実際何もしてないし」
咲「そうだ！星子ちゃん！」
星子「何？お姉さん!?」
咲「奏人くんのお友達。 ・・・私じゃ、だめかな？」
星子「うん！それがとってもいい!!」
咲「それじゃ決まり!! 奏人くん、よろしく！ 学校入ろ！」
奏人「いや、あの・・・咲さん!?」
星子「やっほー！ 奏人のお母さんの『願い』叶ったみたい！」
咲「奏人くん、この娘はいったい!?」
奏人「あ～あ。 話すと長いんだけど聞いてくれる？」
奏人（またこれは面倒くさい感じになりそうだな）