〇男の子の一人部屋
　　二週間後。
　　応募締め切りの４日前
逆境燃「・・・」
　　カタカタ・・・
逆境燃「・・・」
逆境燃「・・・ﾌｩ」
逆境燃「既に文字数にして１万５千字 それなりに形になってきたが・・・」
逆境燃「何故だ」
逆境燃「何故か手が止まる・・・」
逆境燃「この物語のポテンシャルは十分にある」
逆境燃「十分に賞を取れる」
逆境燃「なのに」
逆境燃「何かが引っ掛かる」
逆境燃「一体何が・・・」

〇黒背景
？？？「勝てねぇ──」

〇男の子の一人部屋
逆境燃「ハッ!?!!?」
逆境燃「い、今の声はいったい・・・」

〇黒背景
？？？「このままじゃ勝てねぇなぁ──」

〇男の子の一人部屋
逆境燃「ハァウワ!?」
逆境燃「か、勝てない!?」
逆境燃「勝てないだと!?」
逆境燃「そ、そんなバカな！」
逆境燃「俺は確かにこの物語が 最優秀賞を取るヴィジョンを見た！」
逆境燃「見たからこそ、これを書いてるんだ！」
逆境燃「なのに・・・」
逆境燃「勝てないって、いったい何に・・・!?」
　　15位だ。
逆境燃「15位・・・？」
逆境燃「何の順位だ・・・」
逆境燃「ランキング・・・コンテストの？」
逆境燃「いや違う。 しかし、ランキングとなると・・・」
逆境燃「ハァッ!?」
逆境燃「い、今一瞬見えた!!」
逆境燃「ランキングの順位が・・・」
逆境燃「縦読みカラー漫画になった時の ランキングの順位が見えちまった!!」
逆境燃「・・・」
逆境燃「そういう・・・」
逆境燃「ことか・・・」
逆境燃「ぐっ・・・ どうして気付かなかったんだ・・・」
逆境燃「今俺が書いてる物語は コンテスト向けかもしれないが！」
逆境燃「縦読みカラー漫画向けではない!!」
逆境燃「もっとキャッチーで！ もっと分かりやすい面白さがあって！」
逆境燃「もっと読者を引き付けるような 話じゃなくては!!」
逆境燃「カラー漫画になった時に ランキングで戦えない!!」
逆境燃「何て間違いを犯していたんだ、俺は！」
逆境燃「俺が書くべきだったのは！」
逆境燃「コンテストで受賞出来る作品じゃない!!」
逆境燃「縦読みカラー漫画になった時に ランキングで一位を狙える作品なんだ!!」
逆境燃「・・・・・・・・・」
逆境燃「没」
逆境燃「全没!!!!!」
逆境燃「一からやりなおしだああああ!!!!!」
　　逆境燃、締め切り４日前に全没を決める。

〇清潔なトイレ
逆境燃「クソ！」
逆境燃「またアイディア出しだ！」
逆境燃「前のアイディアだって苦しみのたうち回りながらようやく出て来た代物だってのに」
逆境燃「また新しく考えないといけないなんて！」
逆境燃「・・・」
逆境燃「愚痴を言ってても仕方がない」
逆境燃「とにかく、考えてみよう・・・」
逆境燃「憎しみ・・・憎しみ・・・憎しみ・・・」

〇黒背景
？？？「なーに悩んでんだ、てめぇ？」

〇清潔なトイレ
逆境燃「・・・？」
　　この俺様を無視する気か？あーん？
逆境燃「な、なんだ。 さっきから聞こえているこの声は・・・」
　　一人でうつ向いて
　　どうしようってんだよ。
逆境燃「この声、何故か聞き覚えがあるこの声は」
　　落ち込んでばっかいねーで
逆境燃「このＣＶ諏訪部順〇のこの声は!?」
　　いいからこっちを見て

〇黒背景
跡〇様「俺様の美〇に酔いな？」

〇清潔なトイレ
逆境燃「跡〇様!?」
逆境燃「し、しまった!?」
逆境燃「最近テニ〇の王子様を 一気読みしたせいか!?」
逆境燃「脳内に跡〇様が現れやがった！」
逆境燃「クソッ！」
逆境燃「集中しろ、逆境燃！ 〇部様に振り回されてる場合じゃない！」
逆境燃「今はとにかくアイディアを 出さなきゃいけないんだ！」

〇黒背景
逆境燃「憎しみ・・・憎しみ・・・怒り・・・」
跡〇様「なるほどＡＮＧＲＹじゃねーの」
逆境燃「クソッ！」
逆境燃「落ち着け！落ち着いて続きを・・・」
逆境燃「怒り、悲しみ、絶望、破滅・・・」
跡〇様「『破滅への輪〇曲』だ！」
逆境燃「クソッたれ!!」
逆境燃「嫉妬、苛立ち、破壊・・・」
跡〇様「ほう、この俺様を ここまで無視するとは・・・」
逆境燃「奸臣、佞言、裏切り・・・」
跡〇様「おもしれー女じゃねーの！ 気に入ったぜ！」
跡〇様「お前、俺様の物になれよ！」

〇清潔なトイレ
逆境燃「跡〇様はそんなこと言ってない！」
逆境燃「おもしれー女なんて作中で 一回も言ってないんだ！」
逆境燃「しかも俺は男だ!!!!」
逆境燃「クソ!!」
逆境燃「テニプ〇が面白すぎて、脳みそが完全に 跡〇様の夢男子になっちまってる！」
逆境燃「このままじゃ・・・！」
逆境燃「このままじゃ落ちる！ 二つの意味で！」
逆境燃「締め切りに間に合わないと同時に！」
逆境燃「跡〇様沼に落ちちまう！」
逆境燃「クソ！」
逆境燃「どうすればいいんだ・・・」
逆境燃「俺は逃げられないのか、跡〇様から・・・」
逆境燃「・・・」
逆境燃「・・・」
逆境燃「ん？」

〇黒背景
　　おもしれー女
　　俺様の物になれよ
　　逃げられない

〇清潔なトイレ
逆境燃「・・・」
逆境燃「こ、こここここここ」
逆境燃「これだあああああ!!」

〇男の子の一人部屋
　　カタカタカタ!!
逆境燃「主人公の貴族令嬢は 王子様から求婚されてて！」
逆境燃「でも、結婚したくなくて逃げ出して！」
逆境燃「でもでも、どこに逃げても 王子様が現れてこう告げてくる!!」

〇黒背景
クロムウェル「『おもしれー女じゃねーか！気に入ったぜ！』」
クロムウェル「『お前、俺の婚約者になれよ！』」

〇男の子の一人部屋
逆境燃「いける！」
逆境燃「カラー漫画になった時のコマ割りまで 想像できる！」
逆境燃「よっし！ あとは設定を詰めよう！」
逆境燃「どこに逃げても逃げられない」
逆境燃「これを上手く表現するためには・・・」
逆境燃「ループ能力!!」
逆境燃「何度繰り返しても 王子様からは逃げられない!?」
逆境燃「主人公が逃げる理由は・・・」
逆境燃「他の令嬢からの嫉妬！ 憎まれて殺されるのを避けるため!!」
逆境燃「・・・」
逆境燃「な、なんてこった！」
逆境燃「パズルのピースが埋まるように 次々アイディアが湧き出てきやがる！」
　　どうやら

〇黒背景
跡〇様「見つけたようだな」
逆境燃「ハッ！跡〇様!?」
跡〇様「お前の氷〇コールを」
逆境燃（何を言ってるかまるで分からん）
逆境燃（だが―）
逆境燃（何故か不思議と良く分かる）
逆境燃「見つけましたよ、跡〇様！」
逆境燃「俺だけの逆境コールを!!」
跡〇様「フッ」
跡〇様「そんな見つめちゃ怪我するぜ？」
跡〇様「じゃあな」
逆境燃「跡〇様・・・」
逆境燃「ありがとうございます・・・！」

〇男の子の一人部屋
逆境燃「よし!!」
逆境燃「締め切りまで残り４日!!」
逆境燃「燃えるぜぇ!!!!!!!!」
　　～回想終わり～

〇荒廃した街
逆境燃「・・・」
逆境燃「冗談だろと思うかもしれないが これの９割は実話だ」
逆境燃「具体的には最後の逆境コールのとこ以外 全部ノンフィクション！」
逆境燃「・・・」
逆境燃「こいつ頭大丈夫か・・・？ 自分のことだけどさ・・・」
逆境燃「いや、まぁとにかく!!」
逆境燃「長ったらしい回想で 言いたかったことは一つ！」
逆境燃「『受賞の後こそが最大の山場！』 ということだ!!」
　　②カラー漫画になった時
　　　読まれる作品かどうかも重要
逆境燃「さて!!」
逆境燃「総括しよう!!」
逆境燃「今回のコンテストも難しかった!!」
逆境燃「『憎しみと愛』と言う」
逆境燃「人によっては取っつき辛い テーマもさることながら」
逆境燃「考えるべき所が普段より一歩踏み込んだ部分にあったのも難易度を高める要因だった！」
逆境燃「つまり、コンテストで 受かる作品を作る以上に！」
逆境燃「タテ読みカラー漫画になった時!!」
逆境燃「人気が出る作品を作ることもまた 重要な要素だったというわけだ!!」
逆境燃「・・・」
逆境燃「多分!!」
逆境燃「個人的に思ってるだけだから 違ったらゴメン!!」
逆境燃「何はともあれ！」
逆境燃「結果はまだ出てないが」
逆境燃「今回もコンテストを通して一歩成長する ことが出来たのは間違いない」
逆境燃「面白い作品を作るのは大事だ」
逆境燃「だが『特定の誰か』を楽しませる 作品を作ることもまた重要!!」
逆境燃「この逆境燃、また一つ学ばせて頂いた」
逆境燃「サンキューな!!TapNovel!!」
逆境燃「そして一つ言っておこう!!」
逆境燃「前回俺は予選落ちした」
逆境燃「今回もまた予選落ちする可能性が 十分にある」
逆境燃「だが!!」
逆境燃「俺は負けねぇ!!!!!!!」
逆境燃「覚悟の準備をしておいてください!!!」
逆境燃「この逆境燃!! 死ぬまで戦い続ける男だ!!!!!!」
逆境燃「だから皆も!!!!」
逆境燃「負けんなよぉ!!!!!!!」
　　終劇