RiversideBaron~最終章~

山本律磨

ワルプルギスの夜と昼(3)(脚本)

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〇荒廃した市街地
猪頭「・・・」
猪頭「手前、この金どこから手に入れた」
タジマ七郎「アンタにゃ関係ない。これで借金はチャラのはずだ」
猪頭「最近この街がクスリの取引に利用されてるって聞いたんだけどよ」
猪頭「ガキが手を出すからご法度になってるってこと、忘れちゃいねえだろうな」
タジマ七郎「あ、ああ・・・」
タジマ七郎「じゃあ、これで・・・」
猪頭「・・・チッ」
猪頭「しかしあれだな。随分知らねえツラが増えたもんだ」
猪頭「まあ堅気の衆が金落としに来るのは結構なことなんだろうけどよ」
モヒカンズ「ぎゃはは!余裕だよ余裕!」
モヒカンズ「ケンペーだろーとヤー公だろうとぶっ殺してやんよ!」
モヒカンズ「何見てんだ乞食が!かかってこいやー!」
猪頭「これが風紀の乱れってヤツか」
猪頭「俺みたいなもんに呆れられちゃあ終わりだぜい。蓬莱街さんよ」
猪頭「おっと、前見て歩けよ」
浮浪児「ゴ、ゴメーン!」
猪頭「あ。目、閉じてたのはこっちか」
猪頭「つってな~♪」
  『キャーッ!』
猪頭「おっ?なんだ?」
猪頭「揉め事か?今行きますぜ~お嬢さん!」

〇廃倉庫
  10分前
桜子「演説?」
桜子「私が?」
根室「ああ。そろそろ新生美しきけものの盟主として、一度同志全体に声をかけるべきだ」
桜子「わ、私はただの飾りです。やはりそういうのは根室さんが適任かと」
根室「まだ肚を括りきれないのかい?」
桜子「・・・」
桜子「若輩浅学が何を語れるものでしょうか」
桜子「むしろ組織の足を引っ張ってしまいます。私は道化で十分です」
根室「父親のように?」
桜子「意地悪な仰りようですね」
根室「君は君のままでいいんだ」
桜子「・・・」
根室「君の熱い思いを口にするだけで演説になる」
根室「大丈夫。僕がついている」
桜子「根室さん・・・」
根室「うん?」
未来子「・・・」
根室「あれは・・・!」
桜子「どうしました?」
根室「おい!お前達!」
烏弟「・・・」
根室「あの女を追え!」
烏弟「・・・ああ?」
烏弟「何だって?」
根室「い、いや。今の不審者の追跡を」
烏弟「俺達が大人に仰せつかってんのは来栖川嬢の護衛だ」
烏弟「てめえの遣いっ走りじゃねえぞコラ!」
根室「いやいや。決してそういうつもりでは」
烏兄「フン」
烏兄「いいだろう。護衛ついでだ」
烏弟「兄貴」
烏兄「退屈なんだよ」
烏弟「退屈か~」
烏弟「確かに」
根室「蛮族どもめ」
桜子「今の人って・・・まさか」
根室「ああ。妻だ」
根室「何故ここに・・・」
桜子「・・・」

〇荒廃した市街地
未来子「・・・」
烏兄「叫んでも無駄だ」
烏弟「悲鳴なんてここじゃ、鳥のさえずりよ」
烏兄「あの男に何か用か?」
烏弟「俺らがとりついでやろうか。へへへ」
未来子「・・・」
  『待った待った待ったあああああ!』
猪頭「松音未来子親衛隊隊長猪頭松之助!」
猪頭「話なら俺様を通してもらおう!」
烏弟「貴様、御堂組だな」
猪頭「おうおう。チンピラ風情もご存じとは」
烏兄「フン。噂通りの見事な頭皮だからな」
猪頭「てめえ、俺の頭皮に・・・」
猪頭「触れんじゃねええええええ!」
猪頭「っとと・・・」
烏兄「のろい」
猪頭「クッ・・・」
烏弟「猪頭というより豚頭だな」
猪頭「なんだとコラァ!」
烏兄「動くな」
猪頭「へっ。そんなもんが怖くて極道やってられるかよ」
猪頭「あ~あ。街中での殺り合いは親分に叱られちまうんだけどな」
烏弟「安心しろ。もう会う事もない」
猪頭「言うね~モロコシ君」
猪頭「かかってこいや!」
  『待て』
  『その喧嘩、俺が買おう』
猪頭「お前・・・」
烏兄「何者だ?」
  『出番のない悲しきピエロ』
???「とでも言っておこう。ふっふっふ」
猪頭「すっこんでろ来栖川」
義孝「な、何故分かった!?」
猪頭「さー何でだろうなー」
猪頭「答えるのも面倒臭い」
義孝「我こそは松音未来子親衛隊『総長』バロン義孝であーる」
烏兄「隊長だの総長だの。何様なのだお前は?」
未来子「お恥ずかしい限りで・・・」
烏弟「クソ。騒がしくなってきやがった」
烏弟「どうする兄貴?」
烏兄「根室の戯事にこれ以上付き合う必要もない」
烏兄「退屈しのぎは終わりだ」
烏弟「ああそうだな。すぐに忙しくなる」
烏弟「という訳で『あばよ』豚頭さん」
猪頭「何が、という訳だ?おととい来やがれ!」
未来子「有難うございます。ご迷惑おかけしました」
「いえいえとんでもない」
「あんな連中一人で十分でしたよ」
「はっはっはっは!」
「・・・」
  『ははは!こいつはいいや!』
  『バロン義孝とはほざいてくれたな!』
トラ「そのツラに用がある。とっとと仮面を外しやがれ」
デンキ「トラ。穏便に穏便に」
義孝「丁度いい。桜子の下へ案内しろ」
義孝「家に連れて帰る」
トラ「姫は俺達の盟主だ。自由の女神なんだよ」
義孝「その前に我が娘だ。道を踏み外すようなら戒めなければならん。親として」
トラ「親の前に敵だ」
トラ「これは小道具じゃねえぞ」
義孝「だから何だ?」
トラ「野郎!」
トラ「くそが!」
トラ「ハア・・・ハア・・・ハア・・・」
トラ「・・・!」
トラ「ぐあっ!」
トラ「ち、畜生・・・」
デンキ「トラ!もうやめろ!」
トラ「放せ!こんなオッサン一人・・・」
デンキ「ただのオッサンじゃない!陸軍少将のオッサンだよ!」
義孝「オッサンオッサンやかましい」
義孝「無駄に痛めつけたくない。大人しくお前達のアジトへ連れて行ってくれ」
義孝「意地を張っている場合ではなかった。桜子が心配なのだ」
義孝「頼む」
「・・・」
  『男爵!てめえどこで油売ってやがる!』
猪頭「すっこんでろ来栖川」
義孝「い、いや。皿洗いなら終わったぞ」
義孝「夕飯はすまんが今日は配給に・・・」
ヒナ「それどころじゃねえ!一緒に来てくれ!」
ヒナ「あいつらを止めてくれよ!憲兵司令!」
義孝「・・・どういうことだ?」
猪頭「・・・ま、まさか」

〇古民家の居間
伝八「全員壁に手を付け」
伝八「ちょっとでも動いたらその部分をへし折る」
鹿沼「くそが。一体どういうつもりだ石塚」
伝八「お前もだ蝶子」
蝶子「・・・」
鹿沼「おい!何しやがんだ!」
警官「こ、これは!」
警官「警部!この男の懐から麻薬が!」
鹿沼「ば、馬鹿な!そんなもん知らねえ!」
蝶子「鹿沼。クスリは御法度のはずだよ」
鹿沼「知りません!何かの間違いです!」
猪頭「おい何やってんだ!官憲コラァ!」
伝八「そいつもひねりあげろ」
猪頭「放せオラァ!ぶっ殺すぞ犬コロが!」
警官「警部。この男の懐からも」
猪頭「なんだこりゃ?こんなもん俺は・・・」
鹿沼「まさか・・・」
鹿沼「なあイノ。お前、妙なガキにぶつからなかったか?」
猪頭「・・・クソ。そういうことか」
猪頭「きたねえぞクソデカ!」
蝶子「どういうことだい?アンタらしくないよ」
伝八「まあ、ちょっと訳ありあでな。形振り構っていられくなったんだ」
伝八「御堂組まとめて全員連行する」
蝶子「・・・」
義孝「おい。手荒な真似はよさんか」
伝八「お前は・・・」
伝八「まだ名乗る気はねえか?」
義孝「川辺のバロンとでも言っておこう」
伝八「バロンさんとは、随分お偉い方ですねえ」
義孝「ああ。一介のデカ風情が刃向かわぬ方が身の為だぞ」
義孝「今すぐ御堂組を解放せよ。蓬莱街の秩序はこの者達が守っているのだ」
伝八「・・・だとよ」
伝八「どうする?戒厳少尉」
義孝「戒厳少尉?」
  『バロンなどと・・・片腹痛い』
  『浮浪者の戯言だ。耳など貸すな、警部』
最上「ヒモのクルちゃん。だったかね?」
義孝「最上・・・貴様、どうして?」
最上「これが新しい時代だ」
  つづく

次のエピソード:フィクサーなる男(1)

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