エピソード0(レイ)(脚本)
〇黒
稲垣淳二の日常
〇大きな箪笥のある和室
稲垣淳二「怖いなぁ、怖いなぁ」
稲垣淳二「出たんですよねぇ」
稲垣淳二「あ、どうも」
稲垣淳二「アタクシ、稲垣淳二なんですけどね」
稲垣淳二「いや~、これ言っちゃっていいのかなぁ」
稲垣淳二「こないだ、銀行でお金をおろそうなんて思いましてねぇ」
稲垣淳二「ATMにカードを入れたんだ」
稲垣淳二「そんでもって、残高を確認してみた」
稲垣淳二「そしたら」
稲垣淳二「預金が0だったんだ!」
稲垣淳二「つまり残額がレイだったんですよねぇ」
稲垣淳二「これ、間違いなく霊のしわざですよねぇ」
稲垣淳二「怖いなぁ、怖いなぁ」
〇ゆるやかな坂道
稲垣淳二「それで、仕方ないもんで、 バイトで稼ごうなんて思ったんだ」
稲垣淳二「ちょうど、今」
稲垣淳二「そのバイトの面接に向かってる途中なんですよねぇ」
稲垣淳二「でも、ホントの事言うと」
稲垣淳二「アタクシ、 仕事なんてしたくないんですよねぇ」
稲垣淳二「やだなぁ、やだなぁ」
〇墓石
稲垣淳二「今日、面接するカフェは この墓地の中にあるらしいですねぇ」
稲垣淳二「やだなぁ」
〇店の入口
稲垣淳二「着きましたよ」
稲垣淳二「こちらですよねぇ」
稲垣淳二「ここが今日の面接場所ですよねぇ」
稲垣淳二「でも、妙だなぁ」
稲垣淳二「今、気づいたんですけどねぇ」
稲垣淳二「家からここまで、 誰にも会わなかったんですよねぇ」
稲垣淳二「そんな事、 あるわけないんだ」
稲垣淳二「おかしいなぁ、おかしいなぁ」
稲垣淳二「とりあえず、中に入ってみましょうかねぇ」
〇黒
でもって、
アタクシが店のドアを開けると・・
〇地球
稲垣淳二「中に地球が見えたんだ!」
稲垣淳二「でもって、お札が舞ってる」
稲垣淳二「おかしいなぁ、おかしいなぁ」
稲垣淳二「アタクシ、 驚いて、慌ててドアを閉めたんだ」
〇店の入口
稲垣淳二「そんなはずないんだ」
稲垣淳二「おかしいなぁ、おかしいなぁ」
稲垣淳二「もう一度、開けてみましょうかねぇ」
〇黒
〇アクアリウム
稲垣淳二「そしたら、今度は海の中なんだ!」
稲垣淳二「それで、またお札が舞ってるんだ」
稲垣淳二「怖いなぁ、おかしいなぁ」
〇黒
アタクシ、またドアを閉めたんだ
〇店の入口
店長「ちょっと何なの?」
店長「さっきから開けたり閉めたりしてさ」
稲垣淳二「あ、どうも、アタクシ、面接に来た者なんですけどねぇ」
店長「ああ、遅いじゃないのよ」
店長「早く入りなさいよ!」
〇テーブル席
店長「履歴書もってきた?」
稲垣淳二「いえ、よ~く考えたら」
稲垣淳二「アタクシ、今まで仕事をしたことが無いんですよねぇ」
稲垣淳二「仕事の経験がゼロ」
稲垣淳二「つまりレイなんだ」
稲垣淳二「これ、間違いなく霊のしわざですよねぇ」
店長「なに訳の判らない事言ってんの!」
店長「アンタ、今までどうやって生きてきたのよ」
稲垣淳二「それがちょっと、思い出せないんですよねぇ」
稲垣淳二「あっ!」
稲垣淳二「履歴書は無いんですけどねぇ」
稲垣淳二「代わりに」
稲垣淳二「履霊忌書(りれいきしょ)を持ってきたんですよねぇ」
店長「何なのよ、それ?」
稲垣淳二「これはアタクシの霊体験を」
稲垣淳二「全て記した日記なんですよねぇ」
稲垣淳二「厳密に言うと、アタクシの知り合いの」
稲垣淳二「元Jリーガーの山田さんから聞いた話なんだ」
店長「じゃあ、人から聞いた話じゃないのよ」
稲垣淳二「よ~く考えてみると、 そういう事なんですよねぇ」
店長「・・・まったく意味不明ね」
店長「まあ、いいわ」
店長「アンタ、何か特技あるの?」
稲垣淳二「アタクシの特技と言ったら、 やはり怪談ですかねぇ」
店長「アンタ、ここはカフェなのよ」
稲垣淳二「カフェと怪談は」
稲垣淳二「相性抜群なんですよねぇ」
店長「アンタ、なんでそんなに自信満々なのよ」
稲垣淳二「恐らく、 霊のしわざじゃないですかねぇ」
店長「意味わかんないわ」
店長「でも今、人手不足だしなぁ」
店長「・・・仕方ないわ」
店長「雇ってあげる」
稲垣淳二「え? 嬉しいなぁ、嬉しいなぁ」
稲垣淳二「有難いなぁ、有難いなぁ」
店長「じゃあ、仕込みしてもらうから」
店長「明日の深夜0時に来て」
稲垣淳二「・・・深夜霊時ですか」
稲垣淳二「やだなぁ、怖いなぁ」
〇黒
アタクシ、約束通り
深夜霊時にカフェに行ったんだ
〇墓石
稲垣淳二「暗いなぁ、暗いなぁ」
〇店の入口
稲垣淳二「妙だなぁ」
稲垣淳二「店に電気が点いてない」
稲垣淳二「おかしいなぁ、おかしいなぁ」
稲垣淳二「でも、お金を稼がなきゃいけないもんで」
稲垣淳二「入りましょうかねぇ」
アタクシ、思いきって
ドアを開けてみたんだ
そしたら!
〇火山の噴火
稲垣淳二「いきなり火山が爆発したんだ!」
稲垣淳二「熱いなぁ、熱いなぁ」
稲垣淳二「アタクシ、ビックリして」
稲垣淳二「慌てて逃げ出したんだ!」
〇黒
〇墓石
スーツ「・・・なんか最近」
スーツ「稲垣をからかうの、飽きてきたなぁ」
ガイコツ「散々、遊んだもんな」
ガイコツ「最近、アイツ」
ガイコツ「判ってて、引っ掛かってる感じあるよ」
スーツ「そう!」
スーツ「それオレも思ってた」
ガイコツ「普通さ」
ガイコツ「『墓地の中にあるカフェ』って、聞いた時点で気付くよ」
スーツ「だよな!」
スーツ「それとアイツ」
スーツ「リアクションがワザとらしいんだよ」
ガイコツ「昔は、そんなでもなかったのにな」
スーツ「あっ!あとさぁ」
スーツ「アイツ最近、うまく行かない事を」
スーツ「何でも霊のせいにするんだよ!」
スーツ「腹立つよなぁ!」
ガイコツ「現実から逃げてるんだな」
スーツ「・・・」
スーツ「はぁ・・」
スーツ「ホント、退屈だなぁ」
ガイコツ「じゃあ、 ヤオイかニラサワの所に行くか?」
スーツ「ヤオイ・・ニラサワかぁ・・」
スーツ「アイツらは 何でも宇宙人のせいにするからなぁ」
ガイコツ「・・・」
〇手
稲垣淳二の日常
劇終
セリフが全て本人の声と口調で完全に脳内再生されました。本人の浸透率も作者さんの再現技術もどちらもすごい。それにしてもこのストーリーを読む人の数が0(レイ)じゃなくて残念。きっと作者さん狙ってたでしょうに。「霊のしわざですよねぇ」って言いたかったですよね。
誰とは言いませんが、話が少し胡散臭いなぁと感じることがあります。誰とは言いませんが…。
胡散臭いだけで、疑っているとか、そういうことではありません!よ!
ホラーかと思ったら寒いギャグ連発で不覚にも笑ってしまいました。