いじめられっこ、魔王軍に転生する

坂井とーが

23話 場外乱闘(脚本)

いじめられっこ、魔王軍に転生する

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〇闇の闘技場
賢蹄族・カフカ「フフフ。候補者が出そろったようですね」
賢蹄族・カフカ「彼は竜人族のディノ。スキルは『蹂躙』」
賢蹄族・カフカ「自身の能力値を極限まで高め、力の限り暴れ回るスキルです」
賢蹄族・カフカ「ステータスの面では頭一つ抜けており、間違いなく優勝候補でしょう」
賢蹄族・カフカ「こちらは翼手族のイカロ。スキルは『睡魔』」
賢蹄族・カフカ「相手を眠らせ、悪夢の世界にいざなうスキルです」
賢蹄族・カフカ「器用な立ち回りを得意とする実力者ですが、問題はそこではありません」
賢蹄族・カフカ「幻影の森の主トゥルカナという、強力な後ろ盾が厄介です」
賢蹄族・カフカ「ゴースト族、宿利ユウ。スキルは『反撃』」
賢蹄族・カフカ「どうやら、彼に対する攻撃はすべて跳ね返されてしまうようですね」
賢蹄族・カフカ「しかし、彼自身のステータスは高くない」
賢蹄族・カフカ「そしてあなたは、恐角族のゴビアさんですね」
賢蹄族・カフカ「スキルは『吸収』。攻撃をあてるたびに、相手の力を吸い取っていくスキルです」
恐角族・ゴビア「なぜ知っている!?」
賢蹄族・カフカ「調べたのですよ」
賢蹄族・カフカ「ワタクシのスキルは戦闘向きではありませんが、情報収集に優れています」
恐角族・ゴビア「それでよく予選を通ったな」
賢蹄族・カフカ「どうやらあなたは、情報の力を侮っているようですね」

〇荒地
賢蹄族・カフカ「ワタクシが狩った魔獣は、初めから手負いでした」
賢蹄族・カフカ「勝てそうな相手を探すのも、作戦のうちです」

〇闇の闘技場
賢蹄族・カフカ「しかし、予選を突破した者たちはあまりに手ごわい」
賢蹄族・カフカ「ワタクシでは勝ち目がないでしょう」
恐角族・ゴビア「ならば諦めるんだな」
賢蹄族・カフカ「おや、あなたも似たようなものでしょう。 実力では、とても勝ち上がれそうにない」
恐角族・ゴビア「なんだと!?」
賢蹄族・カフカ「ご自分でもよくわかっているはずです」
恐角族・ゴビア「ぐ・・・」
賢蹄族・カフカ「だから、こうしてお話ししているのです」
賢蹄族・カフカ「ワタクシと手を組みましょう」
賢蹄族・カフカ「ワタクシなら、実力差を覆して勝つ作戦を考えられます」
賢蹄族・カフカ「もちろん、四天王の座はあなたにお譲りしますよ」
賢蹄族・カフカ「その代わり、色々と便宜をはかってほしいのです」
恐角族・ゴビア「フン・・・」
恐角族・ゴビア「立場をわきまえている奴は嫌いじゃねぇ」
賢蹄族・カフカ「おわかりいただけたようで何よりです」
恐角族・ゴビア「で、その作戦とやらは?」
賢蹄族・カフカ「フフフ」
賢蹄族・カフカ「戦う前から、勝負は始まっているのです」

〇城の客室
トゥルカナ「ここまでは順調だったね」
トゥルカナ「本戦は1対1の総当たりだ。 もちろん、やれるよね?」
翼手族・イカロ「はい。必ず全員に勝利してみせます」
トゥルカナ「ううん。状況次第で、ユウには負けといて」
翼手族・イカロ「トゥルカナ様!?」
トゥルカナ「ボク、ユウを応援してるんだよね」
トゥルカナ「――騙しやすいから」
トゥルカナ「アマデウスもユウには甘いみたいだし」
トゥルカナ「ボクとキミとユウが四天王なら、ボクの意見を通しやすくなる」
翼手族・イカロ「・・・あの子どもが竜人に勝てるとは思えませんが」
トゥルカナ「どうかな。ユウのスキルは特殊だから」
トゥルカナ「だけど念のため、ユウにはあいつの対策を教えてあげるつもり」
翼手族・イカロ「トゥルカナ様、それは反則なのでは・・・」
トゥルカナ「『手』は出してないからセーフ」
翼手族・イカロ「はぁ。まったく、我が主は・・・」

〇英国風の部屋
  ・・・
宿利ユウ「リーナ──」
  やっぱり、何もせずに待ってることなんてできない。
  考えたくないけど、後悔するような結果にはなってほしくないんだ。
  四天王決定戦を投げ出すことになったとしても、僕は──
???「ユウさん、起きていますか?」
  誰だ・・・?

〇要塞の廊下
  こいつはたしか、予選を突破した、賢蹄族のカフカ。
宿利ユウ「僕に何か?」
賢蹄族・カフカ「ええ。実は重大な情報を手に入れまして、急いでお知らせに来たのです」
賢蹄族・カフカ「ワタクシのスキルは『千里眼』。 遥か遠くのものを見通すことができます」
宿利ユウ「待った。どうして対戦相手に手の内を明かすんだ?」
賢蹄族・カフカ「それよりも、大切なことなのです」
賢蹄族・カフカ「――予選で行方不明になった、リーナさんを見つけました」
宿利ユウ「リーナを!?」
賢蹄族・カフカ「はい。彼女は人間軍に連れ去られ、今は国境付近の森にいるようです」
賢蹄族・カフカ「転移陣を使えば、すぐに追いかけられますが・・・」
賢蹄族・カフカ「なんてね」

〇英国風の部屋
トゥルカナ「ユウ、遊びに来たよ~」
トゥルカナ「あれ?」

〇闇の闘技場
トゥルカナ「・・・」

〇魔王城の部屋
トゥルカナ(どこにもいない。そんなことって、ありえるのかな?)
トゥルカナ「イカロ」
翼手族・イカロ「はい、トゥルカナ様」
トゥルカナ「ユウがいない」
翼手族・イカロ「逃げ出したのでしょうか?」
トゥルカナ「逃げるなら、予選の前に逃げてるよ」
トゥルカナ「考えられるとしたら、リーナを探しに行ったとか・・・」
???「ゴースト族の件はうまくいったようだな」
「・・・」
トゥルカナ「何か裏がありそうだね」

〇森の中
  リーナ、近くにいるのか・・・?
  絶対に助ける。だから、待ってて──
宿利ユウ「くっ。こんなときに・・・」
  群れか!?

〇要塞の廊下
賢蹄族・カフカ「バカな奴ですね。赤の他人を探すために、スキルを使うわけがないというのに」
賢蹄族・カフカ「魔獣の群れに囲まれたら、すぐには戻ってこられないでしょう」
恐角族・ゴビア「これであいつは脱落か」
恐角族・ゴビア「次は竜人族だが・・・」
賢蹄族・カフカ「すでに手は打ってあります。 もうすぐ彼は、失格になりますよ」
トゥルカナ「キミたち、ちょっと話を聞かせてくれるかな?」
恐角族・ゴビア「いえ、オレは何も知りません」
恐角族・ゴビア「全部こいつがやったことです!」
賢蹄族・カフカ「ええええ!?」
トゥルカナ「四天王を決める正式な戦いで不正を働くなんて、どういう了見だい?」
翼手族・イカロ「どの口が言うんですか・・・」
トゥルカナ「ユウはどこにいる? 早く答えた方が身のためだよ」
賢蹄族・カフカ「こ、国境付近の森に・・・」
賢蹄族・カフカ「どうかお許しを」
トゥルカナ「MPが足りていれば、ユウが死ぬことはないだろうけど・・・」
トゥルカナ「イカロ、すぐに行って」
翼手族・イカロ「かしこまりました」

〇荒野の城壁
翼手族・イカロ「なぜ私の前に立ちふさがる?」
翼手族・イカロ「そこを通してもらおうか、竜人族のディノ!」
竜人族・ディノ「ヤギの小物から聞いたぞ」
竜人族・ディノ「貴様ら幻影の森は、人間軍と繋がっているそうだな」
翼手族・イカロ(あいつめ──)
翼手族・イカロ「過ぎたことだ」
竜人族・ディノ「しらばっくれるな」
竜人族・ディノ「答えろ。勇者シラサキはどこにいる?」
翼手族・イカロ「聞いてどうする? ひとりで乗り込んでも返り討ちにあうだけだぞ」
竜人族・ディノ「隠し立てするというなら──」
翼手族・イカロ(まずいな。早く宿利ユウを探さなければ・・・)
翼手族・イカロ(ここは一旦引いて、トゥルカナ様に報告するか)
竜人族・ディノ「よそ見している暇があるのか!?」
翼手族・イカロ「話せば長くなる。今は時間がないんだ」
竜人族・ディノ「逃がさんぞ!」
翼手族・イカロ「チッ。話の通じない奴め」
翼手族・イカロ「少し眠っていてもらおうか!」
竜人族・ディノ「う・・・」
竜人族・ディノ「おおおおおお!!」
翼手族・イカロ「何!? 私のスキルが破られただと!?」
竜人族・ディノ「食らえ!」
翼手族・イカロ「グハッ」

〇森の中
  スキルが使えない。
  転移魔法でMPを使いすぎたせいで──

コメント

  • みんな手詰まりで、ヴィオや魔王もピンチに気づいていないこの状況、どうやって切り抜けるか楽しみです^^
    捕らわれたリーナも気になるところ!二宮さんも登場するようになったということは、闇落ち展開の予感も…

  • 四天王候補が本戦前に次々自滅していく…!?
    まさに場外乱闘😳
    イカロは良いやつそう…?

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