P22・エンディングノート(脚本)
〇立派な洋館
〇豪華な部屋
???「ふぅ・・・」
???「お疲れさま」
???「お茶入れたよ」
???「ありがとう」
???「いいお見送りができてよかったね」
???「うん・・・」
???「とはいえ、まだ細々とした手続きが残ってるから、しばらくは落ち着かないね」
???「お義母様、エンディングノート書いてたよね?」
???「エンディングノート・・・?」
???「なにそれ?」
???「資産の情報とか、遺言書の有無とか、 お墓についてとか・・・」
???「もしもの時のために、身近な人に伝えたいことを書き留めるノートのことだって聞いたよ」
???「それがあれば、少し楽かもしれないね」
???「そんなものが・・・」
???「元はお義父様の世界の 文化じゃなかったかな?」
???「お父様の・・・」
???「知らなかったわ」
???「あなたはそのノート、見たことあるの?」
???「うん」
???「『死ぬまでにしたい100のこと』 っていう欄があって」
???「そこに書いてあった何項目かに 付き合ったことがあるよ」
???「へぇ、どんな?」
???「・・・みんなで闇鍋したり、激辛カレーを食べたり」
???「ただの罰ゲームじゃない」
???「姉さんはスライムでドッジボールや バレーボールもやったって言ってた」
???「なにが楽しいのかしら」
???「あははっ」
???「でも、きみが生まれる前に書いていたものだから、残ってないかもしれないな」
???「そっか・・・」
???「見てみたかったなぁ」
「おとーさま!」
「おかーさま!」
「見て見てー!」
???「こらっ、家の中で走らない!」
???「ロードもシュアリーも、どうしたの?」
ロード「お祖母様の書斎で変な本 見つけたんだ!」
シュアリー「これよ!」
???「これだっ!!」
???「えっ?」
???「ヴィエリゼ様のエンディングノート!!」
???「これが、お母様の・・・?」
???「うわぁ、懐かしいなぁ」
???「ロード。 それ、お父様に見せてくれる?」
ロード「はい、どーぞ」
???「ありがとう」
???「エリちゃん」
???「・・・・・・」
???「エリシュアちゃん?」
エリシュア「なぁに、ローレン」
ローレン「本、見ないの?」
エリシュア「見る!」
エリシュア「・・・けど、なんだか緊張しちゃって」
エリシュア「勝手に見てもいいのかしら」
ローレン「見られる前提のノートだし、 いいんじゃないかな?」
エリシュア「そうよね・・・よしっ!」
「・・・・・・」
エリシュア「誕生日、血液型、身長体重、本籍地・・・」
ローレン「保険証番号に運転免許証番号・・・」
エリシュア「マイナンバーまで書いてある」
「・・・・・・・・・」
「──ぷっ」
エリシュア「ふふっ、あはは!」
エリシュア「身長体重の情報いる!?」
ローレン「あっ、ここ見て」
ローレン「『各SNSについてはダーリナに一任』 ・・・って書いてあるよ」
エリシュア「お母様、SNSやってたの!?」
エリシュア「ていうか、肝心の保険会社とか資産とかの詳細がほとんど空欄なんだけど」
エリシュア「相続の欄も『子供に?』とか ふわっとしか書いてないし」
ローレン「若い頃に書いたやつが そのままみたいだね」
エリシュア「エンディングノートの役割を 果たしてないじゃない」
エリシュア「これね」
エリシュア「『死ぬまでにしたい100のこと』」
エリシュア「すごい、全部達成したのね」
ローレン「あ、リストの横にコメントが書いてある」
エリシュア「ほんとだ」
『スライムでドッジボール』
・・・二度とやりたくない
エリシュア「ふふっ、後悔してる」
『ダーリナに寝起きドッキリ』
・・・反応が普通でつまらなかった
ローレン「たしかに、ダー様は動じなさそうだものね」
『フェゴールの脚に掴まって空を飛んでみたい』
・・・渋々やってくれた。楽しかった!
エリシュア「私も子供の頃やってもらった! フェゴール様、とっても早いのよね」
ローレン「ああ、あの時・・・」
ローレン「フェゴ様のかわりに僕が竜化して飛んであげようとしたら、きみは大泣きしたんだよね」
エリシュア「あれは・・・」
エリシュア「あなたが竜化するのを初めて見て びっくりしただけ!」
エリシュア「・・・今では、どっちの姿も カッコいいと思ってるよ?」
ローレン「ふふ、ありがとう」
エリシュア「つ、続き見よっ!」
『ゲンティムと腕相撲』
・・・ぜんぜん勝てない
ローレン「あはは、そんなこともしたんだ」
『ローレットと料理対決』
・・・まさか負けるとは思わなかった
「えっ・・・」
ローレン「姉さんに負けるなんて・・・」
エリシュア「たしかにお母様の料理は あまりおいしくなかったけど」
エリシュア「昔はもっとひどかったのね・・・」
エリシュア「──ねえ、この『勇者』って誰のことかしら」
ローレン「えっ?」
エリシュア「ほら、ここ」
エリシュア「『勇者とお出掛けしたい』とか 『勇者と手を繋ぎたい』とか・・・」
エリシュア「『勇者の手料理が食べたい』 『勇者にお姫様だっこされたい』」
エリシュア「すごくたくさん書いてある・・・」
エリシュア「もしかして元カレとか 片想いの相手だったりして!」
ローレン「ふふ、これはね」
ローレン「これは全部、お義父様── ルカード様のことだよ」
エリシュア「えっ・・・!?」
エリシュア「そうなんだ・・・」
エリシュア「『倒されるならルカードの手に掛かりたい』!?」
エリシュア「なんかすごい物騒なこと書いてあるけど!?」
ローレン「いろいろあったからね〜」
エリシュア「いろいろってなに!? 聞かせて!!」
シュアリー「私も! 私も聞きたい!」
ロード「僕も!」
ローレン「うん、じゃあ教えてあげようね」
エリシュア「あっ・・・」
ローレン「どうしたの?」
エリシュア「お母様、一つだけやり残してる」
ローレン「えっ、そうなの?」
エリシュア「ふふっ」
エリシュア「これをクリアするのは なかなか難しいんじゃないかしら」
エリシュア「きっと、いくら話しても物足りないでしょうから──」
完結お疲れ様 & おめでとうございます。
彼女が幸せに生きたと感じられるラストエピソード! 二人の会話から、他のキャラの様子も知れたのもすごく良かったです。
最初から最後まで、登場キャラみんなが生き生きとしているのが印象的で、誰がメインになっても楽しませてもらいました。(かわいい所もある四天王女性陣が特に好き!)
素敵な作品をありがとうございました^^
ローレン…!こんなに立派になって…!なんだか、すごく綺麗なラストで、余韻に浸ると共に語彙力を失いました。これぞまさに、エンディングノート。涙で滲んだ部分はそのままで、これまでの歴史が詰まっていて…。とても面白かったです。完結、おめでとうございます!
次の世代へ…
立派なイケメンに育った…☺️
結婚生活が続いてもいつまでも話し足りない…素敵なエンディングです😭
完結おめでとうございます!