タイムパラドクス小学生

たぴおかしんたろう

始まりそして終わり(脚本)

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〇地球
  時は21世紀、人類の科学水準は
  
  小規模の時間遡行を実現するまでに至った

〇女の子の一人部屋
ぼく「明日、朝倉に告白するぞ」
  風呂上り、パジャマ姿でベッドに入ったぼくはつぶやいた
  朝倉未帆は隣の席の女の子
  スポーティなショートカットで、僕より背が高い
  男勝りな性格で男子に混ざってサッカーをしたりしている
  朝倉とは5年生になって初めて同じクラスになって
  2度目の席替で隣の席になってからよく話をするようになった
  ぼくは朝倉のはっきり、飾らないでものをいう性格にひかれていった
  告白するにあたって
  5~6年生はクラス替えがないので
  もしフラれでもして気まずい思いをしないために
  告白に慎重になっていたぼくを後押ししたのは
  
  タイムリープだった
  タイムリープは
  
  1週間という短い期間の中で、時間を選んで過去の自分に戻れるというもので
  実際にタイムリープした児童の話や
  タイムリープしたことにしてふざけあう
  タイムリープごっこなどの遊びで
  最近、小学生の間でブームになっている
  フラれても昨日に帰ればいいという気軽さに後押しされ
  ぼくは告白を決意したんだ
  この夜は不安と期待でぼくはなかなか寝付けなかった

〇女の子の一人部屋
  決行の日 12月10日土曜日
  
  ぼくはいつもより早く起きると
  朝ご飯をかきこんで
  早めに登校した

〇教室
  教室に入ると黒板をきれいにして
  日直の欄にぼくの名前と朝倉と書き込んだ
  これもぼくの背中を後押しした理由だ
  
  日直になると二人きりになれる機会が増えるからだ
  クラスメイトが次第に集まりだすと
  朝倉が教室に入ってきた
朝倉「おはよっ」
  ぼくの緊張などしらない朝倉は
  いつも通りの笑顔をぼくに振りまいた
  朝の会から始まって
  
  国語算数体育理科
  告白のタイミングを逃し続けて
  
  じりじり時間が過ぎていった
  午後の授業が終わって
  
  最後の告白のチャンスがやってきた
  掃除の時間、日直二人は1週間のごみが入ったごみ箱を
  
  二人でゴミ捨て場までもっていくことになっている
  ぼくと朝倉はゴミ箱の両脇を片方ずつ持つと歩き出した

〇学校の廊下
  緊張しているぼくは
  
  朝倉の話にあいずちを打つことしかできないでいた

〇まっすぐの廊下
  ゴミ捨て場へ行く廊下は普段児童は寄り付かない
  
  自然と二人きりになった
  窓の夕日に後押しされてぼくは意を決した
ぼく「朝倉・・・」
朝倉「なあに?」
ぼく「じつは・・・ぼく、朝倉のことが好きなんだ」
ぼく「付き合ってくれないかな・・・」
  急にごみ箱を持つ手が引っかかった
  
  朝倉が立ち止まったからだ
朝倉「あー、えー、なんていうか・・・」
朝倉「ごめんね、君のことそういう風に考えたことないんだ・・・」
朝倉「ほんと、ごめんね・・・」
  そういうと朝倉は来た道をかけていった
  意気消沈したぼくはごみをゴミ捨て場に捨てると
  
  なるべく遠回りするように教室に帰った

〇教室
  教室に帰ると何かを察したように
  
  興味深げな視線がぼくにつき刺さった
  その視線を避けるように席に着くと
  
  ぼくはそのあとずっと下を向いていた
  帰りの会が終わるとぼくは学校を飛び出した

〇女の子の一人部屋
  帰り道ぼくはタイムリープのことしか考えていなかった
  家の玄関を開け
  
  階段を上がり
  
  自分の部屋にはいる
  呼吸を落ち着かせると椅子に腰かけ
  
  スマホに調べておいたタイムリープのサイトを表示させた
  タイムリープを利用するのに必要な条件は身長150㎝未満であること
  大きな人、大人をタイムリープさせる技術はまだできていないらしい
  これが小学生の間だけで流行っている理由だった
  金額はお年玉3~4年分ぐらいで
  
  貯金を切り崩して払えないことはないくらいの値段に設定されている
  ぼくは支払いのためのウォレットを登録し
  
  タイムリープする時間を昨日の今頃に設定した
  タイムリープの注意事項を何度も確認すると
  
  実行ボタンを押した
  ・・・
  ご利用いただきありがとうございます
  
  ただいまよりタイムリープ社の衛星が
  ユーザー様を捕捉します
  現在位置より動かずにお待ちください
  ぼくは目をつぶって待った
  ぴ
  短い電子音が聞こえるとぼくは目を開けた
ぼく「おわった?」
  スマホはスリープ画面
  何も起きているようには見えない
  タイムリープは小学生のおこずかいをだまし取る詐欺だったんだろうか
  
  そんな考えが頭をよぎった
  服の袖口が目に入った
ぼく「今日来ていた服じゃない・・・」
  スマホで今日の日付を確認してみる
  
  12月9日金曜日
ぼく「成功したのか?」

〇綺麗なダイニング
  階段を下りてリビングに行ってテレビをつけてみる
  たしかにニュース番組の日付は昨日だ
ぼく「やった!ぼくはタイムリープに成功したんだ」
  ぼくは初めてのタイムリープ体験に興奮し
  
  その日ぼくは昨日を堪能した

〇教室
  12月10日土曜日
朝倉「おはよっ」
  朝倉の屈託のない笑顔をみてぼくは後悔した
  たしかにぼくが告白したという事実は消え去った
  
  朝倉は僕に普段通りに接してくれている
  だけど、僕の一方的な片思いだった
  
  という事実が消え去ることはなかった
  タイムリープしてもすべてが元通りになることはなかったんだ
  この日ぼくは何事もなかったかのようにふるまうことに全力をつくした
  そして、未来を変える時がやってきた
  
  ごみ捨ての時間だ

〇学校の廊下
  一度目のごみ捨てとは正反対に
  
  ぼくは朝倉に一方的に話をした
  
  朝倉は少し困った顔をしてうなずいていた

〇まっすぐの廊下
  やがて人気の少ない廊下にたどりついた
  窓から夕陽が差し込んでくる
  
  ぼくは失恋の傷をないものとしてふるまうために
  
  しゃべり倒した
朝倉「ぷっ、くすくす」
  朝倉が突然わらいだした
  いぶかしげに見つめるぼくに
  
  朝倉は笑いをこらえながら話し出した
朝倉「だって、あんた全然告白してこないんだもん」
朝倉「あたし、ずっと後悔してたんだ 初めて告白されたから気が動転して 思わず断っちゃったけど・・・」
朝倉「ちゃんと面と向かってお返事したかったし」
ぼく「それって・・・」

次のエピソード:本当の終わり

コメント

  • いまどきの子は小学生で付き合うとか…話で聞いてびっくりしたものです。
    でも、誰だって好きになる気持ちに変わりはないし。
    大人とは違い微笑ましかった。

  • 告白を断られたときはなんだか読んでいる私も気を遣ってしまいそうでした笑
    二人ともタイムリープしてたということですよね。
    なんだろう…にやついてしまう自分がいます。

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