本当の終わり(脚本)
〇綺麗な病室
2100年12月31日をもちまして、タイムリープ社の全サービスを終了させていただきます
長らくのご愛顧ありがとうございました
結局、あの後、私と朝倉未帆は結婚した
朝倉とは学生結婚で3人の子供と11人の孫に恵まれた
朝倉は私との縁を取り持ったタイムリープ理論に興味を持ち理論物理学を専攻した
朝倉は寝食を忘れてタイムリープ理論にのめりこんだ
「この話には明確な終わりがあるのよ」
いつだったか朝倉は私に話してくれた
私が朝倉に告白し振られた日
私は失恋を帳消しにしようと1日過去へ飛んだ
同じように朝倉も私の告白の返事をするために過去へ飛んだ
しかし、その跳躍は7日間だった
朝倉からすれば当然で私の好意を知った朝倉には余裕があった
次の登校日に告白の返事を撤回してもいいし、何ならその日のうちに撤回のメッセージを私に送ることもできた
しかし、朝倉は意気消沈して隣の席に座っている私の姿を見て煩悶したらしい
ここまで自分のことを思ってくれていた人をあっさり振ってよかったのか
私のことを哀れに思ったのか、もともと無自覚のうちに好意を持っていたのか
今となってはわからないがとにかく思い悩んだ末
タイムリープすることを決意したらしい
私のタイムリープは朝倉に影響を与えなかった
つまり、時系列的に新しいタイムリープから時間軸に影響を与えていたわけで
突き詰めていくとサービス開始時に初めて実行された
タイムリープから順番に時間軸に影響を与え始め
最後に私のタイムリープが実行されたということになる
つまり、サービス開始時には私はこの場所には存在していなかったわけで
朝倉未帆の最後をみとることはなかったわけだ
朝倉が当初何を考えタイムリープ社を立ち上げ
時間改変に取り組んだのかは今となってはわからないが
朝倉の願った未来が訪れたと私は信じたい