恋におちたフェミニスト

冬木柊

エピソード5(脚本)

恋におちたフェミニスト

冬木柊

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〇オフィスのフロア
  社会人二年目の冬
  涼子が会社に来なくなった

〇川に架かる橋
  心配したので会いに行った

〇可愛い部屋
  マンションを訪ねると
  涼子はとても元気そうに見えた
  涼子、元気そうなのになぜ会社に来ないの?
涼子「生理が重くて会社に行くのがつらいし・・」
涼子「それになんかぜんぶ見えちゃったからかな?」
  ・・・・。

〇電車の中
  涼子のマンションを訪ねた帰り

〇駅のホーム
  ふと思いつき

〇広い改札
  電車を降りた

〇学校沿いの道
  友達と歩いた道を、歩いた

〇商店街
  青春の道を

〇本屋

〇古書店

〇スーパーの店内

〇カフェのレジ

〇スーパーの店内
  ・・・・。

〇ビジネス街

〇研究施設のオフィス

〇ビジネス街

〇飲み屋街

〇シックなバー

〇研究施設のオフィス
課長「二見さん 岩見海運の漁業組合が懇親会をするらしい」
課長「参加してくれるかな?」
二見明日香「嫌です、それに向こうだってわたしがお酒のお酌をしないから嫌なんじゃないですか?」
課長「先方もそれは理解してるよ」
課長「でもこの一年、二見さんの仕事ぶりを先方も知って二見さんに来てほしいのだと思う」
二見明日香「・・わかりました」
課長「あ、でも、服装はなるべくかわいい格好の方がいいかな?、これも接待の一環だし」

〇海岸沿いの駅

〇大衆居酒屋(物無し)
岩見やまな「明日香さん、久しぶりだで」
二見明日香「やまなさん、お久しぶりです」
岩見与兵衛「おー!、ねーちゃん、久しぶりだー! こっち来て飲めや!」
岩見与兵衛「おい!、お前ら! 二見ちゃんが来てくれたぞ! 席を空けろ!」
岩見与兵衛「ほら!、ねーちゃん! 真ん中の席に!」
二見明日香「はあ」
岩見与兵衛「じゃもう一度乾杯だ!」
岩見与兵衛「じゃ、ねーちゃん、お酌してくれないか?」
二見明日香「えっ?」
岩見与兵衛「いや! ねーちゃんがこーいうの嫌いなの知ってる!」
岩見与兵衛「でもよ、死ぬ前に、ねーちゃんに一度お酌してもらいたいんだよ」

〇大衆食堂
二見明日香「わかりました」
岩見与兵衛「おー! ありがとう! ねーちゃん! もう俺は冥土の土産に死んでもいーよ!」
漁師A「じゃ二見さん、俺も!」
漁師B「俺も酌してくれよ!」
二見明日香「いい加減にしてください・・帰りますよ」
岩見与兵衛「おい!、おめーらいい加減にしろ!」
漁師B「なに言ってんだ! 岩見さんだけずるいんじゃねーか!?️」
岩見与兵衛「なに!?️、やんのかコラァ!」
二見明日香「いい加減にしてください・・帰りますよ」
岩見与兵衛「いや!、ごめん二見ちゃん! 帰らないでくれるかな・・」

〇シックなバー
高浜美波「楽しい、いいお話じゃないですか?」
二見明日香「でも、玲奈にこう言われたの」

〇オフィスのフロア
玲奈「明日香 あなたはそれで賢く振る舞ったつもり?」
二見明日香「えっ!?️」
玲奈「明日香 あなたも男性社会に取り込まれたようね」
玲奈「自分では賢く振る舞ったつもりでも 結果として男性の言いなり」
玲奈「そうやって男性の都合のいい女性になっていくのよ」
玲奈「その「無意識下」のあきらめが フェミニストの最大の敵なの」

〇シックなバー
高浜美波「「無意識下」のあきらめですか・・」
二見明日香「そう」
二見明日香「なんだろう、これ」
二見明日香「ほかにも「あきらめた」ことばかりが」
高浜美波「二見先輩」
二見明日香「なに?」
高浜美波「あきらめましょう」

〇シックなバー
二見明日香「えっ!?️」
高浜美波「二見先輩・・」
高浜美波「全部あきらめて、お砂糖しませんか?」
二見明日香「なに言ってるの?」
高浜美波「もう全部めんどうですよ なにもかも全部忘れませんか?」
二見明日香「なに言ってるの?」
高浜美波「二見先輩・・ お堅いですよ」
  高浜さん、なに言ってるの?
高浜美波「ふふ・・」
  二見先輩、もっと・・
  手に痛み、・・感じました?
  なに言ってるのよ!
  黙って、わたしを好きにしてください
  だからなにを言ってるの!?️
  じゃあ、わたしが

〇黒

〇黒
  なに、これ?
  これは悪夢なの?

〇水中

〇水中

〇ファンシーな部屋
二見明日香「・・・・。」

〇マンションの共用廊下

〇ファンシーな部屋
二見明日香「・・はい」

〇超高層ビル
翔太「明日香、今日お前が主担当の契約だろ! なにやってんだよ!」

〇ファンシーな部屋
二見明日香「・・そうだよね・・体調がすごく悪いけど ・・大事な仕事だもんね」

〇超高層ビル
翔太「お前体調悪いのか!?️」
翔太「でもお前の大事な契約だ 時間を午後にしてもらうから午後来れるか?」

〇ファンシーな部屋
二見明日香「・・うん、午後3時には必ず行くよ」
  わかった! 午後3時に来てくれ!

〇渋滞した高速道路

〇超高層ビル
二見明日香「お待たせー」
翔太「明日香、わるい話だ」
翔太「常務と専務は午後予定があって 結局、経理の人とだけ話をすることになった」
二見明日香「ごめんね、わたしが遅れたばかりで・・」
翔太「明日香、お前、昨日すごく酒を飲んだのか?」
二見明日香「お酒は飲んだけど、そんなには・・」
翔太「高浜が、お前がすごく酒を飲んでいたって教えてくれた」
二見明日香「えっ!?️」
二見明日香「あの子がわたしにお酒を飲ませて 変なことしたんだよ!」
翔太「変なことってなんだ?」
二見明日香「そっ、それは・・」
翔太「結局、お前がたくさん酒飲んで仕事に支障をきたしただけだろ?」
二見明日香「ひどいよ、中村・・」
二見明日香「わたしあの子にとてもひどいめにあわされたのに・・」
翔太「もう行くぞ」
二見明日香「・・・・。」

〇エレベーターの前
二見明日香「うっ・・」
翔太「どうした明日香?」
二見明日香「からだが苦しいの」
翔太「酒の影響か?」
二見明日香「違うの、生理が重くて・・」
翔太「突然だな、どうする、取りやめるか?」
二見明日香「・・いえ、行こう」
翔太「わかった」

〇綺麗な会議室
翔太「こんにちは、AIシステムの中村と二見です」
中井「どうも経理の中井です」
中井「常務から話を聞くようにと」
翔太「よろしくお願いします 主担当の二見が説明します」
中井「でも二見さんは大丈夫ですか? 顔色がわるいようですが・・」
翔太「大丈夫か、二見?」

〇血しぶき
二見明日香「・・・・。」
中井「大丈夫ですか?」
翔太「大丈夫か?、二見?」
二見明日香「大丈夫じゃないの! 苦しいの!」

〇綺麗な会議室
二見明日香「すみません・・」
二見明日香「ちょっとおトイレに・・」
中井「どうぞ」
二見明日香「すみません」

〇女子トイレ
二見明日香「なにやってるのよ! わたしはこんな場所で!」
二見明日香「恥ずかしくて苦しくて死にそうだよ!」
二見明日香「あの子がわるいんだよ! いつもより体が苦しいよ!」

〇綺麗な会議室
翔太「・・・・。」
中井「・・・・。」

〇女子トイレ
二見明日香「トイレで二十分か・・ もうなにもかもダメかな・・」

〇綺麗な会議室
二見明日香「・・すみません、体調をわるくしまして」
中井「大丈夫です、二見さんは大丈夫ですか?」
二見明日香「大丈夫です、落ち着きました」
中井「落ち着きましたか、よかったです」
中井「・・・・。」
中井「・・これはわたしの二人の姉の話なのですが」
中井「わたしの二人の姉は生理が重いらしく いつも体がつらいって、わたしに怒鳴り散らすのですよ」
中井「小さい時は姉の機嫌で殴られたりもしました」
中井「でも体調がいい時はいつもいい姉なのですよね」
中井「わたしの友達は二人の姉のことを天使が微笑んだとか言うのですが・・」
中井「わたしには暴力天使としか思えなくて・・」
中井「二見さん、顔色は良くなりました?」
中井「ゆっくり落ち着いてから話してください」
二見明日香「・・・・。」
二見明日香「ありがとうございます」

〇超高層ビル
二見明日香「ごめん中村、わるかったね 契約も延期で」
翔太「経理の担当じゃ仕方ないさ」
翔太「でも明日香、お前体調わるいんだろ? もう帰れよ、課長には俺が報告しておく」
二見明日香「わかった、今日はごめんね・・」
翔太「いいさ」

〇川沿いの公園
  わたしは近くの公園で体を休めた
  ベンチにもたれ、時間を過ごした
  温暖化なのか、冬の陽が暖かい

〇川沿いの公園
中井「・・・・。」
二見明日香「・・中井さん?」
中井「起こしてしまいましたか」
二見明日香「大丈夫です、眠ってからだも元に戻りました」
中井「やっぱり体調が悪かったのですね」
二見明日香「はい」

〇川沿いの公園
  わたしは今日の仕事の話を改めて話した
  中井さんは丁寧に話を聞いてくれた
  中井さんは話を理解してくれて常務に説明しておくと話してくれた
  仕事の話だけでいいかと思ったが──
  そこから二人で少しお喋りをした

〇イルミネーションのある通り
  中井さんは二人の姉の話を
  わたしは楽しかった女子高の話を
  当時の上級生がパン屋の店員になっていて
  彼女の身の上に失望したことも
  これは余計な話だった
  わたしは自分を恥じた
中井「明日香さん」
二見明日香「はい」
中井「もうすぐクリスマスですね」

〇イルミネーションのある通り
  息がふれあうほどの距離
  二人の吐く息が白い
  冬の夜に
  わたしたちはたくさんのことを話した
  そして感じた
  彼の優しさを
  わたしの感情を
  これは──
  クリスマスの魔法なのか・・
  わたしは、

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