城 ~the castle~

komarinet

石油王の遺産と遺産管理人(脚本)

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〇住宅街の道
草苅 穂乃香(ほのか)「そうなんだ。 兄弟がたくさん居ていいね」
牧島 慎司(しんじ)「いや大変だぜ?」
牧島 慎司(しんじ)「小遣いは三等分だし 下二人はすぐ喧嘩するしさ」
草苅 穂乃香(ほのか)「でも牧島くん、 兄弟のこと話すとき楽しそうだよ?」
牧島 慎司(しんじ)「まあ、何だかんだ言っても かわいいからな」
牧島 慎司(しんじ)「いつも兄ちゃん、兄ちゃんって 俺の周りをちょこちょこ走り回るんだ」
牧島 慎司(しんじ)「あー、早く就職してぇなあ」
草苅 穂乃香(ほのか)「どうして?」
牧島 慎司(しんじ)「うち、貧乏だからさ」
牧島 慎司(しんじ)「早く就職して、あいつらに 旨いもん食わせてやりたいんだよ」

〇住宅街の道
草苅 穂乃香(ほのか)(落ち着くのよ、穂乃香)
草苅 穂乃香(ほのか)(こんなスポーツも勉強も人並みに出来て 兄弟思いの爽やかな同級生なんて──)

〇炎
草苅 穂乃香(ほのか)(好きだあー! 好きに決まってるでしょ!)
草苅 穂乃香(ほのか)(家が貧乏? 関係ないわ! 私は牧島くんが好き!)
草苅 穂乃香(ほのか)(何だったら私が働いて 食べさせてあげるわ!)
草苅 穂乃香(ほのか)「あ、あのね、牧島くん。 わ、私・・・!」
牧島 慎司「あ、着いた。俺んち」

〇住宅街の道
草苅 穂乃香(ほのか)「え・・・」

〇西洋の城
草苅 穂乃香「ええー!」
草苅 穂乃香(ほのか)「こ、これが牧島くんのうち?」
牧島 慎司(しんじ)「あー、うん。最近変わったんだ」
牧島 慎司(しんじ)「いや、うちは相変わらず貧乏なんだぜ? 今月の食費だって厳しいし」
草苅 穂乃香(ほのか)「どこの世界に城に住む貧乏人がいるのよ!」
牧島 慎司(しんじ)「いや、説明すると長いんだよ」
???「ああ、お坊っちゃん! お帰りなさいませ」
???「お近くでしたらお迎えにあがりましたのに」
草苅 穂乃香(ほのか)「執事おるやん」
牧島 慎司(しんじ)「あのさ、面倒くさくなるから 出てこないでって言ったよね」
???「何を仰いますか」
???「ご学友に挨拶をする。 執事として当然の振る舞いです」
草苅 穂乃香(ほのか)「あの・・・」
???「これは失礼、私としたことが!」

〇骸骨
???「申し遅れました」
???「私、先月から牧島家の執事を させていただいております」
???「セバス=チャン=ゴッドフィールド と申します!」
草苅 穂乃香「背景、それで大丈夫なの!?」

〇西洋の城
セバス「はて、背景とは?」
草苅 穂乃香(ほのか)「い、いえ。何でもないです」
セバス「ところでご学友どの、 お茶でもいかがでしょう?」
セバス「出涸らし三回目の麦茶ですが」
草苅 穂乃香(ほのか)「あっ、わ、私、 用事思い出したから帰ります!」

〇住宅街の道
草苅 穂乃香(ほのか)「牧島くんのバカ! イケメン! 営業貧乏!」
草苅 穂乃香(ほのか)「うわあああん!」

〇西洋の城
牧島 慎司(しんじ)「営業貧乏・・・」
セバス「まあ、こんな城に住んでるのですから そう言われてもおかしくありませんな」
セバス「さあ、中へ入りましょう お茶をお入れいたします」
牧島 慎司(しんじ)「はぁ。まいるぜ、全く」

〇古いアパート
  一ヶ月前──
牧島 慎司「石油王の遺産を相続した!?」

〇アパートのダイニング
牧島 孝行(たかゆき)「爺さんが 石油王の遠い親戚だったらしくてな」
牧島 孝行(たかゆき)「急遽貰えることになったんだ」
牧島 慎司(しんじ)「よく何の疑問もなく受け取ったな、親父」
牧島 孝行(たかゆき)「まあ、考えるより感じろってやつだな!」
牧島 慎司(しんじ)(違うだろ)
牧島 慎司(しんじ)「で、遺産って何?」
牧島 孝行(たかゆき)「ああ、それはな」
セバス「孝行様。私からご説明いたしましょう」
牧島 慎司(しんじ)「あんたは?」
セバス「お初にお目にかかります、慎司様」

〇手
セバス「私は亡き石油王 オブラダ=オブラディ=セキーユオウが執事」
セバス「セバス=チャン=ゴッドフィールドと 申します」
セバス「以後お見知りおきを」
牧島 慎司「その背景で笑うのやめてくれ!」

〇アパートのダイニング
セバス「はて、背景?」
牧島 慎司(しんじ)「ちっ、まあそれはいい」
牧島 慎司(しんじ)「そんで、その遺産てのは?」
セバス「それはもう大量の資産でございます 金や有価証券、油田やら」
セバス「そして最大の財産はここに。 東京まで私、運んでまいりました」
牧島 孝行(たかゆき)「ふふ。驚くぞ」
牧島 慎司(しんじ)「まさか。子供じゃあるまいし」
セバス「こちらから見えますよ」

〇アパートのベランダ
セバス「あちらです」
牧島 慎司(しんじ)「は?」
牧島 孝行(たかゆき)「どうだ、すごいだろ」
牧島 慎司(しんじ)「いや、何あれ?」
牧島 孝行(たかゆき)「見たらわかるだろ」

〇西洋の城
牧島 孝行「城だよ、他に言い方があるか?」
セバス「英語ですとキャッスル、 フランス語ではシャトーなんて言いますね」
牧島 慎司「あんたちょっと黙っててくれ」

〇アパートのダイニング
牧島 慎司(しんじ)「うーん。城、かぁ」
牧島 慎司(しんじ)「まあでもあれ売ったらしばらく 楽に暮らせるな、親父」
牧島 孝行(たかゆき)「何言ってるんだ。早く行くぞ」
牧島 慎司(しんじ)「え?」
牧島 孝行(たかゆき)「え、じゃない。 今日から俺たちはあの城で暮らすんだ」
牧島 孝行「お前以外はとっくに城に行ってる。 早く荷物まとめて来いよ」
牧島 慎司(しんじ)「マジ?」

〇西洋の城
  その日から、城での生活が始まった

〇城の廊下
牧島 透(とおる)「にいちゃ! はやくー!」
牧島 未来(みく)「うふふ。私を捕まえてみなさーい」
牧島 慎司(しんじ)「待てー」
「わー!」

〇城の廊下
「キャハハ!」
牧島 慎司(しんじ)「待てー」

〇城の廊下
牧島 透(とおる)「こっちだよー!」
牧島 未来(みく)「キャハハ!」
牧島 慎司(しんじ)「はあ、はあ」
牧島 慎司(しんじ)「いやさ」
牧島 慎司(しんじ)「どんだけあるんだこの廊下」

〇西洋の城
  一週間後──

〇城の会議室
牧島 慎司(しんじ)「もぐもぐ」
牧島 透(とおる)「むしゃむしゃ にいちゃ。お塩ほしい」
牧島 慎司(しんじ)「おお、わかった。 ちょっと待ってろ」
牧島 慎司(しんじ)「はい、お待ち」
牧島 透(とおる)「ありがと、にいちゃ!」
牧島 未来(みく)「お兄ちゃん、私も塩ちょーだい」
牧島 慎司(しんじ)「おお、今行くわ」
牧島 慎司(しんじ)「はい、塩」
牧島 未来(みく)「ありがと」
牧島 慎司(しんじ)「・・・」
牧島 慎司(しんじ)「いや、遠いだろ!」
牧島 孝行(たかゆき)「こら、慎司。食事中は静かに」
牧島 千冬(ちふゆ)「そうよ、慎司」
牧島 孝行(たかゆき)「あ、お母さんご飯粒」
牧島 千冬(ちふゆ)「きゃっ、とってー」
牧島 慎司(しんじ)「そこ! いちゃつくな!」
牧島 慎司(しんじ)「みんな、よく考えろ。 どう考えても不便だ!」
牧島 慎司(しんじ)「60人掛けのテーブルに五人だぞ!」
牧島 慎司(しんじ)「しかもだ!」
牧島 慎司(しんじ)「俺たち大金持ちになったんだよな?」
牧島 慎司(しんじ)「いや、おにぎりもいいけどさ!」
牧島 慎司(しんじ)「なんだろ、大金持ちの食事って、 もっとこう・・・」
セバス「それに関しては私がご説明いたしましよう」
牧島 慎司(しんじ)「でたな、セバ・・・」
牧島 慎司(しんじ)「おい、その恰好どうした?」
セバス「はっはっは 近くの漁師に助っ人を頼まれましてね」
セバス「そんな些細なことは どうでもいいんです」
牧島 慎司(しんじ)(些細か?)
セバス「実は城以外の財産に関しては 現在、お渡ししておりません」
牧島 慎司(しんじ)「なんで?」
セバス「そこが我が主、セキーユオウ様の 素晴らしいところでして」

〇ピラミッド
セキーユオウ「セバスよ」
セバス「はっ」
セキーユオウ「私の遺産で、誰かの人生が壊れては困る」
セキーユオウ「故に私の遺産を渡すときは」
セキーユオウ「彼らの生活水準を崩さないよう 君が管理してくれ」
セバス「かしこまりました」

〇城の会議室
牧島 慎司(しんじ)(何だ、今の回想)
セバス「というわけですので城に関しては お渡ししましたが」
セバス「その他に関しては条件をみたした 時のみ、お渡しいたします」
牧島 孝行(たかゆき)「もぐもぐ・・・それはいいんだけどさ 固定資産税とかはどうなるの?」
セバス「固定資産税はあまりに高額ですので こちらの資産の方から支払います」
牧島 千冬(ちふゆ)「電気代とか水道代はどうなるのかしら?」
セバス「そちらは残念ながら ご家族負担となります」
牧島 慎司(しんじ)「こんなに広いのに電気代貰えないの?」
セバス「ええ、なので・・・」

〇城の救護室
セバス「基本夜間は電気を消して下さい」
牧島 慎司(しんじ)「もうお化け屋敷じゃね?」

〇西洋の城

〇貴族の部屋
牧島 慎司(しんじ)(まあでも部屋は確かに広くなった)
牧島 慎司(しんじ)(弟たちも自分の部屋ができたって 喜んでる)
牧島 慎司(しんじ)(それでよしとするか)
牧島 慎司(しんじ)「ん? 何の音だ?」

〇城の廊下
強盗「へへっ、ここが石油王が持ってきた城か」
強盗2「お宝がいっぱいありそうなんだな」
強盗3「確か五人家族だったな」

〇牢獄
強盗3「大人二人とチビはとりあえず 城の地下にあった牢屋に放り込んだ」
強盗3「後一人高校生の息子が居るはずだ」

〇城の廊下
強盗3「高校生は割と力もある 抵抗するようなら殺せ」
「わかったぜ、兄貴」
牧島 慎司(しんじ)「うわっ、しまった!」
強盗「居やがったぞ! あいつだ!」
強盗2「殺せ!」

〇城の廊下
牧島 慎司(しんじ)「はあ、はあ、はあ」
牧島 慎司(しんじ)「クソ、クソ!」
牧島 慎司(しんじ)「そりゃそうだよな。こんな城、 金があると思うやつだっているよな!」
牧島 慎司(しんじ)(親父たちは捕まったと聞こえた・・・)
牧島 慎司(しんじ)(どうすれば・・・)
牧島 慎司(しんじ)「えっ!」
強盗「外れちまったか! うへへへっ!」
牧島 慎司(しんじ)「銃なんか持ってんのかよ!」
牧島 慎司(しんじ)(ヤバい・・・早く城を出て 警察に電話しないと・・・っ!)

〇城の廊下
牧島 慎司(しんじ)「っはあ、はあ、はあ」
牧島 慎司(しんじ)「や、やった出口・・・!」

〇洋館の玄関ホール
強盗3「下調べは我々の方が上だったようだな」
牧島 慎司(しんじ)「あ・・・あ」
強盗3「大丈夫。一瞬で終わる」
牧島 慎司(しんじ)「うわぁーーー!」
強盗3「・・・」
強盗3「何だ、貴様は」
セバス「私? 私はこの城の執事です あなたは?」
強盗3「見りゃわかるだろ、強盗だよ」
強盗3「悪いけどな、おっさん。 こっちには人質がいるんだ」
強盗3「俺が通信で一声かければ 家族の命はねぇぞ」
強盗3「大人しくするんだな」
セバス「仲間? ああ、それは」
セバス「あなたの後ろに転がってる お二人のことですか?」
強盗3「な・・・」
「きゅう~」
強盗3「お前たち・・・」

〇洋館の玄関ホール
セバス「この城に不届きを働く者よ たとえ警察が許そうとも・・・」
強盗3「なっ・・・消えた!?」
強盗3「いや、上かっ!」

〇黒
セバス「このセバスが許しはしない!」
牧島 慎司(しんじ)(いや、警察も許さないと思うけどな)

〇洋館の玄関ホール
セバス「チェストォ!」
強盗3「ぐ・・・ぐはっ」
セバス「ふっ、他愛もない」
牧島 慎司(しんじ)「あ、ありがとうセバス」
セバス「なに、城に忍び入った不審者を退治する 執事として当然のことをしたまで」
牧島 慎司(しんじ)「その恰好は?」
セバス「いえ、些細なことです」
セバス「映画のエキストラが足りないというので 助っ人をしておりました」
セバス「不審者の知らせがあったので 急ぎ戻った次第です」
牧島 慎司(しんじ)(だから些細じゃねぇんだよ)

〇西洋の城

〇西洋の城

〇貴族の応接間
牧島 慎司(しんじ)(セバスのおかげでなんとか 無事に済んだ)
牧島 慎司(だがあいつは謎が多すぎる)
牧島 慎司(しんじ)(いつか必ず、やつの秘密を暴いてやる)

〇西洋の城
牧島 慎司(しんじ)(そして残りの遺産も手に入れて)
牧島 慎司(しんじ)(弟たちに旨いものを たくさん食べさせてやるんだ)
牧島 慎司(しんじ)(それまでは仲良くしてやるぜ 執事さんよ)
牧島 慎司(しんじ)「行ってきます!」
  俺たちの家族は城に住んでいる
  そしてその城には一人の遺産管理人が
  一緒に住んでいる
セバス「行ってらっしゃいませ、お坊ちゃん」
  彼の名はセバス──
  謎だらけの執事だ

コメント

  • とてもおもしろかったです!
    「営業貧乏」とセバスの背景ボケ二連発に笑いました笑

  • まず城が近所まで来てるのが、いきなり笑えました😄
    生活水準はそのままに住居だけハイグレードに…家族たちのやり取りがどうなっていくのか楽しみです。
    あと、同級生の女子も良いキャラ🤣

  • 穂乃果の落ち着けからの、燃える背景と「好きだぁー、好きに決まってるでしょ」で見事に笑いました😆😆😆😆😆😆😆😆
    振りがしっかり効いていたり、背景で、ん?と思ったところでしっかりとツッコミを入れていて笑いのポイントがハッキリしていて面白いです。
    恋あり、謎ありで色々話しを広げられそうですね😊😊😉

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