ふわふわデイズ

くるりくる@急に名前を変えました

みえるものみせないもの(脚本)

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〇女の子の一人部屋
黒瀬真実「『学校疲れたぁ( ´Д`)』」
  いつものようにスマホを開き、慣れた手つきで文字を打つ。
  開いているアプリは『つぶやっきー』
  好きなことを好きなときにつぶやけるアプリで、黒瀬真実はこのアプリにハマっている。
  ちょっとした日常をつぶやくだけで、ハートを押してくれるし、コメントもくれる。
  そういう反応が嬉しくて、はじめた当初から毎日つぶやいている。
  はじめの方はまだフォロワーも少なく、反応も少なかったが、
  続けていくうちにどんどん見てくれる人も増え、今では328人ものフォロワーがいる。
  少なく思うかもしれないが、なにか活動をしているわけでもなく、ただ趣味でやっている真実にとって、
  このぐらいの数がちょうどいいと思っている。
  そのうえみんな優しい人で、毎回コメントやハートを送ってくれる人もいるため、
  真実はそれが嬉しくて、そして楽しくて、
  いまやアプリを開き、つぶやくことが日常の1つになっている。
  今日は進路の話が長くて疲れた。
  高校2年のとき、担任に、

〇教室
先生「「3年に上がると進路のこともあり忙しくなるから、」
先生「今のうちに楽しんだ方がいいよ」」

〇教室
  そんなことをあのときはぼんやりと聞いていたけど、

〇女の子の一人部屋
  今になっては、そんな言葉をよく思い出すようになった。
黒瀬真実「-もっと楽しんでおけばよかったなぁ」
黒瀬真実「-もっと友達と遊べばよかった」
  なんて考えて、ついため息を吐き出す。
  今考えたって遅いのに。
  今日も今日とて、参考書とノートを開き、
  ひとつずつ問題を解く。
  国語は学年で上位に入るほど得意ではあるが、
  数学がてんでダメな真実は、とにかく数学の問題を解き続ける。
  3年に上がってからずっとこんな毎日。
  正直気分も上がらないし、疲れる。
  そんなときはつぶやっきーを開き、つぶやく。
黒瀬真実「『お勉強疲れたぁ!もうやりたくないよ (><)』」
  そんなつぶやきをすると、すぐに通知がなる。
かいと「『俺もさっきまで勉強してて、今逃げてきたわ』」
  同じ高校3年の相互フォローである、
  かいとがコメントを送ってきた。
  彼、かいとはいつもハートを送ってくれて、
  たまにコメントもしてくれる。
  わからないこととかをすぐに教えてくれて、
  真実にとって大切なフォロワーだったりする。
黒瀬真実「『私も逃げてきた笑 ちょっとだけお話しよ?』」
かいと「『いいよ』」
  その通知を見て、真実はすぐにダイレクトメールの欄にいく。
  このアプリは1対1で話せる場所も用意されていて、
  たまにこうやってフォロワーと話す。
  特にかいととは、勉強でお互い疲れたときに、
  よく話していて、最近では1番仲の良いフォロワーだったりする。
黒瀬真実「『ほんと勉強疲れた......』」
  決まり文句のような文章を打ち、送信する。
かいと「『わかる。今なんの勉強してんの?』」
黒瀬真実「『ずっと変わらず数学だよ』」
黒瀬真実「『ちっともわかるようになんないや』」
かいと「『ずっとやってんね』」
かいと「『違うのやって気まぎらわせなよ』」
黒瀬真実「『そうなんだけどさぁ』」
黒瀬真実「『やっぱり数学だけわかんなくて......教えてくれたりしない?』」
  もしかしたら、もっと長く話が出来るかもしれない。長く一緒にいられるかもしれない。
  そう少し期待をして、文字を送る。
かいと「『あー、いいよ。俺、数学は得意だから』」
  真実はついにやにやしてしまった。
  もう少しだけ長く一緒にいられる。
  どんなきっかけだったとしても、一緒にいられるのであれば嬉しいのだ。
黒瀬真実「『ほんと!?すっごい嬉しい!じゃあ、通話してもいい?』」
かいと「『いいよ』」
  その返信を見てすぐに通話アプリを開き、通話を開始する。
  少し経つと、いつも通りの声が聴こえてくる。
黒瀬真実「-少し盛り上がりすぎてるかも」
黒瀬真実「-落ち着かないと」
  自分自身にそう言い聞かせながら、2人の通話を開始した。

〇女の子の一人部屋
  勉強も終わり、彼との通話も終わり、あとは寝るだけ。
  ベッドに横になり、スマホを操作する。
  『どこかの知らない誰かにとって、これは真実でしかない』
  『例えこの全てが、作りあげられたものであっても』
  『さて、どれが嘘でどれが真実でしょう』
  『なんて言ったって、わからないでしょう?』
  『真実も嘘も、全部不確かなもの』
  スマホのメモアプリを開き、文字を打つ。
  明日の業務はいつもと同じようにデスクワーク。

〇オフィスのフロア

〇女の子の一人部屋
黒瀬真実「-憂鬱すぎ」
  そう思いながら、いつもの通りつぶやっきーを開き、
  慣れた手つきでふわふわとおぼろげな言葉を吐き出した。
黒瀬真実「『明日も学校頑張ろっ!おやすみ〜(。-_-。)』」

〇黒
  あなたには、なにが見えていますか。

コメント

  • 以前はスマホもなく、人と会うのはすべてリアルでしたが、今はオンラインで交流するのが当たり前になった時代。便利でもありますが、偽ることも簡単にできるので、なにが真実かをその分見極めないといけない時代になったんだなぁと読みながら改めて感じました。

  • 昔はSNSなんか無かった。文通や電話でのコミュニケーションが主体でした。今は大変便利です。しかし、便利が故に犯罪にも繋がっでしまいます。それにしても、真実は嬉しそうだな。

  • ネットで見えるものは疑えって言葉もあるように、
    たしかに不確定なものが多いですよね。
    びっくりしましたけど、実際にありそうな事で妙に腑に落ちるというか…。
    真実さんがこれで気晴らし出来てる気持ちも少しわかります。
    ふわっとした曖昧なものって実は心地いいんですよね。
    そういった心境を上手く書かれててすごいなーっと思います!

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