第一石 『転売、完売、バイババイ』(脚本)
〇街の全景
11月末、響木(どよめき)市
〇イルミネーションのある通り
くぅ〜〜!!
もうイルミネーションの準備してる〜!!
一石 投児(いっせき とうじ)「クリスマス、楽しみすぎるだろ!!」
一石 投児、小学4年生
〇中規模マンション
〇明るいリビング
一石 投児(いっせき とうじ)「母ちゃんただいま!! 昼ごは〜ん!!」
一石 投児(いっせき とうじ)「ア〜ンド!! 今年のサンタは何をくれるんだい!?」
一石 投児(いっせき とうじ)「オレ、MAXBOXが良いなぁ〜! 新発売のゲーム機!!(※さり気ない提案)」
「ハンバーグ」
一石 投児(いっせき とうじ)「え?」
母ちゃん「今年のプレゼントは」
母ちゃん「ハンバーグです」
一石 投児(いっせき とうじ)「ははは!!冗談キツいぜ!!」
一石 投児(いっせき とうじ)「はは⋯」
〇空
ハンバァァァアグ!!!?
〇競馬場の座席
どよめき競馬場
〇競馬場の払い戻し機
〇銀杏並木道
父ちゃん(いやぁ〜、馬鹿みたいに勝ったな!!)
父ちゃん(『馬』だけに)
父ちゃん(三連単にへそくりツッパして 残高合計『66兆2000億円』!!)
(杉子にも投児にも!義父さん達にも! プレゼント色々買ってあげれるぜ!!)
〇明るいリビング
父ちゃん「ただいま!!」
父ちゃん「投児〜!今年はサンタさんに 何お願いするんだ?(※何気ないリサーチ)」
「ハンバーグ」
父ちゃん「え?」
一石 投児(いっせき とうじ)「今年のプレゼントは」
一石 投児(いっせき とうじ)「ハンバーグです」
父ちゃん「WHY(なにゆえ)?」
〇田舎の学校
翌日、どよめき小学校
〇教室
「はぁ⋯」
一石 投児(いっせき とうじ)「ムスビちゃん、元気なさそうだね?」
寅田 結(とらだ むすび)「トージも何かあったの?」
〇川沿いの原っぱ
はァ!?
寅田 結(とらだ むすび)「トージの所も クリスマスプレゼント無しィ!?」
一石 投児(いっせき とうじ)「無しじゃなくてハンバーグになった」
寅田 結(とらだ むすび)「何をどう考えたら 代案がハンバーグなのよ」
一石 投児(いっせき とうじ)「それが⋯」
〇明るいリビング
母ちゃん「『買い占め』よ」
母ちゃん「人気の高い商品を買い占めて 転売で利益をあげる『輩』」
母ちゃん「『転売ヤー』のせいなのよ」
〇大きいデパート
量販店では当然『抽選販売』
でも在庫少ないし
殺到する人が多すぎるし
もう『宝くじ』当てるようなもんよ
〇SNSの画面
ネットショッピングの方も
販売開始後『即完売』
奴ら、サイトにずっと張り付いてるのよね
卑怯極まりないわ
〇明るいリビング
父ちゃん「もう転売ヤーから買うしかなくね? (もぐもぐ)」
母ちゃん「あ゛?」
母ちゃん「何で頼んでもない『中継先』に 金払わなきゃいけないのよ?」
父ちゃん(あっ、地雷っ)
一石 投児(いっせき とうじ)「何うっかり 地雷踏んでるんだよ父ちゃん!!」
一石 投児(いっせき とうじ)「買い回っては徒労に終わる人達の気持ち、 ちょっとは考えなって!!」
母ちゃん「⋯煽ってるの?」
一石 投児(いっせき とうじ)「あっ」
父ちゃん(やばい)
「みんな、1回箸置け?」
「はい」
「もう私疲れたからさ 各自で頑張って用意しろ?」
「転売からは買うなよ?」
「はい」
〇住宅街の公園
一石 投児(いっせき とうじ)「ハンバーグ、確定です!!」
寅田 結(とらだ むすび)(ハンバーグになる理由が全く分からねェ)
寅田 結(とらだ むすび)「ウチの方も転売の被害に遭ったのよ」
『タプモンカード』
寅田 結(とらだ むすび)「ボックスはおろか パックまで手に入らない始末」
一石 投児(いっせき とうじ)「転売ってそんなに儲かるもんなのかな?」
寅田 結(とらだ むすび)「本当に異常よ⋯」
〇住宅街の公園
「本当っ、本ッ当に異常よ⋯」
「陰謀?組織ぐるみの陰謀なのかしら?」
一石 投児(いっせき とうじ)「出たッ!! ムスビちゃんお得意の 『きっと陰謀なのよ』!!」
「⋯煽ってるの?」
「お前も『陰謀』にしてやろうか?!」
一石 投児(いっせき とうじ)「ゴメン!!そんなつもりなかった!!」
〇住宅街の公園
寅田 結(とらだ むすび)「アッタマ来た!!こうなったら人海戦術よ!!」
一石 投児(いっせき とうじ)「何か策が?」
寅田 結(とらだ むすび)「クラスメイト全員で 抽選販売乗り込むのよ!!」
寅田 結(とらだ むすび)「トージ!! アンタも次の土曜、『ビッカメ』集合ね!!」
一石 投児(いっせき とうじ)「よし、わかった!!」
「じゃあ俺、MAXBOXに並ぶから!! みんなで頑張ってきて!」
「話聞いてた? クラス全員敵に回すことになるけど、いい?」
「ごめん!悪かった!」
〇大きいデパート
父ちゃん「どこにもMAXBOX売ってねェ⋯」
父ちゃん「お金はあるのに、どうすれば良いんだ?」
〇SNSの画面
もうだめぽ
物売るってレベルじゃねェンだわ
無ェンだわ
株主優待とか受けて
優先的に買えないのかな⋯
父ちゃん「⋯株主優待?」
〇高層ビル(看板あり)
土曜日
一石 投児(いっせき とうじ)「MAXBOXが欲しいかァ!!」
⋯
寅田 結(とらだ むすび)「違げえええ!! タプモンカードが欲しいかァ!!」
欲しいいいい!!
一石 投児(いっせき とうじ)「野郎共行くぜ着いてこいこっちだあああ!!」
寅田 結(とらだ むすび)「しれっとゲーム待機列に 誘導してんじゃねー!!騙されるなー!!」
〇東急百貨店
一石 投児(いっせき とうじ)(⋯ッ)
寅田 結(とらだ むすび)「500人くらいいるじゃない!! 年末の国際展示場か何かなの!?」
一石 投児(いっせき とうじ)「すいません!!」
寅田 結(とらだ むすび)「馬っ鹿!」
転売ヤー「あ?」
一石 投児(いっせき とうじ)「タプモンカード、やるの楽しみですね!!」
転売ヤー「⋯はぁ」
一石 投児(いっせき とうじ)「おじさんは何のタプモン好きなんですか!?」
一石 投児(いっせき とうじ)「俺は『聖水士☆鑢』かな!! 『パンイチ冒険者ケンイチ』も大好き!!」
転売ヤー「⋯知らんけど」
一石 投児(いっせき とうじ)「えええ!? おじさんタプモン知らないのに買う気!?」
一石 投児(いっせき とうじ)「あっ!! お孫さんに買ってあげるパターンか!!」
転売ヤー「⋯」
寅田 結(とらだ むすび)「すっ、すいません!!失礼しました!!」
〇大きい施設の階段
寅田 結(とらだ むすび)「馬っ鹿! 大人煽って何してんのよ!!」
一石 投児(いっせき とうじ)「だって⋯卑怯じゃん⋯」
一石 投児(いっせき とうじ)「カードって手に取って遊んだり 鑑賞したりするモンじゃん」
一石 投児(いっせき とうじ)「『換金材料』としか見てない大人に 良いようにされて、悔しくないの?」
寅田 結(とらだ むすび)「悔しいよ!!」
寅田 結(とらだ むすび)「歯がゆいけどさっ!!」
寅田 結(とらだ むすび)「こっちが正々堂々としてなきゃ、意味無い!!」
寅田 結(とらだ むすび)「だから抽選でキッチリ当てて、 並び損になった大人共を見下してやるのよ!!」
人海戦術使ってる時点で
だいぶ向こう寄りじゃないかな
と、投児は一瞬思ったが
怖かったので口にするのを止めた
寅田 結(とらだ むすび)「整理券貰いに行くよ!!」
〇東急百貨店
結果発表
一石 投児(いっせき とうじ)「収穫ゼロ」
寅田 結(とらだ むすび)「フ○ッキンッ!!」
寅田 結(とらだ むすび)「なんであんなに人がいるのよ!」
寅田 結(とらだ むすび)「せめて転売ヤー減らせれば有利なのにッ!」
一石 投児(いっせき とうじ)「⋯全面戦争だな」
一石 投児(いっせき とうじ)「『戦いのプロ』にアドバイスを貰おう」
寅田 結(とらだ むすび)「プロ?」
〇黒
おっ!投児かァ!
爺ちゃん「どうした!? オレと修行したいのか!」
戦い方を教えて欲しいんだ!!
爺ちゃん、そういうの詳しいから!!
実は⋯
〇黒
爺ちゃん「なるほどな」
爺ちゃん「いいか?投児?」
爺ちゃん「”ありえない位人が集まる”って事は それなりの理由があるってもんだ」
爺ちゃん「”有象無象の群衆か、否か” 先ずはそれを見極めろ」
?
爺ちゃん「ワハハ!ピンと来ねェか!」
爺ちゃん「分かりやすく言うとだな? 『操る親玉』がいる筈だ」
⋯えっ!?
”転売ヤーみんな雇われてる”って事!?
やっぱり陰謀!陰謀なのよォ!(大歓喜)
爺ちゃん「可能性の話さ 全員がそうって訳じゃあねェだろう」
爺ちゃん「だが」
爺ちゃん「『倒す相手が遠すぎて届かない』 『たくさんの敵を相手取らなきゃいけない』」
爺ちゃん「そういう場合の対処法はな?」
敵の動きを鈍らせて、
自由にさせないようにするのが一番効くのさ
一石 投児(いっせき とうじ)「⋯! ありがとう爺ちゃん!!」
投児も頑張れよ!!
一石 投児(いっせき とうじ)「ところで、爺ちゃんは今何してるの?」
オレか?『バイト』だよ
〇デパ地下
爺ちゃん「せどり、って奴だな!」
爺ちゃん「デパートの『限定コスメ』を 数万上乗せで買い取ってくれるらしい!」
婆ちゃん「買い物がてら出来るから 中々コスパ良いのよね〜」
爺ちゃん「な〜」
〇空
うっ
〇空
うおおおおおおおおおおおおおおお!!
〇ホール
ナノピコソフト 株主総会
〇大ホールの廊下
父ちゃん「お疲れ様です!ちょっとお話が!」
社長「ややっ! 一石 投資(とうし)様!!」
社長(我が社の株を大量買いし過ぎて 相場操縦的行為に抵触しかけた大株主!)
父ちゃん「株主優待でMAXBOX用意して欲しいんだ」
父ちゃん「全然定価で買うから、何とかならないかな?」
社長「申し訳ございませんが、出来ないのです」
父ちゃん「え!?」
社長「国内生産する為の半導体が 工場に回ってこないのです」
父ちゃん「半導体が国にまわって来ない!?」
社長「半導体は本社のある海外に行けば ここよりも手に入る可能性は高くなるかと」
〇オフィスの廊下
数日後、総理官邸
〇豪華な社長室
いや〜だからぁ
総理大臣「『転売を取り締まれ』って 物理的に無理すぎる案件なの!!」
総理大臣「『どこまでが転売か』で確定で揉めるし!」
一石 投児(いっせき とうじ)「そんなあ」
寅田 結(とらだ むすび)「トージは極端すぎるのよ!」
寅田 結(とらだ むすび)「やっぱりいい落とし所は 『買い占め行為』の規制だと思うわ」
寅田 結(とらだ むすび)「1人3パックまで、とか! 法律作ろ!?」
総理大臣「国からソレ定めたら経済が回らないでしょ! それはそれで問題なの!」
総理大臣「『売り方』は 各販売店で対応してもらうしか無いの!」
一石 投児(いっせき とうじ)「結局無駄足かぁ」
寅田 結(とらだ むすび)「忙しいところありがとうございました」
寅田 結(とらだ むすび)「爆買い外国人さんに徴税スルーかました件 再発防止策に期待してます」
総理大臣(今の小学生、めっちゃ怖いなマジで)
〇川沿いの原っぱ
一石 投児(いっせき とうじ)「あーあ」
一石 投児(いっせき とうじ)「小学生の力じゃ世の中変えられないなぁ」
寅田 結(とらだ むすび)「そっちはハンバーグ貰えるだけいいじゃない」
一石 投児(いっせき とうじ)「⋯ウチ来る?」
寅田 結(とらだ むすび)「そこまで困ってないわ!」
一石 投児(いっせき とうじ)「父ちゃんからだ」
おう!投児か!
〇入場ゲート
最近、MAXBOXを買えるように
色々してたんだけどさ?
〇研究開発室
ゲーム作る部品あるじゃん?
半導体って言うんだけど
アレをたくさん日本の工場に
買って配ってた訳よ!!
そしたらさ?
〇刑務所の牢屋
父ちゃん「独占禁止法違反で」
父ちゃん「牢屋に入れられたわ!!」
〇イルミネーションのある通り
12月24日
俺は転売を憎む
俺は買い占めを憎む
〇明るいリビング
みんなが笑える世界になるように
家族で美味しくハンバーグを食べれるように
みんなに、一石を投じたい
母ちゃん「やっぱ転売って」
一石 投児(いっせき とうじ)「○○だわ!!」
爆発オチなんてサイテー!(様式美)
じいちゃん、強キャラ師匠ポジかと思いきや……やってること割と似てて吹きました笑。
途中でシークバー確認しつつ「あれ?もしや解決しないの?」と思いましたが、著者コメントで納得。豊富なネタの裏にある『伝えたいこと』の波紋疾走を感じました。
面白かったです!
面白い!次に、面白いです。😄ゲームやらガンプラとか、様々な子供の遊び道具が転売されるのは、どうにかならないものかと思ってました。この作品が世の中に一石を投じると期待してます!😊
すげェ勢いでたまらねッス!😂際どいけどコメディに収まってる力加減が絶妙!
各キャラ、お話を作る上での『壁』を壊す力を何かしら持ってるのが上手いですね。陰謀論の結ちゃんと『むしろアッチ側』だった爺ちゃんがお気に入りです🤣
一石投じるだけ投じて何も解決してない…というのも新しくていいかも😂お話作りのハードルは確実に下がりますね👍
物買うってレベルじゃねぇ、聖水士、パンイチ、フィッキンに乾杯🍻