パーティーメンバーは元家族!?(脚本)
〇草原
アベル「でやぁっ!」
ヨランダ「はっ!」
「アベル!!」
アベル「わぁああっ!?」
アベル「あっ・・・!」
〇西洋の街並み
〇怪しげな酒場
「田垣大地(たがきだいち)!?」
アベル「うん、 それがオレの前世での名前らしい」
アベル「モンスターの攻撃を受けた時 思い出したんだ」
アベル「小学生、だった」
「・・・・・・・・・・・・」
エレノア「アベル、それは本当?」
エレノア「実は、私の前世の名は 田垣豊(たがきゆたか)だ」
アベル「父さん!?」
グレゴリー「マジかよ!? あたし、田垣めぐみなんだけど!」
アベル「母さんじゃん!!」
アベル「待って!? エレノアが父さんでグレゴリーが母さん?」
「うん」
アベル「なんでそんな姿に」
グレゴリー「ゲームでゴツムキ男アバター 使ってたからかな?」
エレノア「私は巨乳の黒髪ロングの清楚キャラが 性癖だからかもしれん」
アベル「ぶっちゃけたね、父さん」
グレゴリー「大地は?」
アベル「オレは好きなゲームの主人公に似てる」
エレノア「私たちはそれぞれ 思い入れのあるタイプの姿で ここにいるわけか」
グレゴリー「てことは・・・」
エレノア「もしかして穣(みのる)?」
アベル「穣兄ちゃん女の子になっちゃった?」
ヨランダ「・・・・・・」
ヨランダ「何を言うておる」
ヨランダ「妾(わらわ)は妾。 齢300を超える魔女のヨランダよ」
ヨランダ「なるほど、ぬしらは前世で 夫婦や親子だったようじゃな」
ヨランダ「それがそろって 異世界でも仲間になるとは」
ヨランダ「稀有なことじゃ」
ヨランダ「よほど縁の深い家族なのであろうな」
ヨランダ「じゃが残念ながら妾は赤の他人。 そこまで偶然が重なるはずなかろ?」
グレゴリー「それもそうだな」
エレノア「なら、穣は今どこで何を・・・」
ヨランダ「そう気を落とすでない」
ヨランダ「この旅の中で会えるやもしれん。 そなたらの絆に導かれて、の」
アベル「穣兄ちゃん・・・」
エレノア「ヨランダ、どこへ?」
ヨランダ「ただの散歩よ」
ヨランダ「ぬしらは今宵くらい 家族水入らずで楽しむがよいわ」
アベル「ヨランダ・・・」
グレゴリー「だよな、 ヨランダが穣のわけない」
〇明るいリビング
田垣めぐみ(たがきめぐみ)「穣! みんなで協力プレイやろうぜ!」
田垣 穣(たがきみのる)「勉強で忙しい。 次のテストでは順位上げたいんだ」
田垣 穣(たがきみのる)「気が散るから部屋に来ないで。 夜食もいらない、脳の働きが悪くなる」
〇怪しげな酒場
グレゴリー「穣はあたしらと違ってゲームより勉強の 真面目な子だ」
エレノア「穣は私たちの子にしては出来が良すぎた。 少なくとも」
〇ポップ
〇怪しげな酒場
エレノア「あんな姿で のじゃロリ魔女っ娘ごっこする子じゃ」
グレゴリー「ねぇよな」
※のじゃロリ
語尾に「~のじゃ」をつける
見た目幼女キャラのことである
エレノア「私たちが揃って消えた後、穣は 一人元の世界に取り残されて・・・」
グレゴリー「だ、大丈夫だ。 あのしっかり者の穣だぞ!」
グレゴリー「一人でもきっとやっていけてる!」
アベル「そうだよ!」
〇怪しげな酒場
アベル「この世界での役目を果たせば、 兄ちゃんのいる家へ戻れるかも!」
グレゴリー「そうだな!」
〇西洋の街並み
ヨランダ「・・・・・・」
ヨランダ「ふふ」
ヨランダ「しっかり者の穣君ここにいまぁす!」
ヨランダ「ウソだろ、何なんだよ! パーティーの仲間が前世の家族って!」
ヨランダ「あと、僕の言ったこと信じすぎ!」
ヨランダ「家族でべたべた協力プレイするの ウザくて部屋にこもってたけど、 勉強そんなにしてねえよ!」
ヨランダ「ゲームも部屋でしてたよ、 そこそこエロいの!」
ヨランダ「イラスト投稿サイトで、 のじゃロリ絵巡回も日課だったよ!」
ヨランダ「・・・なのに」
〇明るいリビング
田垣めぐみ(たがきめぐみ)「今から部屋で勉強か? 頑張れ!」
田垣豊(たがきゆたか)「わからないところがあれば 聞きに来なさい」
田垣大地(たがきだいち)「兄ちゃんすっげー!」
〇西洋の街並み
ヨランダ「馬鹿みたいに鵜呑みにしてさ」
ヨランダ「ともかく、 これが僕だとバレるわけにはいかない」
ヨランダ「見た目に性癖が投影されると 分かった以上!」
ヨランダ「今まで完全に のじゃロリ魔女っ娘として ふるまってきたからな」
ヨランダ「なんだよ、この ネカマではしゃいでいたら 親にアカばれしかけた、みたいなの!」
ヨランダ「穣だとバレる前に パーティー抜けることも考えなきゃな」
〇空
〇草原の道
ヨランダ(しかし性別逆転しても違和感ないな、 ウチの両親)
ヨランダ(まぁ、元々母さんは豪快な人だし)
ヨランダ(父さんは物静かな人だから)
ヨランダ(夫婦と分かって以来、 公然といちゃつきだした)
ヨランダ(てか、お前らそれでいいのか!?)
アベル「ヨランダ」
ヨランダ「なんじゃ、アベル」
アベル「あのさ、オレら3人は元家族だけど ヨランダも大切な仲間だからね!」
アベル「一人ぼっちなんて思わないでね!」
ヨランダ「・・・・・・」
ヨランダ(やっぱこのベタついた家族関係は 苦手だ)
グレゴリー「おーい、2人とも」
グレゴリー「最近、この辺りで冒険者が 盗難被害に遭ってるらしい」
エレノア「荷物の管理はしっかりね」
「はーい」
〇空
〇草原の道
エレノア「そろそろ今夜の宿を決めなくては」
グレゴリー「ん? なんだ、あの黒いの」
アベル「人だ! 人が倒れている!」
アベル「しっかり! 君!」
???「う~ん・・・」
アベル「え? この顔・・・」
エレノア「穣!?」
ヨランダ「は!?」
グレゴリー「まずは手当! そのあと宿に運ぶぞ!」
エレノア「わかった!」
ヨランダ「・・・・・・」
〇西洋の街並み
〇怪しげな酒場
穣に似た少年「すみません、助けていただいた上 食事まで」
エレノア「遠慮はナシ」
グレゴリー「にしても、記憶喪失か」
穣に似た少年「すみません」
エレノア「謝らないで。 さ、食べなさい」
グレゴリー「・・・『穣』って名前に覚えは?」
穣に似た少年「すみません」
ヨランダ(穣はここです)
アベル「もー、母さん! こういうのは急かしちゃだめなんだよ!」
穣に似た少年「母さん? この人の親にしては若すぎませんか?」
グレゴリー「わはは! お前の親でもあるぞ!」
穣に似た少年「なんにせよ感謝します」
穣に似た少年「見ず知らずの僕に 食事と一夜の宿を与えてくださるなんて」
エレノア「水臭いな、穣。家族でしょう?」
グレゴリー「一夜と言わず、 明日からも一緒に行こうぜ、穣!」
ヨランダ(違ぁーう!)
アベル「ヨランダ あの人本当に穣兄ちゃんかな?」
ヨランダ(大地!)
アベル「だってオレら、 好きな人の姿でここにいるよね?」
アベル「あれが穣兄ちゃんなら よっぽど自分の顔が好きってことだね」
ヨランダ(ナルシスト疑惑!!)
〇空
〇教室
担任「穣君、 急に友だちに殴りかかったんです」
担任「いつも大人しい子だから、 私もみんなも驚いてしまいまして」
担任「直前まで みんなで楽くおしゃべりしてたのですが」
担任「ぜひ、ご家庭でも話し合いを」
田垣めぐみ(たがきめぐみ)「穣」
田垣めぐみ(たがきめぐみ)「先生の言ってることは本当か?」
田垣 穣(たがきみのる)「・・・・・・」
田垣めぐみ(たがきめぐみ)「なるほど」
田垣めぐみ(たがきめぐみ)「穣は意味もなく暴れる子じゃないですよ」
田垣めぐみ(たがきめぐみ)「「大人しい」穣がキレるまで イジった子がいるんじゃないスかね?」
田垣めぐみ(たがきめぐみ)「「楽しいおしゃべり」 ちょっと確認してもらえます?」
担任「あ、はい・・・」
〇明るいリビング
田垣豊(たがきゆたか)「おかえり、穣」
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物凄い傑作ですね!! というより、あっさり(?)これを書ける実力が凄いのでしょう。
偽者の譲が出るのが凄く面白い! これが家族の信頼度テストになっていて、テーマの核心を構造で作れる的確さ。
セリフも短くて、それは短く作れる力があるからですね・・・成程。
もちろんラストの処理を含めて完璧な気がします。恐れ入りました😮
ギフト投げました!
それにしても凄いですね!
ここまで人気になるなんて!
私もみんなのお気に入りになる作品作ってみせますよ!
冒頭の全員が同じ苗字だったところでまず噴きました。あっという間に読み終わってしまいました。面白かったです^^