娘の帰省と久々の開催(脚本)
〇おしゃれなリビングダイニング
父さん「じゃ、ごちそうさまでしたー」
「ごちそうさまでしたー」
父さん「コトハも帰省して、全員揃ったことだし・・・ 久しぶりにやるか。例のフラグフレーズ」
マコト「やるやるー!」
母さん「いいわねー。 私もちょうどこの前、TVでいいフレーズを見つけたの」
コトハ「久しぶりだし、照れちゃうなぁ」
コトハ「学生時代も会社でも、友達に話すとすっごい珍しがられたんだよ。 そんなゲームする家族、珍しいねって」
マコト「僕は友達とやったことあるよ。学校で。 みんな面白いって言ったよ」
コトハ「そりゃ、子供のうちはね。 私の周りはそんな人、滅多にいないもん」
マコト「あ、なんかバカにしてる!」
父さん「まあまあ、人の反応はいろいろだ。 うちはこうして家族で遊べるんだからいいじゃないか」
母さん「そうよ。それがお父さんの仕事にも役立って、あんたたちの食費や学費にもなったのよー」
コトハ「それは、お世話になりましたけど・・・」
父さん「とにかく、積もる話もゲームの中で、だ! さあ、この紙に、最近気になったフレーズを書いて提出だぞ」
「はーい」
〇電脳空間
父さん「よーし、4枚揃ったな。 これをシャッフルして、父さんのPCに入力して──では、今回のフレーズ一覧を発表します!」
(ア)
君しか知らない 秘密の呪文
(イ)
植物は動けないが、世界じゅうを旅する
(ウ)
結婚って、めんどくさいんだね~
(エ)
「行きます」+「帰ってきます」=「いってきます」
父さん「じゃあまずは第1ステージ。第一印象で投票だ。 ぱっと読んで気に入ったフレーズに手を挙げて!」
父さん「第一印象の投票結果は・・・」
(ア)・・・2票
(イ)・・・1票
(ウ)・・・0票
(エ)・・・1票
父さん「そんなわけで、第1ステージのステージフレーズは、(ア)の「君しか知らない 秘密の呪文」に決定!」
父さん「まだ誰かは内緒だけど、(ア)を書いてくれた人に拍手~」
コトハ「これ、マコトでしょー」
マコト「さあね。 まだ内緒ってルールだよ!」
父さん「さーて、誰の出したフレーズなんだろな。 第2ステージでは、それぞれの紹介役からフレーズ紹介をしてもらいます!」
父さん「そしていつものように、フレーズ紹介の後で近況報告、最近どんなことがあったか聞かせてくれよ。 で、(ア)の紹介役は・・・」
父さん「実は、父さんでしたー」
父さん「今度、アニメのテーマ曲の作詞コンペに出品することになってね。そのキーワードなんだ」
マコト「すげー、連続アニメの主題歌?」
父さん「いや、コンペだからね。いろんな人が作詞した中から、プロデューサーやミュージシャンが選ぶんだ。主題歌になるとはかぎらない」
父さん「エンディングテーマになるかもしれないし、挿入歌かもしれない。没ってことだってある。 そのあたりは厳しい世界なんだ」
マコト「原作漫画とかあんの?」
父さん「おっと、そのあたりからは業務秘密だな。たとえ家族でも、詳しいことは話せないんだ。 てことで、次の(イ)のフレーズ!」
父さん「「植物は動けないが、世界じゅうを旅する」ってフレーズを出したのは、誰だい?」
〇木の上
マコト「はーい、僕でーす!」
マコト「僕の出したのは、(ア)じゃなくて、(イ)の「植物は動けないが、世界じゅうを旅する」ってフレーズでしたー!」
母さん「母さんも(ア)がマコトかと思ってた! なんだか難しそうなのを選んだのねー」
マコト「理科で習ったんだ。 僕らが見かける、タンポポとかヒマワリとか、もともとは外国の植物だったんだって!」
マコト「草や木は、根っこを生やした場所から動けないでしょ? でもタンポポの綿毛みたいに、種を風に乗せて飛ばせば遠くまで行ける」
マコト「トゲトゲの実を他の動物にくっつけたり、美味しい実を鳥に食べてもらったりすれば、信じられないくらい遠くにいける」
マコト「僕らが外国の果物を食べたり、きれいな花を取り寄せたりするのも、植物から見れば海外旅行みたいなもんだ、っていうんだ」
マコト「大きな木なら人間よりずっと長く生きるし、種や芽で増えてくのも一つの命って考えれば、世界じゅう旅してるみたいなもんだって」
マコト「そう考えると、すごいよね!」
父さん「たしかにすごいなー。 何かの歌詞に使えそうな話だ!」
マコト「もし使ったら、僕にも分けてね。 作詞家の印税!」
マコト「そのお金で、世界旅行に行くよ!」
父さん「・・・とりあえず、(ウ)のフレーズに進もうか」
〇結婚式場のレストラン
コトハ「(ウ)の、「結婚って、めんどくさいんだね~」ってフレーズは、私が出しましたー」
コトハ「こないだ会った友達が言ってたの。 その子は先月、学生時代から付き合ってた恋人と結婚したんだけど──」
コトハ「両方の親への挨拶とか、式の準備とか、戸籍の手続きとか、すごく面倒で苦労したんだって。 就活の方がずっと楽、って言ってた!」
母さん「そりゃそうよ。結婚って、親元を離れて二人で新しい家を作るってことなんだもの」
父さん「親の方だって大変らしいぞ。結納なんて親側の儀式だし──結婚式だって、本人達より両家の親の方が役割が多いくらいじゃないか?」
マコト「お姉ちゃんが結婚したら、やっぱり父さんも泣いちゃうの?」
父さん「・・・何言ってんだ。泣いたりしないさ」
マコト「でも、そういのってドラマとかでよくあるじゃん。花嫁から両親への手紙、とかいって、お嫁さんのお父さんが泣いちゃって──」
父さん「そんなのはドラマの話だろ。実際に起こる前から心配することないんだよ。 ・・・さあ、次に進むぞ。次は(エ)のフレーズか?」
〇一戸建ての庭先
母さん「はいはい、(エ)の「『行きます』+『帰ってきます』=『いってきます』」ってフレーズは、私が出しましたー」
母さん「この前、TVで学者さんが言ってたのよね。 「いってきます」って挨拶、他の国には滅多にないから翻訳しにくいんですって」
母さん「ほら、お出かけするなら「行きます」って言うだけでも済むわけでしょ? でも日本人は、「いってきます」って言うのよね」
母さん「「いってきます」って言葉の中には、「行きます」だけじゃなくて、「帰ってきます」って意味も入ってるのよ」
母さん「マコトは毎日、「いってきます」って言って学校に行ってるわよね?」
母さん「コトハも上京する時、「いってきます」って言ってくれた」
母さん「そして「いってきます」って言葉通り、ちゃんと帰ってきてくれた。 ほんと、「いってきます」には「帰ってきます」が入ってたわ」
母さん「私はそういうのが嬉しいから、この(エ)のフレーズを選んでみたの」
〇おしゃれなリビングダイニング
父さん「さあ、みんなのフレーズ紹介が終わったところで、第2投票! 結果は・・・」
(ア)・・・0票
(イ)・・・1票
(ウ)・・・0票
(エ)・・・3票
父さん「第2ステージのステージフレーズは、(エ)のフレーズに決定! 母さん、大逆転だなー」
(エ)
「行きます」+「帰ってきます」=「いってきます」
父さん「お次は第3ステージ。 フラグ質問ってことで、このお題に合うと思うフレーズに投票してくれ」
明日、誰かに言ってみたいフレーズは?
父さん「これは挙手じゃなくてトーク投票といこうか。投票先と、その理由を話してくれ。 まずはマコトからいこうか」
マコト「僕は、(ア)に1票! 「君しか知らない 秘密の呪文」って、ドラクエやハリポタの好きな友達に言ってみたい!」
マコト「きっとみんな、何かすごい効き目のある自分だけの呪文を考えてくれそうだし」
父さん「じゃ、母さんは?」
母さん「私は・・・(エ)かな。 コトハも帰ってきたことだし、家事は子供たちに任せて「いってきます」ってお出かけしたいわー」
父さん「コトハはどうだい?」
コトハ「私は・・・実は、(ウ)のフレーズを、みんなに話すつもりだったの」
マコト「(ウ)って、お姉ちゃんの出したフレーズじゃん。 もう話してるじゃないか」
コトハ「そうじゃなくて・・・これは友達の言った言葉だけど、それを、自分の言葉で・・・」
母さん「あら、もしかして・・・」
コトハ「実はね、うちの家族でこういうゲームをしてるって話したら、一緒に遊びたいって人がいるの」
父さん「それは・・・うちに遊びに来たい、ってことかい?」
コトハ「ていうか・・・家族で遊んでる中に、自分も、ってこと、かな」
コトハ「うまく言えないけど・・・ ありがと。わかってくれて」
最初は誰のフレーズかを伏せて投票するところがミソですね。思いがけない人物のフレーズだったりすると盛り上がりそう。会社のブレインストーミング会議にも通じるものがあると思いました。最後はコトハのおめでたい報告で素敵なゲームオーバーでしたね。
家族で行うとステキな感じですね。言葉やエピソードを具に見つめる習慣と、それを家族間で伝えあって思いを共有できますよね。何よりも、このゲームを揃って行える家族関係が素晴らしいと思ってしまいました。
なんだかすごく面白そうなゲームですね!
そして家族での良いコミュニケーションになりそう!
一度聞いたらしばらく癖になるフレーズって、割とありますよね!