ツンツン夫婦のデレ事情

咲良綾

ツンツン夫婦のデレ事情(脚本)

ツンツン夫婦のデレ事情

咲良綾

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〇綺麗なダイニング
  うちの両親は、
  
  ツンツンしてる。
高城明海(あけみ)「干していたハンカチがないんですけど」
高城常貴(つねき)「アイロンがけの当て布にさせてもらった」
高城明海(あけみ)「え?それはご自分のハンカチでなさったら?」
高城常貴(つねき)「君のハンカチのシワものびるから合理的だろう」
高城明海(あけみ)「私がハンカチにアイロンをかけないのがご不満なの?」
高城常貴(つねき)「君はアイロンを当てたハンカチが嫌いなのか?」
  万事がこの調子で、
  笑い合ったところを見たことがない。
高城凪沙(なぎさ)「はいはい、ママのハンカチ見つかったんだからもういいじゃない!」
高城明海(あけみ)「凪沙・・・」
高城凪沙(なぎさ)「トースト焼くよ。パパも食べるでしょ?」
高城常貴(つねき)「ああ、ありがとう」
高城明海(あけみ)「コーヒーを淹れるわ」
  二人とも私には優しいし、大喧嘩するわけでもない。うちはこんなもんだと思っていた。
  昨日までは。

〇綺麗なダイニング
  昨日の夕方
高城凪沙(なぎさ)「ただいまー」
???「・・・、・・・!」
高城凪沙(なぎさ)「・・・ん?」

〇一階の廊下
高城凪沙(なぎさ)「ママ・・・?」
高砂明海「はあぁ、顔がいい・・・! 無理無理もう無理、鼻血出ちゃう!」
  クールなママらしからぬ声が聞こえる。
  一体何をやってるんだろう?

〇家の階段
  やけに爽やかな音楽が聞こえる。
高砂明海「キャー、つねきゅんサマ~!」
  つねきゅん・・・?
  聞いたことないけど、誰?

〇綺麗な一人部屋
高城凪沙(なぎさ)「!?!?!?!?」
  部屋のテレビ画面に大映しになっていたのは
  パパ = 高城常貴
     = つねき
     = つねきゅんサマ
高城凪沙(なぎさ)「えええええぇえええ!?!?!?」
高城明海(あけみ)「凪沙!? 今日は塾のはずじゃ・・・」
高城凪沙(なぎさ)「先生が熱出して、急遽中止になった。 それより・・・」
  隠し撮りらしき映像に
  BGMや効果がついている。
高城凪沙(なぎさ)「な ん ぞ こ れ ???」
高城明海(あけみ)「あ・・・あ・・・あ・・・」
高城明海(あけみ)「お願い、パパには黙っててー!!」
高城凪沙(なぎさ)「言えるかこんなもんー!!!」

〇綺麗な一人部屋
高城凪沙(なぎさ)「どういうこと? なんで隠れてこんなことしてるの?」
高城明海(あけみ)「だってパパ、顔が良すぎるでしょう!?」
高城凪沙(なぎさ)「はい?」
高城明海(あけみ)「平常心で直視できないの!でも現実で悶えたり叫んだりしたらドン引きでしょう?」

〇綺麗なダイニング
高城明海(あけみ)「ああん、つねきゅんサマ❤️LOVE!」
高城常貴(つねき)「ど、どうしたんだ、明海?」

〇綺麗な一人部屋
  確かにキツイ・・・!
高城明海(あけみ)「だから日常で溜め込んだ情熱を、 こうやって発散してるのよ!」
  パパを睨むような顔をしてたのは、
  萌え散らかす衝動と戦ってたってこと?
高城凪沙(なぎさ)「あの・・・ママ、結婚何年目?」
高城明海(あけみ)「え?17年かな」
高城凪沙(なぎさ)「その17年で慣れなかったの?」
高城明海(あけみ)「慣 れ な い わ よ !!」
高城明海(あけみ)「ほら見て、結婚当初のパパ!」
  待ってちょっと待って、若かりしパパの姿はともかく、アクスタ!? 作ったの!?
高城明海(あけみ)「この時も爽やかクールで素敵❤️だけど、」
高城明海(あけみ)「今を!見てよ!この!渋カッコ良さ!!」
  こっちもアクスター!!
高城明海(あけみ)「毎日更新していくのよ? 無理無理、慣れるとか無理!!」
  重 症 す ぎ る ・・・ !
高城凪沙(なぎさ)「そんな状態でよく私が生まれたね」
高城明海(あけみ)「それは、そういうときは、暗くて見えないし、取り乱しても変じゃないから、」
高城凪沙(なぎさ)「あ。この件の説明はもういいです」
高城明海(あけみ)「私は社長の娘で、 常貴さんには断れない縁談だった・・・」
高城明海(あけみ)「あんな神がかってカッコいい人を、私ごときが独占するなんて、ずるいってわかってる」
高城明海(あけみ)「でも、好きなの! つねきゅんサマは私の神なの!」
高城凪沙(なぎさ)「はぁ・・・」
  正直、パパはわたしから見たら多少小綺麗なおじさんだ。ママの気持ちはさっぱりわからん。
高城明海(あけみ)「ほらー!凪沙もドン引きでしょ!?」
高城明海(あけみ)「常貴さんに引かれたら、もう生きていけない!絶対!絶対内緒よ!」
高城凪沙(なぎさ)「わかった・・・」

〇綺麗なダイニング
  あれは夢・・・じゃないよね。
  良く見ると、たまに表情がおかしい。
  現実だあぁ

〇住宅街の道
高城凪沙(なぎさ)「はああぁあ~」
東風実斗(さねと)「でかいため息だな」
高城凪沙(なぎさ)「実斗・・・」
高城凪沙(なぎさ)「あんたは機嫌が良さそうね」
東風実斗(さねと)「うん!今日の朝飯さー、 フレンチトーストだったんだよ!」
高城凪沙(なぎさ)「悩みがなさそうでいいわね・・・」
東風実斗(さねと)「凪沙は悩んでるのか?」
高城凪沙(なぎさ)「そりゃ、色々とね」
東風実斗(さねと)「恋の悩み?」
高城凪沙(なぎさ)「は?脳ミソわいてんじゃないの?」
  でも、恋の悩みといえばそうかもしれない。
  母が父に恋してて悩ましいとか・・・
  わけわからんな。
高城凪沙(なぎさ)「例えばの話だけど」
高城凪沙(なぎさ)「実斗に冷たい女の子がいてさ、裏では隠し撮りとかしてデレデレだったらどう思う?」
東風実斗(さねと)「えっ、何それ。凪沙のこと?」
高城凪沙(なぎさ)「はぁあ!?なんで私!?」
東風実斗(さねと)「基本俺に冷たいじゃん。 幼なじみなのに」
高城凪沙(なぎさ)「普通!普通よ、普通! アホな顔でアホなこと言い出さないでよ!」
東風実斗(さねと)「ほら、冷たい。 うーん、凪沙が実はデレデレだったら・・・」
高城凪沙(なぎさ)「私の話じゃない! 私のことは思考から消せ、バカ!」
東風実斗(さねと)「普通に嬉しいと思うけど・・・」
高城凪沙(なぎさ)「・・・っ!? だから、私のことは」
東風実斗(さねと)「あ、うん、 だから凪沙と別に考えて、一般論でね?」
高城凪沙(なぎさ)「!!」
東風実斗(さねと)「でも隠し撮りは困るかなぁ。 やっぱり、嬉しいのは好きな子限定かな」
高城凪沙(なぎさ)「もういい、参考にならない!」
東風実斗(さねと)「おい、待てよ凪沙」
東風実斗(さねと)「誰のこと言ってんのかは、 おおよそ察しがついてるよ」
高城凪沙(なぎさ)「え?」
東風実斗(さねと)「・・・隠し撮り編集動画」
高城凪沙(なぎさ)「え、実斗、知ってるの?」
東風実斗(さねと)「やっぱり、そうか・・・」
高城凪沙(なぎさ)「いつ?どうして?」
東風実斗(さねと)「一週間くらい前かな。 俺寝てたんだけど、夜中に目が覚めて」
東風実斗(さねと)「窓ごしに凪沙の家の明かりが見えて、 夜更かししてんなぁと思ってたら」
東風実斗(さねと)「プロジェクターが倒れたみたいで、 俺の部屋側のカーテンに、動画が大映しに」
高城凪沙(なぎさ)「あああああ」
  あ れ が 大 映 し ・・・ !
高城凪沙(なぎさ)「お見苦しいものを・・・!」
東風実斗(さねと)「やっぱりあれ、公認ではないんだね?」
高城凪沙(なぎさ)「うん・・・」
東風実斗(さねと)「や、でも、浮気じゃなくて夫婦なんだし、いいんじゃない?」
高城凪沙(なぎさ)「良くないよ!私の精神がピンチだよ!」
高城凪沙(なぎさ)「親が裏であんなことしてると知ってて、表のすました顔に耐えなきゃいけないんだよ!」
東風実斗(さねと)「やっぱ、バラしたらダメな感じ?」
高城凪沙(なぎさ)「イメージ崩してドン引かれるのが怖いみたい」
東風実斗(さねと)「ああ、まあ、確かにな・・・」
高城凪沙(なぎさ)「でも秘密を共有できる人がいて良かったよ。 これでちょっとはガス抜きできる」
東風実斗(さねと)「そっか。俺もほっとしたよ。 あれ見て一人で黙ってるのって正直しんどくて」
高城凪沙(なぎさ)「わかる。 『つねきゅんサマ』はないよねー」
東風実斗(さねと)「え?『あきゅみたん』じゃ・・・」
高城凪沙(なぎさ)「・・・・・・」
東風実斗(さねと)「・・・・・・」
「えええええぇえええ!?!?!?」

〇高級一戸建て
  そういえば、
  実斗の部屋の向かい側って・・・

〇書斎
  パ パ の 部 屋 じ ゃ ん !!!
  パパ、お前もかーーー!!!

〇高級一戸建て
高城凪沙(なぎさ)「現場より、高城凪沙です」
高城凪沙(なぎさ)「話題のお二人にインタビューしてみましょう」

〇綺麗な一人部屋
高城明海(あけみ)「パパの好きなところ?」
高城明海(あけみ)「クールで渋くてスマートなところ!」

〇書斎
高城常貴(つねき)「ママの好きなところ?」
高城常貴(つねき)「凛々しく美しく気高いところかな」

〇綺麗な一人部屋
高城明海(あけみ)「パパがクールじゃなくて、デレデレしてたら? それは・・・」

〇書斎
高城常貴(つねき)「ママが凛々しくなくて、デレデレしてたら? それは・・・」

〇壁
「解釈違いですね」

〇高級一戸建て
高城凪沙(なぎさ)「現場からは以上です」

〇学生の一人部屋
高城凪沙(なぎさ)「ダメだあぁ!お互いバレたら夫婦の危機だよ!」
東風実斗(さねと)「今のままの方が、幸せかもね」
高城凪沙(なぎさ)「知らないでいたかった・・・ 知らなければ平穏だったのに」
高城凪沙(なぎさ)「私の気が休まらないよ」
東風実斗(さねと)「でも、ちょっと嬉しいな」
高城凪沙(なぎさ)「なんでよ。人の家のことは面白い?」
東風実斗(さねと)「そうじゃなくて」
東風実斗(さねと)「俺知ってるから、凪沙の力になれるじゃん」
東風実斗(さねと)「泣き言も聞くからさ、頼ってよ」
東風実斗(さねと)「俺にできることはなんでもやるよ」
東風実斗(さねと)「たいしたことはできないかもしれないけど」
東風実斗(さねと)「一人より二人、ってね!」
高城凪沙(なぎさ)「あ・・・うん、ありがと・・・」

〇高級一戸建て

〇綺麗なダイニング

〇女の子の一人部屋
高城凪沙(なぎさ)「・・・・・・・・・」
高城凪沙(なぎさ)「はっ。私・・・いつの間に・・・」
高城凪沙(なぎさ)「あいつのアクスタとか作ってるわけ?」
高城凪沙(なぎさ)「違う、違う違う!」

〇高級一戸建て
高城凪沙「私はパパやママとは違うもんーっ!!!」

〇綺麗なダイニング

〇一階の廊下

〇住宅街の道
  to be continued?

コメント

  • 実斗氏イケメンやわぁ、こりゃプロジェクターに投影してさねきゅん呼びする日も近い(血は争えない)?。

    面白かったです!
    ピリピリしている様を裏ではお互い悶えていたとか…。
    家族からしたらいい迷惑ですね笑

  • 隣のお母さんの盗撮(?)画像が自室に映されたら死ぬ程気まずそう…それを自分から言い出せず堪えていた彼の事を考えるとめちゃくちゃ笑えました🤣
    これまで手軽さ故にあえて手を出さずにいたアクスタですが、少し欲しくなってきました☺️

  • 夫婦で互いに(密かに)推しあってる設定、面白いです🤣
    所々に出現するアクスタも、今時のリアリティーで笑いました❗️
    気づいたらアクスタ自作してる娘さんも愛すべきキャラですね😄

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