あの夏の秘密

天野天 -amano ten-

あの夏の秘密(脚本)

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〇教室
リョウ「トーマって、初恋いつだったの?」
トーマ「えっ? あ、いや・・・・・・」
  俺には秘密がある
リョウ「ん? なに?」
トーマ「・・・・・・いや、なんでもない」
リョウ「そう? それより、質問に答えてよ~!」
トーマ「え~?」
  忘れもしない
  あれは小学4年生の夏休み・・・・・・

〇山道
トーマ「あっちーーー!!!!」
  俺はその日、虫取りをしていた
トーマ「あっ! カブトムシ逃げた!!」
トーマ「おい!! 待て~!!!!」
トーマ「はぁ、はぁ・・・・・・ くそ、逃げられた・・・・・・!!」
トーマ「あーあ、すごい奥まで来ちゃったな・・・・・・ 帰れるかな・・・・・・」
「ひっく・・・・・・ひっく・・・・・・ ぐす・・・・・・」
トーマ「え?」
  声が聞こえた茂みを覗き込むと、
  同い年くらいの子が座り込んで泣いている
トーマ「おい、大丈夫かよ」
???「ぐす・・・・・・ きみ、だれ・・・・・・?」
  座り込んでいるその子は涙でうるうるした大きな目で俺を見上げる
  その顔を見た瞬間、ドキッと心臓が跳ねた
トーマ「俺? 俺は町田斗真」
???「・・・・・・とーま?」
トーマ「うん!  お前、こんなとこで何してんだよ?」
???「ぼく・・・・・・ まよっちゃって・・・・・・」
???「うわーん!!!!!!!!!!!」
トーマ「ちょっ、泣くなよ!! 俺が森の外まで案内してやるから!!」
  慌てて隣に座って背中をさすってやる
???「ほんとに・・・・・・?」
トーマ「まぁ、俺もちょうど帰ろうと思ってたしな!」
???「じゃあ・・・・・・手、つないで?」
トーマ「ふえぇっ!?」
  唐突なお願いに驚いていると、その子は大きなくりくりした目で俺を見つめてきた
  その顔がすごく可愛くて、
  またドキドキする
???「だめ・・・・・・?」
トーマ「いっ、いやぁ、 ダメでは、ないけど・・・・・・」
  結局俺はお願いを断れず、
  その子と手を繋ぎながら森の外へと歩く
トーマ「お前、名前は? どこに住んでんの?」
???「ぼくはリョウ 1週間前に近くに引っ越してきたの」
トーマ「だから知らないやつだったのか」
???「トーマもここらへんに住んでるの?」
トーマ「まぁな」
???「じゃあ、夏休みが終わったら、 きっと一緒の学校だね!」
トーマ「うん」
  しばらく話しながら歩いていると、
  リョウは元気を取り戻し、
  森の外に着く頃には笑顔になっていた
トーマ「はい、着いた ここからは1人で帰れるか?」
???「うん、もう大丈夫! ありがと、トーマ!!」
  そう言っておもいっきり抱き着かれる
  顔に一気に熱が集まる
  そんな俺のことは気にも留めず、リョウは満足したのか、俺から離れて駆け出していく
???「またねー!!!!」
  大きく手を振りながら走っていく後ろ姿を、
  俺はただ呆然と見つめることしか出来なかった

〇教室
リョウ「トーマ? どうかしたの?」
  大きな目が俺を覗き込む
  あの頃から変わらない、
  くりくりした大きな目だ
トーマ「いや? 初恋を思い出してただけ」
リョウ「え!? なになに、初恋の話教えてくれる気になったの!?」
トーマ「やだね!! お前にだけはぜっっっったい教えねーからな!!!!」
リョウ「えーなんでー!? 俺たち親友でしょーー!?」
トーマ「”親友”だからだよ! ばーか!!!!」
  あの頃からずっとお前が好きなんて、
  絶対言えるわけがないだろ

コメント

  • 読んでてニマニマするお話でした。
    たしかに「友達」には出来ない話ですよね。
    その友達のラインを越えられる日はくるのかな?と思うとキュンします。

  • 大好きな気持ちを告げられない切なさを感じながらも、リョウとの友情さえ壊したくないトーマの繊細さがとてもよく伝わりました。人を好きになる瞬間って本当に素晴らしいですね。

  • 素直にいいお話しだなと思いました。それを秘密として持ち続ける彼の気持ち、秘密にしないといけないと感じるような彼の気持ちが短いお話しの中でしっかり伝わってきました。

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